概要
NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』のストーリー構成の杜撰さを叩くのに使われるTwitterハッシュタグ「#ちむどんどん反省会」のこと。
放送中Twitterでトレンド入りを繰り返していたためか、2022年の新語・流行語大賞候補にノミネートされてしまった。
ネット上の批判
このドラマは沖縄が本土復帰してから50周年を記念して作られた。
しかし、一部のキャラの倫理に反する言動・無理のある展開・雑な時代考証など問題点だらけで批判が殺到。
それゆえ、脚本担当の羽原大介氏に対しても「今までは面白かったのに何かあったのか」「マッサンやフラガールと違って実話じゃないパターンは苦手なのか」といった疑問や考察の声すら挙がり、連続テレビ小説の直後から始まる『あさイチ』で司会をしている博多華丸・大吉も露骨に『ちむどんどん』へのコメントを控える日が増えたほどだった。
SNSなどでは、かねてより連続テレビ小説に対する批判タグとして「〇〇反省会」というタグが使われていたが、『ちむどんどん』ではこれまでに無いレベルで批判意見が目立つようになり、本来なら好意的な書き込みに使われるであろう「ちむどんどん」タグを使って批判意見を書き込む者も増え、「反省会」タグのみでは批判意見との棲み分けが困難になってしまい、その対策として原則好意的な書き込みに用いる「#ちむどんどんする」という派生タグまで生まれる事態が起こるに至った。
民放のドラマなら「嫌なら見るな」で済むが、NHKのドラマは視聴者から徴収した受信料で作られている。見るのをやめても「受信料でひどいドラマが作られる」という問題点は変わらず、炎上しても(よほど深刻でもなければ)放送を打ち切られることもない。こういったNHKならではの性質も批判につながる一因と言える。
なお、「〇〇反省会」タグは下半期の作品(NHK大阪放送局制作)に使われることが多く、東京制作の上半期の作品はタイトルを揶揄する(例:「半分白目」「なちゅぞら」など)ものが主流だったが、今作品はなぜか「反省会」タグの方が優勢であった。
登場人物の悪行
- 比嘉暢子(結婚後は青柳暢子)
- 本作の主人公であり、ヒロイン。連続テレビ小説のヒロインが天真爛漫なのはお馴染みのパターンだが、彼女の場合は自分ばかり優先して他人の立場を全く考えない傾向があり、それが視聴者の困惑と嫌悪を煽る。
- 例として、自分が勤めるレストランのオーナーに対して「料理をしないのに偉そうだ」と詰め寄る、取り分けられた料理に「自分の分が少ない」と文句を垂れる、和彦の恋人である大野愛に「和彦を好きになったけど愛がいるから諦める」とわざわざ宣言する、和彦の家のお手伝いさんに「いらない」と言われた弁当を毎日持っていき、それを止めようとした和彦にも「何か間違ったことしてる?」と問いかけるなど枚挙に暇がない。
- 根拠や代替策を交えてまで、身重の体で独立しようとする暢子を説得する周囲に対しても「うちは諦めたくありません!」と強硬な姿勢を崩さなかったエピソードに代表されるように、問題に対して根性論で押し通し、折衝することもせず、一点張りの強硬な態度で相手を折ろうとする姿勢が目立つ。
- そもそも暢子は高校3年生になるまで何の夢も目標もなく、母親がわざわざ知り合いに頼んで就職先を決めてくれたというのに、高校最後の文化祭で料理の面白さに目覚めたというだけの理由で「その文化祭の終了後に」「いきなり」「よりにもよって母親や知り合いや就職内定先の社員を含む大勢の人々の前で」「東京に行ってコックさんになります」と宣言し、母親含む周囲を一切無視して勝手に内定を踏み倒した。
