概要
スシシスターハンターとは、シスターで寿司屋のヴァンパイアハンターが寿司の力で吸血鬼と闘う物語である。マジだからね?
本作はVtuberやコラムニストとしても活躍しているマシーナリーとも子氏が少年ジャンプ+の新人インディーズ枠であるジャンプルーキー!にて掲載していた作品であり、人気を博したことから正式にジャンプ+枠にて連載が開始された。
全20話にて完結。
本作の特徴は属性を盛りに盛った無茶苦茶な設定と、その設定全てに整合性を与えた極めてロジカルな作風にある。また、設定で腹筋を破壊されるので見過ごされがちだが、吸血鬼との戦い自体は死屍累々のガチバトルであり、冷静に見れば非常にシリアスな内容となっている。絵は荒削りで読む人を選ぶタイプだが、テンポのいいストーリー展開ととも子氏ならではの個性的な台詞回しが光る娯楽作品となっている。
ちなみに、本作の連載が開始されたのはあの「タコピーの原罪」が最終回を迎えた日であり、タコピーの残した感動に浸っていた読者の眼前に「スシシスターハンター」というパワーワードが叩き付けられることとなった・・・
ストーリー
東京・池袋に一人のシスターが現れた。
彼女こそはスシシスターハンター。シスターで寿司屋のヴァンパイアハンターである。
池袋を中心とした連続吸血鬼事件を追うスシシスターハンターは、日本人の信仰の源である米を武器に吸血鬼と闘うのだ!!
・・・うん、まぁ分かるよ?そういうストーリーだからね。
でも・・・でもだな・・・野暮かも知れんけど・・・米がもったいない!!
登場人物
スシシスターハンター
池袋にやって来たシスター寿司屋。シスター帽子を被り白い作務衣に身を包んだメガネっ娘ヴァンパイアハンターである。普段は出前専門の寿司屋「シス寿司」を切り盛りしているが、吸血鬼絡みの事件が発生すると寿司桶片手に吸血鬼狩りに赴く。攻撃方法は相手に酢飯を叩き付けること、寿司を食わせること。以上。
何から何まで冗談みたいな存在だが、彼女が寿司を武器に闘っているのには理由がある。通常の吸血鬼ならいざ知らず、日本人が変異した吸血鬼はキリスト教の影響下にないため、十字架も銀の弾丸も通じないのである。そこで、米の出番。日本人の食文化の基本となっている米は言わば日本人の信仰そのものであり、これにヴァチカン仕込みの赤酢(イエスの血に見立ててる)を加えることで対吸血鬼用の寿司に仕立て上げているのである。この銀シャリをぶつけられた吸血鬼は”米がもったいない”という罪の意識に苛まれ、苦しんだ末に最期は爆発四散してしまうのである。
何もかも滅茶苦茶だが、彼女自身は江戸っ子気質のさばけた好人物。板前としての腕もいいようだが、味わった相手は大半が死ぬのでなんとも言えない。
仕事柄、修羅場を潜ってきたためか肝っ玉も据わっており、吸血鬼の悪事を決して許さぬ気骨の士である。一方、人間とは思えないほどタフな身体の持ち主であり、色々と謎が多い人物。
洗礼名はシスター・ヴォルデンベルグ。本名は・・・
ミナ警部
池袋署に勤務しているメガネっ娘警察官。それとは知らずに吸血鬼絡みの事件を追っていたことからシスター・ヴォルデンベルグを殺人犯と誤解して逮捕したが、部下の一人が吸血鬼化したことで部署のメンバーを皆殺しにされてしまい、否応なしに吸血鬼との戦いに巻き込まれてしまった。さらにその後実妹をも吸血鬼化により亡くしてしまう。それらの事件で共闘したことからヴォルデンベルグと腐れ縁が生まれたが、生来真面目な常識人であったので必然的にツッコミ役に回されてしまった。スゴ腕のガンマンだが、愛銃は何故かワルサーP38。
シスター・メアリー矢野
シスター・ヴォルデンベルグが勤めている聖エイブラハム池袋教会に厄介になっているシスター。聖エイブラハム池袋教会にはヴォルデンベルグが板前をしている『シス寿司』が併設されており、吸血鬼の被害を受けたメアリーは治療のためにシス寿司に通っている。普段は通常のシスターとして働いており、料理も得意だが、流石に寿司までは握れない。
