WSゲーム版『仙界伝』から登場した、原作漫画中には登場しないオリジナルの主人公キャラ。
故にゲーム『仙界伝』の物語の動きは、原作のお話に彼が絡んでいたら・・・という、原作漫画とは少し違った展開で話が進んでいく。
なお、彼のゲーム中の名前(および属性)は、この作品のニューゲームを始めたときの、それをプレイしているWS本体の「個人設定」によって4種類に分岐し、そのデータでゲームが始まった際に固定されるものであり、『呂雄』はそのひとつ。
なお他の3つの名前は『蒼尚』『太嘉』『竜綺』なのだが、原作の親会社こと集英社のVジャンプで紹介および攻略本が刊行された際には『呂雄』で通っていたので、(それこそプレイヤーにもよるが)今現在でもファンの間では『呂雄』と呼ばれることが多い。
人物概要
「仙界伝」において
崑崙山の仙道たちの教主・元始天尊の直弟子の一人で、仙人になることを目指して修行中の道士。太公望や白鶴童子&黒鶴童子、崑崙十二仙、燃燈道人らは彼の兄弟子たちにあたる。
実は元始天尊の弟子として修行生活に入るまでの記憶が一切合財なくなっているのだが、彼自身はそれを気に病む様子もなく、日夜修行に精を出していた。
そんなある日のこと、彼が仙人への道をステップアップしていくための試練として、元始天尊は彼に課題を与える。
それは、崑崙山から人間界に降り、呂雄の兄弟子である太公望に元始天尊が命じた『封神計画』、その手助けをせよとの命令だった―-。
(以下、ネタバレ注意)
そして、兄弟弟子たる崑崙十二仙や太公望、そして彼らの弟子たちや人間界で知り合った強い力と心を持つ者たちと絆を育み、ともに戦い苦難を乗り越えながら修行の成果と封神計画の手助けを積み重ねていく中で、呂雄は己自身の過去と真実を知ることとなる。
封神計画を行う要の装置である、仙人や道士、人間や妖怪を問わず、優れた力や精神を持つ者が死んだ際にその魂魄を吸い寄せ、封じる宝貝『封神台』。
呂雄は、その中枢をなす存在―――魂を司る力を持つ宝貝『百霊藩』を原型とする妖怪仙人だったのだ。
そして元始天尊が彼を拾い、今日まで弟子として育て鍛え上げてきたのは、呂雄を封神台のコアユニットとして、その力を最大限に引き出せる状態にまで育てるためであり、修行時代にたびたび言ってきた様な『一人前の仙人にする』ためではなかったのである。
そして、封神計画が本格化していく前の下準備として、封神台に合一して眠りにつき、封神計画が完遂されるその日まで、そのコアとしての使命を全うせよ、と。
戦いに次ぐ戦いの中で己の正体と過去に直面し、その当事者にしてすべての黒幕ともいえる師匠・元始天尊から、その事情を全て打ち明けられて――
・・・それでもなお、呂雄は元始天尊を恨まなかった。
それどころかむしろ、『自分をここまで育ててくれた恩は恩』として感謝を告げ、封神計画の完遂が元始天尊、ひいては太公望たち兄弟弟子や大事な仲間たちのためになるならと、その使命さえも『元始師匠から与えられた修行の課題だ』と受け入れ、封神台と合一するその日まで使命と修行に力を尽くすと決断したのである。
そして、呂雄の原型である宝貝・百霊藩の「魂魄を司る」という力に目をつけた十天君のひとり、王天君に執拗に狙われるも、これを退けた呂雄は、ついに封神台と合一して眠りにつく日を迎える。
しかしそんな彼の顔に悲壮の色は微塵もなく、少し長い昼寝になるな、と、笑って使命に身を捧げるのだった。
そして・・・
「仙界伝弐」において
そして周王朝の誕生、「神界」の創設などといった「あとしまつ」も含めた封神計画が満了を迎えて数年。
