「君はな、いつも辛いことから逃げている。それじゃダメなんだ。水が低い所低い所に流れていくように、気付いたらどん底に落ちてしまうぞ」
「苦しいこと辛いことに、ドンとぶつかっていけ!!!」
担当声優
村越伊知郎(日本テレビ版)、加藤正之(テレビ朝日版 第1期 初代)、中庸助(テレビ朝日版 第1期 2代目)、松本保典(テレビ朝日版 第2期)
概要
のび太の父親で玉子の夫。作中の時点では36歳。 ドラえもんやのび太からは『パパ』と呼ばれ慕われている優しい父親。初期の版では名前が「野比のび三」と書かれたものがある。
四男一女の兄弟姉妹の長男であり、両親は厳格な父と温厚な母親。この母親はのび太にとって最愛のおばあちゃんであり、登場機会も多い。
会社では課長を務めており(初期の作品では「課長が嫌味を言ってくる」と言う設定があり、係長以下の階級であった)、意外と出世コースに乗っている。それなりの地位にある故、中間管理職の悲哀に泣かされる事も多く、直属の上司である部長からは雨男であるために、嫌味を言われるなどの苦労もしている。タイムマシンで死んだ母親に会いに行った時には酔った勢いもあって「すごく意地悪な部長が僕の事をいじめる」と本音を吐露していた。
最初期は「のび太が父の会社を継いだ」との描写があったことから社長という設定だった様子。
サラリーマンなので平日の昼間は仕事でほぼ不在。休日はゴルフや釣り、麻雀などの趣味で家を空けていることがあり、趣味絡みでドラえもんの道具に頼る事もしばしば。家にいる時は和服姿がほとんどだったが、時代の変化により、洋服を着ていることが増加した。
少年時代はのび太と瓜二つの容姿であり、性格や態度もよく似ているが、5人の兄妹の長男であった事と、父親(のび太の祖父)が厳格な人物であった(実際は子煩悩だったが、表に出さなかった古風な人物)ため、のび太とは多少違う少年時代を過ごしていた。そのためか、息子ののび太を成長させてくれるドラえもんを受け入れ、早期に家族であると認識していた。
連載初期では戦中世代であり、幼少期には田舎に疎開していた。この時に白百合のように美しい少女からチョコレートを貰ったのが初恋だと言っていたが…?
今の容姿はふくよかな体型となっているが、のび助の孫(のび太の息子)を儲けてからの未来ののび太は、母親寄りの容姿から父親に似たようなふくよかな体型に変わっていっている。
会社の日常のシーンはほとんど描かれていないが、「雨男はつらいよ」で上司から雨男だとバカにされたり、「海坊主がつれた!」では釣り好きの友人に嫌味を聞かされたりしており、自宅以外でのプライベートでは苦悩しているシーンが多い。
たまに彼がのび太を叱る(玉子の依頼も含む)こともあるが、彼の場合はあまりきつく叱らずにじっくりと諭すように注意するのが特徴で、「くろうみそ」ではのび太を感涙させている他、わさドラ版「勝利をよぶチアリーダーてぶくろ(原作の『勝利をよぶチアガール手ぶくろ』)」では帰りが遅くなったのび太に「駄目じゃないか!」と控えめに怒っているのを玉子に注意されている。
ドラえもんのひみつ道具を借りたり、実験台にされることがあるが酷い目に遭わされることが多い(「ムリヤリトレパン」「アベコンベ」など)。
特徴
不器用
のび太同様に不器用で運動面にはあまり優れていないのか自動車運転では教習所の先生に投げ出されてしまうほど不得意。
またのび太に似て忘れっぽいところもあり、ママから投函するように頼まれた手紙を一か月もポケットに入れっぱなしにしたり、ドラえもんから「わすれ鳥」という道具を渡されたときもそれを忘れたりもする。
だが、息子や妻の為ならすさまじい潜在能力を引き出す。のび太が生まれたときにはママが「あなたににたら、運動ならなんでもこいのスポーツマン」と語っており、また本人も「学生野球のピッチャーだった」と語る(「山おく村の怪事件」で発言していたが厳密には元々ドラミちゃんの掲載作だったのでのび助ではないのだが…)など、若い頃はスポーツマンだった可能性も捨てきれない。
学業に関しては小学生時代はのび太同様勉強が苦手だったようで、「七時に何かがおこる」では自分の0点のテストをのび太に見られてしまい、彼を叱ることが出来なかった。
チェーンスモーカー
