車両
日本国有鉄道(国鉄)末期の1985年に、名古屋鉄道管理局向けに12系客車を改造して作られたジョイフルトレインである。改造費用は総額2億5000万円。
国鉄ではサロンエクスプレス東京、サロンカーなにわに続く第三の欧風客車だった。
塗装は明るい青色がかった灰色をベースに群青色の帯を車体側面の上部、窓下に大小2本、車体裾に配置している。展望車には矢と盾をイメージした「EUROLINER」のロゴを入れている。国鉄時代は展望車にJNRマークが入れられていたが、民営化でJR東海へ引き継がれたときに撤去された。
専用機関車
客車と同じ塗装を身にまとった電気機関車とディーゼル機関車が1両ずつ用意された。ジョイフルトレインで専用機関車を用意したのは実はユーロライナーが初めてだったりする。
当初はEF64-66号機とDD51-592号機が専用塗装に塗り替えられた。後にDD51が2両、EF65が3両、EF64でも1両が同じ塗装を身にまとったが、意外にもDE10はない。DD51-592はJRに継承されることなく廃車。残りの機関車も2008年までに全車廃車された。
客車
1編成7両で構成され、全車両がグリーン車。入線する路線に合わせて中間の個室車やカフェラウンジ車を減車してフレキシブルに運用された。増結用に14系座席車の車体塗装を合わせた「ユーロピア」という車両もあった。
個室車
車体断面は車両限界いっぱいまで拡大され、車内には簡易寝台を備えた個室を配置している。天窓を設けた関係から荷棚がなく、座席下に収納スペースを天井部に小物入れを配置している。
車体断面が元の12系客車から大きく変化していることから分かるように台枠から上を新規に製造している。
展望車・カフェラウンジ車
展望車は種車となったスハフ12の車掌室が編成中間を向くように方向転換し、トイレや洗面所があった方の車体を切り落として展望室を設けている。
車体断面は普通の車両と同じで荷物棚も普通に設けられている。窓は固定式に改造された。
カフェラウンジ車は乗客全員が自由に利用できる定員外のフリースペース車でオハ12からの改造で車体は種車のものを概ね引き継いでいる。固定窓なのは展望車と共通。トイレ洗面所は撤去され、出入口も2箇所あったものの一つを閉鎖している。(出入口に関しては全車両共通)
運用
団体臨時列車だけでなく特急「金星」、急行「赤倉」「カートレイン名古屋」などの名古屋駅発着の臨時列車に使用された。一般臨時列車にも使われ、多くの人から人気を博した。
有効長が短く、編成長が制限される飯田線では個室車を全て編成から外して展望車とカフェラウンジ車の3両だけで運行されたこともある。この場合列車中にトイレが全く存在しないため、長時間乗車には少しきつかったことが想像できる。
2005年、老朽化と臨時列車の設定減少により廃車された。
また、増結用「ユーロピア」のうちスハフ14-5号車はJR四国に譲渡された。塗装は14系一般色に変更されている。その後、2017年より東武鉄道で運行開始された「SL大樹」用として譲渡されている。