概要
逃走中・戦闘中をはじめとするゲームを開催しているという設定の、多大な影響力を持つ巨大企業。この設定が登場する前から機械的な振る舞いでお馴染みだったハンターにアンドロイドという設定が加わったほか、ミッションや各種通知もここから発令されている、というもの。
由来
2007年に放送されていた深夜番組『クロノス』からその名が採られている。逃走中以外にも多くのコーナーを開催し、半年間続いた番組である。『ジャンプ!◯◯中』に吸収合併された期間を含めれば約1年間に及んだ。そしてクロノスのタイトルロゴや、番組開始時の「さあゲームをしよう」というテロップも、クロノス社のロゴや劇中での科白にほぼそのまま使用されている。
ゲーム開催までの道筋
- 舞台は2900年の月面。2500年、地球が人の住めない環境になった事で人類はここに移住し400年もの間過ごしていたのだが、なにしろ面積が狭く、コロニーを作って生活するも土地がないため、色々不便を強いられていた。
- 社内の若き天才科学者・月村サトシは、亡き母の意志をつぐ形で、コロニー内に子供が満足に遊べる十分な土地などを用意して住民の生活を豊かなものにするため、資金集めとしてエンターティメントゲームを開催することを考える。
- 社内にて莫大な予算を使い、ゲーム開催のための準備を進める。開催の予行練習に近い形で、ハンターの性能実験やゲームテストなどを繰り返す。既にこの時、観戦スタジアムに観客を大勢集めており、スタジアム外からのゲーム閲覧者も多く、実験段階ながらも多額の興行収入を上げていた。逃走者にそれぞれ倍率が設定されていた点からは、単なる観戦のほかにギャンブル興行も兼ねているようである。
ハンターX計画の発覚
- しかし一方で、社をあげてハンターを軍事利用する計画が大々的に進められており、実験段階の頃からビル外の電光掲示板で計画を堂々と発表していたにもかかわらず、月村はそのことを知らなかった。
- 実験は順調に進み、その末に、ついに本格的な第1回のスタジアム放映を開始。入念にテストをしただけあり、ゲームは順調に進むが、軍事利用を考える勢力も同時に動き始めたため、ゲーム内で不自然なトラブルが発生する。
- トラブルを解決するも、その犯人が月村の助手だったはずの望月ミレイだったこと、そして望月により裏で計画が進められていることを教えられ、ゲーム開催を繰り返しながら計画の犯人を突き止めようとする月村。ハンターの開発費のことを考えると、開催に失敗は許されなかった。
- こうした経緯から、月村は上司の高月ハンゾウの協力のもと、分析官として竹取カレンを新たにパートナーとして付けられる。竹取の分析により、遂にその「ハンターX計画」を知る。
- ゲームの妨害を指示していたのが幹部の1人有明リョージであることを知った月村たちは、有明を捕獲するため警備員を向かわせるが、有明はその攻撃を振りきって逃亡、そして幹部1人でこれだけの計画を立てるのは不可能だと感じた月村は、さらなる黒幕の存在を探ろうとする。
- ハンターX計画は、10万人の住民をハンターに改造して、月面全てのコロニーを侵略するものだった。しかし実行に移すにはハンターの起動方法を知らなければ不可能であり、そのカギは月村しか知らなかった。
- この一件で月村は、竹取の助言もあり、自身のネットワークに秘密裏にアクセスしたほか有明を取り逃した人物——高月が関わっているのではないかと疑うようになる。未来の高い技術で空間移動装置を携帯しているため、ゲーム内の空間にも入り込むことが可能で、月村と高月の探りあいが進む。
ハンターを巡る攻防と結末
- そしてついに月村が、高月を捕らえるために動き出した。しかしゲーム開催中に高月を追う最中、部下の警備員に裏切られて襲撃され、ゲームエリア内に監禁される。
- 月村を陥れた黒幕とは、クロノス社総裁であり、そして正体は協力していたはずの竹取だった。総裁として姿を隠す一方、竹取として月村に力を貸すフリをして、言葉巧みに高月との連係を分断し、無実の高月を疑わせて反目させ、油断した所を警備員に襲撃させ月村を監禁したのであった。
- 月村の持つ指輪とペンダントをペアにして使うことでハンターを起動できることを探り当てていた竹取は、監禁時にアイテム一式を奪い、ゲームを混乱に陥れながら、月村に計画の狙いを明かす。一刻も早く広い土地を手に入れなければ、狭いコロニーの中でやがて自分たちが滅亡してしまうこと、他のコロニーが自分たちを同じように狙っているかもしれないこと。そのためには手段を選んでいる場合ではなく、一刻も早く計画を始動させる必要があった。つまり、平和的な方法を探る月村と、侵略という方法を取る竹取の目的は、意外と共通点の多いものだった。
- 高月の機転によりこの状況を脱却した月村は、空間移動のためのコントローラを取り戻し、ゲームの維持と竹取捕獲のため、誤解を解いた高月と協力して竹取を反逆罪で警察に引き渡した。だが竹取はその際に、自分の意思に賛同する者がやがて現れてこの月を支配するだろうと言い残した。
- さらに竹取は、念を押して月村本人を物理的に始末するため、遠隔操作の鳥型自爆ロボットを月村に差し向け、瀕死の重傷を負わせる。月村はどうにか一命を取り留めるも、当分の間ゲーム開催が不可能になる。そこで高月は、自身の助手である水無月ユリエと共に、逃走中と同時に企画開発されていた新ゲーム戦闘中を開催する。
戦闘中以降
- 高月は、月村の上司でありながら、自身もまた戦闘中を開催するゲームマスターだった。そのためのアンドロイドである忍も製造しており、忍はハンターと同じ遺伝子を持つとされ、これと並び称される形でゲームを支えるコマとする。
