概要
2021年2月18日、テレビアニメ化内定の一報がなされた。
芳文社「まんがタイムきらら」公式Twitterアカウントでのアナウンス
作者・はまじあきの公式Twitterアカウントでのアナウンス
12月にはティザーPVが公開され、翌年7月11日に公式Twitterにて具体的な放送時期が発表された。
2022年秋アニメとして、TOKYOMX、群馬テレビ、とちぎテレビ、毎日放送、RKB毎日放送、宮崎放送、AT-X、BS11にて放送された。
ネット局の中にははまじあきの出身地のテレビ局が名を連ねていたが、その理由はアニメの偉い人に「地元で放送したいならできますよ」と言われたからである。
後に劇場総集編公開に合わせ、アニマックスでは声優ライブを含めたアニメの一挙放送が行われた。
※原作漫画など、テレビアニメ版以外の内容については、親記事『ぼっち・ざ・ろっく!』を参照。
特徴・評価
原作の行間を補完するオリジナル要素とエピソードの一部再構成という改変を取り入れつつも、キャラクターへの理解に裏打ちされた台詞や会話量の増加、ドラマパートの作り込み、後藤ひとりの物悲しい弾き語りなどを見事に演じた同役の青山吉能による名演・迷演・怪演、バンドメンバーや周囲の人々の掘り下げなど、アニメーション作品としてのクオリティを一段階引き上げた巧みな映像化は高い評価を得ている。
作中に登場する施設や街並みを再現した緻密な背景美術と、シンプルなデザインでのびのびと躍動するキャラクターとが生み出す独特の空気感も評価ポイントとして挙げられており、「後藤ひとり」という奇矯な人物と実写素材を交えた変幻自在の演出が織りなす珍妙な化学反応も見どころのひとつといえる。
原作2巻における中間テストに関する話はカットされているが、一部は別の話やWEB予告での台詞として補完されている。
主題歌や劇中歌においても、歌詞やサウンドを通したキャラクターの描写に踏み込んでおり、結束バンドの各メンバーが歌唱を担当した楽曲をエンディング主題歌として順次公開していくというサプライズも話題となった。
また、バンドのステージ出演をかけてオーディションで歌われた『ギターと孤独と蒼い惑星』の“LIVE映像”として公開された動画は1週間で100万再生に到達。加えて、初ライブでトランス状態に没入していくひとりの姿を映し出す『あのバンド』のLIVE映像に至っては48時間を待たずして100万再生に達するなど、放送前からは想像もつかない躍進を見せている。
ティザーPVにはアニメ本編で登場しない『ひとりぼっち東京』のフレーズを使用し、ストーリーの進行に合わせた第2弾PVの解禁で展開のギアを上げるなど、本編外でも徹底した演出管理がされており、最終回にあたる第12話の放映が終了した後には、結束バンドが駆け抜けた半年間をバラードとして歌い上げるミュージックビデオが「本PV」として公開され、多くの視聴者に惜しまれながら1クールの放映を終えた。
完成度の高い映像を世に送り出した結果、商業的にも好調でブルーレイ・DVD(円盤)の売上は1巻:25,686枚、2巻17,619枚を売り上げファンを沸かせた。
2022年11月6日にはフルアルバム『結束バンド』を発売がアナウンスされ、12月28日に発売。
2023年5月21日には、Zepp HanedaにてLIVEイベント「結束バンドLIVE-恒星-」を開催している(バンドメンバー)。原作者のはまじあきも現地の様子を報告しているほか、同イベントではニューシングルとして『光の中へ / 青い春と西の空』も披露されている。
LIVEイベント「結束バンドLIVE-恒星-」の映像を収めたDVD/BDは2023年11月22日に発売されており、その発売を記念して2023年11月17日~11月30日の期間限定で劇場上映もなされている。
劇場版
虹夏「…もっかいやる?」
ひとり「せ…せっかくなのでもう一回最初からやりませんか?」
虹夏「映画館でもっかい最初っからやりまーす!」
上記イベント「結束バンドLIVE-恒星-」にて、『ぼっち・ざ・ろっく! 劇場総集編』の制作が発表。
前編『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:』は2024年6月7日から、後編『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:』は2024年8月9日から公開された。
スタッフ
原作 | はまじあき |
---|---|
監督 | 斎藤圭一郎 |
原作協力 | 瀬古口拓也 |
副監督 | 山本ゆうすけ |
シリーズ構成 | 吉田恵里香 |
キャラクターデザイン | けろりら |
ライブディレクター | 川上雄介 |
