なぜこうなったのか?
アカデミア卒業後、プロデュエリストとして活躍していた丸藤亮だったが、エド・フェニックスとの決闘に惨敗して以来大スランプに陥り、周囲の人達からは「最下位ザー」と呼ばれ始めた。
そして、心身ともに追い詰められた状態で挑んだ、マッドドッグ犬飼との衝撃増幅装置を利用した地下デュエル場でのデスマッチ。
窮地に追い込まれてようやく己の本心と向き合い、本音を口にする。
「嫌だ……オレは……負けたくないィィィィ!!」
「どんな形でもいい、オレは勝ちたい……貴様を倒して!」
サイバー流の後継者として貫いてきたリスペクトデュエル。
相手の気持ちになって己を見つめ、その目に恥じるようなデュエルはせず、勝ち方に拘り相手への敬意も忘れない。
だが、プロの世界はそれだけで渡れるほど生ぬるくはなかった。思えば当然、相手だって勝ちに来ているのだから。
そんな荒波の中で、勝ち方に拘って勝ち続けるリスペクトデュエルを貫けるほどの力は亮にはなかった。それでも頑なにそのスタイルを変えない「一人遊び」を続け、その結果が落ちぶれ切ったこの有様。
だが落ちるところまで落ちて、何もなくなった亮はついに、いちデュエリストとしての「勝ちたい」という本音に立ち返る。
デュエルをするなら誰だって勝ちたい、負けたくない。勝敗以上に大事なものがあると信念を掲げていた亮もまた、例外ではなかった。
「わかったんだ、今やっと……。オレはエド戦以来ごまかし続けてきた……相手をリスペクトするオレのデュエル、それさえできれば勝敗は関係ないと……だが違う! オレは飢えている! 渇いている! 勝利に! オマエの懐にある勝利を奪い取ってでも! オレはァ!!」
相手の想いなど知らない、勝ち方になど拘らない。ましてや対戦相手ですらない外野が何を思い何を言おうが問題ではない。
勝利する、その一事に己の全てを擲つ覚悟を決めたことで、ついに亮はスランプを脱出。
「言っただろう、このターンでケリをつけると。オレは! 勝ァつッ!!」
「エヴォリューション・レザルト・バースト!グォレンダァ!」
キメラテック・オーバー・ドラゴンの圧倒的破壊力で逆転勝利を掴み、「ヘルカイザー亮」としてプロの世界に復帰。
復活以降は以前の低迷が夢だったかのような怒涛の連勝を重ね、対戦相手が病院送りになるほどの恐るべき強さを見せつけた。
アカデミア時代の品行方正な部分が欠片もない苛烈なデュエルスタイルから、力を求めて道を踏み外したと考えた鮫島は、亮をかつての彼に戻そうとサイバー流道場に呼び出してデュエルを挑む。
だが、サイバー・エンド・ドラゴンを超えた勝利を求めるヘルカイザーはこれをも打ち破り、裏デッキとして封印していたサイバー・ダークを入手。
その後、ジェネックスの開催を聞きつけてプロ枠でアカデミアにやって来た亮は、鮫島の依頼を受けた天上院吹雪と激突し、サイバー・ダークの力でこれを撃破。
しかし、決着の瞬間に亮の心に触れた吹雪は、ヘルカイザーの本質をやっと理解した。
今の亮にあるのは、デュエリストとしてもっとも根源的な「勝ちたい」という衝動。
それを抑えつけず本音に正直になったことで、デュエルに対して極端にストイックになった、いわば戦い方やデュエルへの姿勢を変えたに過ぎない。
力を振り回すのでも、格下をいたぶるのでもなく、より強い相手を求め、己が納得できる最高の勝利を目指す、それがヘルカイザー亮だった。
実際、ジェネックス終盤では対戦相手の強さに満足がいかなかったのか食傷しており、自身に挑んで来た早乙女レイに対しても「夢のためなどという生ぬるい理由では戦わない」と対戦自体を受けず、メダルを渡して大会からも棄権している。
その後
ジェネックス終了後はしばらく出番がなかったが、異次元の穴をつなげるだけのデュエルエナジーを生み出せるデュエリストが求められた結果、彼に白羽の矢が立てられた。
対戦相手となるヨハンとの激闘を繰り広げた末、その一役買った。
Q.何故デュエルをすると異次元が空くのか? それっておかしくないかな?
