「手術などして殺されてたまるものか!我がベビーが生まれるのも時間の問題!」
登場話:第31話「ママ!寄生怪物の叫び」
概要
ギルドスとブッチーが、ベガ星の宇宙動物の遺伝子を元に作り出した。胸部から出る触手の口から怪光線を放ち、浴びせた相手の体内に頭脳獣の赤ん坊を寄生させる能力を持つ。本来は凶暴な生物を誕生させて、宿主を殺させるという冷酷非道を働かせる予定だったようだが、作中のベガベビーは人間の心が反映されたため、温厚で無害だった。
他に、その触手口から出すビームや、同じく胸部から飛ばすトゲで攻撃する。
活躍
パトロール中の相川純一に怪光線を浴びせ、その後、お腹が大きくなって、病院に向かおうとする純一の乗る救急車を襲撃。逃げ出した純一は何も知らぬ通行人達に嘲笑されて悲嘆するが、腹の中から「ママ、私を殺さないで、私を嫌わないで」と訴える声を聞き、「ここにあるのも一つの生命」と悟って出産を決意する。そして光の玉が飛び出して、ベガベビー(CV:むたあきこ)が誕生した。
その様子を物陰から見ていて喜び、「やったぞ!ベガベビー、そいつらを殺してしまえ!」と期待していたが、ベガベビーは通りすがりの人々に化け物呼ばわりされて「自分はママの顔と違う」と落ち込み、まるで戦意を見せない。苛立ってベガベビーを攫い、「俺がお前の本当の親なんだ」と言い聞かせようとしても、ベガベビーは怯えて「ママ助けて!」と純一を呼ぶばかり。「この出来損ないめ!」と激怒して殺そうとするが、ライブマンが駆け付けて戦闘突入。純一に駆け寄ろうとしたベガベビーの背後からトゲを発射して瀕死の重傷を負わせ、ベガベビーは純一に背負われて逃げる途中で力尽きて死んでしまった。
怒りを爆発させた純一=グリーンサイとの一騎打ちになるも、叩きのめされてバイモーションバスターで爆散。ガードノイド・ガッシュのギガファントムによって巨大化し、トゲやビームで攻撃したが、ライブボクサーのピストンパンチで吹っ飛ばされ、ミラクルビッグブローで敗れ去った。
余談
この第31話は「男性ヒーローが妊娠する」という、ある意味伝説的ネタ回のように思われているが、実際はライブマンの基本テーマである「命の尊さ」を強く訴えているストーリーである。同時に、特撮では王道の「異生物との交流と悲しき別れ」も描いており、純一に背負われて彼の歌う「こんにちは赤ちゃん」を聞きながら静かに息絶えるベガベビーの姿は涙を誘う。
また、子供向け番組なのでそこまで狙ったかは定かではないが、望まぬ形で妊娠し、その子の処遇をどうするかで苦悩する純一の姿は人工中絶問題を暗喩しているとも取れる。
さらに、事情も知らないのに純一の大きなお腹を見て嘲笑したり、ベガベビーの姿を見て「化け物だ!」と逃げ出す人々の姿は、第14話「ナベ男勇介の叫び」でも描写された、「ライブマンが命を懸けて戦って守っている大衆の身勝手な残酷さ」を示すものでもあった。
こうして見ると、決して本話はネタ回ではなく、いろいろな重いテーマを含んだライブマンらしい回だったと言えるだろう。
余談だが特撮ヒーローで「男性が妊娠する」話はブルースワットにもある。
全体のデザインのモチーフは特に決まっていないが、デザイナー曰く「腰回りのうねうねは『超人バロム・1』のノウゲルゲをモチーフにした」とのこと。
関連タグ
アンコウネジレ:電磁戦隊メガレンジャーに登場する怪人。『自分と同族の怪人の子供を殺害したことで、その子供を可愛がっていた戦隊メンバーの怒りを買ってしまいそれが敗因となった』『登場回の前後が追加戦士の初登場回』という点が共通している。
ケダリー:32年後の1時間違いの世界に登場する敵組織の幹部。ベガベビー同様、主人公サイドの人間を宿主として誕生したが、こちらは宿主の性格を引き継いでいない邪悪な存在として誕生し、そのまま討伐された。シリーズ構成および該当回の脚本家がライブマンの大ファンであることから、この回のリスペクトだったのかもしれない。