ケンプ「吸血頭脳獣、ゴアヅノーよ。お前を作った我が血に、平伏せ!」
CV:ノンクレジット
登場話数:第32話「ケンプ、血とバラの謎」
概要
美獣ケンプの強化に必要な血液を確保すべく、ドクター・ケンプが自らの血を元にして作り出した個体で、上半身を中心に、血管や筋組織が剥き出しになったかのような赤い体表と、下半身などに見られるスマートかつ無機質な黒い体表という、対照的な要素を備えた出で立ちが特徴である。
作中では、この赤い体表を隠すかのように黒いマントを当初羽織っていたが、Bパートに入ってからは終始脱いだ状態で活動に及んでいた。
右肩には針の付いた吸盤が備わっており、これを標的へ飛ばして吸着させることで、吸盤と繋がる管を通して相手の血液を吸い取ることができる。また、吸い取った血液を体内で特定の血液型へと変換する能力も備わっている。戦闘の際には、カプセルと一体化した右手のカッター、それに口から吐くビームなどを武器とする。
ある程度ではあるが人語による意思疎通も可能で、生成元である血液の持ち主たるケンプに忠実に従うという性質を持つが、一方でこれには思わぬ落とし穴があることが、後に判明するのである・・・。
作中での動向
βZO(べーたずぃーおー)マイナス型。
100万人に一人が持つ、この特殊な型の血液の持ち主が他ならぬケンプである。血液を吸収し、それを変換できる能力を持つゴアヅノーを生み出したのもまた、βZOマイナス型の通常では入手が困難という難点をカバーするためであった。
かくしてケンプの命を受け、各地で幼稚園を襲っては園児達から新鮮な血液を吸っていたゴアヅノーであったが、さかえ幼稚園にて駆け付けた勇介達にこれを阻まれたため、ジンマーをけしかけて応戦。自身は引き続き目的を遂行しようと園児に迫るが・・・ここで園児をかばったある保母の血液を吸い取った途端、ゴアヅノーが彼女に跪くという奇妙なアクシデントが発生してしまう。
その様子に当惑を禁じえないケンプは、ビームを浴びせてゴアヅノーを正気に戻し、ゴアヅノーもまたライブマンからの攻撃を受けながらもビームで反撃、その場から一旦退いてみせた。
ゴアヅノーの奇妙な行動の裏には、跪いた相手である保母・マイと、まだ月形剣史と呼ばれていた頃のケンプとの間の、ある出来事が大きく関係していた。
科学アカデミア在籍中、剣史はマイの新聞への投書を偶然目にし、バイオ技術によっていつまでも枯れずに咲き続ける、新種のバラ「ケンジローズ」を開発。病気の母親を元気付けたかったマイにこれを贈ったという経緯があった。
そして物語開始から遡ること4年前、実験中の薬品事故で剣史が大怪我を負い、前述した特殊な血液型ゆえに輸血にも事欠く状況の中、輸血提供を募るニュースでこのことを知ったマイは、ケンジローズの贈り主である剣史への恩返しのために自らの血液を提供。これにより瀕死の身にあった剣史も一命を取り留めるに至ったのである。
この経緯からも分かる通り、マイもまたケンプと同じβZOマイナス型の血液の持ち主であり、ヅノーベースへの帰還後にその事実を突き止めたケンプは、ゴアヅノーに改造を施す一方で自らマイを急襲。彼女の血液を奪おうとするが、そこに駆け付けた勇介に4年前の出来事を引き合いに出されて激しく動揺し、さらには殴り合いに持ち込むという天才らしからぬ振る舞いを演じた末に、またしても遁走を余儀なくされた。
他の幹部達からも嘲りや憐憫をかけられ、屈辱に燃えるケンプは「マイを渡さなければ子供達の血を死ぬまで吸い取る」との脅迫に及び、ゴアヅノーもこれに応じて現れたマイから血液を根こそぎ吸い取ろうと迫るが、ここでもすんでのところで勇介達からの妨害を受け、ケンプは二度ならず三度までも目的を阻まれる格好となってしまう。
かくして、海岸を舞台に両者の間で激闘が展開される中、ゴアヅノーはケンプと一騎討ちを演じるレッドファルコンの動きを背後から抑え、ケンプに止めを刺させようとするも、咄嗟の機転で攻撃を受け止められた上に、ゴアヅノーも投げ飛ばされた末にケンプもろともライブラスターによる銃撃を浴び、そのままファルコンブレイクとバイモーションバスターの連続攻撃で撃破された。
巨大化後も、ビームを放つなどしてライブロボ相手に善戦するも、相手の繰り出す新必殺技・ストロングクラッシュダウンの最初の餌食となったのであった。
後日、マイは日常に戻ったものの、その様子を遠くから見ていた勇介達は命の恩人でもあったマイを裏切ったケンプに対して怒りを露にしていた。
備考
デザイン担当者は不明(消去法で行けば森野うさぎと見られる)。「血液」がポイントとなることから、心臓や血管といった血液にまつわる要素が、アシンメトリーな形で身体に配されており、デザイン画稿からは吸盤の先端の形状や、マントの有無に関する添え書きも確認できる。
ゴアヅノーの登場エピソードである第32話は、ソウルオリンピック中継のため通常より30分繰り上げの17:30からの放送とされていた。ところが、放送時間の途中で昭和天皇の容体急変を知らせる臨時ニュースが差し込まれたため、巨大戦に入る直前のタイミングで番組は中断。再開した時には既にその回のストーリーは終了してしまっていた。このため、後日ローカル枠にて再放送するという措置が取られた。
登場回でケンプが恩につけ込む形でマイを生け贄にしようと目論んでいたが、のちにケンプ自身が皮肉にも師である大教授ビアスのために自ら生け贄となる末路を辿っていた。