概要
インカ民族(ケチュア族)に伝わる神々の物語。またアンデス山脈の諸民族に伝わる神話の総称として解説している資料もある。
アンデスの諸民族たちは、それぞれがその部族固有の神話伝承を口伝で語り継いできたが、インカ帝国が15世紀末ごろにこれら諸民族を統一すると、インカ民族の言語である“ケチュア語”を普及させるとともに、国家宗教である太陽信仰を推し進めた。
この結果、各地の伝承はインカ民族の伝承や神話が入り込んだために変容し、さらにその民族固有の伝統が変化したり言語が失われたりする事態になる事もあったとされる。
そして1532年から翌年にかけ、フランシスコ・ピサロ率いるスペイン人の侵攻を受け、帝国は崩壊。さらにキリスト教の流入に伴い、カトリック教会が従来の宗教を弾圧し、当時のアンデスでは文字を使用していなかった事も手伝い、数多くの神話伝承が失われてしまったと推測されている。
なお、アンデスに侵入してきたスペイン人の内、読み書きができた一部の者たちなどが口承を記録しているが、キリスト教の影響が色濃く反映されている為に正確な記録ではないとされる。
しかしヨーロッパの文化の影響がそれ程でもない征服間もない頃の記録には、その詳細が残されているとの意見もある。
インカの神々一覧
- アポカテクイル:雷神
- アマル:龍神
- アンチャンチョ:山中の川にいる病の原因の悪霊
- イヤーパ:天候神
- インティ:アルゼンチンの国旗に描かれるインカ神話の太陽神にして絶対的権力者。
- ウルカグアリー:宝石と金属を司る鉱物神
- コン:太陽神と月神の子
- エケコ/エッケコ:家内安全・福の神、エケコ人形として有名
- サラママ/ザラママ:トウモロコシの女神
- スーパイ:死神、現代の民間伝承では鉱山を守護する鬼「スパイ男」と呼ばれ、日本では『遊戯王』の悪魔族、および死神官スーパイとして知られる
- チャスカ:黄昏・金星神
- コラニヤ:創造神・月神
- パチャカマック/パチャカマク:創造神、最初の人類を創造したとされるが、それっきり放置したため海に追放された邪神とされることもある
- パチャママ:地母神、龍神
- パリアカカ:創造神、水神
- ビラコチャ:創造神、文明神、近年のオカルト説では地球に文明をもたらした宇宙人とされる
- ママ・アルパ:豊穣の女神
- ママ・コチャ:海と魚の女神
- ママ・キジャ:月の女神
- ママ・ザラ:穀物の女神
- マンコ・カパック:神格化された王
- ヤナムカ・トゥタニャムカ:創造神
- ワカ:他国のマナやマニトゥと類似した神秘的な力
- ワリャリョ・カルウィンチョ:創造神、火神