- 治療を終えた月村が現場に戻ると、逃走中アルティメット開催の資料を高月より渡される。これは月村がかねてから開催を考えていた大規模な大会であり、ゲームのスケール全てをそれまでと比較にならない規模に引き上げるものだった。そして、高月と協力してこれをついに開催成功させる。
- しかしこの開催状況の一部始終を、社外から監視している男がいた。ヘリオス社というライバル企業の幹部に鎮座する者。その名は有明リョージ。かつて竹取に従い、ハンターX計画を進めていた男だった。竹取が全ての罪を被ってくれたおかげで活動を再開しており、彼女の意思を引き継いで今度こそハンターX計画を実行する為、クロノス社と月村に戦いを挑む。
- こうした対立が続く原因は、月のエネルギー資源の奪い合いが起こっている事にあった。竹取が言っていた「他のコロニーに狙われているかもしれない」という一言は、脅しでもなんでもなく、コロニー同士で戦争が既に起こっており、したがって、争いを避ける手段としてあくまで逃走中のゲームを開催するクロノス社と、侵略しなければ侵略されてしまうことを理由に軍事増強を図るヘリオス社が、自分たちの生き残りをかけた手段をめぐって対立することになった。
新たな計画
- ヘリオス社の有明によって、新たな計画が動いた。逃走中のゲーム開催が、軍事資金を集める為に有効だと気づいた有明は、クロノス社から逃走中の全てを奪い取ろうと考える。そのために、逃走中のプログラムにアクセスできる人間をスパイとして送り込んだ。
- クロノス社では、以前のような事件が二度と起こらないよう、高月によってゲームマスター候補生として2人の新人を月村の助手にした。朱月サクと青山シズカは、月村から逃走中のゲーム運営を懸命に学ぶ。候補生として学んでいた頃からずっと一緒だったこの2人は、そのまま順調に月村の新たな助手として磐石のゲーム開催をするはずであった。
- だが朱月こそ、有明が送り込んだヘリオス社のスパイだった。逃走中のゲーム開催を間近で観察し、助手としてプログラムにアクセスできるようになったことで、ゲームプログラムを密かにヘリオス社へと横流しを行い、それが程よく進んだところで、開催者の月村を拉致。こうしてヘリオス社単体でゲーム開催が可能になった今、資金調達を独占する為に、クロノス社にある逃走中のプログラムを消去しようとしていた。
- ニセ逃走者やその更なるダミーを作り上げるなど高度な複製技術を持つヘリオス社だが、ゲームのデータだけでは逃走中を乗っ取ることは不可能だった。ハンターそのものを生産する準備が必要だったので、ゲーム中にハンター1体をヘリオス社側に転送させる計画を実行に移す。朱月の体を張った活躍でハンター1号機は転送されたが、同時に最早用済みとなった朱月は、有明から端末のデータを抹消される形でヘリオス社から捨てられ、高月に身柄を確保される。有明は月村を始末しようとするが、攻撃をハンターに1度阻まれてハンターが故障。ならば修理してから複製しようとする有明に対し、月村はハンターの自爆装置を作動させ、計画を阻止。しかし月村本人は、有明の2回目の攻撃で致命傷を負っており、最早戻ってもゲームマスターを続ける事は出来ない状態となっていた。コントローラのテレポート機能で助けに来た青山をクロノス社へ逃がしたが自爆に巻き込まれ運命を共にする。自爆の光景を目撃した高月が即座にデータを調べるも、月村の生体反応は既に無かった……。
新ゲームマスター
- 月村の引継ぎを担う形となった青山は、高月の補助もあり引き続きゲームを開催し続けていた。そしてある日、月村の個人データを収集した際に新たなゲームプランを練っていたことを知る。新ルールでなおかつアルティメット並みの大規模な開催となるゲームプランだったが、まだ普通のゲームでさえ高月の助力を必要としていた青山にとって、それは荷が重過ぎた。だが、高月はそんな彼女の助けにと、新たなゲームマスターをすでに準備していた。その人物はなんと月村の兄、如月カケルだった。そして如月の元で逃走中が開催される一方、如月は自爆させたハンターを復元し、ゲームに投入させる。さらに、月村が構想していた10周年記念ゲームの存在が判明し、開催にこぎ着けることとなる。
- 2020年以降は青山シズカがゲームマスターとして就任。単独でゲームを開催しつつも、かなり辛辣だったり破天荒な展開を自ら生み出すなど、研修生時代の優等生な印象とは大きく違う彼女の一面が描かれ、多彩なミッションの背景を支えている。
逃走中グレートミッション
上記の本家における物語とは完全に独立しており、「未来の月面世界で観客を楽しませるゲームとして逃走中を開催している」「ゲームマスターが月村サトシである」という基本的な共通点しか存在せず、それ以外の一切が異なっている。
運営もゲームマスター単独で小規模な一室にて行なっているのではなく、機器類の並んだ大部屋に数人の専属スタッフが配置され、ゲームマスターを随時補佐する形で開催するスタイル。
この作品での逃走中とは、ハンターへの暴力行為さえ容認されるが、その分エリアにおいて容赦のない破壊活動さえ行なわれ、逃走者の安全が一切担保されておらず事前に全てを自己責任で承諾する必要のあるという、ともすればデスゲームに片足突っ込んだ感さえある、いわば大変に物騒なゲームである。そのようなゲームを開催している動機などは、少なくとも第4話までの経緯では明かされていない。
関連タグ
逃走中 戦闘中(クロノス) ハンター(逃走中) 忍(戦闘中) クロウ(戦闘中)
月村サトシ 望月ミレイ 高月ハンゾウ 有明リョージ 竹取カレン 水無月ユリエ 朱月サク 青山シズカ 如月カケル 有働レナ