撃って、奪って、ぶち壊せ
概要
スクウェアから発売された数少ない横スクロールシューティングゲーム。開発はスクウェア大阪開発第1部(当時)で、元コナミのスタッフが製作に携わっている。
もっぱらRPGを専門に製作していたスクウェアが家庭用ゲーム機向けにSTGを製作するのはファミコンの『テグザー』以来実に12年ぶりの事であり、年季の入ったSTGマニア等からは偏見の目で見られていた事もあってかリリース当初はさほど人気は振るわなかったものの、3Dグラフィックによるダイナミックな演出、ステージ展開と同期した福井健一郎によるテクノ系の音楽、多彩な攻撃を繰り出す個性的なボスキャラクター達などが、現在になって再評価されつつある。
『Playstation The Best』などの廉価版は発売されなかったが、2008年6月25日にPSP/PS3に、約4年後の2012年8月28日にPSVita、それぞれに対応したゲームアーカイブス版がリリースされた。
ストーリー
西暦2245年、地球に存在する統一国家”ゾードム帝国”と月に移民した人々が築いた
月面都市連合”セレーネ”が争い続け、膠着状態が続いている時代。
セレーネはこの状況を打開するべく、3機の特殊戦斗機をゾードムへと送り込む。
幾度と無くゾードム軍を壊滅させ、機体に一本の腕を生やしたそれは、
ゾードムから『アインハンダー』と呼ばれ恐れられていた・・・
ゲームシステム
本作はライフ無しの残機制で、敵の攻撃や体当たりを受けるとミスとなり残機を1機失う。地形に接触しても即ミスとはならないものの、長時間接触させ続けているとミスとなってしまう。ミスした後は一定の箇所にまで戻されて再スタートする戻り復活となっている。総ステージ数は全7ステージ(展開次第では6ステージで終了)だが、アーケードゲームのような周回要素は無い。
難易度はFREE(最易)、EASY、NORMAL、HARD(最難)の4種類あり、FREE選択時は難易度が低下するほかにもシークレットボーナス(後述)の取得具合に応じてステージセレクトが可能になるが、スコアの集計はされなくなり、それに関連した要素もなくなる。
エクステンド
残機は一定のスコアを獲得する事で増やす(1UP)事が可能で、初回200万点、次回500万点、以降500万点エブリエクステンドとなっている。ただし、自機を増やせるのはステージクリア後のスコア集計画面に入ってからであり、スコアの無い難易度FREEではエクステンドしない。
ヒットゲージ
敵を撃破するごとに画面左下のゲージが上昇し、満タンになると敵撃破時のスコアにかかる倍率が上昇(最大16倍)。敵を撃破しないでいるとゲージは徐々に減少していき、倍率も1倍に戻ってしまう。カノンやライオットなどの敵を貫通するガンポッドを使ってザコ敵をまとめて撃破するとゲージの上昇にボーナスがかかるようになる。ただし、難易度FREEではゲージが表示されない。
ガンポッド
本作の最大の特徴はタイトルの由来である一本の大きな”腕”が自機に付いている事であり(「アインハンダー」はドイツ語で「一本腕」を意味する)、この腕を使って敵が落とした武器”ガンポッド”を奪い取ることができる。
ガンポッドは自機の上下どちらにあるかで性能が変化するものがある(殆どのガンポットは射角が変化する程度だが、中には性能がガラリと変化するものも)。敵弾をガンポッドで受けて盾とすることもできるが、ガンポッドには耐久度(種類によって異なる)が設定されており、敵弾を受けたり地形に接触し続けると壊れてしまう。
また、アインハンダーの腕は攻撃を受けても破壊されず、至近距離では敵の装甲を貫通する格闘武装としても機能するので、ボスに肉薄してコアを直接破壊する短期決戦を仕掛けることもできる。更に縛りプレイとして「腕オンリープレイ」がほぼ全てのステージで可能である(一か所だけ不可能な面がある)。
ゲーム開始時に選択可能な自機は3種類(+隠し機体2種類)あり、初期装備の機銃(弾数無制限)の威力やストック可能なガンポッドの数、ガンポッド取得時の初期弾数などが異なる。プレイを繰り返すことでそれまでに取得したガンポッドをゲーム開始時に選択できるようになる(ミス後の再スタート時にも装備される)。
シークレットボーナス
各ステージに3つ、全ステージで計21ある隠し要素の事であり、特定の敵やオブジェクトを破壊する事で獲得できる。初回ボーナス獲得時には10,000点、2回目で30,000点、3回目で100,000点が入り、ステージ内の全てのシークレットボーナスを獲得すると、以降のプレイで難易度FREEを選択した時にステージセレクトでそのステージが選択できるようになる。ただし、ボーナス獲得後にミスをした場合は再び達成条件を満たさなければならない。
選択可能な自機
エンディミオンFRS Mk-Ⅱ