周の初代開国武成王の四男・黄天祥は成長して周王朝に仕える将軍となり、人々に仇をなす悪党や妖怪の退治に汗を流す毎日を送っていた。
そんなある日のこと、主君である武王・姫発に呼び出され、国のはずれにある古代遺跡の調査を命じられる天祥。
そして向かった先の遺跡で天祥は、殷周革命の初期に出会い自分たちを助けてくれて一緒に冒険もした、赤い髪と白いマントが特徴的な、兄貴肌の仙人と再会を果たすことになり・・・・・・。
宝貝、技
円天規(えんてんき)
ゲーム『仙界伝』の冒頭で、仙道の修行で所持が許される位階になったとして、元始天尊に授けられた宝貝。彼のメインウエポンとなる。
ゲーム中では太乙真人に強化改造してもらったりイベントをこなしたりすることで、「円天規」→「全天規」→「天陽規」という順に進化していく。
公式ビジュアルが出てきていないため形状は不明だが、戦闘中のエフェクトや「円天規で切り刻んでやらぁ!」という呂雄の発言から、少なくとも手に持って斬撃ができる武器であることは確かな模様。
また(彼の『使命』を元始が考慮した故のものだろうが)、この円天規は封神台を呂雄が起動・操作する際の、文字通りの『鍵』でもあり、その際には封神台の専用差込口に差し込んで使う。
円天陣(えんてんじん)
円天規を用いた攻撃技で、円天規から円形に広がる波動と光の散弾を発射し、複数の敵にダメージを与える。
気功(きこう)
彼が体得した仙術のひとつで、自分や他者の傷や疲労を癒すことができる。
纏(まといorてん)
彼が体得した仙術の一つで、仙気によって自らの体の硬度を高め、防御力を向上させる。
覇気(はき)
彼が体得した仙術の一つで、仙気によって自らの攻撃力を高める。
回帰(かいき)
彼が体得した仙術の一つで、傷つき倒れ戦闘不能になった仲間一人を体力1で復帰させることができる。
仙界伝弐では戦闘中の技ではなく彼がパーティに参加している際の「彼独自のマップ移動中のアクション」として実装されており、同じく戦闘不能の仲間を体力1でたたき起こすのだが、その際の「喝っ!!!」の一言から、燃燈道人が蓬莱島の戦いで傷つき倒れた張奎に施した時のそれを意識したものになっている模様。
療地陣(りょうちじん)
仙界伝弐で使用可能になった仙術。
大地の力を宿した八卦図を自分たちの足元に展開し、その傷と疲れを癒す。
裁火陣(さいかじん)
仙界伝弐で使用可能になった仙術。
火炎の力を宿した八卦図を自分たちの足元に展開し、ステータスの「力」を向上させる。
治水陣(ちすいじん)
仙界伝弐で使用可能になった仙術。
水流の力を宿した八卦図を自分たちの足元に展開し、状態異常を解除させる。
英知陣(えいちじん)
仙界伝弐で使用可能になった仙術。
光輝の力を宿した八卦図を自分たちの足元に展開し、ステータスの「知」を向上させる。
重鎮陣(じゅうちんじん)
仙界伝弐で使用可能になった仙術。
暗闇の力を宿した八卦図を敵の足元に展開し、敵のステータスの「技」と「速」を減少させる。
百霊藩(ひゃくれいはん)
仙界伝にて、呂雄が自分の正体と使命を知り、元始天尊の与えた試練を乗り越えた際に開眼する、呂雄自身の『宝貝・百霊藩』としての真の力。『魂魄を司る』特性と力を備えており、こと魂魄だけになっている存在に対しては絶大な干渉・制御力を誇る。
この特性ゆえに、『死してもなお強大な力や精神を持つ者達の魂魄』を、封神台に途方もない数ほど強制収容する封神計画において、封神台にそれを果たさせる上で『魂魄に強い干渉・制御力を持つ』呂雄の存在は必要不可欠なものとなっている。
なお、この呂雄の原型たる百霊藩という宝貝は、『最初の人』、および彼らが生み出した宝貝たちとはルーツが根本的に異なっており、その特性が、物語の終盤においても鍵を握ることとなり・・・。