- しかも、わざわざ銀座のイタリア料理店で何年も修行したのに、結局はその店を退職して、子供の時から慣れ親しんでいた沖縄料理の店を東京で開き、それまで分野の異なるイタリア料理の修行をしていたせいで沖縄料理の魅力を伝えることができなかったり、最終的に故郷に戻って店を開きたいと思った際には「東京の店が重荷になる」と考えるなど、「ちむどんどんする」を優先するあまり周囲の迷惑を顧みない行動を繰り返す。
- 演じた黒島氏は主役だけに目立つ機会が多く、作品が不評に晒されるたびに度を越した批判が見られた。そのためか、黒島氏のファンからは「公金で作った黒島結菜のネガキャン」と評されることも……。
- 比嘉賢秀
- 暢子の兄。彼の自己中で無責任な振る舞いの数々は目に余るものがあり、やはり多くの視聴者の不満を呼んだ。
- 家族への愛情と行動力は本物なのだが、そのための資金の工面手段は主に知り合いに金を無心してからの競馬(有り金全部賭けた上にもちろん外れる)や、詐欺師の我那覇良昭が持ちかける悪徳商法(しかも同じ人物に何度も似た手口で騙される)といった「大穴狙い」ばかり。金を受け取った際に度々置いていく「借りた金は部にして返す」という手紙が彼の全てを物語っている(彼は「倍」という漢字を「部」と書き間違え、しかも気付けないほど頭が悪い)。
- で、いろいろあって養豚場で真面目に働く気になったのだが、その矢先に親しくなっていた清恵が一度離婚経験があることを知るや否や「俺を騙していたのか!?」と激昂。過去が後ろめたいのは賢秀も同じで、それを棚に上げるどころか指摘されて逆ギレする始末だった。チンピラ同然の元夫からの酷い扱いがトラウマになって思い出したくなかっただけであり、「商談の邪魔をされたとはいえ傷心の女性に対してそれはない」と再度批判されることになってしまう。
- ただし、賢秀の悪行やそれを咎めない母に関しては、主に沖縄出身の視聴者から「当時の沖縄の長男にはよくあったこと」との声も見られた。過去に放送された『ちゅらさん』でも、悪質さに差はあれどヒロインの兄が盛大にやらかす一幕がある。
- また、暢子と和彦の恋愛模様のドロドロが繰り広げられた週ではむしろ賢秀が唯一の癒しになるという妙な現象も見られた。
- 比嘉優子
- 夫を早くに亡くし、母として暢子たちを優しく、時に厳しく見守る……かと思いきや、子供たちの数々の問題行動を「何も間違っていない」と笑顔で全肯定する人物で、賢秀や暢子が自己中心的な人物になった諸悪の根源と言われている。
- 特に賢秀には大甘で、彼がどんなに悪いことをしても咎めようとしない。何かとすぐ賢秀に大金を渡しては借金を増やす羽目になり、「その金を病弱な歌子の治療に使え」と批判されている。
- 優子が賢秀に甘い理由は「戦後に亡くした弟に重ねていたから」と一応の説明がなされたが、それを差し引いても賢秀に甘すぎる。
- 実際、長女の良子には賢秀と同じレベルで警戒されているものの、「ニーニーの悪い癖がいつまでも治らない」と本気で止められるや彼女のいないタイミングでこっそりと送金し、賢秀が悪徳商法をやっていることを説明しても「はいはい、そんなことより…」と即聞き流したりと、無条件に甘やかす癖は直るどころか日に日に悪化の一途を辿っていった。
- 子供たちが「母の悪口を言う奴だけは許さん」と口を揃えて発言するほど、母親として深く慕われていることは間違いないのだが……。
- 比嘉賢三
- 暢子の父。序盤で亡くなったためさすがにダメエピソードはないだろう……と思われたが、過去に房子と東京で店を開く約束を反故にして沖縄で結婚して連絡を絶ったり、賢秀が善一の店で小銭を盗んだ際に「お前は悪いことをしたがお前は悪くない」と意味不明な擁護をするというダメ親父エピソードが回想で続々公開され、「この両親に育てられれば子供もああなる」と呆れられた。
- 比嘉良子(結婚後は石川良子)
- 暢子の姉。実家のために喜納金吾と結婚寸前まで行ったものの、結局は石川博夫との恋愛結婚を選択。しかしいざ嫁入りしたら古風な石川家の風習に馴染めず「離婚する」と喚き出し、視聴者から「やっぱり金吾にしておけば」という意見が相次いだ。
