義風堂々
ぎふうどうどう
- 日本の漫画『花の慶次』のスピンオフ作品。
- 同じく『花の慶次』をイメージした角田信朗の楽曲。兼続と慶次の友情がテーマとされている。
同原作者が過去に連載していた漫画『花の慶次 -雲のかなたに-』のスピンオフ作品。
もともとは、原作者の原哲夫が作中で描ききれなかった兼続のエピソードを、当時の担当編集者である堀江信彦とともにアイディアを出し合って誕生したという経緯がある。
原作:原哲夫・堀江信彦、作画:武村勇治(月語り→酒語り)→出口真人(花語り)
週刊コミックバンチにて『義風堂々!! 直江兼続 -前田慶次月語り-』の題名で連載が開始され、その後も後継誌である月刊コミックゼノンにて『義風堂々!! 直江兼続 -前田慶次酒語り-』の題名で連載が再開され現在に至る。
また、2013年7月から『義風堂々!!兼続と慶次』のタイトルでTVアニメが放送されている。
総監督は原作者である原哲夫。オープニング主題歌および作中のナレーションをミュージシャン・吉川晃司が担当している。
シリーズタイトル
- 義風堂々!! 直江兼続 -前田慶次月語り-
…織田信長全盛の時代、信長からの猛威の最中の謙信の死にゆれる上杉家で、傾奇者・与六(兼続)の活躍が描かれている。
- 義風堂々!! 直江兼続 -前田慶次酒語り-
…豊臣政権時代、前田慶次との出会いや自身の出生の秘密を巡る徳川家との因縁が描かれる。
- 義風堂々!! 直江兼続 -前田慶次花語り-
…秀吉逝去により表面化した家康と三成の主導権争いと、秀吉への義を示そうとする義友・三成の信念が描かれている。
主な登場人物
直江兼続(なおえ かねつぐ) / 樋口与六(ひぐち よろく)
本作の主人公。上杉景勝の側近として生涯仕えた武将。
本作では、かつては慶次にも負けず劣らずの傾奇者として有名であったとされ、その容姿や趣向も原作よりも若々しく派手な出で立ちを好むようになっている。
前田慶次(まえだ けいじ)
CV:佐藤拓也
もう一人の主人公。かつては「天下一の傾奇者」と称された剛勇であり、兼続の莫逆の友。
現在は剃髪し“穀蔵院ひょっとこ斎(こくぞういん ひょっとこさい)”の名で隠棲しているが、豪快で奔放な性格はあいかわらず。
本作では、彼の語る兼続の過去が物語の中心となっており、回想では織田方の春日山侵攻から登場。
原作同様、身の丈2m近い屈強な長身で、その体躯に見合った黒馬・松風(まつかぜ)にまたがっている。朱槍と金のキセルを愛用しており、琵琶を演奏するのが得意。
茂助(もすけ)
CV:川本成
本作オリジナルキャラクターの一人。小柄な体格の兼続の従者。
かつては鍛冶屋であったが、とある事件をきっかけに彼の槍持ちとして仕えるようになる。
鍛冶職人としての腕前はたしかで、兼続が愛用している超重量の鉄扇も彼の作品。
実は、兼続とは幼馴染の関係であったことが後に発覚する。
中西次郎坊(なかにし じろうぼう)
CV:郷田ほづみ
本作オリジナルキャラクターの一人。小柄な体格の兼続の従者。
元・上杉忍軍で、外見と異なり結構な老齢である。
先代当主・上杉謙信の命により兼続の影として仕えている。
謙信と兼続の関係を知る数少ない人物の一人で、これを詮索する者には容赦しない。
「~だッス」という独特の語尾を用いる。
原作では一貫してシリアスなキャラクターだが、アニメ版では風呂屋の女中に化けたり、茂助とともに兼続・慶次たちと同じく月語りをしたりとコミカルな描写が増えた。
上杉家
上杉景勝(うえすぎ かげかつ)
CV:安元洋貴
兼続の仕える謙信の養子(血縁上は甥の関係)。後に謙信の跡を継ぎ上杉家当主となる。
口数が少なく眉間の深いシワが消えることがなかったため、生涯笑ったことがないとされた。
兼続とは固い絆で結ばれており、天下人・豊臣秀吉からの兼続を自身の下に置きたいという要望を頑として断った。
原作より容姿が若干若く描かれているが、眉間の深いシワの設定はそのまま引き継がれている。
上杉謙信(うえすぎ けんしん) / 長尾景虎(ながお かげとら)
CV:てらそままさき
「越後の龍」と謳われる上杉家当主。
自身を毘沙門天の化身と称し神格化することで内乱の続く越後を統一する。
生涯不犯を誓い子を授からなかったとされたが、当時の関白・近衛前久の妹・妙姫との間に子を授かっていたことが明かされる。
仙桃院(せんとういん)
CV:高橋理恵子
謙信の姉であり、景勝の母。
謙信亡き後の越後を影で支えている。景勝や兼続の良き理解者で、ときには助言を授けることも。
お船(おせん)
直江景綱の一人娘。男児のいない直江家を守るため自ら槍と鎧を纏い戦線に立つ勇猛な女性。
後に御館の乱の恩賞について起こった暴動で夫・信綱と死別。傷心の中、尼になる覚悟を決めるが兼続から婿入りを迫られ夫婦となる。
藤田信吉(ふじた のぶよし)
CV:立木文彦
上杉家家臣。上杉に仕える前は武田家に属していた。