ライブアニメーター | 伊藤優希 |
プロップデザイン | 永木歩美 |
2Dワークス | 梅木葵 |
色彩設計 | 横田明日香 |
美術監督 | 守安靖尚 |
美術設定 | taracod |
撮影監督 | 金森つばさ |
CGディレクター | 宮地克明 |
ライブCGディレクター | 内田博明 |
編集 | 平木大輔 |
音楽 | 菊谷知樹 |
音楽プロデューサー | 山内真治 |
音楽ディレクター | 岡村弦 |
音楽制作 | アニプレックス |
音響監督 | 藤田亜紀子 |
音響効果 | 八十正太 |
録音調整 | 林 淑恭 |
プロデューサー | 石川達也・小林宏之 |
アニメーションプロデューサー | 梅原翔太 |
制作統括 | 清水暁 |
アニメーション制作 | CloverWorks |
製作 | アニプレックス・芳文社 |
音楽
楽曲のアーティストは歌唱担当者によらず、例えば結束バンドの楽曲はすべて「結束バンド」名義としてリリースされており、ボーカルも喜多郁代役の長谷川育美をはじめとした声優陣が実際に歌唱している。また、編曲は『ギターと孤独と蒼い惑星』と『ワタシダケユウレイ』を除き三井律郎が担当している。
第12話のEDでは、ロックバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION」の『転がる岩、君に朝が降る』が結束バンドによるカバー楽曲として使用された。⇒長谷川育美×三井律郎×岡村 弦スペシャル座談会(前編 / 後編)- リスアニ!WEB
関連映像は、個別記事「結束バンド(ぼっち・ざ・ろっく!)」を参照。
オープニングテーマ
歌:結束バンド(Vo:長谷川育美)
作詞:樋口愛 作曲:音羽-otoha-
エンディングテーマ
エンディングアニメーション演出:スズキハルカ
『Distortion!!』(1~3話)
歌:結束バンド(Vo:長谷川育美)
作詞・作曲:谷口鮪
『カラカラ』(4~7話)
歌:結束バンド(Vo:水野朔)
作詞・作曲:中嶋イッキュウ
『なにが悪い』(8話~11話)
歌:結束バンド(Vo:鈴代紗弓)
作詞・作曲:北澤ゆうほ
『転がる岩、君に朝が降る』(12話)
歌:結束バンド(Vo:青山吉能)
作詞・作曲:後藤正文
劇中歌
歌:結束バンド
作詞:ZAQ 作曲:音羽-otoha- 編曲:akkin
『あのバンド』
歌:結束バンド
作詞:樋口愛 作曲:草野華余子
『ワタシダケユウレイ』
作詞:西田圭稀 作曲:安谷屋光生 編曲:akkin
『忘れてやらない』
歌:結束バンド
作詞:ZAQ 作曲:吉岡大地
『星座になれたら』
歌:結束バンド
作詞:樋口愛 作曲:内藤英雅
劇場総集編 前編 オープニングテーマ
『月並みに輝け』
歌:結束バンド
作詞:樋口愛 作曲:音羽-otoha- 編曲:三井律郎
劇場総集編 前編 エンディングテーマ
『今、僕、アンダーグラウンドから』
歌:結束バンド
作詞・作曲:北澤ゆうほ、編曲:三井律郎
劇場総集編 後編 オープニングテーマ
『ドッペルゲンガー』
歌:結束バンド
作詞:樋口愛 作曲:飛内将大 編曲:三井律郎
劇場総集編 後編 エンディングテーマ
『Re:Re:』
歌:結束バンド(Vo:青山吉能)
作詞:後藤正文 作曲:後藤正文、山田貴洋 編曲:三井律郎
各話リスト
各サブタイトルは、第8話を除いてASIAN KUNG-FU GENERATION」の楽曲名がモチーフとなっている。第1話と第12話はモチーフとなった曲名を二つに分ける形でタイトル化されている。実際にこの曲順のプレイリストを作って楽しむ視聴者も散見される。
話数 | サブタイトル | モチーフ |
---|---|---|
#01 | 転がるぼっち | 転がる岩、君に朝が降る |
#02 | また明日 | それではまた明日 |
#03 | 馳せサンズ | 長谷サンズ |
#04 | ジャンピングガール(ズ) | ダンシングガール |
#05 | 飛べない魚 | 飛べない魚 |
#06 | 八景 | 八景 |
#07 | 君の家まで(きみのうちまで) | 君の街まで |
#08 | ぼっち・ざ・ろっく | |
#09 | 江ノ島エスカー | 江ノ島エスカー |
#10 | アフターダーク | アフターダーク |
#11 | 十二進法の夕景 | 十二進法の夕景 |
#12 | 君に朝が降る | 転がる岩、君に朝が降る |
劇場総集編 | 前編 Re: / 後編 Re:Re: | Re:Re: |
アニラジ「ぼっち・ざ・らじお!」