- 何しろ金吾は最初から「結婚後も教師の仕事は続けていい」と良子に言ってくれていたのだから、視聴者たちが金吾との結婚を願ったのは当然であろう。
- 後に娘の晴海が生まれ、「先生の代わりはいるが母親の代わりはいない」と専業主婦を選択したのに、子供が成長すると「私の名前は晴海ちゃんのお母さんじゃない、人として成長したい」と職場復帰を希望し、受け入れられなければまた「離婚する」と喚き出し、視聴者を呆れさせた。
- 石川家への職場復帰の説得についても良子自身が石川家本家へ直談判せず博夫に任せきりで、「不誠実だ」「だから職場復帰を認めてくれないのでは?」という意見もある。
- 最終的に博夫と別居し実家に戻り、病弱な妹の歌子に晴海を預けて職場復帰を果たすなど、兄妹にも負けず劣らず周囲を顧みない傍若無人な人物に落ち着いた。しかし、余計なことばかりする賢秀や危機感が無い優子に対して毅然と注意できる数少ない存在ではあり、融通が利かない以外は比嘉家の中では比較的マシ。
- 優子に再婚話が持ち上がった際に「結婚は当人同士だけの問題ではない」と言ったり、暢子が結婚しても家事と仕事を両立させると言い出すや「両立は大変だよ」と言うなど、視聴者から見れば「お前が言うな」と言いたくなるような展開もあった。
- 石川家
- 博夫の祖父や叔父といった彼らも、昔からの風習・しきたりを重んじ、良子に本家の嫁たる自覚を要求する場面が度々描かれるが、そんなに厳しい家風なのになぜ結婚が許されたのか、なぜマンションでの別居を許したのかなど謎が尽きない。
- むしろ問題は、石川家の男衆が初登場した第53話も含め、それまでただの一度も姿を見せず、劇中で存在が語られることもなかった曾祖母が第80話で何の伏線も脈絡もなく突如として現れ、良子と博夫に離婚を迫る石川家の一族を一喝して黙らせ、数年間に及ぶ良子と博夫の結婚問題が一気に解決するという不自然極まりない展開にある。
- 「この曾祖母が最初から登場していれば良子と石川家の確執は起こらずに済んだのでは?」とか「良子と博夫の結婚問題をどうやって解決すればいいのか思い付かず、当初の設定にはなかった曾祖母を無理やり登場させて周りを黙らせるという苦肉の策に出たのでは?」などといった趣旨の疑問や批判が相次いだ。
- 比嘉歌子
- 暢子の妹。暢子に振られた砂川智を暢子の結婚式に出席させるために、仮病を装いアッラ・フォンターナに連行し、さらに到着するや示し合わせたかのように良子が「賢秀が来れなくなった」と言って県人会総出で智を式場に強制連行するなど、智の古傷をえぐるような行為に「これでもう比嘉家にまともな人物はいなくなった」「智の気持ちも考えろ」と批判が殺到。
- さらにはこの展開の以前、東京の病院で検査しても歌子の病気の原因が不明だったことから「病弱なのも仮病なんじゃないか?」と視聴者から勘繰られてしまうこととなった。
- 沖縄で歌手になろうと奮闘する歌子を手伝おうと、智は取引先の居酒屋で歌子の歌を披露する場面を手配する。その際店主には「ギャラはいらない」と言い、歌子には「ギャラは前払いでもらった」と嘘をつくが、実際に歌おうとするとまた上手に歌えなくなり、歌子がライブを止め店主にギャラを返そうとしたことで智の嘘が判明。歌子は智を「だましたの?」と責めるが、上述のように仮病を使って智をだました歌子には視聴者から「お前が言うな」の大合唱で歌子の株も大暴落した。
- 青柳和彦
- 男主人公。6年も付き合って両親公認の婚約相手がいたのに、結婚直前で暢子のことが気になり出して、婚約相手の方がそれを察して身を引くという朝ドラ史上稀に見る無茶苦茶な展開を演じる羽目に。
- 婚約者側の両親は住居のマンションまで用意しており、結婚式のキャンセル料等はどうしたのかは以降全く言及されなかった。しかも婚約破棄からわずか数日後に暢子からプロポーズされて結婚を決めるという結末になり、視聴者からは「クズ彦」「カス彦」などと言われるようになってしまった(このことについては作中で田良島にも皮肉られている)。
