ええ、そうよ。きっと私は貴方のことを愛していたわ。
でも、裏切ったのだから仕方ないわね。本当に仕方ないの。
ごめんなさいね、貴方のことは、大切な思い出にして生きていくわ
プロフィール
概要
「Fate/Apocrypha」に登場するマスターのひとり。
黒の陣営でただ一人ユグドミレニアの人間ではない女性。黒のアサシンのマスター。
元々は新宿で生活する娼婦。アサシンを召喚しようとした魔術師、相良豹馬に暗示をかけられ同棲相手として利用されていた。相良豹馬に「ジャック・ザ・リッパー」を召喚する儀式の生贄として殺害されそうになるも、アサシンが玲霞の『死にたくない』という強い願いに反応して玲霞のサーヴァントとして現界し、彼女の治療を受けることで一命を取り留める。自分の『死にたくない』という願いは既に叶っていたのだが、アサシンの『母親の胎内に還りたい』という願いを叶えるために聖杯戦争への参加を決意。アサシンに相良豹馬から剥ぎ取られた令呪を転写され、正式にアサシンのマスターとなる。
人物
ほんの少し憂いを帯びた表情を浮かべただけで、男を狂わせるような蠱惑的な女性。
声も浮世離れした甘い響きがあり、すれ違っただけで声を掛けようと思う男達が大勢いるが、皆彼女の瞳に宿る狂気めいたものに気圧され、諦めている。娼婦ではあるが、赤のアサシンのように自分から男を誘う悪女的なタイプではなく、ぼんやりした性格。
魔術師としての才能は皆無だが、アサシンとの関係は最高で、親子の様な関係を結んでいる。
人としての倫理観は持ち合わせてはいるものの、それも破綻気味。昔はそれなりに裕福な家庭で生活していたらしいが、養子に出された先では虐待を受けていた。
また、アニメ版ApocryphaのBD-BOX(前半)特典の小冊子で明かされた情報によると実の両親は金を稼ぐことにしか興味が無い人間で娘である玲霞のこともより大きな資産を持つ富豪へ嫁がせるための道具として認識しており作中で見られる教養の高さも婚約者としての質を上げるための教育の成果である。そのため、生まれてこの方アサシンと出会うまで誰かの道具や搾取される存在として扱われる人生を送ってきた。
そのせいなのか、もともと「生きる」という自覚が希薄で、自分の命にも他人の命にも価値を見出せていない。罪にならず、自分以外の誰も悲しまないのならば人を殺すことにまったく躊躇がない。
今までは流されるように生きてきたが、アサシンと出会い、彼女の母親として日々を過ごすうちに「幸せになりたい」という願いが生まれた。アサシンにとっては彼女はもう本物の母親であり、彼女の方もアサシンを自分の娘として扱っている。
能力
決断してからの行動が異常に速い。豹馬の処理の手際もそうだが、アサシン召喚からたったの数日で身支度を整え、ルーマニアに飛んでいる。間違いなく一般人であり、日常に「死」の気配などなく、特殊な戦闘術を身に付けている訳でも無く、魔術師や退魔の家系に連なる人物でもない。
上記の通り、魔術師としての才能は皆無なため、アサシンが魔力供給方法として殺人を提案した時には「しょうがないか」で済ませており、実際、アサシンの手によって目の前で男達が生きたまま臓物を引きずり出され、頭を飛ばされ、人の死を直視しても全く動じない。
殺した相手が生き返っても「ああ、そうなのか」と事実として受け入れるだけで混乱も躊躇も一切ない。魔術師である凛やウェイバーが惨状を目撃した際の反応を考えても、彼女の行動力や精神力は異常と言う他無い。
精神力のみならず、深い洞察力と高い戦術眼を併せ持ち、ユグドミレニア側の作戦を看破した上に自分の正体が知られていない事を最大限に活用してジークを罠に嵌めるなど、一般人とは到底思えない高度な戦術を駆使する。
ジークを射殺した際は、標的に不信感を感じさせないためとはいえ、髪を染めたり化粧などの変装に加えてアサシンの宝具である硫酸の霧をわざと浴びるという念の入りようで、目は充血し唇から血を流すなどの激痛に耐えながらも心臓を狙った銃撃を成功させている。
動物的直感にも優れ、彼女が拠点を放棄した直後に、敵の調査の手が及んでいた。彼女達の存在と情報がシロウ達にもユグドミレニア側にも把握できていなかったのはアサシンの働きだけでなく彼女の天性の才能によるところも大きい。