アニメ放映を控えた2022年9月7日より配信されている、後藤ひとり役・青山吉能をメインパーソナリティに据えた哀愁漂うWEBラジオ番組。スタッフとのコミュニケーションを封じられたスタジオで番組進行を一任された青山が、自問自答や自惚れや自虐や空元気を織り交ぜながら、そこはかとない“陰”を気ままに振り撒くじめっとした1時間強が中毒性のある聴き心地を生んでいる。
アニメの放映終了後も収録が続いており、視聴者のアニメロス緩和の場にもなっている。
第8回「アニラジアワード」では鈴代、水野、長谷川を含む4人の名義で4部門にノミネートされ、最優秀ラジオ大賞・最優秀女性ラジオ賞・大笑いラジオ賞のトリプル受賞を達成。
当初は23年3月での終了が予定されていたが、公開録音となった第22回では年度をまたいだ番組の継続を発表し、来場者の割れんばかりの拍手も記録されている。
ギターヒーローへの道
ギターの素人である青山が、サラリーマンギタリスト・安谷屋光生を講師に迎えて課題曲『青春コンプレックス』に挑むドキュメンタリー。
アニメ化が与えた影響
アニメ化での爆発的な人気上昇に伴い、雑誌版まんがタイムきららMAX2023年1月号が発売即完売という異例の事態が発生するに至った(実用的な付録付きということも含め)。
さらに、発売前にもかかわらず、単行本5巻が2回目の重版を掛けたという驚愕の事態も発生している。
アニメ化の影響は単行本全体(アンソロジー含む)の売れ行きにも波及しており、アニメも終盤に差し掛かったころの重版回数はきらら史上でも類を見ないものとなった(前述の5巻に至っては、販売1か月も経過していないのに5刷)。
ちなみに、アニメ最終回を迎えた時点での重版回数はこのようになっている。
アニメ第1話放映から100日近く経過した時点でもふたたび重版がかかり、(電子版を含まずに)100万部突破という快挙を成し遂げた。
もちろん、左利き用のベースの売り上げを伸ばしたレジェンドと同様にぼっち愛用のギターが「いつもの3倍以上の勢いで」売れている、楽器面での影響も見逃せない。
アニメ終了後、ヤマハが2023年1月25日から、名古屋店・大阪なんば店・銀座店でコラボイベントを開催し、楽器体験を行えるなど敷居を広げる努力にも繋げている。
前述のフルアルバム「結束バンド」に至っては、Billboard JAPAN週間アルバム・セールス・チャート“Top Albums Sales”において、2022/12/26~2023/1/1のアルバム部門で1位(73000枚と、2位を倍近く突き放している)という快挙を成し遂げた。
アニメ以外の場所では、何と2023年1月5日、ソニー・ホンダモビリティの新型EV「AFEELA」プロトタイプの世界初公開において、「ぼっち・ざ・ろっく!」の映像が登場するというワールドワイドな顔見世まで成し遂げてしまった。
ちなみに、こういった人気の影響から、2023年から定期的に様々な企業とコラボレーション企画をおこなっており、ファミリーマートやローソンのようなコンビニの他、いろはす、バイトル八景島シーパラダイスといった意外なところともコラボしている。バンダイではガシャポンや食玩のほか浴剤玩具である、びっくらたまごの販売が決定しているなどきらら作品としては異例となるファミリー層への商品展開が多い。
アニラジ「ぼっち・ざ・らじお!」にて、メインパーソナリティである青山吉能がフレッシュネスバーガーの「スパムバーガー」(2021年に販売を終了していたが、丁度アニメ放送期間中の2022年11月に期間限定で復刻していた)をたびたび推していたことを機に、スパムバーガーを注文してラジオのハッシュタグとともにSNSに投稿する者が続出。
その反響からか、作品本編とはまったく関係がないにもかかわらず下北沢店限定で緊急コラボイベント「ぼっち応援キャンペーン」を開催するという異例の事態にまで発展している。
「STARRY」のモデルとなった「下北沢SHELTER」を探訪する前に(あるいは探訪した帰り道に)、フレッシュネスバーガー下北沢店でスパムバーガーを注文するのも一興だろう。
その一方で、聖地巡礼による迷惑行為が多発しており、2023年1月と2月と5月、2024年5月に注意喚起がなされ、「個人・団体問わず週末・連休でのご来場および撮影は避けていただきまうようよろしくお願いします。」という事実上の休日巡礼禁止令が発令された。
下北沢SHELTERも現地にお願いの看板を設置している。
また、第6話に登場したローソン金沢八景店は2023年1月末に閉店した。
アー写の壁のモデルとなった本多スタジオも道路計画で取り壊しが予定されている。
関連動画
ティザーPV(2021年12月)
第1弾PV(2022年9月)
第2弾PV(2022年11月)
本PV(2022年12月)
劇場総集編 本予告(2024年3月)