解説
フルクロスは、長谷川裕一作の漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』シリーズに登場するモビルスーツ用の装備品。英語表記だと full cloth となり、その名の通り機体の首から下全面を布地のように覆う防御兵装である。
ABCマントを積層構造化しビーム兵器への対弾性と耐久性を両立させた全身を覆うマント、クロスボーンガンダムX3に搭載されていたIフィールドジェネレーターを左右2基ずつ搭載した肩部アーマー(スカルヘッド・ユニット)、機体重量の増加分を補いさらなる機動性を実現するための補助スラスター、それらを保持するフレームによって構成されている。防御力と機動力を同時に高め、少数の機体で大軍を相手にするための決戦兵装である。
積層化されたマントはABCマントの欠点を克服するためのもので、重ねることでリアクティブアーマーとしての強化を促しているが、ABCマントの在庫が尽きているための苦肉の策でもあった。そのためフレームの上にかき集めたマントの端切れを重ね、フルクロスとして構成している。重ねた分重量が増加しているが、スラスターを増設することで機動性低下を防いでいる。それでもビーム耐性に不安があるため両肩にIフィールドを設置、全方位の防御を確保した。
この装備を装着した機体は3機あり、最初は『鋼鉄の7人』におけるクロスボーンガンダムX1が木星での最終決戦で装備した(X1フルクロス)。2機目は『ゴースト』におけるクロスボーンガンダムX0である。こちらのフルクロスは、輸送船の事故によりX0ともども宇宙を漂流し、回収された後に再調整を経て実戦投入されたもの。すなわち、(後付け設定ではあるが)フルクロスの基本設計は木星戦役時には既に完成しており、X-1のものは研究所に残されたデータを基に製作したということになる。
X1装備のものは急造ということもありフレームこそ内蔵してはいるものの可動を考慮していなかったため、不要なマント部分を排除しながら戦闘を行っていた。X0のフルクロスは装備時に可動を妨げないように可動フレームを追加しており、X1装備に生じた可動範囲が限定される欠点を解消している。
3機目は宇宙世紀169年に数少ない資料から再現されたフルクロスの装甲を左肩にのみ装備したクロスボーン・ガンダムX-13ハーフクロスである。
使用機体
- クロスボーンガンダムX1(X1フルクロス、パイロット:トビア・アロナクス)
- クロスボーンガンダムX0(パイロット:カーティス・ロスコ)
- クロスボーンガンダムX-13ハーフクロス(パイロット:アーノルド・シルベスター)
ファンによる改造プラモやファンアート等では、X2やX3、また他の機体にフルクロスを着せる例もみられる。