「お前に初瀬の心が残っているのなら、今すぐこんなことはやめてくれ…」
「もし、もしお前がこれ以上続けるっていうのなら…お前はもう…初瀬じゃねぇ!」
お前はもう概要じゃねぇ!
『仮面ライダー鎧武』第14話「ヘルヘイムの果実の秘密」に登場した葛葉紘汰の台詞。
仮面ライダー斬月によって戦極ドライバーを破壊され、仮面ライダー黒影へと変身する力を失ってしまった初瀬亮二は、友人だと思っていた城乃内秀保どころかチームメンバー達からも見限られてしまう。
仲間達から見放された初瀬は恐怖心に囚われ、町の人々がインベスに見えたり、かつて自分が敗北した斬月やブラーボの幻影が見えるようになってしまい、「もう一度あの力さえあれば…!」と嘆く。
その後、インベスがヘルヘイムの森の実を貪り食って巨大化する瞬間を目撃した初瀬は力を求めるあまりその果実を口にしてしまい、斬月・真の「おい、吐き出せ!」という言葉も聞かずに飲み込み、ヘキジャインベスへと変貌してしまった。人間としての心を失った初瀬は暴れだし、紘汰の懸命な説得にも耳を貸さず、ただ人々を傷つけるだけの怪物となっていた。そんな人々を傷つける初瀬に対して紘汰が言い放ったのがこの台詞である。
覚悟を決めた紘汰はヘキジャインベスを倒そうとするが、ヘキジャインベスと初瀬の姿が重なってしまいどうしてもヘキジャインベスを倒すことが出来なかった。
「俺には人殺しなんて出来ない…。出来るわけねぇだろォ!!」
「こいつは初瀬だ!初瀬なんだ…!」
再び初瀬を説得しようとする紘汰だったが、その思い虚しくヘキジャインベスへと変貌してしまった初瀬は仮面ライダーシグルドの手によって「人間」ではなく「インベス」として倒されてしまった。今までどこか憎めないキャラという立ち位置をキープしていた彼の死を惜しんだ視聴者も多かった…。
初瀬を救おうとしていた紘汰が初瀬を自らの手で倒す決意を固めたことを表す台詞のため非常に印象深く、紘汰を演じた佐野岳氏の独特の声質から強く視聴者の心に残る台詞となった。
その後
初瀬を救うことのできなかったこの出来事は紘汰の心に深い傷を残すこととなった
後にチームレイドワイルドのメンバー達は初瀬を見放してしまったことに罪悪感を覚え、城乃内も上手くいかない時期が続いたことで「なんだかんだで初瀬ちゃんと組んでた時が一番良かった」と語るようになっていったが、初瀬がインベスへと変貌してしまったことや、既にシグルドの手によって倒されてしまっていることを彼らは一切知らず、「なんか連絡つかないんだよな初瀬さん」、「初瀬ちゃん今頃何やってんだろ」と口にしていた。しかし、城乃内は内心では薄々初瀬が既に死亡しているということには気づいていたらしく、最終話でついに呉島貴虎から真実を聞かされ、初瀬への罪滅ぼしのために、かつて初瀬が変身していた仮面ライダー黒影と同じ能力を持った黒影トルーパーへと変身し、仮面ライダー邪武に勇敢に立ち向かった。その城乃内とは思えないほどの無鉄砲で荒々しい戦い方はまさしく彼と初瀬の魂が一つになったかのようだった。
しかしパラレルワールドを舞台とした劇場版に登場する別世界の初瀬はしっかりと生存しており、元気な姿を見せていた。良かったね初瀬ちゃん!(それでも少し悲惨な目にはあったが)
余談
そもそも初瀬がこうなった原因は、紘汰が(本人の承諾もなしに)彼(正確には、他のアーマードライダーたちもだが)をヘルヘイム調査のための危険な囮役に利用したことがきっかけである(その提案を出したのはミッチであり、初瀬のドライバーを破壊したのは貴虎と、呉島兄弟のせいだが)
また、戒斗の執拗な追い打ちや初瀬を見捨てた城乃内の態度も初瀬を追い詰める一因となっている。
シドも含めた6人のアーマードライダーによって、初瀬は死んだとも言えるであろう。