また、ルーマニアにてイタリア製回転式拳銃「ライノ」を入手している。銃身が短く、女性の掌に収まる程の大きさしかない特殊な拳銃で、発砲時の跳ね上がりが抑えられており、至近距離での暗殺に適している。もっとも彼女がこの銃を選んだのは「一番軽くて一番小さかったから」という余りに単純な理由で、玲霞はこの銃の名前すら知らない。
だが彼女はルーマニアに来るまで銃器に触れたことなど一度もないにもかかわらず、異常なセンスで順応しており、空恐ろしいほどに冷静な滑らかな手つきでこの銃を操る。この異常なほど冷静な姿勢は自分の死の間際でも変わらなかった。
それ以外にも上述した経緯から15歳までしか教育を受けていない筈なのに凄まじい教養も身に着けておりFGOで黒のアサシンのマイルーム会話によると5か国語程ペラペラ喋れるとのこと。話せることが判明しているのは英語、ラテン語、ルーマニア語が明かされている。また、作中時点では有名な物だけしか弾けないがピアノにも精通しておりジャックにトロイメライを披露している。
このマイルーム会話では理想のおかあさん像を語ってる会話だがその時に上げられた特徴から六導玲霞本人に大きな影響を受けていると思われる。
作者の東出祐一郎曰く、「Fate/Zeroで言うところの龍之介枠」。
関連人物
サーヴァントであり愛おしい娘。
その絆は本物の母子と呼べるものであり、彼女の願いのために多くの命を殺す事すら厭わない。
相良豹馬
交際相手として利用されていた魔術師。
暗示の作用とはいえ愛していたが、アサシン召喚後は情報獲得の拷問の末に躊躇なく殺害した。
変遷
実はジャックとの出会いは2パターン描かれている。1度目は2011年に発売されたTYPE-MOONエースに掲載された読み切り短編。2度目はアニメ版ApocryphaのBD-BOX(前半)特典の小冊子。
前者はまだApocryphaの書籍化企画自体無く、聖杯戦争も新宿で行われるとされていた時期。なので、彼女はApocryphaのマスター陣の中では真っ先にメディア出演を果たしたキャラクターでもある。
両者とも、相良豹馬によって生贄にされそうなところを、土壇場でジャックのマスターになった大筋は同じだが、バックボーンが少し変わっており、前者では、家族はなく養子になった先で虐待を受けて育ったとだけされていたが、後者では掘り下げられて、元生まれた家は資産家だったが彼女が十五歳の時に両親が事故死。親族によって財産を食い散らかされ養子に出された先で(主に性的な)虐待を受けて育ち娼婦になったとされている。
ジャックと契約した直後の行動もそれぞれ違っており、前者では豹馬を殺害後、ある闇金業者をジャックの魔力補給のために(悪人のほうが魔力補給の効率がいいという理由で闇金業者を選んだ)宝具『暗黒霧都』で皆殺しにし、後者ではジャックの外科手術スキルで豹馬を延命させながら拷問し聖杯戦争やサーヴァントについての情報を洗いざらい聞き出した。
いずれにせよ、ジャックの残虐行為をあっさり受け入れている点や、元はただ流されるまま生きていたが、生贄にされかけたことによって『生きたい』と強く願いジャックと契約に至った点は共通している。
余談
実は型月のキャラでは初の職業売春婦。
「Fate/GrandOrder」では概念礼装『柔らかな慈愛』として登場している。
HP回復効果を持つ能力を強化する効果があり、外科手術(E)のスキルを持つジャックとの相性も悪くない。
それ以外でもジャックの幕間「微睡みにトロイメライ」で登場する「ミズ・ロンドン」というジャックを気に掛ける女性が登場するがその言動から彼女なのではないかと思われる。
東出氏によれば「Zero」で言うところの雨生龍之介枠だが、決定的な違いは龍之介の殺人は人を選ぶ「殺人鬼」的なものに対し、彼女はジャックが魔力補給出来ずに消滅をすることを防ぐための「手段」なので、動機が全く違っている。
更に同じ殺人鬼同士で龍之介とジャックは合いそうなのではと思われがちだが、そもそもジャックが玲霞を襲わなかった理由として「自分たちを襲おうとしない」「自分たちの願いを叶えそうだから」という思惑がある為、基本的に自分のことしか考えていない龍之介では即襲われる。
また、龍之介からすれば両者共に彼の標的になりがちだが、玲霞の洞察力やジャックの敏捷Aを考慮した場合、ナイフ振り下ろす前に狩られるのがオチである。