「もうパスは繋がっているが……こちらから聞くとしよう」
概要
マフィア組織『スクラディオ・ファミリー』に所属する魔術師であり幹部のひとり。
表向きの顔は産業廃棄物処理会社の社長。魔術師というよりはマフィアといった外見の人物。
組織のボスであるガルヴァロッソ・スクラディオに対して強い忠誠心を抱いている。
性格は冷徹で周囲に感情をほとんど見せない。人の命を何とも思わないが自分の命すら平気で賭けに使う。
これまで関与が疑われている殺人は125件以上、しかしいずれも証拠不十分。微罪を重ねて一度刑務所に叩き込むも看守3名と受刑者26名が『失踪』し、刑務所内をスクラディオ・ファミリーの派閥に染め上げている。
複数の魔術師の殺人に関与したと疑われ、時計塔の法政科に睨まれていたが、魔術の秘匿には気を遣っており、むしろギャングとしての悪評で魔術師の顔を覆い隠している。
また、必要とあらば短時間で令呪を使い尽くすなど愚行とも取れる程大胆な事をする他、弔いの為とはいえわざわざ冷凍保管区域でピアノ演奏することもある狂人だが、短絡思考や傲慢さが目立つような愚者ではなく、サーヴァントが友人に関する悪言に対し静かな怒りを露わにした時は、潔く我を抑えるといった自制心や礼節も持ち合わせている。
聖杯戦争には真アーチャーを召喚するがその際に彼を汚染する。
能力
かなり特殊な『支配』に特化した魔術師であり、他者の支配ではなく自己の支配に特化している。これによりフランチェスカが冬木から持ち込んだ聖杯の泥を体内に宿し、正気を保ったまま自らの魔力を餌として培養し、制御するという作業をやってのけている。(ファルデウスは『泥を宿すずっと以前、あるいは最初から、人としてはとっくに狂っていた』と評している)
また、魔術協会では軽視されている東洋の呪術系統にも精通している。これらを組み合わせ、アーチャーとして召喚されたある大英雄の対魔力に呪術で傷を入れ、令呪三画の命令と聖杯の泥を流し込むことで、自分のサーヴァントを半ばアヴェンジャーに変質させている。
必要となる魔力を補うにあたって、アトラム・ガリアスタがかつて開発した人体を魔力結晶化するシステムをスクラディオ・ファミリーが奪い、改良したものを使用する。魔力結晶は本来、魔術師やサーヴァントのオド(体内魔力)を底上げしたり急回復させるものではなく、魔術行使の際に外部から魔力を加える使い方になるのが普通だが、バズディロットは一度『泥』で汚染して体内に取り込み、そのままパスを繋げたサーヴァントに流し込む裏技を行っている。この方法は通常なら脳髄まで歪んだ魔力で汚染され、発狂していてもおかしくない使い方だが、『支配』魔術を重ね掛けすることで正気を保っている。
なお、バズディロットはこの魔力結晶を自分のサーヴァントが数ヶ月は全力で戦い続けられるだけの数を用意しており、そのために生贄とした人間は2万4976人に上る。
(バズディロット曰く『南米の麻薬カルテルの連中がここ数年で殺した数の半分程度』。スクラディオ・ファミリーに刃向かうものは多いため贄に事欠かず、アメリカの失踪届けは年間数十万件を越えるため、少しずつ殺せば統計上目立ちにくい)
作成した魔力結晶は、各地に点在する工業用貯蔵タンクに偽装した貯蔵庫に分散される形で収納され、魔力結晶化するシステム自体も、スクラディオ・ファミリーが量産可能な段階までこぎ着けている。
戦闘力も極めて高く銃器の扱いも厭わない。その銃弾も対魔術師戦を意識してか、かなり高位の防御魔術も突破するように細工されている。
身体能力も身体強化を施すことで瓦礫が飛散する中を跳躍する、撃ち返されたアルケイデスの矢を首を傾けて躱し、皮膚や鼓膜、眼球を襲う衝撃波は力尽くで弾き返すなど常人を超えるものとなっている。
スノーフィールド内の食肉工場に、侵入を防ぐのではなく中に来た者を逃さないように作られた、複数人の魔術師の手による工房を持つ。異界化、幻術、結界、魔獣の設置といった魔術を得意分野とするスクラディオ・ファミリーに所属する魔術師がそれぞれ手掛け、それらが複雑に絡まり合っている。
