概要
東方Projectに登場する宇佐見菫子のラストワードの一つで、『東方深秘録』に菫子が登場した際、「怪ラストワード」として披露した。
菫子における怪ラストワードは菫子が扱ったミステリースポットそのものとも関連しており、特定のオカルトではなくオカルト全般、オカルトというもの自体が関連しているようである。
様々な「ミステリースポット」を包括した「オカルトボール」全てを攻撃に用いることからも、特定の都市伝説にその力を依拠させているわけでない様子がうかがえる。
『深秘録』における都市伝説が幻想郷的な力の行使であるのに対し、菫子は自身の超能力を主にこれに挑んだのである。
一方で「幻視」とは幻覚の一つであり、実際にはないものが見えることである。
これは医学的な視点ばかりでなくオカルト的な体験の基盤の一つでもある。
本怪ラストワードには、「 泣く子も黙る超能力者 」としての菫子だけでなくオカルティシャンとしての菫子もまた同時に存在している。
触れられない異世界を覗くというオカルトが狂気をもたらすのか、異世界に狂気があるのか、はたまた異世界が狂気そのものであるのか、菫子の怪ラストワードもまた外の世界と幻想郷とを渡った菫子らしいものとなっている。
本ラストワードは『深秘録』以後も「都市伝説異変」が引き続いていた『東方憑依華』においても菫子のラストワードとして登場しており、演出も同様。また同作で登場する「複数の菫子」のうち、ストーリー中で本ラストワードを使用する明確な機会があるのはプレイアブルである「現の世界の菫子」だけであるといった、「プレイヤー時にのみ使用されるラストワード」であるという点も同様である。
演出
半身をくねらせ片腕を額の前ほどまでかざし、その後菫子が腕を上に挙げウインクしつつて指を鳴らす。すると上空から扇状に光が降り注ぎ、画面が変わる。
切り替わった画面では両手を広げマントをたなびかせる菫子(背面のカット)の正面に見える景色の上空に薄紫色・菫色の巨大な雲または渦のようなものが生み出されている。
そしてその雲状のものを観測した後カメラが菫子の全面にまわり、本作のキャラクターデザインを担当した春河もえの作画による菫子の斜め上からのカットインが入る。両手を広げ上を見上げる菫子の表情は歓喜とも狂気ともとれるものとなっている。
そのカットから戦闘画面に戻ると同時にに画面上部から一本の巨大な薄紫色・菫色の光の柱が相手に降り注ぎ、多段ヒット・大ダメージを与える。
このとき菫子は両手を広げ、上空高くにかざしている。
なお、キャラクターカットに入る直前のドットによるカットでは菫子のひざ裏がよく描かれている。
菫子が纏うマントは通常ドット立ち絵などでは足元にまで届くほどの長さで、無風かつ通常の重力状態であれば背面からそのひざ裏が露わになることは無い。
本怪ラストワード使用時も菫子が特に体を動かす訳でもない。
その状況にあってひざ裏が現れているということは正面方向の光の雲または柱から風などの何らかの物理的影響を受けていることの表現でもある。
また、キャラクターカットとドットによるカットでは手の開き方・力の入り方が異なる。僅かではあるが両カット間には時間差があるため、両カット間に何らかの動作や操作があるのかもしれない。
菫子はスマートフォン・タブレットの操作をはじめ立ち絵状態でも五指を広げたり閉じたりと、指先に細かい動きがあるため、この若干の差異にも何らかの意味がある可能性がある。
「異世界の狂気」
『深秘録』にて菫子はオカルトボールを使用して目的を果たそうとし、同時にオカルトボールに翻弄された。
本作に続いた『東方紺珠伝』では菫子が手にした月の都のオカルトボールについてその実態が語られたが、当時の月の都は「 狂人 」によって狂わされた「 ルナティックキングダム 」と化していた。月の都のオカルトボールの元となった「 パワーストーン 」も、そのころに晒されていた月の都の危機に対処するためのツールの一つであった。
『深秘録』において菫子は「 異世界の狂気 」の「 幻視 」を怪スペルカード(怪ラストワード)として表現したが、図らずもその時には同時進行的に月の狂気が進行していたのである。
『紺珠伝』では上記以外にもクラウンピースなども通して様々な形で「 狂気 」と「 狂気の世界 」が語られている。これもまた一つの複数の世界に視点を寄せた「 異世界の狂気 」なのかもしれない。
なお、夢を通して幻想郷へと訪れる道を見出した菫子であったが、ドレミー・スイートの管理する夢の世界には月の都の住人たちが当時は本人たちも知らないうちに退避させられておりこちらの月の都もまた包囲される形で攻撃を受けていた。
菫子は、オカルトボール、幻想郷、月の都、夢の世界、狂気(本怪ラストワード)という『紺珠伝』における複数の重要要素についても、多くは本人の意図とは別ながら、関連していた様子である。
さらに本ラストワードも引き続き登場した『憑依華』では菫子をして「 不気味な世界 」である「夢の世界」も直接体験することとなった。本作ではこの地でドレミーとも出会っており、ドレミーが、菫子が夢を介して外の世界と幻想郷とを行き来する様子を把握していたことも語られている。
夢の世界は先述の『紺珠伝』においても幻想郷と月の都を結ぶ場所として登場しており、本作で菫子は夢の世界と幻想郷と外の世界という「夢と現」、そしてその狭間と混線に巻き込まれることとなった。加えて異世界間の混線を複数の自分自身との対峙としても体験することとなるなど、菫子自身もまた『憑依華』でさらなる「 異世界の狂気 」に触れるのである。
pixivでの表記
原作では本ラストワードは先述の通り<*幻視せよ! 異世界の狂気を*>との表記であるがpixivでは本記事の通りアスタリスクとエクスクラメーションマークが半角で空白はない表記が用いられている。これはpixivでは半角英数字や空白をタグとして利用できないという仕様があるためで、pixiv独自の代用方法を用いた表記によるものである。
『深秘録』などで登場したもので、本タグ同様にpixivの仕様に対応したものとしては、博麗霊夢の『深秘録』での二つ名である「神秘!結界の巫女」や霧雨魔理沙のラストワードである<*ステキ!厠の花子さん!*>などがある。両者とも原作では上記の表記であるが、pixivのタグとしてはそれぞれ「神秘!結界の巫女」や<*ステキ!厠の花子さん!*>の表記が用いられている。
なお、PS4版『深秘録』も参加したプロジェクトである「Play,Doujin!」のエクスクラメーションマークはもともと半角表記であるため、pixivのタグとしてもプロジェクト名と一致した表記を用いることが出来る。