概要
特殊部隊「サーカス(Thou-Cus)」が運用する「サウザンド・カスタム」シリーズの1機に数えられるモビルスーツ。パイロットはゴードン・ヌブラード。
ミノフスキー・エフェクトによる飛行機構を搭載しておらず、武装の特性上から、大気圏外戦闘用の拠点防衛機にカテゴライズされる。
宇宙空間でも有効な攻撃方法である「大質量物体を用いた質量弾」を主観に置いて開発された機体。
質量弾による攻撃についてまわる「弾切れ」に対する回答として、敵を捕らえて弾とするという奇策を用いる事で弾をほぼ無制限に作り出す事に成功しており、これによって高い継戦能力を発揮する。なお、宇宙世紀0120年代以降のミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉は、ビームの直撃を受けた場合、甚大な核爆発を起こすため、投擲した『質量弾』に対して敵機が下手に反撃を行った場合は、より強力な『小型核弾頭』となり、サーカスでも圧倒的な最大火力を発揮する。
本機のメイン機能は巨大な左腕部に集約されており、モビルスーツ1機を振り回すだけのパワーを有する他、Iフィールド・ジェネレーターを装備しビーム攻撃を無力化する事も可能など、この左腕自体がディキトゥスの小型版とも言える物となっている。
この左腕で敵を捕らえ、そのまま投げつける事で質量弾とする(その際、捕らえた機体のパイロットは腕を振り回した際のGで絶命する事になる)が、捕らえた機体を物理的・心理的な「盾」として使う事も可能。
奇想兵器たるサーカスの中で、特に敵の心理を突く事に長けた機体であるとも言え、その戦法は敵パイロットに対して「恐怖」を伝播させる。
このように本機は、運用思想は非常に豪快であるが、『捕縛』では“力加減”を間違えて敵機を握りつぶしてしまえばMSの誘爆によって左腕を(Iフィールドで防御できない物理衝撃によって)吹き飛ばされてしまい、『捕縛中』はIフィールドを稼働させるなどで質量弾(敵機体)を防御しておかねば、ビームの直撃による核爆発が生じた場合に自機もただでは済まない。
加えて「機動戦士ガンダムUC」においてビームガトリングガンを初取得した際のように、MSは(電子制御兵器では当然だが)、武装の弾着予測を機体に計算させるため、使用武装のデータをFCSにリンク(インストール)させる必要が有るが、『投擲』では弾頭の形状や質量が毎回異なることから弾道計算が不可能なため、戦闘機動を行っている敵機にパイロット自身のテクニックのみで命中させねばならい可能性が極めて高い。
よって、あらゆる面においてデリケートな操作を要求する超テクニカル機である。
なお、『地獄のメリーゴーランド』は「MSそのものを高速回転で投げつける」という攻撃方法のため、その分左腕の負担は大きいのは想像に難くない上、更に当然ながら敵機=スラスターで逃亡しようとする質量体を捕縛し続けるためには、ガラハド自体も反作用方向にスラスターを使用せねばならず(足裏にはアンカーやスパイクは無く、当然ながら無重力の宇宙空間では一層顕著にスラスターによる制御が必要)、短時間で大量の推進剤を消費する必然から、『質量弾』を用いる程に実際の戦闘可能時間はむしろ短くなっていく。このため、「高い継戦能力を発揮する」というのは、開発側が認可を得るために騙った机上論であろう。
(劇中では主に月面(低重力環境下)やコロニー内での接地状況で『質量弾』を使用しているため、パイロットのゴードンはこの仕様を理解していたと考えられる。)
右腕は宇宙世紀0150年代の規格に従っているため、同規格の武装を使用可能。
武装
ワイヤーアーム(左腕)
18m級と思われる本機に対して、さらに二回り巨大な左腕。
左肩とワイヤーで接続されており、射出して敵機体を掴みこんで『捕縛』する。捕縛後は、遠心力に任せて高速で振り回す「地獄のメリーゴーランド」によって敵パイロットを圧死させ、『投擲』することで質量弾とする(言うまでもなく、拘束しながら回転し投げるため、左腕パーツへの負担もその分多い上、接する足場の無い空中や無重力空間では、「地獄のメリーゴーランド」使用中は、連続的に反対方向の円周ベクトルを作り出すため、スラスターを吹かせ続ける必要がある事から、莫大な推進剤を消耗する)。
操作が極めてデリケートである事に加えて、その時代の主力機のゾロアットでさえセンサー有効半径は20,000mレベルに達しているため、ワイヤーおよび『投擲』の到達距離を考慮すると、運用状況の限定された補助武装と見なすべきである。
ファントムとの戦闘では15m級であっても推力が100,000kgをゆうに越えるミノフスキー・ドライブ搭載機をあなどり、「地獄のメリーゴーランド」を敢行してしまったことにより、完全に推力負けし、敗北を喫した。
――あるいは、接地脚に固定用のアンカーやスパイク機能や補助脚を備えてさえいれば、この勝敗は逆転していたのかも知れないのだが。
Iフィールド・ビームバリア
対ビームバリア。詳細はこちら。左腕に専用のジェネレーターが内蔵されている。
防御時に左腕を前面に掲げている事から、展開範囲は左腕前面のみと、ユニコーンガンダムのシールドに近い仕様となっていると考えられる。
自機の防御にも使用可能だが、むしろ『捕縛中』の敵機と左腕をビーム攻撃から守るために搭載されていると考えるのが論理的である。
チェーンソー・ガン
右腕用の規格武装。片腕で接近戦と射撃戦の両方を行うために、複合武装となっている。
射撃武器としてはマシンガンのように、小型のビーム弾を連射して弾幕を張るタイプ。
接近武器としては、ユニット外周に沿って小型のビーム刃が無数に発生し、この刃が高速周動することで、チェーンソーのように対象を両断する。ただし、人間の使用する刀剣類と異なり、ビームサーベルは超高熱粒子を接触させ続ける武装であることから、チェーンソー状の必要性は無く、むしろ粒子の接触時間短縮による威力低下を引き起こし、機構の複雑化は稼働率低下に繋がる。
ビームシールドに対して使用した場合、理論上はデスフィズのようにビーム刃を形成するIフィールドを対象のビームシールドのIフィールドに連続的にぶつける事で、“削り砕く”事が可能だが、この際に飛散する大量のメガ粒子によって、ユニット本体が損壊する方が早いため、事実上不可能である。
以上より、ビームチェーンソー機構は威嚇目的が強く、統合機であるグレゴには搭載が見送られている。
膝部サブアーム
膝に装備されたニースパイクが、多関節アームによって伸縮する“隠し腕”となる。
スパイクはビーム発振機を兼ねており、幅広のビームサーベルを展開可能。これを横方向に向ければ、機体上半身を覆うビームシールドとしても使用できる。
なお、当然ながらIフィールドと干渉するため、この武装を使用する際は左腕Iフィールドをカットする必要がある。
バリエーション
量産型ガラハド
機動戦士クロスボーン・ガンダムDUSTに登場した量産型のガラハド。頭部装甲の違い以外に外見に変更はないがパーツ精度の低下により若干の性能低下が見られる。基本性能が高いため力押しでも十分強力ではあるがパイロットの質の低下からその性能を完全に引きだせているとは言い難い。
劇中では「讃美歌の国」旗艦ケルベロス直掩のため量産型デスフィズと共に出撃したものの手練れのパイロットの搭乗したF89によって頭部を損傷し早々に敗走。その後の戦いでアンカーV3、ファントムV2改によって量産型デスフィズ共々撃墜されている。