ジン・アーソ
じんあーそ
演:フェリシティー・ジョーンズ/吹替:渋谷はるか
ジン・アーソはSTARWARSのスピンオフ作品である映画ローグ・ワンに登場するキャラクター。同作の主人公でもあり、シークエル三部作の主人公であるレイに続く女性の主人公である。
実父はあのデススター開発の中核を担った天才科学者ゲイレン・アーソ、養父はクローン戦争から抵抗運動を展開する生粋の過激派反体制主義者であるソウ・ゲレラという大物であり、彼女も無法者の一人ながら銀河史上に残る英雄的活躍を遺した勇猛な女性である。
多難だった幼少期
クローン戦争中、父が企業の研究者として赴任していた惑星ヴァルトで生まれる。父ゲイレンはカイバークリスタルのエネルギー増幅に関わる研究の第一人者、母ライラはフォース感応者ではないがフォースを信仰していた。一人娘だったジンは両親に可愛がられ、特にゲイレンからは愛情を込めて「スターダスト」と呼ばれていた。
ジンが生まれて6ヶ月後、ゲイレンの才能を欲した独立星系連合が惑星ヴァルトに侵攻、これを受けて共和国工兵隊の少佐でありゲイレンの古くからの友人であるオーソン・クレニックが救援に駆けつけ、アーソ一家は惑星コルサントに移住する。その後、ゲイレンの勤務する企業の命を受け惑星ロコリに移住するもまたも独立星系連合の侵略を受け、再び生命の危機に瀕するもクローン戦争の突然の終結により独立星系連合のドロイド軍が一斉停止したためまたも難を逃れる。
このようにジンの幼少期から激動の戦乱に飲み込まれていたが終戦と同時にゲイレンがクレニックの誘いに応じて最高機密プロジェクトに参加することで一応の安住の地を見つけ、アーソ一家は再び惑星コルサントに移住する。しかし、ゲイレンは自らの研究が惑星を破壊する超兵器に使われていることに感づき、家族を連れてコルサントを脱出、辺境の惑星ラムーに身を隠す。
両親との別れとソウ・ゲレラとの生活、そして一匹狼へ
惑星ラムーでも隠遁生活を始めて4年、監視に当たっていたドロイドからクレニックの来訪を告げられたゲイレンはライラとジンに事前に決めた手順に従い身を隠すよう指示、古くからの知り合いであるソウ・ゲレラに救援を要請する。しかし、夫を帝国に連れていかせまいとするライラはカイバークリスタルのお守りをジンに託すと単身クレニックに向かっていき、射殺されてしまう。ゲイレンはそのままクレニック配下の兵士に連れ去られてしまい、遺された幼いジンは避難用の秘密シェルターに一人身を隠し、救援に駆けつけたソウに助けられた。
ソウのもとに身を寄せたジンは彼の養女となり、戦闘要員として訓練を重ねる。ソウの厳しい訓練に見事耐えたジンは優秀な女戦士となり、ゲレラ一派の中でも有力なメンバーとなったが、実の父が帝国に属する科学者であることに目をつけた他のメンバーから人質としての利用する危険が生じたため、ソウは断腸の思いでジンを置き去りにする。この時ジン16歳。置き去りにされたことはジンにとってショックだったようで、以降ジェダで再会するまで一度も連絡を取らなかったようだ。以降、5年に渡り様々な犯罪に手を染めながら生活し、その罪状で惑星ウォバニの強制収容所に収監されていた(なお、この際はリアナ・ハリクという偽名を使っている)。だが、脱走した帝国軍パイロットを送り出したゲイレンの娘であり、なおかつ反乱同盟に与しながら深刻な人間不信に陥っていたゆえに総司令部との連携を拒否していたゲレラに対する切り札として反乱同盟軍の特殊部隊に救出される。
父親との再会と別れ
