概要
2018年5月11日~5月25日に行われた『Fate/Grand Order』の期間限定イベントである。
リアル脱出ゲーム「謎特異点Ⅰ ベーカー街からの脱出」に合わせた企画『春のミステリーフェア2018』の一環でもある。
イベント終了後、担当シナリオライターが円居挽氏であることが発表された。
ストーリー
物語は三泊四日で訪れた豪華なホテル「虚月館」から始まる。
館に届いた一通の「脅迫状」は、やがて殺人事件へと姿を変え、登場人物の一人であるあなたは犯人捜しに巻き込まれた。
七日間に渡る捜査の果てに待つ真相とは―――。
カルデアのマスターが目覚ますと、そこは見知らぬ土地、見知らぬ館、そして周りにはサーヴァントの外見をした「別人達」がいた。
裏社会の良家「ヴァイオレット家」と「ゴールディ家」の小旅行に招待された「あなた」は、そこで両家の抱える問題とそれを巡る陰謀へと巻き込まれていく。
館への睡眠とカルデアへの覚醒を繰り返す主人公。
世界的名探偵と稀代の犯罪王の助力を元に、主人公はこの虚月館で起った殺人事件を推理し、解決していく―――。
イベントの仕様
殆ど戦闘が無く、読み物としての性質が強いイベントとなっている。
その少ない戦闘でもメンバーが固定されていて自前のパーティは使えず、宝具も使えない(スキルは普通に使える)。
特筆すべきは真犯人当てのイベントが組み込まれている点。
公式サイトで投票が行われ正解が多数派となればクリアボーナスに聖晶石10個が追加される。
登場キャラクター
アメリカのとある街で対立している2大組織の主要人物たち。政略結婚により同盟を結ぶため、孤島の館「虚月館」を訪れている。
主人公の認識にはフィルターのようなものがかかっており、登場人物の外見にはその人物とイメージが近いサーヴァントの姿が当て嵌められている(キャラクター名の隣にカッコで表記)。ちなみに性差を含む体格や声は元々の人物のものである様子。
※役に当てられたキャラクターリンク及び画像はイベントクエスト第2節にてマシュが作成した人物相関図を元にしています。
主人公
小説版では「リッカ・フジマール」という名前で、挿絵では金髪碧眼になった男主人公(ぐだ男)のような外見をしている。
ヴァイオレット家
アダムスカ・ヴァイオレット(ランスロット) | ジュリエット・ヴァイオレット(ステンノ) |
---|---|
ヴァイオレット家の当主。 | ヴァイオレット家の長女、双子の姉 |
ハリエット・ヴァイオレット(エウリュアレ) | エヴァ・ヴァイオレット(源頼光) |
次女。双子の妹。 | 夫人。アダムスカの妻 |
ケイン・ヴァイオレット(メフィストフェレス) | ホーソーン(新宿のアーチャー) |
長男。ジュリエットの弟 | ヴァイオレット家のかかりつけ医。 |
ゴールディ家
アーロン・ゴールディ(フィン・マックール) | ドロシー・ゴールディ(マリー・アントワネット) |
---|---|
ゴールディ家の当主。 | アーロンの妻(後妻) |
モーリス・ゴールディ(モードレッド) | ローリー・ゴールディ(ポール・バニヤン) |
ゴールディ家の長男。男性。前妻の子。 | ゴールディ家の長女。モーリスの異母妹 |
シェリンガム(シャーロック・ホームズ) | |
アーロンが雇った探偵 |
マーブル商会
裏社会では名の知られた一団。舞台となった虚月館もこの商会の保有。
Fate/strangefakeでは伍が名前だけ登場している。
ノベライズ
2019年5月23日には本イベントを元にしたノベライズ『FGOミステリー 翻る虚月館の告解 虚月館殺人事件』が発売。著者はイベントと同じく円居挽氏、イラストはホームズのデザインを担当した山中虎鉄氏。
ちなみにFGOミステリー第2弾となる『惑う鳴鳳荘の考察 鳴鳳荘殺人事件』も同時に刊行し、
こちらはモリアーティ教授が表紙を飾る。
両方ともゲーム版シナリオに加えてさらに謎解きにギミックが設けられている。
主人公の名前は双方とも藤丸立香で、小説版『虚月館』は男主人公、『鳴鳳荘』は女主人公になっている。
ノックスの十戒
イベントクエストのタイトルは全てノックスの十戒から採られている。ロナルド・ノックスが提唱した「推理小説において守られるべき10のルール」。S・S・ヴァン=ダインによる「ヴァン・ダインの二十則」と並んで推理小説の基本指針とみなされている。
ただし、ノックスやヴァン・ダイン自身はそれらの規則に対して同時に「なんでさ(意訳)」とコメントしており、十戒を無視した作品を書いている。
つまるところこれらにはミステリブームに乗じた作品に対する揶揄のニュアンスが含まれている。
ノックスの十戒(日本語翻訳)
- 犯人は物語の序盤に登場していなければならない
- 超自然能力な探偵方法を用いてはならない
- 犯行現場に秘密の部屋や通路が二つ以上あってはならない
- 未知の毒薬や難解な科学的説明を要する装置を犯行に用いてはならない
- 不思議な東洋人を物語に登場させてはならない(※1)
- 偶然や第六感に頼って事件を解決してはならない
- 探偵役が犯人であってはならない
- 読者に提示されていない手がかりを使って解決してはならない
