概要
原作(オリジナル)にあたる作品の世界観や登場人物などの、本来のイメージを極端に改悪、または滅茶苦茶にぶち壊すような描写を行うことで、原作やキャラクターのイメージを損ねる作品のこと。
「原作レイプ」という言葉を最初に公の場で言い放ったのは、2008年の「ウィークエンドシャッフル」内における宇多丸で、本広克行監督の映画に対する激怒を表す酷評の言葉であったとされている。
用法
この蔑称が使われる作品は主に2通りに分けられる。
- 最初から原作(もしくはそれに登場するキャラ)を貶める意図をもって作られた作品。
- 本人に悪意はなくとも第三者から見るとそうなっている作品。
売れっ子作家への嫉妬やファンへの私怨をこじらせたアンチによって作られることもあれば、作品のファンだが特定のキャラクターが気に入らない・許せない、原作で悪役として滅んだ者を救済したい、特定のサブヒロインが大好きでメインヒロインが憎い等、愛憎入り混じった動機で作られることもある。
「このアイコンを抑えてればこの原作に見えるでしょ」「このジャンルってみんな同じなんでしょ」程度の軽い気持ちで作られてしまうケースもあり、エアプ、ミリしらにありがちな作風ならまだいいほうで、原作のキャラの外見、設定を借りたありがちな主人公キャラ、恋人キャラ、友人キャラ、悪役キャラに直された上に、どこも王道ではないヘイト創作にされるなんてこともあり得る。
特に推しでもない美形の異性キャラ、美形の異性の皮を被せれば性的搾取物に書き換えられる不細工や悪人や同性のキャラ、モテるのに便利な境遇を持った同性主人公、恋愛やエログロ以外をオミットすれば量産型エロ漫画に書き変えられるシナリオに目を付ける作者も多く、これらの承認欲求に便利な材料を、自分に都合良く改造して、他所で山ほど読めるエログロ作品に描き換える行為も存在する。
原作者とそのファンを服従させる「レイプ」行為も行い、
- 好きな原作・作者よりも嫌いな原作・作者を狙う
- 原作者の功績の9割かそれ以上を自分の功績にしようとする(知名度、売り上げ、原作者が考えた人物や物語や舞台設定がないと二次創作やアニメ版は作られない)
- あたかも原作者よりも偉いかのように振る舞う
- 原作ファンでもない癖に交流だけが目的で雑な原作知識を身に付けて原作ファンのコミュニティーに押し掛け、文字通り作品もファンもめちゃめちゃにする
- 創作している作者が自分を面白がらせる為だけにクリエイティブな行動をしているんだと決め付け、創作に没頭する作者を性的搾取するべく、作者を直接レイプ・逆レイプしに来たり、作者の作業部屋に居座って「気が散るから出て行ってくれ」と言っても出て行かなかったり、作りかけの絵コンテを破壊したり(作りかけの絵コンテはキャラクターシートやフライング情報や短編よりも登場人物の情報が少ない)、「作者のためを思って」と大嘘を吐いて作者のファンや親友ではない不特定多数の人間を作者の元に呼び寄せて集中力を欠いて邪魔したりし、幼児や急用の人間でもやらないことを平気でやってのけ、最も作者と作品のためになる作者を気遣って遠くからそっと見守る選択肢は絶対に選ばない
- 作者と作品をそっと応援しつつ問題発言を一切書いていないファンレターを送っているファンを(売れっ子への嫉妬を交えつつ)「作者と結婚したがっている電波」「オタクっぽくて格好悪い」とFLとセットで貶して自己紹介し、身近に売れっ子がいた場合はFLやプレゼントを自分に来たものと勘違いして無心したりする
- 他人の作品に寄生せずに自分で作品を作る人に「既成作品のパクリだ(パクリ、トレパクの項目に書かれている要素よりも繋がり荒らしに似た要素を挙げるのが特徴)」「誰でも作れる(だが自分は似た行為をしない)」「金に繋がるものだけを描け(アマチュアにまで言い、ユーチューバーには言わず、嫌いな性癖だけは叩く)」と言って突っかかってくる。上手い人の作品が最初はプロの模倣や二次創作から始まってもカップやきそば現象を起こして巣立っていくのに対して、原作レイパーの作品は嫉妬、張り合い、出会い系だけをモチベーションに描いた猿真似、手抜き、ヘイト創作のまま終わる。プロのメディアミックス作品だと自己顕示欲、技術自慢、実験台がモチベーションの作品になることもある。