当初は反乱同盟の唱える民主主義などの大義には興味を示さなかったが、実に13年間も消息が不明だった父親の名前が出たことで反乱同盟軍に協力することを決意。キャシアン・アンドー大尉と彼の相棒である帝国製警備ドロイドK-2SOと共にソウが潜伏する惑星ジェダに向かい、彼と面会。そしてゲイレンからの秘密メッセージを見せられ、彼が変わらず自分を愛してくれていることと彼が自分の関わっている超兵器に密かに弱点を仕掛けていることを伝えられる。しかしゲイレンからのメッセージは直後のデススターの試射実験の混乱で失われ、ソウも地殻の崩壊に巻き込まれ死亡。ジェダから脱出した一行でゲイレンのメッセージを見たのはジンのみという厳しい状況におかれる。結局話の真偽を確かめるべくゲイレンが幽閉されている惑星イードゥーに向かうが、その際キャシアンが狙撃銃を持って「偵察」に向かったことをK-2から漏らされ、彼の真意に気づく。惑星を覆う嵐を潜り研究所に向かうが、キャシアンによる中止要請も虚しくイードゥーの研究施設に対する反乱同盟軍スターファイター隊の攻撃が開始されてしまう。警報が鳴り響く中、彼女はゲイレンの姿を見つけると「父さん!」と叫んで彼の前に姿を現す。しかし直後反乱同盟軍の爆撃が近くで炸裂しジンは衝撃で失神、ゲイレンも瀕死の重傷を負ってしまう。意識を回復したジンはシャトルで逃げ出そうとするクレニックを追おうとするも僅差で逃げられてしまう。地面に伏しているゲイレンに駆け寄ったジンは13年振りの再会を喜ぶが、もはやゲイレンの生命は消えかけていた。
「私のスターダスト...話したいことが、山ほど...あるん、だ...」
そう呟くとゲイレンは息絶え、ジンは最愛の父の死に慟哭した。
「ローグ・ワン」結成
キャシアンに父の亡骸から強引に引き離され、盗み出した帝国軍のシャトルでイードゥーを脱出したジンは船内でキャシアンに詰め寄るが、長く後ろ暗い任務に従事しているキャシアンは「常に選択肢が用意されているわけではない」という事実をジンに叩きつける。ジンもそれに反論することはできなかった。
総司令部に帰還したキャシアンとジンはことの顛末を報告し、今後の方針について他のメンバーと激論を交わす。しかし、ゲイレンのメッセージを見たのがジンのみだったことによる根拠の不足、もしゲイレンの証言が正しかった場合でも反乱同盟軍の勝算のなさから総司令部は開戦を回避するメンバーが多数となってしまい、父の遺志を継ぎデススターの破壊を目指すジンは孤立してしまう。
しかし、キャシアンを筆頭にこれまで反乱同盟軍の後ろ暗い任務を請け負ってたメンバーはジンに同調し、総司令部の指揮下を抜け独自に行動することを決意。なお、この際部隊の指揮権を与えるため、同調したメンバーの一人であるタイドゥ・セフラ中尉の一存で軍曹の階級を与えられ、正式に反乱同盟軍のメンバーとなっている。
また、デススターの設計図を求め惑星スカリフに向けて出発する際、押収した帝国軍貨物シャトルを起動する際に管制官に咎められコールサインを求められ当惑するボーディーに対して「適当に答えて!」と彼女が急かした結果、ボーディーがとっさに出した「Rogue=はぐれもの」を使った「ローグ・ワン」が誕生。これが彼女たちのコールサインになり、ひいては部隊名となった。
スカリフの戦い
スカリフに到着するに際し、自ら志願したとはいえ無謀な作戦に動揺する隊員たちにかつてソウに教えられた「おそれを知らぬ戦士に尖った棒があれば無敵だ」という警句を用いて激励。着陸後はシャトル内に入ってきた着陸クルーの装備を奪い、同じく監査官に扮したキャシアンとK2と共に設計図が保管されている帝国安全管理施設に潜入する。他のメンバーによる陽動作戦により敵の注意が基地の外に向いたおかげで特に大きな抵抗もなくデータ保管庫に侵入し、膨大なデータの中からデススターの設計図を探し始める。開発コードネームで総当たり式に調べていく中、自分の愛称であったスターダストというファイルを発見。彼女の勘は的中し、デススターの設計図を無事に発見した。だが、発見と同時に保管庫の外での銃撃戦によりシステムがダウン。ジンとキャシアンは自力で保管庫内のタワーを登り設計図を手に入れる。だが喜ぶのも束の間、保管庫に部下を引き連れたクレニックが到着し二人に銃撃を加え、キャシアンが落下してしまう。ジンはキャシアンの安否を心配しつつタワーを上り続け、最上階にある送信用アンテナを起動する。途中アンテナの再起動作業中にTIEファイターの銃撃を受け崩壊した床から落下寸前になったこともあったが、アンテナを送信可能状態にすることに成功。