「イッツ・ショウ・タァーイム!!」
概要
SAOはゲーム開発者の茅場晶彦によって自発的なログアウトが不能で且つ、ゲームオーバーになれば本当に死んでしまうデスゲームと化していた。
当初は信じなかったプレイヤー達もそれを受け入れ、盗賊行為に走ったプレイヤーであってもどのようなことがあろうともHPを0にしない不文律があった。本当に死んでしまうし、彼らだって元は犯罪者でもなんでもないただのゲーマーなので当然である。
が、ゲーム攻略序盤からプレイヤー同士の対立を煽って、PKを煽動するなど不穏な動きを見せるプレイヤー達の姿が見え隠れしていた。そんな中で結成されたのがこの笑う棺桶(ラフィン・コフィン)であった。
デスゲーム開始から1年後の2023年12月31日、フィールドで忘年会をしていた小規模集団を急襲しこれを全滅させる。翌日、情報屋や新聞屋のプレイヤーに対し犯行声明を送付。以後、ラフコフに限らず犯罪者プレイヤーが殺害にまで走ることが当たり前に起こるようになってしまった。
その悪辣さと恐るべき手口
「本当に死んだのか確かめる術はない」「やってはいけないことはシステム的にできない、PKはそうではないのだからやってもよい」「どうせゲームなんだから楽しもう」…こういったものが彼らの常套句である。
上述するプレイヤーの対立を煽って、殺し合いを仕向けるのは序の口。武器や食料、水などプレイヤーが触れるものに麻痺毒を仕込んで、行動不能にして殺すのがファンの間では有名。そのほかにも眠っているプレイヤーの手を動かして完全決着のデュエルを選択させて眠っている間に殺す(通称睡眠PK)、アインクラッドの外周を出口に設定した回廊結晶で外周に落として殺す、モンスターの群れに放り込むなどSAO内では数々のPKが浸透していた。
その中で、ラフィン・コフィンは数多く存在する犯罪者ギルドの中で最も恐れられ、リーダーのPoHのカリスマ性も相まって装備やレベルこそ攻略組のプレイヤー達には及ばないが、その悪行は攻略組も恐れていた。一度は和解を試みたが、そのために派遣されたプレイヤーが殺されるという結末を辿り、交渉の余地もない殺戮集団であった。
構成員
幹部は首領のPoHを真似て「イッツ・ショウ・タイム」の決め台詞を用いる。
その言葉はSAO生還者であれば聞けばトラウマが蘇るほどに脳裏に刻まれている。
CV:小山剛志
ラフィン・コフィン首領。ユーモラスなキャラ名に反し、ギルド結成前から数々の犯罪の手口を考案し続けた(茅場を除けば)諸悪の根源。
普段はフードを目深にかぶっているがその容姿は整っており、印象的な声で数カ国の言語を話すことからカリスマ性を誇った。
モンスターを斬ればスペックダウンし、プレイヤーを斬ればスペックアップする魔剣・友切包丁(メイト・チョッパー)と黒い皮ポンチョ、フードから見えるタトゥーが特徴。
CV:保志総一朗
赤い目が覗く髑髏マスクの男。エストックの達人で、殺した相手のエストックをコレクションする趣味を持つ。言葉を少しずつ、区切って話す癖が特徴。
CV:逢坂良太
ザザとコンビを組む短剣使い。顔をフードですっぽり覆っていて、素顔をうかがい知ることは出来ない。短剣に毒を塗ってPKを行う毒ナイフ使いとして知られている。
プログレッシブ編では攻略序盤よりキバオウ率いる「アインクラッド解放隊」に表向き所属し、プレイヤーたちの不和を誘発していた。
- モルテ
CV:小林裕介
諜報担当。片手剣と片手斧を必要に応じ使い分ける。
親しみやすい間延びした口調で話すが、本性はラフコフらしく良心が欠落しており、他人の希望を奪うことに悦びを感じる。
仲間うちでは「マモル」というリアルでの本名らしき名で呼ばれている。
末路 ~ラフィン・コフィン討伐戦~
2024年8月、ゲーム攻略が後半にさしかかったところで、ラフィン・コフィンの悪行を見かねると共にゲーム攻略の妨害を懸念した攻略組が血盟騎士団と聖竜連合を始めとした討伐隊を編成。キリトとアスナもこの戦いに参加していた。
提供された情報を元にアジトへ向かい、捕縛しようと試みるが情報が漏れて奇襲を受ける。不意を突かれたが、攻略組の方がラフィン・コフィンより圧倒的に装備もレベルも高く持ち直しつつあった。
