概要
東方Projectに登場する宇佐見菫子の衣装・服装に関連するタグ。
原作における菫子の複数の衣装デザインの内、主に学生服(制服)にみる様々な服装のパターンを総合して指すものである。
複数の衣装デザイン
『深秘録』デザイン
菫子は『東方深秘録』で初登場した際は菫色を含めた紫色の系統の複数のカラーパターンのチェックからなるベスト風の上着とプリーツスカートとを着用し、その下に白系統と思われるカラーの長袖ブラウスを着、足先はハイソックス(トップ部分の脛方向にリボンが付いているもの)と黒い靴を履いている。
靴に関連して、「宇佐見菫子と秘密の部室」(※)のジャケットデザインにおいてはその靴底に土踏まずの部分からヒール部分にかけてのカーブも確認できる。
同作でのイメージは春河もえ(立ち絵)及び黄昏フロンティア(ドット絵)による。
菫子は『深秘録』では特徴的な帽子とマントを着用しているが、菫子が「 女子高生 」(『深秘録』)であることと両者以外の服装が学生服にみる制服のようなデザインでもあったため、帽子とマント以外は菫子の通う「 東深見高校 」の制服なのでは、と『深秘録』以後ファンの間でも想像されていた。
そして『深秘録』以後のストーリーである『東方茨歌仙』に菫子が登場した際、菫子本人の存在がある「外の世界」における菫子の学校生活の一幕(授業中)が描かれ、その際には上記の(帽子とマントを除いた『深秘録』での服装。ただし『茨歌仙』では半袖)で
登場しており、かつ菫子以外の女子生徒も同様のデザインの服装で描かれていることから、これが同高校の制服である様子が描かれた。
『茨歌仙』でのビジュアルイメージは同作作画担当のあずまあやによる。
加えて『深秘録』初登場時にも菫子が襟元に身につけていたロケット様のデザインのトップるよるループタイについても、他の女子生徒も身につけていることから制服の一部である可能性がある。
一方で菫子の帽子については授業中も机右手側のフックに通学バッグとともに提げられている等菫子の身近にある様子が描かれているが、他生徒の持ち物としては『茨歌仙』で描かれたカットでは確認できない。
なお先述の『茨歌仙』の授業風景から、菫子の通う高校が共学である様子もみてとれる。
同場面で見る範囲では、男子生徒の制服はシンプルなものの様子。
ただし詰襟タイプではなく少なくとも夏場についてはシャツタイプの模様である。
※:「深秘的楽曲集 宇佐見菫子と秘密の部室」(『東方深秘録』サウンドトラック)
『香霖堂』デザイン
『東方香霖堂』(『東方外來韋編』)作中に菫子が登場した際には菫子のデザインとして二種類のパターンが描かれた。同作でのイメージはいずれも同作挿絵担当の唖采弦二による。
東方Projectの二次創作やファンなどの間でこれを分類するとき、そのデザイン類型としては「香霖堂仕様」の一つにもあたる。
- 制服風の意匠によるもの
デザインパターンの一つは、同作扉絵及び作中挿絵に登場するものである。
ブラウス・上着・スカート・ハイソックスという基本的な要素は先の『深秘録』などのパターンと同様であるが、個々のデザインやカラーリングが異なり、襟元のタイも異なる。
赤色のアンダーリムの眼鏡は共通している。
ブラウスは色合いは先述の『深秘録』等に見る白色と同種のものであるが、その襟元と袖口に大きな違いがある。
本デザインに限らず唖采デザインでは襟が比較的大きいデザインが描かれる事があるが、『香霖堂』における菫子のデザインにおいてもその特徴がみられる。
襟は両脇部分は肩部分の手前、正面はその先が胸元まで届くもので、作中挿絵では背面にも襟の延長の布地が風に揺れる様子も描かれている。襟先には一本のデザイン線(後述の上着の色と同色の青紫系統の色)が入っている。セーラー服の首周りの意匠により近い。