- ワトソン役は自分の思考を読者に隠してはならない(※2)
- 双子や一人二役の存在は予めフェアに提示されていなければならない
※ここで言う東洋人とは、人種的な意味ではなく「魔法使いなど摩訶不思議な事が出来る人」という意味。当時極東が神秘的な視線で見られていたことの影響。
※ワトソンとはシャーロック・ホームズの助手であり、転じて探偵の助手兼物語の語り部といったポジションの人物を指す。
また、登場人物の名前は殆ど推理小説関連の人物からとられている(例外あり)。
関連タグ
Fate/GrandOrder Fate/GrandOrderのイベント一覧
旧き蜘蛛は懐古と共に糸を紡ぐ:同じく謎解きをメインとするFGOイベント
惑う鳴鳳荘の考察:同じく謎解きをメインとするFGOイベント
事件の経過(ネタバレ注意)
一日目(事件発生前)
- (午後)ジュリエットの親友が、ケインの投げたボールが頭に当たり昏倒。以来カルデアのマスターが憑依、度々人格が入れ替わるようになる。
- ドロシー・ゴールディのネックレスが紛失する事件が発生。
- 犯人捜しの最中の揉め事を抑えようとしたクリスによってモーリスが右腕を負傷。
- ネックレス紛失の真相判明。
- (夕食時)探偵シェリンガムが虚月館に到着。
- (カルデアのマスター、カルデアに一時帰還。)
二日目(最初の事件)
- (夜間)クリス、シェリンガム+不明の人物に紅茶を運ぶ。片方のティーカップは左利き用であった(シェリンガムからの申し入れによる。ただしシェリンガムは右利きと推定される)
- (朝食時)探偵シェリンガム、自分の部屋にて遺体として発見される。第1発見者は彼を呼びに行ったクリス。
- 情報から左利きの人物を捜索するが館内に左利きの人物は存在せず。
- ホーソーン医師の検死で死亡推定時刻は深夜、死亡原因は毒殺と判定。
- シェリンガムの遺体、ホーソーン医師とジュリエットの親友によって地下室に安置される。
- (カルデアのマスター、再びカルデアに帰還。ホームズ&M教授からの助言:シェリンガムの死は脅迫者の予定になし。シェリンガムと最後に会っていたのは右手を負傷中のモーリス。)
- モーリスが失踪。
- ローリーの目撃証言でシェリンガムとモーリスが深夜に会っていた事実が判明。
- アーロン、クリスが自身の隠し子であることを告白。以降モーリスに代わる次期当主候補としてジュリエットとの婚約を引き継ぐ。
三日目(第2・第3の死体)
- (ホームズ&M教授からの助言:クリスの存在も脅迫者にとって想定外。再び何か起きるなら夜間)
- (早朝)クリス、遺体として発見される。発見者は伍。ホーソーン医師の検死では右手甲を毒針によって2度刺され死亡。死の直前に『mor』というダイイングメッセージを遺す。壊された懐中時計から死亡時刻が11:25分頃と判明。
- クリスの遺体、アンによって地下室へ。
- (助言:名前を書いていたならば書ききれない公算が高いため『mor』は名前でない可能性が高い。)
- (昼食後)一行がビーチで海水浴中、水死体が発見される。顔は損壊が激しく判別不能。身体特徴などから死体はモーリスのものと判定される。
- ローリーとケインを許嫁とすることで同盟を成立させる事が決定。
- (夜)ジュリエット、満月の下で親友に自身の心情を打ち明ける。その最中親友が意識を失う。
- (助言:意識を失ったのは睡眠薬や麻酔の可能性が高い。ジュリエットが手引きした可能性は低い。)
四日目
- (ホームズ、所用によりカルデアを発つ。マシュの推理:クリスはアーロンとアンの子。M教授の推理:ダイイングメッセージの真の意味は『mom』の最後がかすれたもの)
- アン、ジュリエットの親友に盛られた睡眠薬を吐かせて救出。
- 虚月館玄関に不明の来訪者。
- 地下室のシェリンガムの死体、丸太とすり替えられていたことが発覚。
- 不明の来訪者調査のためアダムスカ、アーロン、ホーソーン及び伍、ケイン、ジュリエットの親友に分かれて捜索に出る。
- 野生獣から身を隠そうとして伍と離れたジュリエットの親友にケインがナイフを向ける。しかしホームズの介入によって取り押さえられる。
- ダイイングメッセージは『mom』がかすれたものと確定。
- 犯人がクリスの部屋に入室したのは前5分~10分
各人のアリバイ(証言)
証言者 | |
---|---|
ホーソーン医師 | 自身とアーロン、アダムスカ、アンは午前3時頃までポーカーをプレイ。 |
伍 | 上記のポーカーを0時過ぎまで観戦。ジュリエットの親友は隣の部屋で寝ていた。 |
ジュリエット | 妹と部屋にいた。 |
エヴァ | 早くに休んでいた。 |
ドロシー | 10時からローリーと朝まで寝ていた。 |
ケイン | 11時20分にドロシーに見つかるまでローリーとかくれんぼをしていた。 |
真犯人およびトリックはジュリエット・ヴァイオレットの項目を参照。
小説版のネタバレ
主人公の藤丸立香は男性(ぐだ男)だが、彼が憑依していたジュリエットの親友リッカ・フジマールは男装した女性。
この男装に犯人は気づいていなかったため、犯人看破の際証拠の一つになった。