概要
現実よりも蒸気機関が発達し、街並みの様子が大幅に変わっていく19世紀の倫敦。
名探偵エヴァレットに見込まれ、弟子入りすることになった少年探偵である「あなた」は、倫敦の街を騒がす「怪人」などが引き起こした「怪事件」を、さらに幼い「相棒」とともに持ち前の行動力で解決に導いていく。
しかし、倫敦の街は万博開催に沸き立つ一方、世界各国から集められた神像や遺物が原因なのか、不思議な精霊がらみの事件が多く起こるようになる。さらに怪人たちにより結成された「怪人結社」の暗躍により自体は予想もしなかった方向へと向かっていく。全20章。
pixivにおいては何分マイナーゲームなので投稿数は少ないが、近年プレイ動画により知名度は多少上がっている。
登場人物
探偵
主人公
イギリス人の孤児で10才。名前は変更可能。名探偵エヴァレットの探偵事務所に見習いとして採用される。元気いっぱいで手加減を知らない。得意武器はスリングショットと花火。
相棒
主人公より幼い孤児で年齢も名前も不明。主人公を「あにき」としたってついてくる。警察が苦手で見かけると逃げてしまう。高所から落ちても平気。ポケットからパンや魚を取り出すことができる。武器は棒切れと石ころと花火。
アリエス・アイヴォリー
イギリス人の12歳の少女。今作のヒロイン。鉱物学者の父を持つお嬢様で亡くなった母親に似て体が弱いらしいが…。エヴァレットに憧れており彼に弟子入りする。大人の前では礼儀正しく振る舞うが実際は勝気で負けず嫌いな性格。武器は日傘と本とメガホン。
ヴァージル
開発地区の古びたアパートに住む不思議な青年。この世ならざる者の事件に関わる「精霊探偵」で精霊絡みの事件にしか現れず、世界各地の精霊を召喚したり動植物と話したりと特殊な力を持っている。人嫌いでたどたどしく話すが少しずつ主人公と打ち解けていく。武器は特殊な銃と石。
ジョン・エヴァレット・ミレイ
主人公の師匠。イギリスにこの人有りといわれる名探偵で解決した事件は数知れずと自他共に認める完璧な人であるが裏技を使い彼の部屋に入ってみると…。「ふムん」が口癖。
ミス・ホルスタイン
アメリカから貸し出された「天体運行観測器」の警備にやってきた腕利きの女性探偵。かなりの巨乳でカウガールのような露出の高い衣装を着ている。
精霊
フールズクイーン
「愚者の女王」。万博会場で人類の文明をあざ笑う。
謎の男女
幽霊のような風貌の男女二人組。誰かを探しているようだが…。
怪人
怪盗やマッドサイエンティスト、死の商人、はては変人としか言いようのない者など、倫敦に事件を引き起こす者たち。
ウィリアム・ブレイク
通称 怪人スペクター。かつて倫敦で活動していた古風な怪人。新世代の怪人たちとは違い、独自の美学を持っているために現在は活動をしていない。紳士的な性格。エヴァレットとはライバル関係にあった
ヤング・ゴースト
「スペクター」と同時期に活動していた「ゴースト」の名を継ぎ、新たに活動を開始した新世代の怪人の一人の女性。しかしまだまだ半人前で失敗続きである。
ラットキング
下水道に住む紫色のネズミ耳をつけた怪人。ネズミを操り食料や生活用品を盗む。
シダル
恐竜の研究をしている女科学者。とある目的のためヤング・ゴーストと組んで宝石を集めているようだが…。
怪人結社
怪人結社戦闘員
男戦闘員は帽子とコートに身を包んでおりハサミのような銃で武装。女戦闘員はマントの下から斬撃を飛ばしたり、セクシー衣装で魅了してくる。
装甲兵
中盤から登場する蒸気仕掛けの機械兵。製造販売のために怪人結社員の各技能が集結されている。
ジャンピングジョー&ジェニー
脚にバネを付けて飛び回る下っ端の男女の怪人。設定画だと不細工。
ウェイン・キャンベル
ウェイン&ガース工場の社長。「マンタマン」という名前の怪人でもある。その名の通り海の蝙蝠とも呼ばれるマンタを模した過激な衣装を着用し、変態じみた動きで主人公達及びプレイヤーに衝撃を与えた。おまけに少年好きと色んな意味で危ない人物。勝手な思い込みから襲い掛かってくる。
工場名の元ネタは某富豪と、同名の映画評論家コンビのペンネームであると思われる。
