タケクロ
たけくろ
ゴーストRE:BIRTH(Vシネマ)
2人の出会いは、突如現れたダントンへの対応の方向性の違いから飛び出してしまった深海マコトを追いかけてタケルが眼魔世界を探し回っている所に、タケルの前に笑顔が可愛らしく青い瞳と長いロングヘアーが特徴的な黒い衣装を纏った少女・クロエが現れた。この時点でタケルがクロエに見惚れていると思われる演出となっている。
タケルは「君は誰?」とクロエの名前を聞こうとするも、「お兄ちゃんならあそこだよ?」とクロエが指差した方向を見ると、倒れているマコトを発見し、すぐに駆け寄っていったため、いつの間にかクロエは消えており、それ以上の会話はなかった。
元々クロエはダントンの強化改造を受け、彼を「父さん」と呼ぶほど心酔していた。彼の計画を邪魔させないために、ダントンを止めようとタケルが変身しようとしたところ、クロエの妨害が入り、2人とも生身のまま交戦した。
この際に、クロエの攻撃を避けつつも、反撃するわけではなく、「落ち着いて!君には闘いは似合わないよ!」とクロエを宥めた。
その後はしばらく2人の描写は無かったが、マコトとダントンの戦いの裏で再び交戦しており、タケルとの交戦中にダントンが亡くなったことを感じ取り、タケルへの攻撃を止めた。
クロエ「父さんが死んだ…?生きる意味が無くなった……」
タケル「そうか…でも、君は君のために生きるべきだよ。その一歩を踏み出すんだ。その歩みが君の未来になるんだから」と青い空を指差した。
クロエ「…々あなた名前は?」
タケル「俺はタケル、天空寺タケル」
(※小説版では若干の変更と追加の台詞があるため後述。)
Vシネマではここまでしか描かれなかったが、『小説 仮面ライダーゴースト〜未来への記憶〜』では、その後タケルとクロエがどのような行動をしたのか、どのようなことを想っていたのかが描かれる(Vシネマの脚本と小説の著者はどちらもテレビ本編のメインライターである福田卓郎が担当している)。
未来への記憶(小説)
第三章 タケルとクロエの再会
Vシネマの後日談であり、大学生になったタケルは、天気が良いと大天空寺の屋根に寝転んで空を見上げることが多くなり、青い空を見ると「今、どこで何をしてるんだろう……」とクロエを思い出すようになっていた。クロエに対して「タケルの心の中である人物がどんどんその存在感を増していた」「まだ数回しか会ったことがない相手、でもどうしても忘れられない」とタケルの心情が描写されている。また、このことに月村アカリも気付いている。
以下はVシネマにも存在するシーンではあるが、若干描写が異なっている。
タケル「……どうしたの?また悲しい目をしてるね」
クロエ「……生きる意味が無くなった、父さんが死んだ……」
タケル「そうか…でも、君は君のために生きるべきだよ。その一歩を踏み出すんだ。その歩みが君の未来になるんだから。この世界もこれから変わる」と青い空を指差した。
クロエ「……あなた名前は?」
タケル「俺はタケル、天空寺タケル」
このやり取りの後、クロエは姿を消してしまったという。
そんな中、「一人の女性が街で車が次々にひっくり返している」という不可思議現象を聞きつけ、タケルはすぐにクロエかもしれないと察し、現場に駆け付け、現場の証言から本当にクロエだと分かると「そうか、彼女、こっちに来てるんだ」と少し嬉しそうに発言した。
しかし、嬉しそうなタケルを面白く思っていないアカリはクロエのことを悪く言うが、タケルは「彼女に闘いは似合わないよ」とVシネマでの発言をなぞり、御成もタケルの気持ちに気付いているのかニヤニヤしながら「確かに美人さんですしねえ」「タケル殿にはお似合いかも……」と茶化していた。
アランが開いたゲートを通って眼魔世界からタケルの住む地球に向かったクロエは、タケルの手掛かりを得るため、人が一番多くいる歓楽街にやって来て、「天空寺タケルはどこ?」と同じ問いを繰り返しながら街を彷徨っていた。
クロエはタケルから言われた「君は君のために生きるべきだよ」という言葉が頭の片隅にずっと引っかかっており、ダントンに依存して生きてきたクロエにとって、「自分のために生きる」ということの意味が分からなかったため、その真意をタケルに聞きたかった。しかし、タケルは既に眼魔世界から地球に戻ってしまっていたため、「天空寺タケルにもう一度会いたい……」という一心で、アラン達が地球にやって来る機会をうかがい、ゲートに飛び込んだのだった。
タケルを探して言われるがままにホストクラブに入ってしまい、ぼったくりの被害に遭うが、強化改造を受けたクロエは金を払わせようと襲いかかるホストを次々と蹴散らした。その際に、タケルから「君に闘いは似合わない」と言われたことを思い出し、その意味を考え立ち尽くしていたところ、騒ぎを聞きつけた警官がクロエに発砲してしまい、ガンマ百年戦争を経験していたクロエは「攻撃されたらやり返す」が身体に染み付いており、反射的に警官を攻撃してしまい、このことから事態が大きくなってしまった。この際に、クロエはなぜ自分が警官から攻撃されているか理解できずに「天空寺タケルに会いたいだけなのに……」と想うだけだった。