- 「新聞記者なのに相手の話をさえぎって自分の話をし始める」「取材相手になぜか上から目線」といった悪癖も目立つ。また、「女性も働き、自立すべき」という1970年代にしては現代的な思想を声高に語るが、その持論を展開する背景で愛に料理を取り分けてもらって、それに礼を言うこともないなど、言行不一致な所も見られる。
- 暢子と結婚後は極端にセリフが少なくなり、たまに喋ったとしても暢子のやることに賛成するだけになり存在感が薄れていった。
- 田良島甚内
- 登場人物の中では比較的まともなキャラだったが、「母親の一番の不幸は、息子と結婚できないことっていうからな」という軽口を叩いて、視聴者をドン引きさせた。この発言の典拠は不明だが、さもこれが一般的に言われている言葉であるかのように発言している。
- 田良島は精神年齢が幼稚で社会常識がない暢子を「人柄は100点満点」、前述の通り不誠実の見本のような和彦を「誠実な男」と評する(そりゃ母親の前で「クズ」なんて言えるわけがないが)など、人を見る目は皆無だと視聴者から言われている。
- 矢作知洋
- 「アッラ・フォンターナ」の元料理人。突然店を辞めた従業員の一人であった彼がいきなり現れたと思いきや店の金と権利書を盗んだ上に失踪。そして、その権利書を手に反社会勢力が店に現れて脅しをかけ、権利書の買取りを拒否するや様々な嫌がらせを始めるというどこぞの料理バトル漫画のような展開に突入する。おまけに肝心の弁護士も当てにならず、警察もまともに動いてくれないだろうと判断して相談しようとしなかった。
- ところが、チンピラが店内で暴れている所に突如として三郎が現れると、チンピラの親分が「戦争中に世話になったから」と言ってあっさり店から手を引くという、これまた何の伏線も脈絡もない不自然極まる超展開。視聴者たちはまたも開いた口が塞がらない状態に陥った。
- 当時はこのように暴力団が飲食業等に幅を利かせることがよくあり、単に警察に通報すれば解決するという時代ではなかったことは事実。基本的に時代考証がいい加減な本作において、数少ない「時代的に正しい描写」がよりにもよってこの場面というのは、何とも皮肉な話である。
- しかし、暢子の店に雇われてからは非常識な暢子に対してのカウンターという立ち位置を獲得し、視聴者からの人気が急上昇した。
- モブ
- 主要人物以外のモブについても、乱暴ないじめっ子やチンピラが度々現れて暴力を働くというエピソードがあまりに多く、整合性がとれない以前にそもそも話の通じない前提の人物が多すぎて世界観が世紀末とも言われる。朝から見るドラマにもかかわらず「ヤクザ映画みたい」「ちむどんどんじゃなく『チンピラどんどん』」と嫌悪感を示す視聴者も多い。
- 立場的に何をやらせても悪人の理不尽な言いがかりとして片付けやすいため、話の整合性を無理矢理とるために多用されていた可能性が高い。
無理のある展開
借金問題をはじめとしてさまざまな問題が立ちはだかるが、週末ではどのように解決したのか特に触れられないままうやむやになることがよくある。暢子の腕が上達する様子が描かれていない、数年間何もなかったのに突然恋愛感情が芽生えるなど、描写の積み重ねが行われないために唐突感のある出来事も多い。
また、時間の経過を「あれから数年」で済ますのはドラマなどではよくあることなのだが、本作では事あるごとに数か月~数年と時間がよく飛ぶだけでなく、「暢子が料理している場面がない(あっても盛り付けるだけ)」「子供が生まれたらすぐ成長」「いつの間にか借金完済」「好きになったら結婚」などなど細かい過程をすっ飛ばすことが多すぎる。