当然作り手のヘイトを原作やファンに叩きつける為のものである為、大多数の客を楽しませる事を目的とした商業作品がこのケースとなる事はまずありえず、そも企画段階で通る筈がない。しかし自虐ネタ等を含め、完全に皆無という訳でもない。
「作家や作品への冒涜」「表現の自由として許される範疇を逸脱するもの」「履き違えた自由の発露」などとして多くのファンには忌み嫌われるが、原作の欠点を指摘するなど一種の批評性を持っている可能性もなくはないので、一概に切り捨てられない側面もある。
ただし何が欠点かは判断が難しいので原作という証拠品が残っていて、大勢が原作レイプか否かを判断できる場合に限る。
2は商業作品の感想を交換する場などで、鑑賞者によって使われる機会が多い。
原作を台無しにしていると見なされたメディアミックス、前作の魅力を損なってしまったシリーズものの続編・リメイクなどを批判する目的で使用される。先述の宇多丸の例もこれに当たる。
原作者との相性が最悪で、公の場で原作者に愚痴られている編集者に使用されることもある。
商業作品は作り手の生活や信用がかかっているため、よほどのことがない限り、原作を悪意で改変することはない(と考えられる)。
しかし作り手の能力不足や需要の読み違い、大人の事情に振り回された結果、駄作に仕上がってしまい、鑑賞者から「原作レイプ」の烙印を押されてしまうことがある。
「原作通りにやったうえで失敗した作品」にはあまり使われず、「原作を大きく改変したうえで失敗した作品」に使われやすい傾向がある。
千差万別な二次創作が発表されている同人界隈では、2の意味で使われることはあまりないが、二次創作者と受け手の好みの違いによっては、悪意がなくとも他人に不快感を与えてしまうことはある。
pixivでは当たり前のように見られる異性愛者であるキャラクターを同性愛者へ改変する作品(BL・百合)や、作者の捏造による非公式カップリングを扱った作品、文字通りキャラクターのレイプを描くR-18作品なども、性的嗜好の合致しない人からすれば「原作レイプ」と映ることになる。
ただ、同人は商業と違ってあくまで趣味の範囲内であるため、気に入らない二次創作を見て気分を害してしまったとしても「原作レイプ」と呼んで抗議することは推奨されない。
そもそも商業・同人どちらの場合にせよ、あくまで鑑賞者個人の評価に過ぎず、誰かが「原作レイプだ」と思った作品が、別の誰かにとってはそうではないということは十分にありうる。
制作者やその作品のファンを強姦魔呼ばわりする強い意味の蔑称であるため、使いどころには注意が必要である。
類語
似た意味で「原作破壊」「原作クラッシャー」という言葉もあるが、こちらは「原作にない設定・展開を導入することによって作品に新たな解釈を加える」という意味合いも含み、文脈によっては肯定的なニュアンスになる。
一方「原作レイプ」は、レイプが明白な加害行為であることから、その作り手に対する強い憎しみや蔑みのみを込めた表現である。
レイプを比喩表現として使うことに難色を示す意見もあるが、ニュアンスが微妙に異なるので、これらは代替語にならない。
pixivでは
概ね上記のような否定的な意味合いの強い言葉ではあるが、pixivの投稿作品においては、原作のキャラクターのイメージをあえて破壊することによって笑いを醸しているネタ作品に対してつけられることもある。
この場合は上記のような否定的な意味合いより作品に対するツッコミ的な意味合いで付けられることが多い。
ときには、作者自身が自分の作品にこのタグを付けるという、自虐的用法も見受けられる。
関連イラスト
関連タグ
こいつで抜かないでください 精神的ブラクラ 作者は命知らず キャラ崩壊
原作クラッシャー 原作破壊:原作レイプとはまたニュアンスが異なる言葉。
メディアミックス
コミカライズ版(漫画版)、アニメ版、小説版、ゲーム版、実写版(ドラマ版、舞台版)、映画版:いずれも原典(原作)を知る視聴者や読者、プレイヤーからの印象・評判を損ねると、原作レイプの烙印を押されてしまう。
存在抹消:原作(原典)に登場したキャラをメディアミックスでは出番どころか存在すらも消し去っていないものとして扱うという原作レイプな要素の代表格。極端な例だとサブキャラどころか主人公すらも存在抹消される。