クロエの力の源であるリアクターによって、警察との攻防で体力を消費したクロエの生体エネルギーが使い果たされようとしていることを知ったタケルは、クロエを救う方法を仙人に必死の形相で尋ねるも解決策が無いと知ると、「俺が彼女を助ける!」と発起し、クロエを助ける決意を固めた。
人間を襲うほど暴走してしまったクロエに対しても、タケルは「彼女は眼魔の世界から初めてこっち(地球)に来たんだ。しかも今はひとりぼっちで力も出なくて不安でしょうがないはず。見つけてあげないと」という聖人っぷりを見せた。
更に、三時間以上クロエを探し続けており、タケルが心からクロエを心配していることが分かる。
クロエの生体エネルギーがもうあまり残っていない影響で、身を潜めていた倉庫街をフラつきながら歩いていたところ、もうゴーストではない生身の身体であるタケルが十字路で巨大なトレーラーに轢かれそうになるクロエを仮面ライダーに変身せずに突き飛ばして助け、タケルが轢かれてしまった。
その後、緊急手術を受け、体の怪我は事故の規模の割に骨折もなく軽く済んだものの、頭を強く打っていたため、意識が戻らなかった。
クロエは「自分のせいでタケルが事故に遭った」と自分を責め、塞ぎ込んでいたが、御成から「タケルはクロエのことをとても心配していた」と聞き、「もしかすると意識はないけど声は聞こえてるかもしれない」とタケルに声をかけるように言われたことから少しずつ考えが変わっていった。
アカリ達は一旦帰宅することになったのだが、クロエは「私はここ(タケルのいる病室)がいい。帰る場所もないし」と言い出し、御成から大天空寺に泊まることも薦められるも、「こういうところで寝るのは慣れてるし、大丈夫」と誘いを断り、付き添いとしてタケルの病室に泊まった。
病室に泊まった際に、部屋の隅の椅子に座ったままタケルを見つめ、以前のタケルの「君は君のために生きるべきだよ。その一歩を踏み出すんだ。その歩みが君の未来になるんだから」という言葉を思い返し、辛そうな身体を動かしてタケルのベッドの脇に歩いていき、タケルの顔を覗き込んだ。
「タケル、私はどう一歩を踏み出したらいいの?自分のために生きるってどうやればいいの?タケルが言ったんだよ。ねぇ、答えてよ…」
そう言うと、クロエはそっとタケルの頬に触れ、頬の柔らかな感触と暖かみから、「タケルがちゃんといきている」ということを感じた。
その翌日からは御成やカノンらが時間をつくってはタケルの元を訪れ、その都度クロエは見舞いに来た人からタケルの話を聞かされ、タケルがどんな性格の人物でどんなことを成し遂げてきたのかを知っていった。なお、アカリだけは相変わらずクロエにキツく当たり、タケルの傍に座っていたクロエに「出てって!」と怒鳴りつけた。
タケルが事故に遭って1週間後には、クロエはタケルの体を看護師が拭きやすいように支えるなど、タケルの介助を手伝うようになっていた。
クロエの身体はリアクターを動かす生体エネルギーが無くなりかけて限界に近付いており、その事実に気付いていながらも、タケルを助けたい一心で看護師に自ら「やり方を教えて欲しい」と頼んだのだった。
この様子を見たアカリも「クロエはちゃんとタケルと向き合っている」と気付き、クロエのことを認めるようになった。
その後、アランとカノンの簡易結婚式に参加する中で、この場にいる誰もがタケルのことを思っていて幸せそうにしている姿を見て、クロエは「皆と共に生きる未来」がタケルの"生きる意味"だということに気付き、一筋の涙を流しながら心の中で「そんな未来を私もいっしょに見てみたかった……」と呟いた。
すると、「今、クロエの声がした……」とその声に導かれたタケルが意識を取り戻した。
意識を取り戻したタケルは、クロエが病室にいないことを知ると、1週間も寝ていた体でありながら、すぐさまクロエを探しに行こうとした。一度はアカリに止められたものの、何とか説得し、アカリに支えられながら病院の玄関を出ると、屋上に人影があり、それがクロエであると確信して屋上に向かった。
タケルは屋上に着くと、まだふらつく足で「大丈夫か!?」とクロエの所に向かい、それに気付いたクロエは「良かった……気が付いたのね」とタケルの顔を見て見て嬉しそうに微笑んだ。
タケルは膝をついてクロエの上半身を助け起こして話を聞くと、クロエは屋上にいた理由を自分の最期はあの時の青い空を見ていたかったからだと明かした。
死期を悟っているクロエに対してタケルは生きる希望を訴えた。
クロエ「いいの……タケルには友達がいる、心配してくれる仲間がいる。でも私には誰もいない……」
タケル「俺がいるじゃないか。君の思いを未来へ繋げるんだ」
