概要
初登場はTC32巻「スネ夫のおしりがゆくえ不明」。なおこのエピソードは、初出の小学二年生誌1982年9月号では「だるまおとし」というまともなタイトルで、単行本収録時に改題された物である。
このハンマーで人や物体をだるま落としのように叩くと、叩かれた部分が輪切り状に対象物から弾き出され、対象物はその分高さが縮む。そして弾き出された部分は、元の位置に接触させると嵌まって元に戻る。主に、樹木など高い物を低くしたい時に使う道具である。
例えば、背の高い木に風船やボールなどが引っかかった場合に、このハンマーでその木を叩いて引っかかった場所の位置を低くすることで取りやすくするといった使い方ができる。
人間切断機や分かいドライバーと同じく、弾き出された部分と本体は異空間を介してつながっているようだが、専用の接着剤を使わないと接合できない人間切断機と違い、このハンマーで弾き出された部分は元の位置に接触させるだけで復元できる。またこれで人間の胴体の一部を切り離した場合も、やはり人間切断機や分かいドライバーを使った場合と同様に触った感覚などが伝わる。
自分の身長の低さにコンプレックスを持っていたスネ夫がこの道具をドラえもんから借り(この時彼は「恩を仇で返す」かのようにドラえもんの胴体を弾き出す実験をした)、ジャイアンの胴体を弾き出して自分より小柄な寸詰まり状態にした後蹴飛ばして転がし、「お前チビだな」とバカにした後自分の子分になるよう迫る(回想シーンではジャイアンがスネ夫を「お前チビだな」とバカにして頭を押さえるシーンがあるのでそれの復讐の可能性が高い)。だが、ジャイアンはスネ夫に従い元に戻してもらった途端、それは演技でスネ夫を騙した後にその仕返しにハンマーを奪い取って彼の胴体を思い切り打ち飛ばし、「二度と俺に逆らわないと誓うか?」と脅しながら約束を迫ったが、勢いが強すぎたせいでスネ夫の腰部分はどこかへ転がっていって行方不明になってしまった。
慌ててスネ夫の腰部分を捜すジャイアン(流石にやり過ぎたと実感した模様)とスネ夫だが、通りかかったしずかに尋ねると「子供が転がして遊んでた」とのこと。「人のお尻で遊ぶな!」と半泣きのスネ夫はその子供を見つけ出すが、その子供は「腰部分は今野良犬が咥えて裏山へ持っていった」と言う。急いで裏山へ向かうジャイアンとスネ夫だが、その最中にスネ夫は突然くすぐったがったり痛がったりし始める。どうやらその野良犬がスネ夫の腰部分をハムか何かと間違えて、なめたりかじったりしているらしい。
ジャイアンとスネ夫は裏山で必死に腰部分を捜すが見つからず、困り果ててドラえもんに相談してきた。そこでドラえもんは音楽イモをスネ夫に食べさせ、メロディーガスの音を頼りに捜すことにして、ようやく見つけることができた。
こうしてスネ夫は無事元通りになったが、その後もしばらくメロディーガスが止まらず、みんなから「ガスが収まるまで近寄るな!」と避けられる羽目になったのだった。
余談
このだるまおとしハンマーに関するエピソードは、のぶドラ版及びわさドラ版を通じて一度もアニメ化されていない。グロさは薄いとはいえ人体の一部が欠損したり、「スネ夫の尻が行方不明になる」という下品な演出がまずいのだろうか。
しかし、大長編「のび太の魔界大冒険」のリメイク版「のび太の新魔界大冒険~7人の魔法使い~」では、石化したドラえもんとのび太が元の世界のドラえもんの四次元ポケットに入れられた後、元に戻るために月光灯を使おうとした際に、ピタゴラスイッチの如くこのハンマーを始めとした様々なひみつ道具が動くシーン(※)の中で登場している。細かすぎる演出だが、ここでのみアニメにおいてその力を発揮した。
- ※ころばし屋が自動買いとり機の中に入って代金として500円玉が飛び出し、それがガリバートンネルを通って巨大化し、Yロウにぶつかって倒し、倒れたYロウがだるまおとしハンマーを吹っ飛ばした弾みで先ほどの自動買いとり機を輪切り状に弾き出し、弾き出された部分の中に入っていたころばし屋が飛び出して月光灯のスイッチに当たり、スイッチが入るという流れである。