児童ポルノ
じどうぽるの
国による差異
児童ポルノに関する犯罪については、国により罪状が異なる。
例えばカナダなどにおいてはイラストや人形ですら犯罪とされるなど、イギリス連邦だと特に厳しいといわれる。逆にアジアなどではこの基準は甘いといわれる。
また、欧米人に比べてアジア人は童顔で体格も小さい傾向があるため、国内で成人を扱った作品として流通したものが海外に持ち出さると児童ポルノと判断されてしまうこともある。
日本における状況
日本においては、元々この種の作品はポルノとみなされていなかったとされ、1999年に
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童ポルノ禁止法)」
が成立するまでの基準は、単純に言うと「アンダーヘアが見えていなければOK」というものであり、児童の裸体が性的なものだとは認識されていなかったので、児童の裸および局部の露出に関しては特に規制されておらず、児童ポルノ禁止法が成立するまでは児童のヌードグラビア写真が掲載されている書籍やイメージビデオなどが普通に制作・販売されていたりした。
その結果、80年代から90年代にかけていわゆる「ロリコンブーム」が巻き起こり、17歳以下の少女のヌード写真集が、ごく普通の本屋に、ごく普通に陳列し、ごく普通に購入出来る状態で、90年代に入るとヘアヌード解禁が重なり、撮影当時14歳の中学3年生(元子役、出版は高校進学後)や12歳の小学6年生のヘアヌード写真集も出版されていた。
児童の裸が規制されていなかったのはテレビ番組も同様で、1991年に放送されたTBSドラマ『続・蒲田行進曲 銀ちゃんが行く』においては、なんとあの有名子役として一世を風靡した安達祐実が、当時10歳であったにもかかわらず、パンツ一丁の裸パンツ状態で出演していたりもした(当然のことながら、この作品は現在まで一切ソフト化されていない)。
ところが、1989年の東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件( いわゆる「宮崎事件」 )における偏向報道の影響や、主に欧米からとされる批判、すなわち「日本はこの種の作品の供給源となっている」といった批判の影響により、厳格化せざるを得なくなったとされる。
ポルノと児童ポルノの法律性
日本において法に抵触するポルノ、つまり「わいせつ物」の定義は、2015年の児童ポルノ禁止法の改正によって、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、性欲を興奮させ又は刺激するもの」という曖昧な判断基準になった為、アウトよりの作品がそのまま流通したり、逆にグレーゾーンにあたるジュニアアイドルのイメージビデオなどにおいて、しばしば販売元が検挙されたり(検挙されたものの、最終的には不起訴となった事例も存在する)、商品自体が実質上の発禁処分になっていたりする点が、業界自体を委縮させてしまい、表現の自由の侵害につながっているのではないかという批判もある。
おおざっぱな基準としては、セックスといった性行為の描写は完全にアウトであり、性器の露出も基本的にアウトだが、映画などの芸術作品にはわいせつ基準が甘くなる、具体的には「必要であるならば、それはわいせつ物とみなされない」という一面も存在する。
児童ポルノの場合、例えば家族を扱ったドキュメンタリー番組などでも、入浴などで児童の裸が撮影されたシーンでは性器や裸体にモザイクをかけるなど修正をされることが増えたが、その結果むしろポルノのように見えるという本末転倒な事態にもなっている。
創作と児童ポルノ
現状の日本においてはこの種の作品の規制の根拠は「作成する過程で児童に性的虐待を行っている」ことなので、現時点の法律では絵画・小説・アニメ等の「現実の児童が関わっていない創作物」は範囲外とされる。
年齢を表記するのも問題ない。というか、規制意図が「大人による『児童を使った』性的搾取を防ぐためのもの」であり、そのあたりを規制する必要性がそもそもない。ただし、「実在」する18歳未満を「模写」した絵やCGは児童ポルノに該当するとされ、児童ポルノ写真集を模写したCGが摘発されたのは、これが原因( 裁判での争点は「模写」であり実質元の写真と同じなのか、「単なる参考」であり実質別物なのか )。
全国同人誌即売会連絡会( 外部リンク )の声明( 外部リンク )にも、「18歳未満の架空キャラクターを用いたエロティシズム、バイオレンス表現は罪を問われることはありません。(ただし、実在する児童に対する猥褻行為、虐待等の人権侵害行為をモデルとした模写(イラスト、マンガを含む)は「児童ポルノ法」により規制されます)。」とある。
架空の表現に関して過度の萎縮はしないように。ただしそうはいってもあまりやりすぎると今度はわいせつ物とみなされ検挙されたり、印刷所から印刷を拒絶されたり各種条例等に抵触し頒布できない事態となるため注意を。
青少年保護と表現の自由
この状況に関してフェミニズムや右翼系、あるいはサヨク系の立場の人物から厳罰化及び創作物への適用、非実在青少年規制等が要望されることがあるが、これは表現の自由の侵害である表現規制に当たるとの議論がある。このために児ポ法改正反対などというタグが存在する。
検挙
この犯罪で逮捕、書類送検された場合、他の犯罪よりもイメージが悪く、卑劣とされる性犯罪などと同等の扱いを受ける場合がある。
例えば某漫画家氏は単純所持で検挙されたがこれは以前援助交際で逮捕され執行猶予付きの判決を受けた別の漫画家同様かなりのイメージの悪化につながり、このまま消え去るかのちにネタにされるものとされる( こちらも参照 )。
虐待
実写もののこうした作品は、しばしば被写体である子の親( 実親、養親関係なく )が積極的にかかわっているとされる。彼らの目的は目先の金銭であったり、「わが子に芸能活動をさせたい」という、ある種の自己顕示欲などの自分勝手な理由やその他様々である。
特に実親によるものが問題であるとされ、過激なイメージビデオで物議を醸した未成年タレントのマネージャーや所属事務所の社長が実親であったり、裏の完全非合法もので実子の性的な状況を撮影、作品を作成し逮捕されるという案件が複数存在し、親の手による児童虐待であるという側面も大きい。
成人年齢引き下げとの関係
2022年4月1日に成人年齢が20歳から18歳に引き下げられた時に「18歳女子高生AV解禁」が話題になったが、これは「児童ポルノの規制対象から外れた」という意味ではなく「民法上18歳が成人になったので親に無許可で出演可能となりハードルが下がった」という意味である。
民法と児童ポルノ禁止法(対象は18歳未満=17歳以下)はそれぞれが独立した法律であり、直接影響を与えることは無い。
ラディカル・フェミニズムとの類似性
主にクィア理論(Queer Theory)の文脈で、反児童ポルノを基盤としたグローバリズムが、キャサリン・マッキノンやアンドレア・ドゥオーキンと言ったラディカル・フェミニズムの反ポルノ理論と類似しているとの指摘もある(包帯のような嘘、個人ブログなど)。
只、これについてはクィア界隈やフェミニズム界隈でも議論はされているものの、はっきりと定まっていない事には留意すべきではある。
こどもポルノ
国際連合児童基金の資金援助を募る民間団体である日本ユニセフ協会の造語である子どもポルノとは対象とする範囲が異なることに注意。
また、奈良県や栃木県で所持が規制されている13歳未満のポルノも「子どもポルノ」と呼ばれるが、これは実在のものに限られ、架空のキャラクターの性表現は含まない。これはれっきとした法律用語である。