胸元に結ばれた紅いリボン(先端方向に「V」字矢印のようなデザインが入る)も、その結び方を含めセーラー服で着用されることの多いリボンのイメージに近い。
袖口にはブラウスの手首全体を覆うようなパーツが追加されている。
この部分は上着の色と同色を基本とし、さらに意匠として中心よりより手先側に一本の線が入っている。長い袖を大きく折り返しているようなイメージであるが、構造としてはブラウスの袖の延長ではなく飾り袖のような別パーツかもしれない。実際に同デザインではこの大きなパーツによって袖口含め菫子の手の甲付近までが隠れている(袖余り、「萌え袖」の状態)。これは『深秘録』における手首付近でボタンを留めた、絞られたイメージのものとは極めて対照的である。
上着はデザイン自体は『深秘録』でのものと同様であるが、『香霖堂』のものはカラーがより薄紫色に近く、『深秘録』などで見られる特徴的なチェック模様が無い。
さらに『深秘録』などのものはボタンが左側に三連するものであったのに対し、『香霖堂』では対称する右側にも同様に三連のボタンデザインがある。ボタンそのものは両作とも丸い意匠によるもの。
また『香霖堂』のデザインは立ち絵のポーズの都合上、胸元から腰元付近における脇部分の絞りが確認できないため、構造がよりストレートにも見える。
スカートは、赤やピンクを主としたカラーにチェック模様が入ったもので確認できる立ち絵が風を受けているシーンである事もさることながらその丈はかなり短め。『深秘録』におけるドットデザインにおいても履いている位置が高い事もあるためか丈は短めであるが、本作においてはスカート自体が短いデザインの様子。
ハイソックスは『深秘録』などではリボン付きの白色のものであったが、『香霖堂』では黒色で、リボンなどの意匠は見られない。靴はローファーを履いているのだが、各デザインの都合上、足元の靴についてはその詳細が描かれていない。
画像右は『東方香霖堂』第4話で登場した夏服。
セーラー服という形はそのままに配色は襟元、袖口、スカートが紫色に、胴体部分は薄紫もしくは薄赤色となっている。他にも胸元は赤いリボンから青いネクタイに変わっていたりと冬服から多少デザインが変わっている。
更にアクセサリーも追加されており、右腕に二本の黒いベルトと、首にはチョーカーをしている。
『香霖堂』での菫子は上記の服装の他、作中でも物語が展開するアイテムとしても登場するスマートフォンを所持した様子も描かれており、パンダの顔のアクセサリのついたストラップ(紐部分とパンダの耳が同じ青系統のカラー)が結ばれている。
なおスマートフォン自体は、それを目の前にした森近霖之助との手のサイズと比較するに、ミニタブレット程の多少大きめなタイプでもあるようである。
『深秘録』ではスマートフォンは主にドット絵(勝利ボーズなど)で、タブレット端末は立ち絵などで、それぞれ所持した様子が描かれている。
- マントを着用したもの
先のデザインパターンに加えたもう一つのデザインパターンは『深秘録』で見られたようなマントを着用したものである。上半身ののみの、背面を向いた(マントに体の大部分が隠れた)ものであるが、本カットのみに見られる特徴もある。
とくに腕部分のカラーリングがその他のものといずれも異なる。
デザインそのものや各パーツのカラー配置の関係性は先述の『香霖堂』によるものと同種(ただし袖のラインデザインの位置がより中央付近に描かれている)。腕部分のカラーは赤ないしはピンク系統で、袖は白色。ただし袖にあるラインデザインは腕部分のものと同色となっている。
また同カットでは帽子も描かれているが、頭に被っているというよりはイメージとして描かれているようなものの様子である。
