「私たちの事を思うなら出て行って。」
「ここにいるなら知るべきよ。」
CV
- 原語版:アンジェリーナ・ジョリー
- 吹き替え版:木村佳乃、『3』は本田貴子
- アニメ版:Kari Wahlgren、吹き替えは藏合紗恵子
概要
原語版では「マスター・タイガレス」という名称であるが、これを例えば日本語では「ティグレス」と表記する場合がある。
虎拳使いのアモイトラの女性であり、「翡翠宮」に所属する「マスター・ファイブ(フュリアス・ファイブ)」の一角。他の大多数のカンフーマスターと同様に、本名は不明。
ポーとは共に絶滅危惧の種族の出身であり、彼女の他には虎は本編には登場していない。
- 世界観が異なるアニメ版やショートシリーズでは、彼女の両親がフラッシュバックで一瞬だけ登場したり、伝説の四名のマスターの一角である「白虎」が、死後の世界で霊として登場している。
ポーがジャック・ブラックをモチーフにしているのと同様に、彼女の外見もアンジェリーナ・ジョリーをモデルにしている(ドリームワークス作品に散見されるデザイン性である)。
なお、日本テレビの『ZIP!』の現在の決めポーズを作ったのは、『カンフーパンダ』の宣伝のために来日したアンジェリーナとジャックなので、マスター・タイガレスも『ZIP!』と無関係ではない。
性格
勇猛な女戦士であるが立派なカンフーマスターであり、「マスター・ファイブ」では最もカンフー戦士としての経歴や「翡翠宮」での滞在歴が長いだけでなく、冷徹でリーダーシップにも優れるため、「マスター・ファイブ」の実質的なリーダーである。
後述の通り、とある理由から「龍の戦士」の称号を欲しており、実力・努力の量からも最優秀候補だった。しかし、彼女が「龍の戦士」になりたがる理由には悲しい部分があり、あまりにも修行にストイックであり、苛烈な修行の末に彼女の掌は鉄の様に硬質化しているとされる。
その一方で、口調や立ち振舞いは女性らしく上品で、母性も強く子供にも優しい。しかし、身の上と幼少時からの境遇ゆえか、人間(動物)関係を築くことはあまり得意ではなく、仲間からも「ハードコア一辺倒」だと勘違いされることもある。
虎だが、劇中では肉を食べる場面はなく、好物は豆腐などである(仙人の様な生活を送ると噂されてきた「龍の戦士」を意識した食生活とも言えるのかもしれない)。当初はポーの作ったラーメンを食べることを拒否していたが、ポーに心を開いてからはポーやミスター・ピンのラーメンなども食べる様になった。
皮肉にも、「龍の戦士」が原因で養父・養兄と共に心に重い物を抱えており、人生を左右されてきた。
義理の兄であるタイ・ランに対しては、愛情どころか嫌悪感を持っている様である。タイ・ランのしでかしたことだけでなく、彼の一件でシーフーの性格が変わってしまい、孤児院で孤独に育った上でようやく得た養父であるシーフーの愛情を受けることができなかったことが大きいと思われる。
タイ・ランに対しても、本来は兄として親しい仲になれるはずだったこともあり、余計に複雑な感情を抱いていると思われ、タイ・ランの討伐に一人で真っ先に向かったのも、ポーでは太刀打ちできるはずがないと思ったり、シーフーやウーグウェイに「龍の戦士」の筆頭候補としてアピールしたいだけでなく、過去の清算を望んだ上での責任感ゆえの行動だった。
能力
タイ・ランと異なり、「カンフーマスター」としての誇りと矜持がある為なのか、またはタイ・ランへの嫌悪感のためか、爪や牙は基本的には使わず、「マスター・ファイブ(フュリアス・ファイブ)」に共通する特徴として武器や防具を装備することもない。しかし、虎ゆえの強烈なパワーと俊敏性、長年の修行により高められた身体能力とメンタルの強さ、硬質化した掌、修行の末に得た痛みへの耐性などから、武装した集団相手にも引けを取らずに鎮圧することができるだけでなく、修行用の器具ですら簡単に粉砕するほど。
- 角や牙などを積極的に使ったり、武器を使う正義のカンフーマスターも少なくないので、タイ・ランの戦法も決して「汚い」わけではない。
- 「フュリアス・ファイブ」が中国全土でも高名なのは、伝説の存在であるウーグウェイとシーフーの弟子であるだけでなく、平均年齢が若いにもかかわらず、身体上の弱点やコンプレックスを逆に活かして戦うメンバーも少なくなく、武器や防具も纏わずに戦場や治安維持に赴いて、大きな傷も負わずに戦果を挙げてきたことも関係していると思われる。
また、他のメンバーと同様に、長年の研鑽により高められた身体能力と精神力ゆえに、類い稀なる「気」の強さを持ち、「気」を込めた足蹴りで超常的な強さを持つカイを一瞬怯ませる場面もあったほど。
本編での境遇
「マスター・ファイブ」(フュリアス・ファイブ)で一番ストイックで、自他共に厳しくするカンフーマスター。マスター・ファイブのリーダー的存在であり、「龍の戦士」に選ばれる可能性が最も大きかったのは彼女である。
幼少期にシーフーに引き取られ、彼のことを父親のように尊敬しているが、タイ・ランの一件で心を閉ざしたシーフーの愛情を欲していた。
世界観が異なるアニメ版では、赤ん坊の時に両親によって孤児院に置き去りにされたことが判明しており、アニメ版ならシーフーやタイ・ランと似た境遇にある。
- 本編と世界観を共有するビデオ作品でも孤児院の出身であるとされる。