景勝・兼続とともに佐渡攻めに参戦。その際、兼続が謙信の遺児であることを疑い彼に詰め寄るが、慶次の計らいで景勝が仲裁に入り「上杉の義」を知らされ、以降はこの件に触れなくなる。
水原親憲(すいばら ちかのり)
CV:高口公介
上杉家家臣。謙信の代から上杉に仕える重臣でもある。
兼続たちをはるかに上回る長身で、歌舞伎役者のような立振舞をするなど、史実の人物像の特徴をかなり色濃く盛り込まれている。
謙信死後に起こった御館の乱を経験したため、景勝に世継ぎが生まれないことを危惧し、彼に側室をとるように勧めるが、余計な世話と機嫌を損ねられてしまう。
豊臣家
羽柴秀吉(はしば ひでよし) / 豊臣秀吉(とよとみ ひでよし)
CV:上田燿司
信長に仕える武士。低い身分から武士として取り立てられ、後に関白まで上り詰める。
主君である信長からは「サル」と呼ばれているが、その由来は山で忍として育てられて培った軽やかな身のこなしによるものだとされている。色好きだが頭の回転が早く、部下から聞いた兼続の行動原理を瞬時に理解し彼に興味を抱くようになる。
信長没後、自身の傘下に加わった景勝に兼続懐柔の申し出をしたが、両者共にその場で死を覚悟する姿を見せられ断られる。以降、彼に佐渡攻めなど無理難題を押し付けるようになる。
志乃(しの)
秀吉に仕えるくノ一。
遊女に扮し兼続と肉体関係を持ち秀吉に彼の動向を伝える役目を担うが、雲のような彼の人柄に惚れ込み、後に彼に協力するようになる。
前田利家(まえだ としいえ)
CV:廣田行生
加賀百万石の大名。秀吉に仕える五大老の一人で、慶次の叔父。
かつては「槍の又左」と称された勇猛果敢な武将であったが、今では秀吉の顔色をうかがいながら胡麻をするようになっている。何かと騒ぎを起こす慶次とは不仲であり、彼が出奔した後も彼の話題が上がるたびに頭を悩ませている。
原作同様、コミカルな小悪党として描かれることがほとんどだが、慶次の秀吉謁見に際して、三成が呼び寄せた小姓(柳生宗章)が只者ではないことを見抜き、八王子攻めでは兼続が逃がそうとした婦人を横槍で仕留めるなど、武人としての力は衰えていない模様。
石田三成(いしだ みつなり)
CV:加藤和樹
秀吉に古くから仕える側近。
小姓時代に信長から「同じ目」を持つ樋口与六(兼続)の話を聞かされており、慶次の秀吉謁見を事前に知らせるなど、兼続を影から支えようとする。
兼続とは当初敵方として相見えるが、後に彼と義兄弟の契りを交わす。
大谷吉継(おおたに よしつぐ)
CV:鳥海浩輔
秀吉の家臣で、三成の親友。
他社のためなら己の犠牲をいとわない「仁」の心の持ち主で、小田原攻めへの参陣を悩む家康の前で自ら左目を潰してみせる。以降、その目の傷を病によるものと偽り隠すようになる。
島左近(しま さこん)
CV:浜田賢二
三成の腹心。三成からの下命を受け、兼続にこれを伝える役目を担っている。
同作者の漫画『SAKON』とは容姿が若干異なり、無精髭を蓄えた壮年の男性として描かれている。
伊達家
伊達政宗(だて まさむね)
CV:置鮎龍太郎
伊達家当主。伊達家のお家騒動を治め小田原征伐に参陣するが、その遅すぎる参陣を問われ箱根底倉に幽閉される。
その容姿や豪胆な性格は原作『花の慶次』から継承されており、また声を担当する置鮎龍太郎は過去に、『花の慶次』のラジオドラマにおいても政宗を演じている。
片倉小十郎(かたくら こじゅうろう)
CV:関智一
伊達家の軍師で、政宗の右目。
原作とは異なり中性的な顔立ちの美男子として描かれ、愛笛「潮風」を奏でる笛の名手としても知られている。
修験僧に扮し小田原で敵前調査を行っていたが、兼続と出会い、家の行く末を案じる姿に己の義を見出され知己となる。
その他
織田信長(おだ のぶなが)
CV:山寺宏一
織田家当主。戦国最強のいくさ人にして秀吉・利家・慶次のかつての主君。
世間では冷酷無比な魔王として伝えられるが、本国では庶民に混じり共に安土城の建築に協力するなど民を安んじる良君である。
上杉家への侵攻中に本能寺にて没し、彼の死で上杉家は織田の猛威から
生前には与六の出生に関する秘密を示唆したり、秀吉の小姓・佐吉(三成)に与六の名を伝えるなど、多くの人物に影響を与えている。
顔立ちは、同作者の漫画『蒼天の拳』や現在連載中の『いくさの子』に登場した晩年の信長に近い。
薄雲(うすぐも)
CV:根谷美智子
京の遊郭「西洞院(にしのどういん)」の遊女。慶次のお気に入り。
美しい外見とは裏腹に、刀を抜いた武士を前にしても微動だにしない豪胆さを持ち合わせている。
本作では、秀吉謁見の際に慶次が見せた「髷」のヒントを与えた人物とされている。
ナレーター
声:吉川晃司
アニメ作中のナレーション。本作の1期・2期オープニングテーマも担当している。
同じく『月刊コミックゼノン』において連載中の義風シリーズ第二弾。
様々な「風」を読む時代を駆け抜けた戦国時代最強の軍師・黒田官兵衛孝高を題材に描いた作品。