A.遊戯王では日常茶飯事
対戦後は異世界への扉に巻き込まれ、エドたちと共に異世界へ行ってしまう。
本人としては勝利への渇きを潤す相手(ユベル)を求めていたので結果オーライだが、同時に心臓病が発覚し、それ以降は病弱な描写がやたらと多くなる。
完全に衝撃増幅装置が原因だと思われていたが、実際には異なり、それは第4期で判明。
十代とブロンのデュエルで万丈目たちが邪心教典の生贄となっている最中で、ブロンが放った追手を逃れおジャマ・イエローと出会い気を失った翔を救出。
「疑」の感情を抱き十代を忘れようとするも苦しむ翔に対し、十代がいたから今の翔があるということを気づかせたことで、翔は「何があっても十代の行く末を見守る」と決意。
そして十代が覇王となった後は、エドと共に村で屋敷を根城とし情報収集をしていた。
屋敷内に覇王軍の兵士を招き入れ、デュエルで半ば脅しのような形で覇王に関する情報を引き出す。(エド曰くダークヒーロー)
亮にいたっては、屋敷内でサイバー流道場をノリノリで開いていた。
覇王軍の兵士から「覇王が遊城十代と名乗っていたこと」「覇王のデッキから黒く染まったE・HERO(ネオス)のカードが目撃されたこと」が明らかとなり、覇王=遊城十代と確信。
その後、オブライエンと合流し覇王城に乗り込み、打倒覇王を目指す。
十代救出後は、融合を使えなくなった腑抜けの十代に喝を入れるため強制的にデュエルを挑む。
心臓が止まりかけデュエルは中断となるが、その矢先に暗黒使徒ヨハン(ユベル)が登場。
そして自分の最後を悟ったヘルカイザーは、自分の最期の相手に彼を選び対峙。
ヨハンの肉体がユベルに支配されていることも見抜いていた。
出だしは好調だったが、アドバンスド・ダークとA宝玉獣の強固な防御、そして究極宝玉神レインボー・ダーク・ドラゴンの登場により心臓は限界を迎え始め、
「自身の最高の魂の輝き」として攻撃力16000の『サイバー・エンド・ドラゴン』を召喚し十代達と視聴者を感涙させた。
そのターンのエンドフェイズ、彼は融合に使用した『パワー・ボンド』の効果で敗北するが、亮は最高の充実感を味わいながら光となって消滅し有終の美を飾った。
第四部
と思いきや、異世界編終了後にアカデミアの砂浜にまるでボロ雑巾の如く打ち上げられていた。
消息不明ということにして、アカデミアの地下で療養生活を過ごしていたところに猪爪誠が勝負を仕掛けてくる。
相手をするものの、心臓が痛み始めてその場で倒れてしまう。
これを見ていた弟の丸藤翔は、サイバー流デッキを手に猪爪との勝負を引き継ぐことを決意。
心臓の不調の正体は衝撃増幅装置ではなく、サイバー流のデッキの限界から来る強烈なプレッシャーによるもので、翔がサイバー流デッキで特訓をしていると亮と同じような痛みを感じていた。
十代の「亮のモノマネをしてもカイザーにはなれない」「デッキの声を聞け」という助言を受けた翔はデッキ構築を変更し猪爪に挑む。
自分の思考では辿り着くことのできなかったサイバー流のその先を見出した翔のデュエルを見ると、自分以上の実力を持っていると判断し、サイバー流のデッキを託す。
そして一緒に新たなプロリーグを作る事を約束してその出番を終えた。
裏サイバー流デッキ
『サイバー・ダーク』モンスターを中心としたデッキ。
墓地のドラゴン族を装備カード扱いとして装備し、その力を得るためにドラゴン族モンスターも多少は入れている。
相手をリスペクトするのが特徴なサイバーデッキとは対極的な、勝利を求めるアンチリスペクト系デッキとも言えるが、その強さは表を凌駕する。