上記の「石川家の曾祖母がいきなり出てきて問題を一気に解決」「矢作の退職に端を発したヤクザの嫌がらせが親分が三郎に恩があったという理由で一気に解決」以外にも、結婚を許さない重子の態度を崩したのがオーナーの発案した料理だったりと、とにかく主人公以外の大活躍で丸く収まることが多く、本来の主人公であるはずの暢子や和彦の成長がまるで見られない。
- 暢子が電話代を全く気にせずたびたび長距離電話をする
- 1970年代当時の電話代は2.5秒につき10円。
- 東京の銀座で仕事をしている人々が神奈川県の鶴見で集う
- 暢子が銀座にある「アッラ・フォンターナ」の閉店後に仕込み等を済ませてから鶴見にある「あまゆ」に戻って店の手伝いをする
- 賢秀が住所を知らないはずの和彦の家に来る
- アッラ・フォンターナに毎年来る常連客を6年も勤務している暢子が知らない
- 矢作がわざわざ鶴見まで来て食い逃げする
など、常識的に考えてありえないようなシーンも多い。
他によく指摘される問題点を挙げると、
- 涌井
- 清恵から強請ろうと数年間探し回っていたはずの元夫・涌井が清恵の父・丈雄に何処かへ連れられ、一人戻ってきた丈雄の「奴と話を付けてきた。もう二度とここには来ない」という台詞の通り本当に綺麗さっぱりいなくなってしまった。
- 「奴が来た時のために、色々と手を回してあった」とのことだが、多少では引き上げそうにない人物だっただけに、丈雄がどのような方法で話をつけたのか全く語られていない。
- 「豚の餌にでもなったか」とネタにされることもあったが、仮に丈雄がそれほど恐ろしい人物だとしたら、元夫の涌井が知らないはずがないだろう。
- 結局彼の行方は最後まで謎のままで、清恵に離婚歴があったという設定のためだけに出てきた完全な一発屋となってしまった。
- ワープ
- 沖縄県のやんばると東京、そして鶴見が主な舞台なのに、深夜にやんばるから電話してきた良子が翌朝に鶴見に現れるという、1970年代はおろか2020年代でも不可能な短時間での長距離移動がしょっちゅう行われる。
- そもそも深夜にバスや飛行機などの公共交通機関は動いていないのだから、良子はどれだけ急いでも翌朝までやんばるを出発できるわけがない。
- また、賢秀は千葉県の牧場を拠点としているのに、なぜか鶴見にちょくちょく来ている。
- 和彦の母・重子が暢子との結婚を反対する理由
- 当初は「家柄の違い」「住む世界が違う」という話だったのに、いつの間にか「結婚しても働き続けたいという女性とは幸せになれない」と論点がずれていった。
- 法律考証
- 智が「沖縄のサツマイモを東京の人にも食べてもらいたい」いう旨の発言をするシーンがあるが、沖縄県産のサツマイモの県外持ち出しは植物防疫法で禁止されている(ただし、発言のみなので実際に持ち出したかは定かではない)。
- 鶴見北西信用金庫の職員が暢子に杉並区の物件を紹介するシーンがあるが、そもそも神奈川県の信用金庫が東京都杉並区の物件を紹介できるはずがない。それだけでなく、途中から職員の言動がまるで不動産屋のようになる。
- 第20週「青いパパイアを探しに」では、無職状態となっていた矢作が自身の商売道具である包丁を肌身離さず持ち歩いていたというエピソードが描かれたが、実はこの行為は銃刀法に抵触する可能性があるとネット上で指摘され、一時「銃刀法違反」というワードがSNSのトレンドに上がった。
- さらにこの回が放映された翌日の8月26日、京急電鉄の電車内で寿司職人の男性が所持していた包丁を誤って床に落とし、驚いた乗客が非常ドアコックを開けて電車が緊急停車するトラブルが発生。このニュースが流れると「リアル矢作現る」「ひょっとして鶴見に向かってたのか?」などとネット上で再び騒がれる事態となってしまった。
料理&レストラン関連
- 「アッラ・フォンターナ」は予約を取るのも難しい超高級レストランという触れ込みなのに、初登場時、暢子が薄手のシャツ・短パン・ビーサンという格好で入店できた。ドレスコードはどうなってるんだ?
