これは、ぼくときみの最高にハッピーな物語──
概要
少年ジャンプ+にて毎週金曜日に連載されていた漫画作品(2021年12月10日〜2022年3月25日)。短期連載作品で全16話、コミックスは上下巻で発売されている。作者はタイザン5。
また、2024年12月10日にはアニメ化が発表された。
星雲賞
2023年には様々なSF作品がノミネートされ、その中から部門別で受賞作品が決まるという「星雲賞」のコミック部門にノミネートされた(同じ部門では『ゴールデンカムイ』『Dr.STONE』などもノミネートされている)。
あらすじ
地球にハッピーを広げるため降り立ったハッピー星人タコピーは、笑わない少女しずかちゃんと出会う。どうやらその背景には学校のお友達とおうちの事情が関係しているようで…!?
ここまでだと、孤独な少女と地球外生命体が絆を育む、王道にも思える内容である。
しかし、実際にはいじめや毒親、家庭内暴力といった生々しい描写で読者の心をこれでもかと抉ってくるハートフルボッコストーリー。それだけに留まらず、各登場人物の視点から描かれるストーリーや子供特有の視野の狭さや無垢さ、価値観のすれ違いなどを可愛らしい絵柄で描く事で物語により一層な深みを与えており、じわじわと人気を集め始めている。
そのため、いじめなどの経験者には無理におすすめできない作品でもある。たとえ耐性があっても辛くなる場合があるので、読む時は自分のペースを大切に。
特に2021年の年内最後に更新された第四話では「タコピーの原罪」の本当の意味が明かされ話題になった。年越し前になんて爆弾を…。
登場人物
CVは上巻発売記念PVでのもの。
「ぜひともお礼をさせてほしいっピー!!」
CV:間宮くるみ
「ハッピー星」から来たハッピー星人。宇宙にハッピーを広めるための旅をしており、地球に降り立ったという。
「タコピー」というのは本名ではなく、しずかちゃんがタコっぽい見た目から名付けたもの(本名は「んうえいぬkf」と聞こえるが、地球の言語に翻訳できないものだった)。
自分の恩人であるしずかちゃんがなかなか笑わないことから、彼女に笑ってもらえるようにハッピー道具を活用していく。明るく素直な性格だが、地球のことはまだまだ勉強中で勘違いも多い。
自分ではなく愛犬に向けられたしずかちゃんの笑顔にモヤモヤしたりと、淡い恋心を抱いているような描写も見られる。
「チャッピーがいれば私は大丈夫 何があったって平気なの」
「どんな痛いことやつらいことだって…」
CV:上田麗奈
フルネームは「久世しずか」。タコピーが地球で初めて出会った女の子で小学4年生。黒髪セミロングでくたびれた服、素足にスニーカーを履いているのが特徴。
学校ではいじめを受けており、その主犯格であるまりなちゃんには会う度に(多くは母親関連の)暴言を吐かれ、顔や体に怪我をすることも少なくない。
母親と飼い犬「チャッピー」と暮らす。だが、母親には仕事で構ってもらえず、父親が置いていったチャッピーだけが心の支え。学校では無表情がちな彼女も、チャッピーの前では可愛らしい笑顔を見せている。
「謝って♡」
しずかちゃんの同級生でいじめグループのリーダー。フルネームは「雲母坂まりな」。額を出したロングヘアの女の子。
小学生とは思えない悪口や暴力でしずかちゃんをいじめているが、彼女自身の家庭もかなり険悪になっている。その理由は…。
「僕にできることがあったら何でも言ってよ」
しずかちゃんの同級生。眼鏡をかけた男の子。数少ないしずかちゃんの味方でよく気にかけてくれる。
真面目でしっかり者のようだが、母親から優秀な兄「潤也」と比較されており、強いコンプレックスを持っていて自責の念が兄の姿を取って彼を苛むレベルにまで追い詰められている。
東くんの兄で高校生。明るく人気者で、常に成績もトップという非の打ちどころのない存在。それ故に母親からは目を掛けられており、真面目な弟を気遣う優しい性格に育ったが、それが東くんを更に苦しめていることには気付いていない模様。
しずかちゃんの母親
本名は不明。しずかちゃんやまりなちゃんの発言から夜の仕事をしていると思われる。
学校の給食費は未納で、しずかちゃんのランドセルがボロボロでも気にしないなど、娘に対する関心はほとんど見られない。
ある意味では全ての元凶とも言える。
ハッピーママ
タコピーの母。タコピーにハッピー道具を授けると共に「決して異星人に道具を委ねてはならぬ」という掟を破らないよう念を押していた。全体は写っていないがキラ星のように光る吸盤が付いたタコ足だけ見えている。恐らく女王アリのような存在だと考えられる。
ハッピー道具の紹介だっピ!!