煙草が大好き。禁煙には何度も失敗している。ヘビースモーカーどころか、チェーンスモーカーの領域に達しており、完全なニコチン中毒である。愛飲の銘柄は「チェリー」や「ピース」「セブンスター」などいずれも現在の価値観ではニコチン濃度が強いものが多い(掲載当時は一般的な銘柄であった)。因みにチェリーが発売された1970年は、ドラえもん連載初年である。
わさドラ版では表現の変化もあり「くろうみそ」以降は喫煙シーンは描かれていない。そのため彼の禁煙をめぐるエピソードはシナリオが変更されて放送されることが多い。
野球好き
作中ではテレビを見ていることが多く、中でも野球が大好きで野球の勝敗によって、大きく機嫌が変わる。因みに好きな球団は読売ジャイアンツの模様で、ドラえもんが道具で勝たせた事もしばしばである。
カメラが趣味
作中でカメラを何度か新品な買い換えようとしており、そのためにテレビや洗濯機が故障しようが、新品に買い換えるのを躊躇い、まず自力での修理を試みる。それでも無理で買い換えになった際には、中古品を買ってきて出費を抑えている。なお、ここまで換えたがる理由は「こんな古いカメラを使ってる人はもう居ないし、恥ずかしい」らしい。
画家の才能
野比家男子で珍しく、絵が得意。若かりし頃は画家志望であったという意外な過去を持つ。
とあるお金持ちの女性に、結婚すれば画家としての道が約束されるという条件で婚約者になるよう提示されたが、「画家としての成功のために結婚したら、自分の夢を裏切ることになる」と断っている。(先方の実家に断りを申し入れた帰り道にジュースを歩き飲みしていた女性とぶつかり、それが二人の馴れ初めとなった)
結局、最終的には画家として自立する夢を捨てて、サラリーマンとしての道を選んだ。この背景には「プロの画家になりたいわけでなく、ただ絵を描くのが好き」ということを、この結婚騒動で再確認したことが大きいようだ。
普段はゴルフや釣り、晩酌などサラリーマンらしく仕事仲間と一緒にできることを趣味にしているが、ごくたまに今でも一人で黙々と絵を描くことがある。そのときだけは、損得や他人からの評価抜きに「本当に自分のやりたいこと」をしている時間なのだろう(のび太のあやとりに近いのかもしれない)。
その為、のび太の趣味には比較的寛容であるが、大事にしていた茶碗をあやとりを自慢するために走って来たのび太に割られた時にはさすがにだいぶ怒っていた(一方であやとりを男らしくない趣味と述べてる描写もあるが…)。
元画家志望だけあって芸術には敏感で、骨董品を集めるのも趣味だが、ママからは「いつもパチモノでしょう!」と怒られている(酒井田柿右衛門のホンモノの壺を入手したこともあったが)。日曜大工は下手だが、工作は割と得意で、ドラえもんそっくりの凧を作って3人で上げに行った微笑ましいエピソードもある。音楽鑑賞も好み、巨大なステレオでレコードを楽しんでいるシーンもある。
こうした博学かつ遊び好きなパパの描写・言動は、大体F先生自身がモデルになっているらしい(F先生の娘さん方がそう言っている)。
オチ要員
のび太達だけでは収拾のつかなくなった話のフラグ回収要員として描かれることがある(例:「家の中で迷子」での大迷宮と化した野比家のホームメイロを終盤で反転させて迷宮状態を解除するなど)。
無自覚な「デウス・エクス・マキナ」役を与えられているというべきか。
オチとしての役回り故か「変身ビスケット」ではウサギに変身した玉子を見て驚きひっくり返ったり、「さいみんグラス」ではサングラスと勘違いしてさいみんグラスをかけて鏡で自分に催眠術をかけてしまいフクロウになってしまうなど玉子(こちらはひみつ道具を出した直後に道具の実験台にされる事が多い)同様酷い目にあうことが多い。
関連タグ
松野松造:そっくりさん
波野ノリスケ:日本の国民的アニメの父親。声優が同じ、肥満体型、恐妻家など共通点多数。
野原ひろし:同じく国民的アニメの父親キャラクター。全体的に損な役回りが多く恐妻家、それゆえに視聴者や読者から親しまれやすいキャラが定着したと言う共通点がある。
潮田渚の父親:妻とは対照的に息子に対して頭ごなしに怒鳴るほど特別厳しい訳ではない父親繋がり。しかしこちらは争い事を苦手とするあまり、妻のヒステリックに耐え兼ね家を出てしまうが、息子とは良好な関係を保っていた。最終的には紆余曲折を経て改心した妻と復縁し、再び家族一緒に暮らし始める。(余談だが、彼の妻を演じるのはのび助の妻である野比玉子役の三石琴乃女史である。)
坂田銀時:とあるエピソードでコスプレをしたことがあり髪型を「前髪先端の異物」と指摘されていた。