- 厨房スタッフのはずの暢子が肩まで伸びた髪をまとめることすらせずに垂らしている。
- 接客は店の方針としてソムリエと思しき人物が一人いる以外にホール専用スタッフを置かず、全て厨房スタッフがまかなっているが、テーブルが少ない小さな店ならともかく、アッラ・フォンターナの規模でホールスタッフ兼務となると料理を作っている間、ホールがほったらかしになってしまうなど、かなり無理が出てくる。それに調理をしていれば当然コックコートは相当汚れるはずだが、その状態で接客に出るのは問題にならないだろうか。
- 部外者の賢秀が閉店後の店に入ってきて食材を勝手に触る、仮にも記者である愛を厨房に入れる、閉店後に店に来た怖い人を入れてしまうなど、セキュリティが甘い。
- 賢秀が一目惚れした女性をフォンターナに誘った際になぜか社員総出でお出ましになり、それをそのまま受け入れる。
- テーブルまで案内した客の椅子を引かない。
- 料理を運んだあと、テーブルの横に突っ立って食べるのを見つめている。
- スタッフが常連客と大声で談笑する。
- 暢子が初めて訪れた際にオーナーとシェフが2人して暢子を「マサカヤー様」とあだ名する。
- 注文されたとはいえワインボトルを一人一本提供し、泥酔者を出す。
- 二ツ橋シェフが両足を骨折し、一か月の入院(両足骨折の割に短過ぎる入院期間にもツッコミがある)になった途端、六年以上勤務しているはずの厨房スタッフが突如全く連携をとれなくなり、暢子がオーナー直々にシェフ代行として指名され、矢作ら他のシェフ陣から「やはりコネか」と不満の声が上がり、後に矢作を含めた三人のシェフが退職するきっかけの一因になる。
- 出てくる料理も盛り付けが簡素で味気ない。
- 50話で暢子が沖縄料理のイカスミジューシーをヒントにイカスミパスタを作るが、もともとイカスミパスタはイタリアの伝統料理であることを料理人はおろかシェフの二ツ橋やイタリアで修行してきたはずのオーナーですら指摘しなかった。
- 暢子が店の料理に勝手にアレンジを加えてしまう。
- 店の味は独断で勝手に変えていいものではないし、元の料理自体がそもそも日本人にほとんど知られていないものが多いのにアレンジ料理を作る必要性が皆無。
その他イタリア料理の描き方の問題点については、日伊協会常務理事を務める長本和子氏から指摘されている。
そもそもドラマの舞台となる1970年代には、日本ではイタリアンはまだ一般的でなく、高級レストランと言えばまずフレンチが主流だったのだが……。
また、レストラン内の描写ではないが、房子がワインを飲もうと言って赤ワインを注ぐが、ボトルに貼ってあるラベルは白ワインだったり、別の場面ではスパークリングワインのボトルから出てきたのがただのロゼワインだったりと非常に杜撰。
脚本の羽原大介は「僕たちおじさん3人は料理の知識が全くないんです」、演出の木村隆文は「僕にとって料理は『美味いか、不味いか』ではなく『食べられるか、食べられないか』」と発言している。
要するに、取材不足以前の制作人の料理に対する知識の無さがそのまま出てしまっているのである。(ちなみに「3人」の残り一人は制作統括の小林大児)
いや、そんなんで許されるか。
食べ物を粗末にする
手っ取り早くハプニングを演出するためなのか、鍋をひっくり返す、料理を運んでくる最中に転ぶ、料理を焦がす、良子が生徒のために考えた給食がほとんど手をつけられずに廃棄されるなど、とにかく食べ物を粗末にするシーンがこれでもかと出てくる。
挙句108回ではアッラ・フォンターナを訪れた矢作に対し、焦げた料理を出すという嫌がらせを行うプロの料理人にあるまじき行為が描かれ批判が続出した。
いい加減な時代考証
物語の時点では存在しないもの、通称オーパーツと呼ばれているものが多数登場する。
和彦が母親と闇市に行くシーンがあるが、和彦の年齢的に闇市が行われていた時期と計算が合わない。
(以下に挙げるものは1978~79年の話を指す)
- ペットボトル入りの醤油が使われているが、この時代には存在しない。
- ズッキーニの入った段ボール箱が登場するが、当時の日本ではズッキーニの知名度は現在よりもはるかに低く、ズッキーニの大量栽培も行われていない。
- 賢秀が夜に競馬中継を聴いているシーンがあるが、実際に夜の競馬が始まったのは1986年からであり、それも現在に至るまで地方競馬のみに限定されている。
- 物件情報が活字で印刷されているが、当時はまだワープロがとても高額で一般には普及していないため手書きでないとおかしい。
- 暢子が開店した沖縄料理店「ちむどんどん」に置かれたレジが時代設定の四半世紀後の2005年に発売されたタイプ。