3種のガンポッドをストック(同じ種類の物は複数持てない)する事ができ、状況に応じて切り替える事が可能な機体。ただし、その代償なのかガンポッド取得時の初期弾数は他の機体の2/3程度しかない。相手によって武器を使い分けたり、強力なガンポッドをボス戦の為に温存したりといった使い方が可能だが、瞬時に武器を切り替えられるようになるには慣れが必要。
なお、本機と以下に挙げる機体は全て『イメージファイト』のように移動スピード変更時に発生するバックファイアで敵にダメージを与える事ができる。
エンディミオンFRS Mk-Ⅲ
熟練パイロットの損耗に対処すべく未熟なパイロットでも扱えるよう機能を簡略化した機体。ガンポッドは1挺しか搭載できないが、煩わしいガンポッドの切り替えを考慮する必要がなく、更に初期装備の機銃が2連装に強化されているので初心者向け。
ガンポッドの補充がままならない状況では頼りになる反面、ガンポッドを1挺しか搭載できないが故に戦術の幅広さは他の2機にどうしても劣る上に固い敵が増える後半戦では火力不足が顕著になってくるため長期戦に陥りやすい。
アストライアーFGA Mk-Ⅰ
機体上部にガンポッドマウントを増設し、火力の増強を狙った攻撃特化の機体。ガンポッドを上下に2挺搭載して同時発射する事が可能で、こちらは同じ種類のガンポッドを同時に装備できる。黒いカラーリングにちなんでファン内では後述のMk-Ⅱに対して「黒アスト」と呼ばれる事もある。
ボス戦では高い威力を発揮するが、ガンポッドを2挺装備すると初期装備の機銃が撃てなくなるという致命的な欠点を持ち、この状態ではザコ相手にも弾数が有限のガンポッドを使った戦いを強いられることになる。そのため、他の機体以上にガンポッドの運用や取捨選択が重要になってくるので、主に癖の強い上級者向け機体として扱われる。また、ガンポッド2挺を同時装着した場合は当たり判定が広がってしまい、閉所では回避が制限されてしまう。
コックローチ
ゾードム治安警察の車両「シャーベ」を鹵獲し、改良を加えた機体。シークレットボーナスを15個以上取得してゲームをクリアすると使用可能になる。因みにコックローチとシャーベはそれぞれ英語とドイツ語でゴキブリを意味している。
エンディミオンやアストライアーとは違いガンポッドを用いて戦う事はできないが、取得したガンポッドに応じて初期状態のショットが強化され(最大20段階までパワーアップ)、同時発射されるサブショットの軌道も変化する。ただし、他の機体のように出撃前からガンポッドを装備することは出来ず、ミスするとそれまでのパワーアップはリセットされてしまうので、復活後のリカバリーが厳しくなる。ちなみに腕伸縮ボタンを押す事で回転灯が発光するが、特にこれといった意味はない。
アストライアーMk-Ⅱ
赤い機体色のアストライアーで、こちらは「赤アスト」とファン内で呼ばれている。無人戦闘機E.O.S.との次世代戦闘機のトライアルに敗れた為、試作機が1機製造されたのみ。2種のガンポッドを同時発射可能な点はMk-Ⅰと同様だが、取得したガンポッドの装弾数が9999発 になり、弾切れを気にする事なく戦う事ができる。
ただし取得条件は厳しく、コックローチ以外の機体で難易度HARDを総コンティニュー数3回以内でクリアしなければならない。このゲームを極めたプレイヤーへの、一種のご褒美的な機体と言える。
敵として登場する兵器
シュヴァルツガイスト
ゾードム帝国が月への直接攻撃を行うゾンネンシュトラール(太陽光)作戦の為に建造した攻撃衛星。人工衛星でありながら単独航行能力を持ち、拡散レーザーキャノンやアクティブレーザーシールド、誘導ミサイルなど、多くの武装を搭載している。上部ドーム内には月面探査機「モニター」が格納されている。
ヒュペリオン UCS マーク12
月のセレーネ軍の無人指揮衛星。地球殲滅作戦においてアインハンダーを駆る者達はこの衛星からの指示により作戦を遂行している。単独で高い戦闘能力を持つだけでなく、多数の無人機と機動防衛システムを従えている。
EOS UFG MK.IX
無人指揮衛星ヒュペリオンに制御された無人機。アストライアー同様に二つのガンポッドの同時運用が可能。この機体の戦闘データは地球殲滅作戦でのアインハンダーの戦闘記録を元に作成されている。
関連イラスト
関連動画
オープニング
プレイ動画(難易度NORMAL・ノーミス・シークレットボーナス全入手)
シークレットについてはこちらに、STAGE1の分岐は地下廃墟
外部リンク
関連タグ
スクウェア スクウェア・エニックス シューティングゲーム プレイステーション
ファイナルファンタジーシリーズ:『ファイナルファンタジー14』ではアインハンダーというボスキャラクターが登場し、ガンポッドのような武器を切り替えて様々な攻撃を仕掛けてくる。また、『ワールドオブファイナルファンタジー』ではエンディミオンFRS Mk-Ⅱが「五大魔震・ビサイドの港町編」にてそのままの姿(デフォルメ調)で登場。戦闘シーン突入前にボールをぶつけて落とすミニゲームがある。
『キングダムハーツ3』のグミシップモードで自機やシュヴァルツガイスト戦が3DSTGとして再現されている。