が、あくまで殺すのではなく捕縛を想定した討伐隊は殺しの快楽に溺れた敵の狂気に圧倒され、逆に恐怖して大勢が殺され、血みどろの地獄絵図が展開された。そして、恐怖に駆られた討伐隊も士気崩壊・錯乱状態になって手加減ができなくなってしまう。この混乱の中でキリトも二人を殺し、最終的にラフィン・コフィンは21人、攻略組も11人が犠牲となった。この一件はキリトやアスナら多くの者にとっては思い出したくない、最悪の出来事となっていた。
この戦いで幹部メンバーの赤眼のザザとジョニー・ブラック含む12名が捕縛及び即時投獄。これによりギルドは実質壊滅したが首領のPoHは取り逃がしてしまい、結局ゲームクリアまでその姿を見せることはなかった。
さらにはその脅威は完全に拭い去られたわけではなく、監獄内で訪れるかもしれない復讐の日の為に鍛錬に明け暮れる者もいれば、ラフコフから悪事の手ほどきを受けた者が攻略組に紛れ込むなど、ギルド壊滅後も、果てはゲームクリア後の現実世界に至るまで暗い影を落とし続けている。
現実世界のラフィン・コフィン
SAOがクリアされ、ラフィン・コフィンのメンバーも現実世界に帰還した。しかし、彼らの中には未だにSAOにおけるPKの快楽に溺れて現実世界で殺人衝動を燻らせる者がおり、その者が別のゲームで新たな殺人計画を企てる。
彼らのそのあり方は未だに自分がアインクラッドの剣士という意識が残るキリトやアスナ、GGOでスナイパーである意識が根付いた少女にも通じる者があり、それらは総じて未だに心がSAOに閉じ込められた状態であった。
後に発売されたSAO事件の記録は世界各国で出版され、海外のVRプレイヤー達にもその名を知られ、『アリシゼーション』編のアニメオリジナルシーンでは中国と韓国のプレイヤー達の同士討ちのきっかけになった。
蘇る悪夢
ラフィン・コフィンによる新たな殺人事件が解決した次の年の夏、アンダーワールドで発生した「異界戦争」にて、侵入者として現れたPoHの口から衝撃的な事実が明かされる。
攻略組によるアジト襲撃をラフコフに漏洩したのは、他でもない首領のPoH本人。それどころか、アジトの所在を密告したのもPoH本人である。PoHは巨大化しすぎたラフィン・コフィンの舵取りに飽きていたのである。
故に自ら攻略組にアジトの場所を密告し、ギルドメンバーにはわざわざ逃走は不可能だが、迎撃は間に合うタイミングで討伐隊襲来を伝えることで自作自演の討伐戦を仕組んだのである。
なぜPoHはこのような行動をとったのか。それは彼のリアルに起因する。
確実なのは、PoHにとってラフィン・コフィンとは使い捨ての駒以下、嘲笑の対象でしかなかったということである。
棺桶の深淵
ユナイタル・リング編にて、帆坂朋(アルゴ)の調査により示された可能性。
それは、外部協力者がシステムの穴を突いたPK手段を編み出し、それを「ラフコフ」に伝授していたのではないかという疑惑である。
アルゴは一度「ラフコフ」メンバーと顔を隠した何者かが一緒にいるところを目撃しただけであり、その人物のキャラクターネームも性別もわからず、唯一の手がかりは「メンソール」という通り名だけだったとのこと。
現実世界への帰還後に調査したものの、それらしいキャラネームの生還者に該当者は存在せず、やむを得ず追跡を打ち切っている。
ガールズ・オプスでのラフィン・コフィン
公式外伝ではあるが、主要キャラクターの去就など原作との設定の乖離が無視できないレベルになっているため分けて記載する。
本作でのラフコフは実行部隊であるギルド本体の他に、グリーンプレイヤーのみで構成された補給・情報収集担当の下部組織を有している。システム上のグリーンによる後方支援はその他の犯罪ギルドでも常套手段(オレンジは圏内に入ると鬼のように強いNPCガーディアンに襲撃されるので実質街に入れない)であるが、下部組織を構成するほど現実の犯罪組織さながらのものと化している。
下部組織のメンバーのうち討伐戦の現場にいなかった者達は逃げ延びているがその末路は様々であり、半ば脅迫される形でラフィン・コフィンに加入していた為に望まぬ悪事から解放された者もいれば、そのような境遇にもかかわらず顔バレの結果ゲームクリアまで追われ続ける身になった者もいる。