解説
第16回から実に6年ぶりに復活しての大会。
国内一次予選参加人数も初めて5万人を突破するなど復活に対する歓迎と期待は相当大きかったことがうかがえる。
だが、当時の日本テレビは視聴率至上主義を前面に出した番組作りの風習が蔓延していて、ウルトラクイズもその流れに準じる形となった。
その最重要要素として「掟破り」、「裏切りの権化」を掲げており、それまでのウルトラクイズが構築してきた形式などを次々と取っ払っていった。
この回が初出となったクイズ形式のいくつかは、翌年の「とんねるずのみなさんのおかげでした」で行われた本番組のパロディ企画の中で大々的に実施されており、視聴者の間では「これこそが我々が望んでいた真の今世紀最後のウルトラクイズだ」と賞賛する声があったとかなかったとか。
放送日
前編:1998/11/22
後編:1998/11/23
期待を裏切った要素の数々
- 参加年齢上限廃止
例年18歳から50歳までと決められていた参加年齢がこの回では上限廃止となった。
ちなみに最年長はなんと87歳だった。
この上限廃止に至った目的は不明だが、第1回の時点ですでに年齢オーバーのため参加が適わなかった人たちにウルトラの熱気を楽しんでもらう意図があったのは間違いないだろう。(当時他局の番組の人気コーナーだった「ご長寿早押しクイズ」にあやかったのでは?という見方もある)
だが、67歳以上の人たち全員を敗者復活として一次予選通過にしたことで、彼らの体力面の考慮から「バラマキクイズ」「大声クイズ」「マラソンクイズ」というウルトラクイズが誇る3大体力クイズを省らざるおえないというデメリットが生じることになってしまった。
- ○×札上げクイズ
例年一次予選の序盤は球場外で第1問出題→○か×のスタンドに着席→2問目はスタンドに留まるかグランドに降りるか、というのが基本的な流れであったのに対し、この回の序盤は参加者全員スタンド着席による○×札上げクイズが行われた。もっともこの形式はかつて第1回の第一次予選での形式だったことから、原点回帰の意図があったと見られる。
だが、第1問の出題後にわざわざ20分のシンキング時間を与えたり(退席はOKだが、時間まで元の席に戻らないと失格というルール付き)、途中で間違えたのにスタンドに降りるというズルをした挑戦者がいたとかいなかったとかで、幾多の抜け穴が生じてしまう形式になった。
- ピカイチ技・ポン食い
例年ジャンケンで一貫してきた成田二次予選を一新。挑戦者があらゆる芸を披露するという趣旨の予選となった。対戦形式にしたにも拘らず審査員の判定次第で両者合格というルールを設けるなど、中途半端にジャンケンの風習を継承した部分が散見された。しかも予選で披露されたのは30人だけで、残りの通過者はゆで卵のポン食いで決めるという展開に。しかもピカイチ技で見せた芸はその後の挑戦者のキャラクター等において何ら活かされることもなかった。
ちなみに披露されたピカイチ芸は、竹馬に乗りながら歌を歌う、自転車でウイリー、利き水、後ろ向きでピアノを弾く、金魚の人間ポンプ、ウクレレ漫談、米粒に字を書く、アタッシュケースの中に入る、なんだろう君の太巻き寿司作り、足で折り鶴を折る・・・といったものだった。
- 漢字の書き取りクイズ
グァム行きの機内で毎回必ず行われていた400問ペーパークイズまでもやめてしまい、代わりの形式となったのが漢字の書き取りである。「鳥」の名前か「魚」の名前をふりがな付で書くというもの。
ちなみに過去の大会で400問ペーパークイズを経験した、ある参加者は「ペーパークイズとは挑戦者の実力を測定するためにあるもので、結果次第でその後のチェックポイントにおける問題設定などを容易に行えるメリットがあるだろう」と分析していたが、そのペーパークイズを廃したことによりそうした部分が出来なくなってしまった。
もっとも「高校生クイズ」の方もその前年から地方大会共通して実施されていた「100問ペーパークイズ」を廃止しているので、それにあやかった可能性も…
- 綱引きクイズなのにドロンコ
グァム恒例の「どろんこクイズ」の代わりに行われたのが、かつて第10・11回で行われた団体戦による1問多答の綱引きクイズだった。
…とまではいいが、「グァムだから」という理由でドロンコのプールを用意し、相手チームをドロンコプールに落とさないと解答権が得られないというルールにしてしまった。つまり決着が付かないと双方が泥まみれになってしまうのだ。
元来どろんこクイズは泥まみれ=敗者の証という面が強かったため、勝っても負けても泥まみれになるのは元来の概念をぶち壊しただけに留まった。
ちなみに過去の大会での「どろんこクイズ」において年長の挑戦者が泥まみれになることはほぼなかった。
- 目隠しによる早押しクイズ
準決勝が行われたのは、例年決勝の舞台だったニューヨークである。ところが挑戦者たちは、ニューヨークに向かう飛行機の中で突然目隠しをさせられ、なんとそのまま早押しクイズに参加させられたのである。準決勝の形式はお馴染みの「通せんぼクイズ」で、勝ち抜けると目隠しを取ることが出来るというものだが、一体何の意図でこうなったのか不明。しかも負けた敗者は目隠しを付けたまま東京行の飛行機に乗せられ、目隠しを取る頃にはすでにニューヨークの町は窓から見えなくなっていた。
- 決勝なのにドロンコ
生放送で決着を付ける事になった決勝戦。ところがグァムで挑戦者を問答無用に泥まみれにするだけでは飽き足らなかったのか、なんと「ドロンコクイズ」で決着を付けることに。しかも形式は5問ずつ出題、正解の多い方が優勝というもの。結果は2対1(9問コールド)で、挑戦者2人は計6回もドロンコプールに飛び込んでしまった。
ちなみに決勝戦がドロンコクイズによる構図は同年「ビーロボカブタック」の中であったウルトラクイズのパロディで実施されていたが、この時は1問限定で2人が一斉に飛びこむというものだった。
そして優勝賞品だが、現物を会場に用意しなかったばかりか、中継映像を用いて処分する所を優勝者に見せるという支離滅裂が展開が待っていた。
こうした決勝でのあまのじゃくぶりは同日OAのラジオ「深夜の馬鹿力」で早速苦言を呈されていた。