幼い頃は、虎ゆえの恐ろしい程の怪力をコントロールできす、フラストレーションも蓄積し、孤児院でも「怪物」とされて恐れられ、実質的な軟禁状態にあった。しかし、シーフーと共に力のコントロールを会得して周囲とようやく打ち解け、後にシーフーの養子として「翡翠宮」での生活を開始した。しかし、このすぐ後にタイ・ランの事件があったらしく、シーフーとの生活は一変した。
ポーへの態度の変化
当初、ポーが「龍の戦士」に選ばれた事が信じられず、シーフーや他の面々と同様に彼に厳しく接し、あわよくば追放しようと考えていた。しかも、彼女とシーフーはとくにポーに冷淡で侮蔑的に接した。しかし、ポーが諦めないので、ポーに対する威嚇と警告の意味も込めて養兄であるタイ・ランの過去を教えた。本記事のトップのセリフは当時、彼に教えた戒めである。
ポーは、フィギュアを自作して愛用する程マスター・ファイブに憧れていて、特に彼女のフィギュアを宝物のようにしていた(共に絶滅危惧の種族の出身であり、ポーがアイデンティティーに悩んでいたために彼女に親近感を抱いていた可能性もある)。そのため、彼女を含めたマスター・ファイブに辛辣に扱われることは大変な苦痛であり、現実逃避をしてしまったこともある。
だが、ポーが自身でもタイ・ランを倒せるとは思っていないだけでなく、追放されようとしても諦めなかったのは人生を変えたかったことと、憧れの存在たちに無下にされて逆に克己心を見せたことをシーフーに吐露した会話を影から聞いて、はじめて複雑な表情を見せた。
そして、ポーがカンフーを極めて短期間で身につけ、タイ・ランですら教わったことがなかった伝説の殺人技「ウーシィの指固め」の原理を自力で解明して習得し、この技でタイ・ランを倒すと、真っ先にポーを「マスター」と呼び、劇中では子供の頃以来、初めて笑顔を見せた。
EDでの描写から判断すると、ポーがシーフーの心を開き、シーフーに安らぎを与えたことで、タイガレスが「本当に欲しかった物」である「シーフーとの団欒」を得ることができ、自らポーが行っていた麺を使ったジョークを真似してシーフーを笑わせるなど、おそらく人生ではじめて心の余裕も生まれている。
それ以降は「龍の戦士」への執着も見られず、2作目以降でのポーへの態度は大幅に軟化して来ており、皆でゲームを楽しんだり、いくつかのコンビネーション技を編み出しているなど、ポーや他のメンバーとの関係も改善している(元から強い仲間意識はあったが、より「友人」としてリラックスした関係になっている)。マスター・ファイブの誰も「龍の戦士」に選ばれなかった事が、却って皆の関係を良い形で保ったと言えるだろう。
また、辛辣に当たったことへの贖罪なのか、シーフーや仲間との絆を取り戻せた事への感謝なのか、実はポーに一番信頼を寄せている事を窺わせており、普段は直接は言わないがポーを気にかけており、助言をしたり咄嗟の際に彼を守ろうとする気持ちが強い。そのため、ポーを優しく抱きしめたりポーに抱き着かれても嫌な顔をしない場面も見られた。
このことから、シーフーとタイ・ランのことが「龍の戦士」を目指す一因となっていて、本当は「龍の戦士」というタイトルにこだわりもなかったのかもしれない。
外伝作品
アニメ版や多くのビデオ作品は、本編とは世界観を共有しておらず、他のマスター・ファイブのメンバー同様、本編のキャラクターとは区別をする必要があるのかもしれない。
テレビアニメ、ビデオ作品などで出自や性格が異なる部分がある。『巻物の秘密』の世界観では性格も異なり、間接的だがポーと共にマスター・ファイブの設立の立役者となった。また、その世界観ではタイガレスの戦闘を見たことが、ポーがカンフーを志すきっかけとなっている。
彼女は無愛想な態度が原因で男によく間違えられている。マスター・ファイブで一番怒りっぽいのも彼女。ほとんどの原因は彼女と性格が正反対であるポーだが、彼から教わるという事もある。
また、ポーのぐうたらな態度に腹を立て、彼に絶交するように別れたが、彼の説得を聞いて、仲直りしたとのこと(「修行も過ぎれば毒になる」より)。
こちらでは、日本から来た伊勢海老の侍に一目惚れしたり、シーフーに一時期憧れていたことが暴露されたりしていた。また、「真夜中の不審者」という名のヒーローに惚れており、乙女チックな部分を見せてキャラ崩壊していた(その正体がポーと判明すると吐き気を催していた。)。
そんな彼女はシーフーに忠誠心が強いが、ポー及び他のマスター4人と揃いも揃ってひょんなことで喧嘩した。悪党を懲らしめる筈が、罵声と怒声の口論で取り逃がすという問題児でもある。(「旅は仲間連れ」より(尚この話は史上最大の問題話))
また、不可抗力だが、(皆お互いにやっているが) 条件反射でポーを殴っていたり、これまた不可抗力だが、何回かポーに胸を触られている(実際の虎の乳房は人間のとは異なる位置にあるのだが)。
余談
企画段階では、同シリーズのキャラクター、いわゆる獣人は、より人間に近い体型だった。
完成したキャラクター像は、四足歩行などの動きを取り入れるために実際の動物のプロポーションに寄せている。そのため、タイガレスも頭が大きくて前腕が人間よりも長く、後ろ脚は逆に短い。
『Brawlhalla』という格闘対戦ゲームにゲストキャラクターとして参戦している。
関連イラスト
関連動画
(2011年からのテレビアニメと2011年のビデオ作品、2015年のアニメは正史ではないので留意)
(有名なシーンの一つである吊り橋の戦い)
関連タグ
マスター・ヘビ マスター・カマキリ マスター・ツル マスター・モンキー