概要
ウルトラマンネオス(パイロットフィルム版)とは、特撮作品『ウルトラマンネオス』の最初の映像化作品。
これまでのウルトラシリーズとは違う方法で1994年に企画がスタートし、テレビや映画での作品ではなく「イベントや出版物上でしか見られないウルトラマン」と称し、同年3月に『テレビマガジン』誌上の特集記事と熊本の三井グリーンランドのウルトラマンショーでネオスとセブン21をお披露目。
このころは『ウルトラマン80』以降ウルトラシリーズの放送はストップしており、『電光超人グリッドマン』やウルトラセブンのテレビスペシャル等を放送しつつも日本国外で制作されていたオリジナルビデオの『ウルトラマンG』『ウルトラマンパワード』の好評を受け、国産ウルトラマンのテレビシリーズを望む声が高まり、本企画は「最初はイベント事業や出版展開で子供たちに周知させて徐々に人気を盛り上げ、行く行くは1996年4月期のTBSの新番組である『ウルトラマン80』以来のテレビシリーズを実現させる」ことを目的としたものだった。これらの経緯から1995年に製作されたのが、このパイロット版ウルトラマンネオスであった。一般公開・販売はされず、当初は関係者のみが知り得る内容であったが当時のテレビマガジン7月号にて応募者全員サービスとして公開(応募者は金額分の為替を送る必要があったため、実質的には通販)した特別ビデオ『ウルトラ戦士スペシャルビデオ』にて、ほぼその全貌を知ることができた。
ウルトラシリーズ30周年となる1996年の放送開始を目指してテレビシリーズの企画が進められたが、TBSでは制作費のかかる特撮番組の枠の確保は困難となり、また『G』と『パワード』のテレビ放送の視聴率が振るわなかったことで実現には至らなかった。
頓挫したテレビシリーズの企画は、広告代理店の読売広告社からの提案を受けて準キー局であ毎日放送に向けてセールスされることとなり、『ウルトラマンティガ』として実現し結果的に平成ウルトラマンの放映へとつながった。
頓挫した『ネオス』の企画は平成ウルトラセブンのヒットにより2000年代に入りオリジナルビデオという形で日の目を見ることとなった。
ビデオ版の製作の過程でネオス・セブン21・ザム星人のデザインは少しばかり変更され現在では変更後のデザインがファンの間で浸透しているが、ビデオ版発表以前においてウルトラマン関連のVHSでパイロット版の映像が使われたりソフビ人形もこれに準じた物がビデオ版発表後の2000年代前半まで流通していたこともあって、ネオスといえばこのパイロット版というファンもいる。
現在では東映ビデオから発売されている「ウルトラマンネオスBlu-rayボックス」にて映像特典として視聴可能。
内容
内容としては、当時の最新ヒーローであるウルトラマングレートとウルトラマンパワード、そして初代ウルトラマンの3人による個々の名場面を振り返る総集編パートと、3人によって地球に送られたネオスとセブン21が怪獣ドレンゲランとそれを操るザム星人と戦う新撮パートに分かれている。
当時の最新ビデオ合成をふんだんに駆使し、セブン21の目を細める、ドレンゲランの首を伸ばすといった手法が行われた。
後に平成ウルトラシリーズの脚本を担当する小中千昭はパイロット版を鑑賞し、デジタル技術を取り入れているなどに「守りに入っていない」という印象を強く抱いたという。
映像内では一部『ウルトラマン80』の映像が流用されている。
あらすじ
ある夜、一筋の光が地球に飛来し町を破壊していった。それは地球征服を目論む凶悪なザム星人の侵略だった。
地球防衛組織GSGも壊滅し、もはやこれまでかと思われた時、光の国からニューヒーロー・ウルトラマンネオスが地球にやって来た。
ザム星人は怪獣ドレンゲランを操り、ネオスと戦わせる。ネオスが絶体絶命の危機に陥ったとき、もう一人のウルトラ戦士、ウルトラセブン21が地球にやって来た。
マグニウム光線とアドリウム光線の同時攻撃でドレンゲランを倒すネオスとセブン21。ザム星人は不気味に復讐を誓い去っていった。地球の危機は2大ウルトラヒーローによって救われたのだった。