ホイヘンス
スイスの天才時計職人チクタク。彼が開発した「機械メイド」は万博でも大人気だがチクタク、怪人結社に無断で貸し出されたものであったためチクタク、事件が起こるチクタク。
楊宋元
チャイナタウンの奥にある迷宮のような屋敷に住むという、本国でも歴史に名のある武器商人。だがその姿を見たものは誰もいないという。最近万博会場に展示された、あるものに執心しているというが…。
彼の本拠地である屋敷のマップは、似たような部屋が延々と続く非常に迷いやすい構造で、本作一の難所である。
ズイッヒェル
三日月の様な頭部のドイツ出身の怪人。怪人結社の中心的人物で、戦闘能力も高い。マシナリータの身を案じている。
マシナリータ
事故により体の大半を機械に置き換えているフランス出身の女性怪人。怪人結社の力によって、世界を混沌としたものにしようとしている。
マン・オブ・スチーム
全身を蒸気駆動の鎧で包んだ怪人。元は優秀な技師で倫敦の蒸気機関も彼の設計だが、人間は蒸気機関に奉仕すべきという常軌を逸した言動から倫敦市民からの支持を失っていた。
その他
ミス・マーガレット
エヴァレットと主人公が住む屋敷の女主人で小説家。二人の冒険談を元にした小説を執筆しており常にネタを欲している。
アイリーン
探偵事務所で受付をしている妖艶な美女。常に事務所のカウンターに座っており爪の手入れや居眠りをしている。
機械メイド
万博博覧会に展示される機械でできたメイド。歯車の異常で暴走したことがあるがその際は竜巻のように飛び回っていた。やがて「機械ではない何か」が芽生えていく。
余談
- 精霊をデザインしたのは造形師、キャラクターデザイナーの故韮沢靖氏。発売が延期したためか氏の画集に先行して掲載されていた。掲載されたが未使用のものや未掲載のものも多い。
- クォータービューで描かれた倫敦の街はオブジェクトを含め、作りこみが細かく一見の価値あり。
- 精霊関連の事件を含め伏線が回収されないものが多く、本来予定されていたストーリーが知りたくなる。行間を読めといわれたらそれまでなのだが…。
- mixiのコミュニティに当時のスタッフと名乗る者が書き込んでいる。それによると企画途中までは世界中を旅する予定であったが、開発するにはボリュームがありすぎたので倫敦の冒険のみとなったらしい(制作途中だったマップチップはラストダンジョンで使用されている)。あと相棒は実は女の子とのこと。真偽は不明だがなかなかおもしろいので気になる方は読んでみてもいいかも。
- プレス時期によってエンディングが変更されているものがあるらしいが定かではない。
余談2
発売当時、個人サイトの掲示板のコミュニティにディレクターを含む開発スタッフ3名が降臨し、書き込みがあった。裏話として語られたのは
- 製品になったのはデバッグやバランス調整が終わった最終版ではなく1つ、もしくは2つ前のバージョンである。(そのためバトルエンカウント等のバランスがおかしい)
- ゲームディスクにはPCで見られるtimファイルのデータが入っていて、タイトル画面等が見られる。
- ヴァージルを探していた謎の精霊(?)2人組の名前、男性は「アレクサンドル」、女性は「カトルーシア」。
- デバッグモードの当たり判定無視ボタンを使うとエヴァレットの部屋に入ることができる。
- 購入者全プレの「おまけディスク」作成の話があった。カジノでゲームを遊べたり、主人公に刺激されて再びロマンに目覚めたスペクターが復帰宣言して主人公に勝負を挑むというシナリオもあったが突然ポシャった。
- 相棒は実は女の子。
関連タグ
スチームボーイ:バンダイが制作委員に名を連ね、2004年に公開されたスチームパンクアニメ映画。舞台の時代や世界設定が似通っている。(制作開始の1995年から9年かかった作品で、社内でタイアップの機運があったのかもしれない)
ポポロクロイス物語:ソニーが1996年にプレイステーション用に発売した、クォータービューロールプレイングゲーム。こちらは膨大なマップやストーリーをまとめきっている。