また、第三期からはサイバー流表デッキに入ってたカードも多少は入れているため、表と裏が混ぜ合わさったヘルカイザー流サイバーデッキとなってる。
サイバー・デッキの主力モンスター。
カイザー亮の頃から使用してたカードであり、ヨハン(ユベル)戦で久しぶりに登場した。
攻撃力の高さと二回攻撃の強力さに故、147話での最強カードとして登場した。
カイザー亮の頃から使用していた切り札であり、第二期では主に『サイバー・ダーク・ドラゴン』に出番をとられてたが、第三期からは再び切り札としての活躍をする。
カイザー亮の頃から使用していた『サイバー・ドラゴン』の進化した姿。
相手モンスターの攻撃を無効にする効果を持っていて、ヨハン(ユベル)戦では守備力の高さを生かして守備表示にした。
カイザー亮の頃から使用していた『サイバー・ドラゴン』の進化した姿。
攻撃力の高さに加えて、自分より攻撃力の高いモンスターを破壊する効果は未だに強力である。
カード名を『サイバー・ドラゴン』として扱うと言う代理効果を利用して、『キメラテック・オーバー・ドラゴン』の融合召喚や、『サイバー・レーザー・ドラゴン』の進化するための代理としての活躍をした。
亮をヘルカイザーの道に進ませるきっかけを作った最凶の融合モンスター。
融合素材の数だけ力が増す。
アニメでは融合素材にした数だけ攻撃でき、攻撃するたびにダメージを与える効果である
しかしOCG化では最強の機械族メタ系カードとなってる。
サイバー・ダークモンスターの1体であり、竜の頭の形をしたモンスター。
墓地に存在するレベル3以下のドラゴン族モンスター1体を装備して攻撃力を上げるだけではなく、貫通効果を持っている。
サイバー・ダークモンスターの1体であり、竜の翼の形をしたモンスター。
墓地に存在するレベル3以下のドラゴン族モンスター1体を装備して攻撃力を上げるだけではなく、相手にダイレクトアタックできる効果を持つが、その攻撃で与えるダメージは半分である。
サイバー・ダークモンスターの1体であり、竜の体の形をしたモンスター。
墓地に存在するレベル3以下のドラゴン族モンスター1体を装備して攻撃力を上げるだけではなく、戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、相手ライフに300ポイントダメージを与える効果を持つが、アニメでその効果を発動する事はなかった。
3体の『サイバー・ダーク』が融合した、ヘルカイザー亮の新たなる切り札。
『サイバー・エンド・ドラゴン』と対極の立場になる裏のエースカード。
カードをばらまく演出が鮮烈な印象を残した。
主な発言
「甘い!!サイバー流にとって攻撃力の制限など無意味!!」
「勝つのは俺だ!消えろ!敗者は!」
「鬼にならねば見えぬ地平がある!!」
「これが生き残るための、オレの足掻きだ!」
「勝つためなら、無様にもなろう、汚くもなろう。人から何を言われようが構わん!」
「たとえ未来がなくとも、今この瞬間をもっとも充実して生きなければならない…そうだろ?教諭。今でも立派な先生だよ、クロノス教諭。俺に目的を思い出させてくれた。『最強の敵と最高のデュエルをする』…俺にとってそれが生きる目的」
「これが強さだけを求めてデュエルしてきた者の末路か…。瞬間の喜び。地獄まで見てオレがたどり着いた結論だった。笑うなら笑え……」
「俺は今まで、ただ勝利することだけに意味を見いだしていた。しかし今、そのこだわりから脱出することができた。ヘルカイザーとなって地獄を彷徨い、やっと今、勝利の喜びのためでも、敗北の恐怖のためでもない、この瞬間を輝かせたい…そんな心境に達することができた」