しかしここでジンを追いかけてきたクレニックに銃を突きつけられる。父と母の仇であるクレニックに対し自分が二人の娘であることを明かし、クレニックの敗北を宣言する。なおも足掻こうとするクレニックだったが、駆けつけたキャシアンの銃撃で倒され、ちょうど同じ頃軌道上では惑星シールドが破壊されたことから軌道上の艦隊への送信が可能になったこともあり、ジンはデススターの設計図を艦隊に送信。無事に設計図のデータは軌道上の艦隊に送られた。これに対して反乱同盟艦隊を指揮しているラダス提督は「やってくれたか!」/"She did it !!"と快哉をあげた。
ジンは重傷で歩くこともままならないキャシアンを助けながら昇降機で地上に帰還、デススターによる惑星スカリフへの砲撃による逃れられない死が迫る中、砂浜でキャシアンの傍らでしっかりと彼の手を握り、堅く抱擁したまま爆炎に呑まれ生涯を閉じた。
死後
そしてジン・アーソとローグ・ワンや多くの反乱軍兵士が犠牲となって手に入れたデス・スターの設計図はレイア・オーガナの決死の脱出によってスカリフ星系から持ち出され、やがて新たに反乱軍に加わったルーク・スカイウォーカーという若者によってデス・スターはヤヴィンの戦いで破壊される。
その後、反乱同盟軍はスカリフ及びヤヴィンの戦いで多くのパイロットを失い壊滅した3つのスターファイター中隊を元にルークをリーダーとした新たな中隊を再編。この部隊はローグ・ワンが果たした活躍と払った犠牲への敬意を表し、ローグ中隊と名付けられた。
そのためルークはジンとは全く面識のないことになるが、ローグ中隊は同盟軍(及び後の新共和国軍)屈指のエース部隊としてその後の帝国との戦いでも大きな役割を果たしていく事になる。
- STARWARSシリーズの主要キャラでありながらキスシーンが全くない珍しいキャラクターである。そもそも夫婦であったりや恋人がいるパドメやレイアはともかくとして、敵を欺く演技とはいえアソーカも意中の相手とキスをしたことがあり、シークエル三部作でも主人公であるレイはともかく、フィンもキスされているのに対し、ジンはそれらしいシーンどころか恋愛要素のあるシーンはほとんどない。同じくスピンオフ作品1作しか出てないキーラは幼なじみのハンとイチャコラしてるというのに...
- 対して肉弾戦にはめっぽう強く、ゲレラ一派と帝国軍の戦闘に巻き込まれ帝国軍と戦うことになった際にはジンを心配し援護に回ろうとするキャシアンを尻目に同盟軍基地で失敬したブラスターに加え携帯式棍棒で向かってくるストームトルーパーを何人もボッコボコにしており、キャシアンを唖然とさせた。
- ちなみに映画「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」ではレジェンズの格闘ゲーム等で語られていた格闘術「テラス・カシ」が言及され正史入りするのだが、ジン・アーソもソウ・ゲレラからこの格闘術を学んでいたと設定された。
- 映画「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」の小説版ではラストで盗賊エンフィス・ネストがソウ・ゲレラと対面するのだが、その際にゲレラのもとに身を寄せていた少女時代のジンと出会っている。エンフィス自体、反体制派の人物なので同じく反体制派のゲレラと繋がりがあってもおかしくはないのだが、エンフィスは自分の正体もあってジンのことは気にかけていたようで、彼女にいくつかアドバイスを与えている。
- 愛称である「スターダスト」は物語中でもキーワードになる重要なフレーズであるが、日本語に直訳すると「星屑ちゃん」...まあイメージとしてキラキラ輝いているのは伝わるのだが、ダスト=塵という連想から、一部のファンからはどういうことだってばよ?と首を傾げられている。
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