一つ一つの工房としての防衛力は『先代』ロード・エルメロイの魔術工房には及ばないが、尋常ではない魔力を持つバズディロットが他人の工房をも起動し、魔術師の手が加わった周辺の工場も魔術工房を補佐する役割を担うことで、腕利きの魔術師でも脱出困難な代物となっている。
作中では空間を迷宮化することにより、サーヴァントに匹敵する力を持つ自称女神の放った矢の形をした光弾を、眼前から消失させて違う場所の壁から出現させることで放った本人に撃ち返す、異界化した空間から多数の魔獣を放出するなどの機能を開放している。
なお、この時点では工房を起動させただけに過ぎず、フル稼働させた場合はバズディロット本人も出られなくなる可能性がある。そしてこれほどの工房も某弱々しいアヴェンジャーは別として、優秀な力を持った英霊には通用しない。
本人も隠していないが、彼は無敵というわけではなく、むしろ数多の敵と戦って敗北、ないしは痛み分けを味わってきた。バズディロットの恐ろしいところはどのようなことがあっても欠片足りとも心が折れたことはないことである。内臓を腐らされたり、目の前に恋人の生首を転がされようとも、眉一つ動かさない。
衛宮切嗣同様、自己暗示によって意識を解体し、数分のショートスリープで長期間の活動を可能とする簡易魔術を使う一人。これ自体は魔術使いの傭兵の間でも伝わるものだが、意識解体は自分を一度殺すようなものなので多用する魔術師は限られている。
バズディロットの場合、基本的に夢を嫌うためレム睡眠を良しとしていない。また食事も最低限であり、雪山の奥に工房を構えた敵対中の魔術師を、30日間飲まず食わずのまま追い詰めて始末したという噂も存在する。
人間関係
所属する組織のボス。彼に対しては忠誠を誓っており彼の名に傷がつくことすら嫌う。
サーヴァントとマスターだが、バズディロットが召喚直後に令呪三画をすべて消費したため強制的に命令できなくなり、その関係は互いの目的のために互いを利用するビジネスライクで緊張を伴ったものとなっている。
しかし彼の夢(生前の記憶)を見た際にイアソンを馬鹿にしたような発言をしたことで殺気を向けられた際は「謝罪はしないが、二度とこの話題は口にしないと約束しよう」と素直に引き下がるなど、ビジネスライクなりにうまく付き合っている。
一応同じ陣営に所属しているが所属する組織が違うため関係は非常に緊張を伴っている。
後にガルヴァロッソ殺害の犯人と見抜き対立することになる。
凄腕のフリーランサー。詳細は不明だが過去、バズディロットは彼に出し抜かれたことがあるらしい。
僧侶デグラ
かつてバズディロットの魔術回路の大半を焼き払った人物、おそらくは聖堂教会の関係者と思われる。
かつて戦った裏社会の大物であるマーブル商会の一員。結果は痛み分けだったらしい。
かつて戦ったことがあるらしく、死にかけたとのこと。
マガロ
バズディロットの肺を片方抉った人物。「ダー・ファミリア」なる組織に所属していること以外詳細不明。
直接の関りはないが、スクラディオ・ファミリーに入る以前に彼が対立した組織「シュポンハイム修道院」の次期院長。シュポンハイム修道院と対立した時には流石に死ぬ覚悟をした、とのこと。
この対立後にスクラディオ・ファミリーに庇護されるが、これは次期院長が行方不明になっていた混乱に乗じた結果であり、それがなければ庇うのは無理だったらしい。
関連タグ
アトラム・ガリアスタ:民間人を犠牲にすることに抵抗がなく、序盤早々から令呪を使い果たした魔術師つながり。(こちらはアヴェンジャーへの変質後はそうでもないが、)召喚したサーヴァントとの相性がかなり悪い点でも共通している。
ただし、こちらの令呪を使い果たした理由は、狂気と理性が入り交じった計算ずくのものであるのに対し、あちらは短絡的なもの。聖杯戦争における生存能力も、両者の間では大きな差があり、その点についてはバズディロットも手短かつ厳しい評価をしている。