シスター・エリザベス
『シス寿司』の仕入れを担当しているシスター。吸血鬼との戦いによる戦傷で左手を失っており、パイルバンカーを内蔵した機械義手を装着している。このパイルバンカーは銀をメッキされた対吸血鬼用兵器であり、レベルの低いヴァンパイアなら一発で倒せる代物だが、肉体構造を自在に変えられる上級眷属には通用しない。
シスター・モリス
アメリカから助っ人にやって来たシスターで寿司屋のヴァンパイアハンター。本名はモリス錦糸森嘉。ちらし寿司でバンパイアを屠るスタイルのスシシスターであり、シスター・ヴォルデンベルグを何かにつけてライバル視している。巨乳で身長も高くて体格ががっしりしている、いわゆる恵体の持ち主。
ヴァン・ヘルシング
作中の設定では「19世紀初頭にドラキュラ伯爵を倒した伝説のヴァンパイアハンター」であるオランダ人で、服装から聖職者である模様(元ネタの『吸血鬼ドラキュラ』では大学教授で舞台も19世紀末)。そして寿司による吸血鬼退治及び江戸前寿司そのものの創始者。
長崎出島にて吸血鬼の一種である河童退治のためにかっぱ巻きを生み出し、その功績から江戸幕府に招聘され日本人の吸血鬼化を予防・根絶するため寿司を発明した。
有村椎
回転寿司のチェーン店「カルン寿司」を経営する女性CEO。東京の老舗寿司屋に次々と閑古鳥を鳴かせている侵略経営者である。その正体は吸血鬼であり、池袋周辺の吸血鬼事件の大元である。とある理由から寿司文化そのものを嫌っており、悪貨で良貨を駆逐するが如く回転寿司経営を展開している。
可愛らしい見た目とは裏腹に性格は悪辣そのもので、人の生命を平気で踏みにじる腐れ外道。
ちなみに有村は偽名であり、名前をローマ字変換して並べ替えると・・・
シュレック
超高層ビル「ムーンライト666」の所有者にして高級焼き肉店「条承苑」を経営する美人実業家。その正体は池袋に現れた第二の吸血鬼であり、焼き肉を食べに来た客を殺してその血をすする冷酷非情な輩である。ヴォルデンベルグに敗北し灰となった有村の残骸を回収しており、真意の掴めない活動を展開している。ちなみにシュレックは偽名であり、本名は別にある。自分が無名なのを気にしており、そこをつつかれると途端に激怒する。
呉地
シュレックの眷属にして「条承苑」のシェフを担当している吸血鬼。マンイーターのように人間のハラワタを貪る大変に悪趣味な怪物だが、その甲斐あってホルモンを見る目は卓越しており、「条承苑」を繁盛させている。妙な可愛げのある元気娘だが、悪い意味で純粋な性格をしており、シュレックのためならどんな残虐非道もやってのける。
タチ
有村椎の眷属。彼女をお姉様と呼び慕っていたが、有村の敗北後は行き場がなくなりシュレックの配下になった。上級眷属と呼ばれる変身能力を持った怪人であり、体を鋼のように硬質化させることで全身を刃物に変えられる。真面目だがドジで抜けており、本作では珍しい憎めないタイプのズッコケ悪役。
カオ
池袋近辺に根を張る華僑のボスにして、道術を操るキョンシー。元は真っ当な道士だったのだが、不老不死に魅せられ自らもキョンシーと化し、池袋北口を根城に数十年に渡って勢力を拡大してきた。中華料理店の元締めでもあり、本格中華のフードコートも展開している。他の吸血鬼と違って、表向きは人類との平和共存を掲げている。だが、彼女もまた独善的な怪物であり、幾人もの人間を殺してはキョンシーに変えている。
ヤン
アメリカからやって来たキョンシー。カリフォルニアのリトルチャイナを根城にしていたがシスター・モリスに手勢を壊滅され、カオを頼って日本に逃げてきた。普段は漢方薬局を営んでいるが、客に血をよくする漢方を処方して”食べ頃”になった時を見計らって襲いかかるという悪辣な輩。
輝嘴
シュレックの眷属の一人。上級眷属であり、鶏に変身することができる。普段は焼き鳥屋を経営している。