概要
ゲームボーイ本体のカートリッジスロットに挿入して使用する。
ゲームボーイポケットと同時発売だったが、カートリッジに切り欠きがある為、旧ゲームボーイでも使用可能。
また、スーパーゲームボーイ(専用のピクチャーフレームがある)やゲームボーイプレイヤーでも(撮影はほぼ不可能だが)内蔵ソフトで遊ぶことはできる。
このポケットカメラが生まれた経緯として「ゲームボーイの他の活用法を模索する実験」から生まれたとされており、ゲームボーイをテレビにする実験から発展したともいわれている。
その為、携帯ゲーム機にカメラ機能を搭載したのは実はゲームボーイが初めてだったりする。
ゲームボーイカラーだと専用のカラーパレット(セピア色)で表示されるが、元々モノクロである為カラー表示ではない。
実質的に初代~ゲームボーイアドバンスSP(ただし、構造上逆さになる)まで使えた。
画像はモノクロで解像度も128×112と荒いが、
- 撮影した画像に矢印キーを使ったフリーハンドで書き込めるペイント機能
- 内蔵のキャラクター(ポケモンなど)を書き加えるスタンプ機能
- 枠を選択できるフレーム機能
- 複数の写真から一部ずつ取り出して一枚の写真に合成するモンタージュ機能
- 撮影画像を内蔵ゲームのキャラクタとして使用する機能
など、カメラメーカー製のデジタルカメラとは一味違う、ゲーム機らしい機能を搭載している。
また、撮影画像を印刷するために、ポケットプリンタも発売されていた。
これは専用の印刷用紙の感熱式ロール紙(色は黄色、青、白で、白は茶色く印刷される)を使うもので、この印刷用紙がシールとなっているため、カメラと組み合わせて『プリクラ』のように使う事も可能。さらに、ポケットカメラ以外にもいくつかのソフトに対応している(『ポケットモンスター金・銀』『ポケモンカードGB』『ゼルダの伝説夢をみる島DX』等)。
感熱紙であるため、しばらく放置すると印刷が薄れてしまう。長期保存の際はコピー必須。
全体のプロデュースならびにサウンドプログラムはたなかひろかずが行っている。その関係で、本作のエンディングテーマはMOTHER2から流用されている。
また、本作に収録されたミニゲーム「DJテクノしちゃおう!」は、メロディだけでなく、3トラックのうち1トラックは波形まで自分で作れるという本格的音楽編集ソフトとなっている。ただし、作曲できるのは1小節のみ。
ポケットカメラのカオスっぷり
数え挙げたらキリがない程このポケットカメラはシュールでカオスなものが多い。その中でも幾つか挙げると、
- 撮影メニューがRPGのコマンド風で「おうじさまがあらわれた!」「おひめさまがあらわれた!」「ゆうしゃがあらわれた!」と機能を切り替えると子供の落書きみたいなキャラが出てくる。しかもゆうしゃは何故かヤーさん風
- さらに何故か存在する「にげる」を選ぶとスタッフの顔画像に酷い落書きしたものが不穏な曲と共に登場。その時のメッセージが「にげてどうする」とツッコミを入れられ、さらに「おろかもの」とまで言われるパターンまで存在。だったら何で「にげる」を用意したんだよ!なお、これらの画像はエラーメッセージでも出てくる。ちなみに「にげる」ではアフリカ大陸が書かれた看板が出てくる事があるが特にこれはトラウマ系ではない。元ネタは赤道直下にある看板らしい。
イラストはアニメーション機能のタイトル画面の再現。
ちなみにこの女の子は機能とは一切関係はない。
- ゲーム(シューティング・ボール等)でサンプルとしても出てくるスタッフの顔(実写)。
- スタッフロールを選んだら、何故かひたすら踊りまくるだけのスタッフのアニメーション(実写)が延々と流れる(実はこれ、踊っているのはポケットカメラのコーディネーターである西村健太朗氏である)。条件を満たすと本当のスタッフロールが流れる。
これだけカオスなポケットカメラであるが、実はスタッフロールにはスペシャルサンクスにゲームボーイの生みの親である横井軍平氏の名前がある。だがこの時既に横井氏は任天堂を離れた後に事故で他界している。その為、任天堂作品のスタッフロールで横井氏の名前が登場したのは実はこれが最後である。
対応ソフト
ゲームボーイ用ソフトのような扱いを受けている本作だが、型番もMGB-006となっており、形式上はゲームボーイポケットの周辺機器扱いとなっている。
しかし対応ソフトは長らく存在せず、実質これ単体で遊ぶことしかできなかったが、64DDのマリオアーティストシリーズに対応することとなった。
このソフトでは、デジカメの画像を取り込む際、取り込み元として64GBパック経由でポケットカメラを選択できる。
その他
- このポケットカメラは市販版の他に『コロコロコミック』での抽選でプレゼントされたバージョンがある。コロコロコミック版は『爆走兄弟レッツ&ゴー』と『学級王ヤマザキ』のスタンプおよび印刷用フレームが収録されており、実は市販版のROMにもデータが入っているが通常の手段では使えない(コロコロコミック版と通信するとアンロックされる説がある)。セーブデータ書き換えにより使用可能。海外では『ゼルダの伝説』バージョンも存在するとの事。
- 海外版は機能はほとんど同じだが細部で異なる点が多い。
- 『DJテクノしちゃおう!』を参考に海外で生まれたのが非公式ゲームボーイDTMソフト「nanoloop」である。
- 収録されているBGMの中には当時日本未発売だった『バルーンファイトGB』からのものが含まれている。
- スタンプとしてポケモンのドット絵が何匹か収録されているが、ピカチュウとラッキーはGB用に開発されていた『金・銀』のものが使われている。このうちラッキーはカラー用にレタッチされた上で金版で採用されたが、ピカチュウは金銀共に別のものになったためこのゲームでしか使われていない貴重なドット絵になっている。