主な概要
猟師が深い山中に迷い込み、偶然たどり着いたとか、山中で機織りや米をつく音が聞こえた、川上から箸やお椀が流れ着いたなどという話が見られる。
外部からの訪問者は親切な歓待を受けて心地よい日々を過ごすが、もう一度訪ねようと思っても、二度と訪ねることはできないとされる。
こういった伝承の背景には平家の落人が隠れ住んだとされる集落の存在が挙げられ、実際に平家谷、平家の隠れ里と伝えられる集落が存在している。
普通の人はそこに行けないが、善良な者にはその世界を垣間見る機会が与えられることがある。
ただし、犬鳴村のように山奥にあるからと間違った話を伝えられてしまうケースもある。
(※実在の犬鳴村と都市伝説での村は食い違いなどがいくつか見られる)
たいていの隠れ里は川の近くにあることが多い(秋山郷の中津川や白川郷の庄川など)
ただ、隔絶されているため飢饉の際に餓死する者が出ているケースもある。
物語の題材や舞台が隠れ里となる漫画やゲームも多い。
主なもの(伝承地)
- 秋山郷:長野と新潟の間の山中にある郷。存在が知られている里としては独自の方言や風習、逸話の範囲内だが村人に「源氏の世は今も続いているのか」と尋ねられたとされ、最も隠れ里のイメージに近いという。元は平勝秀と言われる武将が源平合戦後ここに落ちのびたとされている。ただ、一度冬になれば完全に隔離されてしまい一回全滅した事もある。紅葉の名所でもある。
- 白川郷:岐阜県(旧飛騨国)にあるもっとも有名であろう郷。合掌造りと言われる伝統の家々が立ち並び郷自体が世界遺産である。とあるゲームの村の元ネタとなったりしている。いつ行っても日本の原風景が見られるがよく写真に撮られるのは冬である。
- 五箇山:富山県にある隠れ里。谷5つに挟まれるため(谷が山に変わり)こう呼ばれたと伝わる。岐阜の白川郷と同じく合掌造りで世界遺産になっている。加賀藩では流刑地として使用されており、橋が無かった。(逃亡の恐れがあったため)また、藩はここから煙哨を取っていたという。加賀騒動で主な犯人をここに追放した。
※一説には平家の落人伝説(倶利伽羅峠の戦い後)の場所とされる。
- 祖谷山:「いや」と読む。徳島県にある村で平家伝説が伝わる。蜂須賀氏はここをおさえようとするも2回もの一揆の末に独自のやり方で治めた。平家伝説では有名な場所の一つである。
近くには難所の大歩危小歩危や大蛇で有名な剣山があり山奥と言うことを実感させる場所が多い。
また、子泣き爺やのびあがりと言った怪異伝承も残っている。
- マヨヒガ:特に東北の山奥に伝わる遠野はみちのくが有名。つい先程まで人がいたような感じを残しているらしく、遠野物語ではある女性が迷い込み人がいない不気味さに逃げてしまったという。その翌日、川からお椀が流れてきたため拾ったところ穀物が減らず村一番の金持ちになったという話である。
- 椎葉村:宮崎県にある村。平家の落人の娘と源氏方の大将の悲恋話がある。その子孫といわれる那須氏がここを治めていた。大半は平家伝説だが京都からの貴族、源平以外の戦いでの落人が作った場所もある。
その他の郷
- 京丸:実在が確認された静岡県(旧国名・遠江)の京丸山山奥にあったという。享保年間の時に洪水でお椀が流れてきたため存在が知られることとなった。京は京都の意であり藤原姓が多いらしい。
主な共通点
これら隠れ里は時間がゆっくりであり、中には贅沢にもてなされたという話もある。時間がゆっくりなためこちら側(郷の外)では数年~数十年たっている場合もあり、自分の葬式がとっくにすんでた(行方不明のため仕方ないが・・・)話もある。また、人に存在を知られないよう他言をタブーにしており、タブーを破るともう行けなくなる、または災難が次々来るといった話がある。一度言ったらもういけないのも共通。
創作上の場合
「現代社会に一般には存在しないとされる者達が隠れ棲む場所」
「時代の推移と共に姿を消す者達が落ち延びる場所」
・・・などとして頻繁に使われる。
主な隠れ里に該当する郷
妖怪横丁 | 『ゲゲゲの鬼太郎 第5作』の舞台で妖怪のみが住んでいる。人間界からは行けないが妖怪は普通に行き来できる。 |
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幻想郷 | 『東方Project』の舞台。こちらも大半は妖怪が住んでいるが人間が少なからず人里を形成していたり、外国妖怪や日本の民話の登場人物も住んでいる。 |
ナルトの隠れ里 | 『NARUTO疾風伝』の舞台となる各国にそれぞれある里だが、一国に一つしかないのか、それともまだ数か所あるかは不明。 |
伊賀の隠れ里 | 『銀魂』の「将軍暗殺編」に登場。忍の一族が作った正真正銘の隠れ里である。 |
桃源郷 | 中国の古典『桃花源記』に登場。 |
巨頭オ | 2ちゃんねるに投稿された有名な怪談に登場。 |
世界の隠れ里
1994年、中華人民共和国の雲南省広南県の洞窟にある峰岩洞村という村が、偶然訪れたテレビ取材班によって発見される。それまで広南県政府はこの村の存在に気付いていなかった。住民は全て漢族で、最も早く住み着いた家族の祖先は300年前に江西省から移住したという。
訪問時の注意
- どこでもそうだが、常識とマナーある行動をするように。ポイ捨ては特に厳禁である。
- ほとんどが山中にあるため高山病などの病気やクマなどに注意する事
- 里と書かれているため当然家は個人所有がほぼ。不法侵入になることもあるため健全な行動を
- 山中での遭難や天候の変化に注意する事
- 中には交通が発達していない事もあるため、事前に持ち物や情報を準備しておくこと
- 蚊や蜂、ムカデ、蛇、に注意