概要
金鯱は昔の名古屋の誇りであるが、近代以降は美人を更に大なる名古屋の誇りとしていて、自他共にこれを認めている。名古屋の二大名物が言うまでもなく金鯱と美人なのである。
名古屋美人のブランドは海外にこそ出ないが、南は檀の浦から北は蝦夷松前の端まで日本全国に輸出された名物であり、上流階級では桂可那子公爵夫人から庶民では岡本美正まで、東京の美人の実数の実に五分の三までは名古屋の女性だったという。
名古屋の女性が美しいのは、江戸時代に徳川宗春卿が諸国から美人を狩り集めたためにその血が今日まで残って名古屋に美人が出るともいうが、そうではなく古代から日本の三人種が名古屋で複雑に混血した結果である。
つまり古代の日本列島では人種の大移動があったが、列島の中心部にある名古屋では蝦夷民族、土蜘蛛、高天原民族の三人種が長い間いて、これらが年月をかけて混血し、よいとこ取りをしたのが名古屋美人であり、それらの祖先の雑種であるために幾千年を経た今日まで美しさを保っている。
東京の美人はPicturesque(ピクチュレスク美=妖艶)だが名古屋の美人はBeautiful(ビウチフル美=豊艶)である。名古屋の女性がことごとく楊貴妃の様に美しい訳ではないが、全般を通じて容貌姿整自然の美を備え、どことなく優雅であり、一度名古屋に足を踏み入れる者は、美人の多いことに何人も驚嘆するという。ただし茶屋に入って女性を見ようとすれば必ず失望するが、店頭を軒並みに覗きこんで歩けば必ず美人を発見する。
昔から名古屋の女性は甘い梨瓜の様だ、または名産きしめんと様だと言い、どちらも舌触りよく、美味で、甘たるい感があるとうまく評している。しかしこれは表面に過ぎず、名古屋の女性の内面については、酷評もあり、激賞もあり、要するに評する人によって嗜好が異なる。名古屋の男性は実際に生きているが、名古屋の若い美しい女性は皆、夢見る様に生きて夢に死んだ女性だとも評される。
特徴
名古屋美人には共通して以下の様な特徴がある。
- 天平時代式に充分膨れながらも筋肉が発達して引き締まった頬
- 一般に頬骨が並外れて低い
- 引っ込み顎で顎の頭が少し短すぎて二重顎が多い
- 鼠の様に歯並びがよくて歯は細かく小さく、少し鼠色を帯びて文明人らしい
- 多少出歯なので唇は前に突き出し半開きで分厚い
- 輪郭が頗る明瞭で鼻筋もよく通った薄手の鼻
- 肌のキメは細かくスベスベしている
- 皮膚の色は白くなくジプシーガールに酷似している
- 出っ張った額の角度は古代ギリシャのヴィーナスやミネルヴァを彷彿とさせる
- 目はイスラム教の天女フーリーに似て円く大きい
- まぶたの開きが大き過ぎる
- 白目が純白を通り越して青味がかっている
- 常に興奮してまぶたを広く開け目が潤みがち
- 筋肉は太らず痩せずで過不足なく緊縮している
- 腰が発達している
- 尻は大きいが大小を問わず必ず突き出した出尻である
- 胸も発達して膨れ出ているのに特長がある
- 足は外輪で速歩をせずにノソリノソリと歩く
- 一人残らず手の指の根本と先の太さの差が閉じた傘の様に大きい
- 指の間接には皺が寄らずエクボになっている
- 髪の毛が薄い
- 紺系や茶系の燻った色合の衣服を好む
- 服でもベルトでもなるべく人目につく縞柄を選ぶ
- 一の谷の熊谷の背負ったほろみたいなオールバックに、クレオパトラの団扇みたいな大きい角ピンをさすファッションセンス
- 喉が太く声帯も少し長い
- 唯一の欠点として声だけが銅鑼や破鍋の様にザラザラ濁っている
- 言葉遣いは乱暴で且つぞんざいで「ナモ」「オキャーモ」を連発する
- 育ちはよくても腕を組み柱にもたれて喋る
- 人混みでも前向き後ろ走り式で立小便をジャージャーやらかす
- 全員ではないが7時頃から銭湯で朝湯したがる
以上は、名古屋美人全員に当てはまる場合と、大部分に当てはまるが全員でない場合とがあるが、典型的な名古屋美人の特色である。
名古屋美人一覧
古代
近世
近代
山竹家政弥 春本千龍 玉中村実子 金寺島千代子 一色もん子 吉山玉枝 寶家雫世 末広家桃子 新金波小金 おもちゃ 金廣のぼる
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