その他、衣装とは異なるものの本カットでのみ確認できるものとして菫子の右耳があるが、このデザインでは右耳の耳たぶに大きめの赤い点が描かれている。
同カットでは菫子の髪色が赤系統で描かれており、この点も髪色と同色である。
即ちこれは耳たぶの「点」を通して奥の髪色が見えているとも考えられ、その場合この「点」はピアス穴と見ることもできる。ピアス穴の場合、比較的大きめのものである。
この他の服装
上記のもの以外の菫子の学生服関連の服装として、『茨歌仙』では「 体育の授業 」に関連したイメージカットにおいて体操服を着た菫子が描かれている。
また「 外の世界 」で睡眠中の菫子と思しき様子もイメージ的な描写ではあるが描かれている。
「夢」と服装
『茨歌仙』において描かれた様子によれば、授業中にその「 眠り 」と「 夢 」を通して幻想郷へとやってきた菫子は睡眠に入った時は身につけていない様子の帽子と眼鏡とを着用している。「 外の世界 」側の菫子が身につけていないものも、幻想郷側の菫子は身につけているのである。
菫子が幻想郷を訪れるメカニズムには「 夢魂 」の遊離が関連しているが、「 夢 」での姿は眠った際の姿が直接反映されるというものではない模様である。
一般的体験としても、寝巻を着て寝るからと言って常に夢でも寝巻姿、ということはないであろう。
眠りに入る時はリラックスできるパジャマでも現地に着けば着なれた外出着である制服をすでに着こなしているとあれば、幻想郷に「 旅立つ 」(『茨歌仙』)際に特別な着替えの手間もなく、非常に便利そうである。
菫子と同様に「 夢魂 」が遊離し、他者の「 夢 」を体験している最中の様子が描かれた霧雨魔理沙についても、眠りの間は帽子を着用していないが「 夢 」の中では帽子をかぶっている。
またこちらは作中では本人が睡眠中であるためイメージによるものであるが、同様に他者の「 夢 」の中にある博麗霊夢も、「 夢 」の中のイメージでは睡眠中には手にしていないお祓い棒を手にしている。
『香霖堂』での服装については同作登場時は「 夏休み 」の最中で、菫子は自室での眠りを通して幻想郷を訪れていることもあって、その服装が実際の菫子の生活においてどのような位置づけのものであるかは不明である。仮にこれが制服であるとするならば、例えば季節ごとの制服の一つのパターンであるのかもしれない。
なお『茨歌仙』における時期は就学期間中(夏場)である。こちらは夏休み前だろうか。
菫子の衣装と幻想郷
菫子は『深秘録』で異変をもたらし、その企みこそ阻まれたものの、同作において双方にとってその未来が閉ざされることなく解決された後には菫子はこの地へと再度訪れる道筋を見出した。
菫子は今日では幻想郷での「 冒険と探検、そして出会い 」(『香霖堂』)を最大限楽しんでいるようであり、菫子なりの「 幻想郷ライフ 」(稗田阿求、「幻想郷縁起」。『東方求聞史紀』)を満喫しているようである。その様子には、菫子が「 普通の生活 」に戻れるような方法を思案していた茨木華扇も苦笑い(『茨歌仙』)。
一方で菫子には「外の世界」での生活もまたあり、上記のような学生生活を通しても菫子の姿が描かれている。
「制服菫子」は、その怖くも楽しい、魅力に満ちた「 美しい世界 」(菫子、『深秘録』)である幻想郷を訪れる際の様々な菫子の姿にして、今では幻想郷と並立することともなった外の世界における菫子自身の生活・人生にも同時に視点を寄せるという、両者の境界を越えてアプローチするものなのである。
菫子にまつわるその他の衣装関連タグ
菫子に関連して、pixivでは『深秘録』でのモーションやデザイン、カットなどを基に、マントを着用していない状態の「マント脱ぎ菫子」、帽子を着用していない状態の「帽子脱ぎ菫子」のタグが使用されている。
作中でそれぞれどのような場面で登場しているかなどについては各記事を参照。