概要
鮮新世後期(約250万年前)から更新世後期(約1万年前)の南米大陸に生息した、絶滅したアルマジロの仲間・グリプトドン科を代表する動物。属名は「溝のある歯」を意味する。
化石はアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ボリビア、ペルー、ブラジル、コロンビアから見つかっている。
近縁種にはドエディクルスやパノクトゥスなどがおり、一部は北米大陸にまで進出していた。
アルマジロの仲間だが、全長は約2.5~3mと遥かに巨大で、背中には小さな骨の板が集まってできた甲羅のようなドーム状の装甲板を背負っており、外見はむしろ亀や鎧竜に似ていた。
初期の種は装甲板の骨の結合がゆるく、現生アルマジロのように体を丸めて防衛の体勢を取れたが、グリプトドンなど後期の種は装甲板の可動性が失われ、丸くなることはできなかった。代わりに、亀のように手足や頭部を装甲版の中に引っ込めることが出来たようで、捕食者に襲われた際はそうすることで身を守ったと考えられている。尾の部分もリング状の骨製装甲板で覆われて棍棒のようになっており、しつこく攻撃する肉食動物にはこの尾を振り回して応戦した可能性がある
雑食性で昆虫や柔らかいものを食べる現生アルマジロとは異なり、発達した頬骨や生涯を通じて伸び続ける構造の歯を持っていたことから、主に草を食べる草食動物だったと考えられている。鼻先の構造からバクに似て筋肉質の長い鼻が発達していたようで、これを使い餌をかき集めたのかもしれない。
絶滅した理由としては、原始人たちが食用よりもその装甲板を盾などの武具や道具に加工するために乱獲したのが原因と言われているが、近年ではむしろ気候変動による環境の変化についていけなかった可能性が示唆されている。
実際、アリゾナ州で発見されたグリプトドン科の化石の周辺からはカピバラなど水辺を好む動物の化石も産出しており、カバのように半水生の動物だった可能性もあったため、環境の変化でそういった環境が喪失すれば大打撃となった可能性がある。
余談
絶滅したとはいえかつてこの地球に確かに存在したグリプトドンだが、何故か水木しげるによるイラストが存在し、「水木しげる妖怪図鑑総集編」などのゲームソフトや書籍では「妖怪」としてカウントされている。
日本国内では、『ドラえもん』の映画『のび太と雲の王国』にも登場している。