概要
小雨大豆の妖怪漫画「九十九の満月」及び前日譚「月歌の始まり」に登場する架空の専門分野。
魂魄(こんぱく:作中において万物構成を成す一つであり、汎用性へ優れた架空の元素および活動力)を素材および動力源に、特殊な道具・武器を製作、疑似的な妖怪の召喚、結界や防壁といった術技の発動、大型兵器に活用など、作中へ頻繁に登場する用語および特殊高等技術の一つ。
本稿では、式術の重要事項「魂魄回路(こんぱくかいろ)」も解説する。
化学のような特殊分野
作中世界で力量差の指標にもなる魂魄(こんぱく:作中において万物構成を成す一つであり、汎用性へ優れた架空の元素および活動力)を、特殊な回路へ流す事で性質の変化や疑似的な物質および体組成を錬成など、様々な実現力を発揮する特殊な高等技術(この概略を例えれば「化学変化を扱う科学」や「錬金術」みたいなもの)。
「式術(九十九の満月)」と近似する某呪術に在った解説適例も引用させてもらうと、魂魄(こんぱく)は「電気」に、式術(しきじゅつ)は電気を流して使用する「家電」へ例えられる。
単独で強力な性質がある「電気(魂魄)」だが、これだけでは利用法に難がある。そこで利便性を付す専用回路と部品で組み立てた「家電(式術)」へ流す事で指向性を与え、設計通りの運用などを行う技術とも言い換えられる。
作中では御札(式札)や巻物などに書かれた魂魄回路(こんぱくかいろ:作中の汎用性へ優れた架空活動力を流し、設定した効果を発現させる要の経路および構造式)に魂魄(こんぱく)を流し効果を発揮する形式が殆ど。
因みに、自分で式札を作る術者もいるが、大抵はお店などで購入する。つまり式札を作る職人がおり、御札(式札)だけでなく切手状の物や綴(つづり)状の物など種類は豊富。
魂魄回路(こんぱくかいろ)とは
魂魄(こんぱく:作中において万物構成を成す一つであり、汎用性へ優れた架空の元素および活動力)を流す文字状の回路を「魂魄回路(こんぱくかいろ)」という。
魂魄(こんぱく)へ在る性質の一端「通常の状態は不可視で透過力がある」が反映されているように、一見は何の変哲もない様子でも、実は長距離で壁などへ阻害されず空間を通り抜け、何かしらの効果が常時稼働中という描写もある。
例:ある恩恵を式術で管理している「黒白の里」では、作物の生育に最適な条件を維持する環境設備・栄養供給が随時稼働する「回路≒式術」を農作地へ張り巡らせ、年中豊作の実り豊かな生活を構築している。
こういった離れた対象へ効果を及ぼす様子は「目に見えぬ蛇口のようなもの」と例えられている。
「魂魄回路(こんぱくかいろ)」は、作中世界の常識だと小さな力で大きな術が発現出来る様に効率よく製作される。回路の構図は『九十九の満月』のweb版【その72】や単行本4巻で確認でき、文字の部分を拡大すると迷路状の回路がびっしりと書かれている。
殆どは、事前にこの回路へ自分なりの命令等を書き込んだりして使用される。更に、その場の状況に応じ即興で書き足す改変(アレンジ)も出来る。この理屈により式神(しきがみ:従属関係を結んだ妖怪で多くは姿形だけの即席妖怪)の出力や性質だけでなく、上半身だけ作って魂魄(こんぱく)の節約をするなど追加効果も発動できる。
また『九十九の満月』では、意味のない回路があるくせに防壁などの追加(オプション)が一切ない、実に単純(シンプル)な回路が登場している。偶々居合わせた青年・満月が「素人が作った物では?」と指摘したが、妖怪のじっちゃんは「相当な技術が使われている」とそれを否定。
作中では、この単純回路で多大な影響を及ぼす事件が発生しており、回路製作の常識と当てはまらず妖怪のじっちゃんはいくら考えても分からずにいたが…。
作中例
自在倉(じざいくら)
登場作:九十九の満月
雪男が背負ってる大きな荷物)
(作品内だと、外見はそのままに、中身は空間の収縮・拡大を施して物がたくさん入る便利道具。
品物によって性能へ差異があり、本格版は容量も性能も段違い!!
収納口には伸縮術式も組まれているので、大きさ(サイズ)問わず出し入れ自由!!
わーステキ♪ でもお高いんでしょう?
\お高いんです!!/
式神(しきがみ)
この場では〝疑似的な妖怪〟〝姿形だけの即席妖怪〟を指す。式札などに書かれた「魂魄回路(こんぱくかいろ)」へ流れた魂魄(こんぱく)を基に体を組成し、事前に設定した命令へ従い術者を助けてくれる心強い存在。
軍神(ぐんしん)
軍神は主に機械工学の分野で、高度な技術と予算をつぎ込んで造られた造形物へ式術を施すことで、物体であるが生体のように稼働する兵器。
登場作:月歌の始まり
ある恩恵を式術で管理している隠れ里。里全体へ「魂魄回路(こんぱくかいろ)」を張り巡らせており、日常では年中豊作の農業を営んだり、荒事では防壁を発動させる動力としたり、様々な活用がされている。
平和な生活を築くため、里の実力者たちは式術(陰陽術)を磨く刻苦勉励も代代継承されている。
鬼鉄甲(おにでっこう)
登場作:月歌の始まり
正式名称は「焔印鬼鉄甲(ほむらじるしおにでっこう)」。
才女・焔の発明品で、簡略すると「陰陽術を知らなくても思った通りの式神が出せる」という性能は、専門家たちをゾッと驚愕させる程のすっごい技術が凝縮されている(しかも、発明者・焔は「なんとなく作ってみたらできちゃった(天才)」とあっさり感があるもんだから、さらに専門家たちを顔面蒼白させている…)。
余談
九十九の満月【その72】で、妖怪のじっちゃんが鴨川満月に魂魄回路(こんぱくかいろ:作中の汎用性へ優れた架空活動力を流し、設定した効果を発現させる要の経路および構造式)について説明している場面。その講義中、妖怪のじっちゃん(小柄)が回転椅子でクルクル回ったり、バネ付き椅子に腰かけてグイングイン揺れながら解説してくれる。その後ろでは黄太(おうた)が部屋の物で遊んだり、バネ付き椅子に自分も乗りたいと興奮した表情を見せるなど、面白(コミカル)な場面(シーン)にもなっている。
関連話(外部リンク)
関連項目
魂魄(九十九の満月) 式神(九十九の満月) 軍神(九十九の満月)
術式(少年漫画:呪術廻戦より)・・・本稿で解説例を引用し、名称と大要「特異な活動力を流すことで異能を発揮する型式」が類似する架空用語。大別として『要の式が構築される対象』へ差異がある。
「式術(九十九の満月)」が“物体へ適用する専門技術”に対し、術式(正式名【生得術式(しょうとくじゅつしき)】)の殆どは“個体-生体や呪霊体-へ刻まれた固有式(登場作中では「生まれながらに持った才能」とも)”を指し、これと関連した異物や解釈を広げた派生術技なども在る特殊専門分野。