病気のように治療などで治るものではないことは理解していたが、それでも何とかクロエを助けることを諦めていなかったタケル。
タケル「俺はクロエの命を繋げたいんだ、未来を繋げたいんだ」
クロエ「ありがとう……」
タケル「俺は諦めない。人間には無限の可能性がある。絶対に助けてやる!」
タケルの想いに呼応するように、ムゲンゴースト眼魂が現れ、タケルは金色の羽が生えたムゲン魂に変身した。
タケル「俺の命に代えてもお前を助ける!」
すると、空にグレートアイが出現した。
フレイヤはタケルに「自分の想いを未来に繋げなくてはいけない」とタケルを説得したが、タケルの意思は固かった。
タケル「クロエが俺の想いであり未来なんだ!頼む、クロエを助けてくれ、彼女に命を、未来を与えて欲しい!」
フレイヤは「タケルが繋げた未来を見てみたい」と考え、ある提案を投げかけた。
フレイヤ「想いを力に変えるムゲン魂の力をクロエに入れれば可能でしょう。ただし、同時にタケル、あなたの命も削らなくてはいけない」
この提案は二度とムゲン魂に変身出来ない上にタケルの寿命も縮むというものだった。屋上の入り口でこの様子を見ていたアカリたちは動揺し、御成は止めに入ろうとしていた。
クロエ「ダメよ……」
タケル「クロエ、俺の想いを君に繋げさせて欲しい。俺の半分を君にあげる!」
フレイヤはムゲン魂と共にクロエと同化し、リアクターは剥がれ落ち、金色の羽がクロエとタケルを包み込んで光り始めた。
光が消えると、そこにはクロエを抱きかかえたタケルがいた。
すると、クロエの心臓が再び力強く鼓動し始め、クロエが目を開けた。
クロエはタケルに「私……生きてるの?」と尋ねると、堰を切ったようにタケルに会いたかった理由と分かったことを語り始めた。
クロエ「私……私、生きていいの?」
タケル「生まれてきてくれて、ありがとう」
その言葉と共にタケルはクロエを抱きしめた。
この様子を見ていたアカリは「タケルとクロエの繋がり」について「互いが互いを必要としている特別な二人」と表現している。
エピローグ
タケルとクロエは結ばれ、息子が生まれたことが分かった。
この息子が、本編最終話「未来!繋がる想い!」に登場した少年・アユムである。
しかし、世界は自我を持ったシステム・デミアによって支配されそうになり、タケルは仮面ライダーゴーストに変身してデミアと闘ったがクロエに命を与えたことでムゲン魂に変身出来なかったため、デミアに敗北してしまった。
この敗北により、クロエはアユムに対して「タケルは亡くなった」と説明していた。
その後、アユムは戦意喪失していたが、本編最終話時間軸のタケルのもとにタイムスリップし、父の強い心を知って自身の闘う力を取り戻し、タケルの想いを受け継いで白い仮面ライダーゴーストとしてデミアと闘った。
デミアがファイナルステージ時間軸にタイムスリップしてタケルを抹殺しようとしたのを止めた後、過去から戻ってアユムはグレートデミアとの最終決戦に勝利した。
実はタケルはデミアとの闘いに敗北後、デミアのコアの一部として取り込まれており、アユムがグレートデミアを撃破したことでタケルは無事に助け出されたのだった。
クロエはタケルがデミアに取り込まれていたことを知っていたが、アユムがデミアと闘う際に内部に取り込まれたタケルのことを意識して苦悩することを恐れ、敢えてアユムには「父は死んだ」と告げていた。
アユムの活躍により、タケル・クロエ・アユムの家族3人の幸せが保たれた。
この様子を見ていたグレートアイも「なんて幸せそうな家族なのだろう」と表現している。
タケルが行方不明になったカノンを探している中、ダントンの配下だったロベスらが現れ、クロエの回想シーンと共に「クロエのような哀しい思いはもう誰にもさせない…!」と放った。
仮面ライダーシリーズにおいて、本編のヒロインを差し置いてVシネマのゲストキャラクターと主人公が結ばれるのは今回が初である。
タケルは本編のヒロインであるアカリから好意を抱かれていたであろう描写が小説内で度々あったものの、タケルは一途にクロエのことを想っており(出会った時から恋愛感情を抱いていたかは不明だが、「どうしても忘れられない」と発言しているため、少なくとも特別な感情を抱いていたと予想される)、その想いが最後までブレることはなかった。
コメント
pixivに投稿された小説
すべて見る- 仮面ライダー 短編小説集
君から聴こえる メロディが胸に響くから
小説 仮面ライダーシリーズは全部集めています。もち小説 仮面ライダーゴーストも読了しました。・・・・・タケクロなのかー、スペクター見直したいなー、テレビシリーズ見直したいなー、というかじっくり観たくなるなあ…と、なるほどゴーストの魅力はエグゼイドの華やかさは無いけれど、 二週目や全部を理解した上で観た方が楽しめる二日目のカレーのような感じがするんだ!ーそんな感じです。 はい、小説仮面ライダーゴーストの後日話です。1,815文字pixiv小説作品