概要
戦国時代の大名・織田信長が歴史の表舞台に現れる前の青年期を描いた創作歴史作品で、これまで作者両氏の関わった複数の作品で、主要人物に何かしらの影響を与えていた信長を主人公に置いている。
登場人物
主要人物
戦国の魔王として恐れられた尾張の大名。本作では元服する前の少年時代から物語が開始される。
生まれついて数々の戦場を間近で見てきており、そこから多くの知識を得て育つ。また、人間の真の姿(内面)を見透かす「他心通(たしんつう)」という能力を持つ。
周囲の大人達からは手の付けられないうつけ者として認識されているが、それらは本来の才覚を隠すためにうつけを演じるよう父や師から説かれているためである。
第一話では、彼の最期である本能寺の変での姿が描かれている。
夢半ばで果てることを無念だと嘆く乱丸に対し「わしは楽しい」と称し、津島踊りを舞ってみせる。
なお、本能寺での中年期の姿は同作者の漫画『蒼天の拳』での姿が継承されており、本作の宣伝CMでは『蒼天の拳』で霞拳志郎を、『義風堂々!!兼続と慶次』では信長を演じた山寺宏一がナレーションおよび信長の声を担当している。
シスコ(しすこ)
信長が海賊に拉致された際に知り合った金髪碧眼の南蛮人奴隷。本名は「フランシスコ」。
後に信長によって解放され、彼に海外の知識を教授することを条件に部下に迎えられる。
生駒類(いこま るい)
豪商・生駒家の娘。信長とは幼馴染の関係で彼を「吉(きち)」と呼ぶ。
可憐な外見とは裏腹に気が強くて男勝りで、大きな刀を背負っている。
後に信長の側室となり、織田家の後継者となる信忠・信雄の生母となることが語られている。
母衣衆(信長の家臣たち)
犬丸(いぬまる)
シスコと同じく海賊船で奴隷として囚われていた少年。
丸っこく小柄な体格で、臆病な性格。名前通りの犬のような仕草をとることもあり、信長からは「犬」と呼ばれている。天候を読む能力を持っている。
信長に助けられてからは彼の家臣に迎えられ武士の身分も与えられた。
何かとオドオドした言動を見せるたびに信長にド突かれている。
猿若(さるわか)
少年時代から信長に従う母衣衆(ほろしゅう)の一人。
常に「おっ」「あっ」といった妙な声を発している。信長からは「猿」と呼ばれている。
母衣衆は、織田家領内出身の子供たちの中で、それぞれの家の跡継ぎとなることの出来ない「あぶれ者」として生まれた少年たちで構成されており、彼もその一人である。
犬丸とは、彼が信長の家臣となった際に「兄弟」と声をかけ知己となるが、以降は何かにつけて口論を繰り広げる、まさに犬猿の仲の間柄に。
(ただし犬丸からすれば、唯一強気で発言できる人物であるとも言える)
銀太(ぎんた)
元・野武士の少年。ひん剥いたような大きな眼球と「ギョギョッ」などの口癖が特徴で、信長からは「メダカ」と呼ばれている。
信長と野党の戦闘の後「刀狩り」を目的に現れるがシスコの使用した鉄砲に魅了され、以降は信長の部下となり、堺で鉄砲の製法を学ぶ。数年後、一流の鉄砲鍛冶となって帰参し母衣衆の武力向上に大きく貢献する。
胡蝶(こちょう)
信長の正室。斎藤家当主・斎藤道三の娘。病弱な少女で、常に床に伏せっている。
信長とは政略結婚であるが、彼の本来持つ心優しさを知り心から愛している。
一方で、織田の情勢を主家に伝える役割を担っている。
池田勝三郎(いけだ しょうざぶろう)
信長の乳母・お乳の息子で、信長の小姓。
妖艶な母とは似ても似つかぬ山のような巨漢で、その外見に違わず豪快で大食らい。
その巨躯と剛腕で信長の手助けをしている。
織田家
織田信秀(おだ のぶひで)
信長の父であり、「尾張の虎」の異名を持つ尾張下4郡の守護代。
信長を溺愛すると同時に、彼の秘めた才覚を敵勢にバレないようにうつけを演じさせている。
信長が17歳の頃に病により死去。
平手政秀(ひらて まさひで)
織田家譜代の老臣。信秀の右腕で、信長の守役。
父と同じく信長の真の姿を知っており、信長および織田家を内政面で支える。
信秀の死後は、自身がとある戦場で見出した信秀と瓜二つの元・今川の雑兵である孫八を影武者として立て、内政の維持を行っている。
沢彦宗恩(たくげん そうおん)
信長の教育係を務める僧侶。
強力な豪腕の持ち主で、今川家の送った偵察を拳の一撃で葬っている。
その外見や拳法使いという設定から、どことなくあの人やこの人を彷彿とさせる。『戦国大戦』では『DD北斗の拳』にてケンシロウを演じた立花慎之介が声を担当している。
今川家
今川義元(いまがわ よしもと)
織田と敵対する駿河の大名。妖艶かつ不気味な雰囲気を醸し出す美丈夫で、顔には常に死化粧を施している。かつての領地である尾張を奪還するため尾張の情勢に目を光らせている。
太原雪斎(たいげん せっさい)
義元の師僧。義元とは以心伝心の間柄で彼の策謀のために弟子や家臣を使い織田家の内政を探る。前述の沢彦が彼らに似ているのならば、こちらはこちらで眉間に寄った亀裂のような縦ジワがこの方々に似ている。
その他
前田慶次(まえだ けいじ)
九鬼泰隆のアジトで出会った幼い少年。本来は女子供は処刑を免除されるところを「わしは侍じゃ!!侍として扱えーっ!!」と啖呵を切り、信長と同じく吊るし首の台に立たされる(しかし本人はご満悦の様子)。信長の仲間共々解放された後、病弱な父・利久のために薬を探そうと堺に向かおうとしていたことがバレ、信長から南蛮の薬を渡され生駒家の船で家に帰された。
同作者の漫画『花の慶次』を意識したファンサービスとしての登場とおもわれる。
ジョゼ(じょぜ)
南蛮人の海賊の船長で、持ち主に天下を与えるとされる秘石「光の天」を今川家に運ぶ任を受けている。独特のイントネーションを含む言葉遣いやコミカルな仕草を見せる一方、サーベルの達人でもあり、素早い突きや払い切りで相手を切り刻む。また、東洋人を蔑視している節が見られ、船には生きる屍となった大量の奴隷が囲われている。