パタパタつばさ
空を自由に飛ぶことができるアイテム。夢のある道具だが、しずかちゃんは無関心だった。それどころか、人間が使うと重量オーバーですぐにバッテリー切れを起こすのが難点。
ハッピーカメラ
一見普通のカメラで保存できる写真も一枚だけだが、前に写真を撮った瞬間に戻ることができるチートアイテム。実はタコピーすら思い出していない隠された機能があるようで…。
仲直りリボン
小指同士をつなげることでどんなに遠くでも仲直りができるアイテム。とても頑丈でどこまでも伸びると知り、しずかちゃんも興味を示したらしく…。
お花ピン
頭に指すことで周りから「ハッピー花」に見えるようになるアイテム。タコピーがしずかちゃんと学校に行くために使うが、実際にはドクダミに見えている様子。
へんしんパレット
体の一部を取り込んでスイッチを押すとその人の姿に変身することができる。だが、タコピーは変身しても語尾の「っピ」が抜けず、違和感を持たれやすいのが難点。
思い出ボックス
中に入れたものをそのままで保存できる便利グッズ。ボタンで大きさも変えられるため、ある場面で大活躍を見せている。
大ハッピー時計
いつでもどこでも時間旅行ができる優れものだが、ハッピー星に安置されているらしくハッピー星に帰れないタコピーは使用できない。
アニメ
2024年12月10日にテレビアニメ化が発表された。
関連イラスト
関連動画
公式PV
『特別映像:タコピーといっしょ』
アニメ化解禁PV
関連タグ
- 金曜日の金!暴力!SEX!:当作と同じく金曜日に更新される頭おかしい(褒め言葉)WEB漫画たちの総称で、当作はこの中の暴力の座に位置する。
- きらきら星:上巻発売記念PVでのBGM。
- タコピーの漫才:公式によって出されたエイプリルフールネタ
- 一ノ瀬家の大罪:作者の次作
usersタグ
関連作品
■『ドラえもん』
「いじめられっ子を不思議な道具を持った不思議な存在が助けようとする」という点は似ている。ただし、ドラえもんと違ってタコピーは本質的に人間を理解していないので、根本的な問題解決が図れず、ハッピー道具もその場しのぎに使われているだけで何ら事態を好転出来ない。ある意味、「価値観の相違がもたらす悲劇」を描いている点では藤子・F・不二雄氏のSF短編に近い作風である。
それもそのはず、ロングインタビューで明らかになったことによれば、この作品を描いたきっかけは「陰湿なドラえもんをやりたい」という悪意たっぷりなコンセプトを思いついたかららしく、ヒロインの名前も恐らく確信犯。
■『進撃の巨人』
言わずと知れたダークファンタジーの大ヒット作品。進撃第1話が「二千年後の君へ」なのに対してタコピー第1話が「2016年の君へ」、張り巡らされた伏線・考察案件の多さ、一部のキャラが時を越えられる設定、どう進んでいっても救いが一向に見えない鬱展開、どちらの作品の主人公も当初は強大な悪に立ち向かっていき、読者の共感を得られる存在だったのに大義名分のもとでいつの間にか悪役へと変貌している構図など、類似点が多々ある。
そのためコラボイラストも投稿され、特にタコピー第13話「タコピーの原罪」の公開時にはTwitter上で「タコピー、エレン・イェーガー説」、「これはタコピーが始めた物語だろ?」、「諫山がこれ読むとき手叩いて喜んでそう」などと話題になった。
■『新世紀エヴァンゲリオン』=「貞本エヴァ」