- 当時の日本ではとっくに廃れていたはずのオート三輪に乗っている、都内にコンクリの敷かれてない大きな道路があるという「逆オーパーツ状態」も見られる。
沖縄本土復帰50周年記念ドラマのはずだが……
そもそも沖縄返還がコンセプトの話だったはずなのに、返還に関してほとんど触れられていない。
構想段階で話し合いを進めていくうちにいつの間にか「どこの誰にでも当てはまるような話にしよう」という当初のコンセプトを無視した結論になってしまった。
当時の本土では沖縄県民に対して差別的とも言える状況で、沖縄出身というだけで部屋が借りられなかったり、「沖縄県民入店お断り」と宣言するひどい店もあった。
当時の世相にあえて触れない作品もあるが、沖縄本土復帰50周年記念ドラマを謳っているのに全く触れないのは不自然ともいえる。
ジェンダー論や良子の夫婦での家事の分担の考え方など、そもそも登場人物の思想が現代的すぎる。
著名人の反応
以上、これでもかとストーリーの展開や設定に問題点が上がる中、本作を視聴していた著名人からも厳しい意見が寄せられている。
毎期10作以上をチェックするドラマウォッチャーとして知られている声優だが、8月5日にTwitterで「良い要素はたくさんあるから… 頑張ってほしくて… もうちょっと…もうちょっとって… …だけど。だんだん、…流石に、ちょっと。残念だけど…戦線離脱。朝ドラではめずらしいなあ…」と本作の視聴をギブアップするコメントを残す。「逃げないことで有名な緒方さんが逃げるドラマ」と話題になった。
- 礒崎陽輔
元農林水産副大臣で元参院議員。8月14日にTwitterで「俳優の皆さんは立派に演じられていますが、脚本の論理性が崩壊しています。私自身沖縄振興の関係者として残念であり、既に手後れかもしれませんがNHKは猛省する必要があります」と厳しいコメントをした。
ミュージシャン。8月17日にTwitterで「ちむどんどん、朝からなんかいやーな気持ちになりますねえ。何とかならないのかな。見なきゃいいんだな。」と、視聴を離脱するようなコメントをしている。
有名なアニメ制作会社ガイナックスの元代表取締役で、現在は評論系Youtuber。6月5日における自信の生配信で「朝ドラの『ちむどんどん』は、ついに見るのを止めましたね。いや、『中身が無いだけでは駄目と言えない』というのをさっき話したんですけど、中身が無くてノリが悪くて辻褄が合わなかったらもう駄目だと思ってですね、見なくなったんですけども…」と語っている。
平成ウルトラシリーズをはじめ、子供向け業界でお馴染みの脚本家。Twitter上で可愛がっていたブタを食卓に出すくだりがキツく初期にリタイアしたことを明かしている。
後継作品に及ぼした影響
『ちむどんどん』放送後の2022年10月から大阪放送局で制作される後期朝ドラ『舞いあがれ!』の放送が開始されたが、朝ドラファンの中には演出や脚本から「ちむどんどん」との共通性を見い出そうとする「ちむどんどん後遺症」発症者が続出し、「#舞いあがれ反省会」というハッシュタグまで作られるようになり、11月21日からスタートした「航空学校編」では脚本・演出等がバトンタッチしたことで雰囲気がそれまでとガラリと変わったこともあり、特にそれが顕著となった。全くの風評被害である。
紅白歌合戦での扱い
例年の紅白歌合戦ではその年に放送された朝ドラに関する特集コーナーが設けられたり、紅組司会(2021年以降は紅白の区別なし)を朝ドラ主演女優が務めることが多いが、「第73回NHK紅白歌合戦」では司会に黒島ではなく橋本環奈が選出(黒島はゲスト扱い)。
朝ドラ特集コーナーも三浦大知が「燦々」を披露する前に少し触れられた程度で、『舞いあがれ!』の方に多く時間が割かれるというあまり話題に上がらないよう徹底した措置がなされている。
ちなみに、司会に選ばれなかったとしても、審査員に選ばれたり、PR大使を務めたりしていたが、黒島はそれらにも選ばれず、次作の福原遥が審査員に選出されている。どうしてこうなった?
参考資料
- 料理考証の問題点 - https://toyokeizai.net/articles/-/602174
- 法的な矛盾 - https://www.excite.co.jp/news/article/AsageiMuse_excerpt_15458/
- 時代考証の誤り - https://www.excite.co.jp/news/article/AsageiMuse_excerpt_13869/
関連タグ
純と愛…同じく沖縄が舞台で、賛2:否8くらいに見られている朝ドラ。