戦闘においては周囲を漂う魂魄のエネルギーを無数の光の砲弾に変え、流星雨のように敵たちめがけ降り注がせて攻撃し、大ダメージを与える。
仙界伝弐においては呂雄のレベルアップとともに強化され、「万霊藩」に進化する。
明鏡止水(めいきょうしすい)
仙界伝弐において、燃燈道人との仙術修行を経て体得した極意。
心を水鏡のように研ぎ澄ませつつ体は烈火のように燃え盛らせ、自らのリミッターを解除し、全能力を爆発的に向上させる。
なお、この燃燈の修行の一環として行われた荒行の中に、どこかで見たことのあるような修行法が混じっていたような・・・。
呂雄「この錆びた刀で滝を斬れって・・・無茶言うなー!!」
営鎮抱一砲(えいちんほういつほう)
仙界伝弐において、燃燈道人との仙術修行を経て体得した、燃燈流仙術の究極奥義。
戦闘においては明鏡止水モード中のみ使用可能。
全身に魂魄すら焼き尽くす虚実抱一の炎を纏って飛翔し、弾丸のように回転しながら敵に体ごと突撃し打ち貫き、焼き尽くすというもの。敵一体に大ダメージを与える。
原作漫画版においては燃燈道人が女禍の分身の群れにこの奥義を放っており、まだ太公望の万仙陣が発動する前(=魂魄体に通常攻撃ではダメージを与えられない)の段階でありながら、女禍の分身魂魄体たちを一度に複数打ち貫き、焼き滅ぼしている。
泰山権(たいざんけん)
仙界伝にて、元始天尊から修行の課題として申し渡された、人間界に散逸した宝貝集めの中で入手した宝貝。巨大な岩や土を使用者の意思で操作できるもので、戦闘ではこれで操った岩を敵にぶつけて攻撃する。
イベントで元始天尊に返納するまでの間使用可能。
如意鉄矩(にょいてっきょ)
仙界伝にて、元始天尊から修行の課題として申し渡された、人間界に散逸した宝貝集めの中で入手した宝貝。モノの軌道を曲げることができ、戦闘ではこれを敵の攻撃を跳ね返すのに使用する。
イベントで元始天尊に返納するまでの間使用可能。
眺機衡(ちょうきこう)
仙界伝にて、元始天尊から修行の課題として申し渡された、人間界に散逸した宝貝集めの中で入手した宝貝。戦闘ではこれで味方一人の状態異常を治療する。
イベントで元始天尊に返納するまでの間使用可能。
照妖鑑(しょうようかん)
仙界伝にて、元始天尊から修行の課題として申し渡された、人間界に散逸した宝貝集めの中で入手した宝貝。
『真実の姿を映し出す』という鏡であり、呂雄はこれで楊戩の真の姿を知ることとなる。
また、この鏡で呂雄自身を見た際、そこに映っているのは赤い髪の青年ではなく、白く大きな布であり・・・。
イベントで収集した他の宝貝と同じく、元始天尊に返納される。
余談
原作漫画版の終盤において、彼こと呂雄によく似た容姿のもと崑崙十二仙筆頭・燃燈道人が登場しているが、燃燈の漫画本編登場はWS版『仙界伝』発売よりかなり後であり、*燃燈のキャラデザインは呂雄のキャラデザインをアレンジしたもの*だと、作者の藤崎竜氏は漫画の扉絵などで語っている。
なお、ゲーム『仙界伝』および漫画本編連載終了後の続編となる『仙界伝弐』(同じくWSソフト)にて、呂雄は燃燈と初めて会うこととなるのだが、作品内においては上記の作者の事情とはあべこべに、呂雄の姿形のほうが燃燈道人をモデルにしたものだと、燃燈の口から呂雄に語られている。
(これは呂雄の原型たる宝貝『百霊藩』が元始天尊と燃燈道人に拾われ、まだ『妖怪・呂雄』になるかならないかのころに百霊藩を預かっていたのが燃燈であり、一番そばにいてその存在の影響を受け続けた結果だとも言われている)