上記の『進撃の巨人』同様、張り巡らされた伏線・考察案件の多さの他、様々な不幸を抱えた子供など、類似点が少なからずある。
一部のユーザーから「タコピーは貞本エヴァへのリスペクトが入った漫画作品ではないか」と考察されている。
■『淫獄団地』
タコピーを読んだ後の鬱状態に耐えられなくなった読者の多くが心の安定のために読んでいる変態人妻漫画(どちらも更新日が金曜日で、タコピーが深夜0時の更新なのに対して淫獄団地が正午前の更新のため)。「家庭内の不和や社会の闇に苦しまされる人間を描く」という意味では似通っているが作風は真逆である。「目の前の辛い現実に無理矢理蓋をして普通の生活を演じようとする」タコピーに対し、淫獄団地は「取り繕った自分を脱ぎ捨て変態になることで抑圧された人生から解放される」という斜め上過ぎる展開をしているため、交互に読むと躁鬱状態になりかねない。ちなみに作中屈指の問題人物が家族関係が良好であるなどタコピーに登場する親達とは真逆な部分があり、その点が一部で評価されつつある。
■『魔法少女サイト』
こちらもいじめや虐待、様々な不幸を抱えた少女と不幸な少女に与えられる不思議な道具を巡る物語。
■『高校鉄拳伝タフ』
格闘漫画だが、こちらも登場人物の多くが闇を抱えており、イジメ・ネグレクト・虐待・家庭内暴力・尊属殺人などなど、タコピーと同等かそれ以上に重苦しく陰鬱な描写のオンパレードである。
タコピーのきつさに耐えきれなくなった読者の中にはタフ・ネタを交えて無理矢理笑いに変えて誤魔化そうとする向きも見られるが、タフ・ネタって知名度低いし知らない層からすれば只の暴言にしか聞こえない場合もあるから、公の場で使うのはやめたほうがいいっスね。忌憚の無い意見ってやつっス。
■『なるたる』
同じく不思議な生物と女子児童の交流を描いた作品で、いじめシーンなど陰惨な描写で有名。
■『SSSS.GRIDMAN』
同じく上田麗奈氏がダークヒロインの役で登場。なお、このヒロインの元ネタはネグレクトを受けて鬱屈とした性格に育った青年である。
■『マギアレコード』
登場人物の少女達の多くが闇を抱えており、イジメ・ネグレクト・虐待・家庭内暴力などなど、タコピーと同等かそれ以上に重苦しく陰鬱な描写のあるスマホゲーム。
■『ゴールデンカムイ』
作中のとある登場人物(リンク先ネタバレ注意)が、本作の主要登場人物の少年少女3人それぞれの抱える家族関係の悩み「他に家庭を持つ父親」「頭がおかしくなってしまった母親」「コンプレックスの対象である優秀な兄弟」を一人で全部抱えていると話題になった。このことから、彼は最もタコピーと親和性があるとまで言われており、もしタコピーが彼の前に現れたら…?という二次創作まで幾つか描かれている。
なお、本当にタコピーが彼の前に現れても現状は何一つ好転しないだろうと考察されているのみならず、本編で彼は上述した家族を全員自身の手で抹殺している。そしてその結末は…(リンク先ネタバレ注意)。
外部リンク
ネタバレ
太陽系 第三惑星 "地球"
2016年のきみたちへ
してあげられないことだらけだ
きみたちの
離れてしまった家族や
もう戻らない心
もうきみを見ないママに
きみだけのものじゃないパパ
何にもできないけれど
それでも
もう一人じゃない"きみたち"が
きっと大人になれるように––––
「ありがと」
「バイバーイ」