しずか「わあっ、こんなの初めてよ!!」
ジャイアン「のびのびと遊べるぞ」
スネ夫「そっちへずうっと行くと何があるの?」
のび太「地平線!!行っても行っても地平線だよ!!」
概要
てんとう虫コミックス28巻及び、藤子・F・不二雄大全集10巻に収録。
ただのテープのような見た目の道具だが、壁と壁の間に張ると特殊な異次元空間への出入り口を拓くことができる。異次元空間はひたすらに地平線が続くだけの広大な空間で、地平線を遮る障害物はもちろんのこと、星・太陽・雲の類も一切存在しない。(空の色には諸説あり、青色・緑色などアニメ化ごとに異なった解釈がなされている)
その性質から、山やビルなどの障害物が多い日本では中々見ることができない地平線を、部屋に居ながらにして好きなだけ鑑賞することができる。また、テープを乗り越えれば異次元空間に入ることもでき、広大でガラガラの空間を有効活用することも可能。ただし、前述のように本当に何もない空間であるため、あまり出入り口から遠くに行くと出入口を見失う恐れがある。
最大の欠点は、テープが外れると異次元空間の出入口が閉ざされる点である。異次元空間にいる間に何らかの理由でテープが外れた場合、何もない異次元空間に永久に閉じ込められることになり、非常に危険。なお、異次元空間であるためどこでもドアは使えない(四次元ポケットなどの次元移動系の道具が使えるかは不明)。テープ自体も少し足を引っかけただけで外れるなど強度不足で、異次元空間にいる間はテープが不意に外れないよう細心の注意を払う必要がある。
ただし、テープを張るたびに別の異次元空間がパラレルワールド的に生成されるわけではなく、同じ異次元空間を使いまわしているようなので、誰か別の人間がテープで出入口を開いていれば、そこから脱出することが可能である。
ストーリー
のび太は「チダイラ線というのはどこを走っている電車か」とママに尋ねるが、ママはそれに呆れは果ててしまう。だがのび太の地平線を見たことないという言葉に、パパと一緒にそいうえばこの辺りは家の屋根や丘ばかりで、地平線を見ないことを思い出し、こんな所で暮らしてると、人の気持ちまで暗くなりそうだと言い出した。
一方のび太は部屋に帰ってドラえもんに地平線を出してと言い出し、ドラえもんは出せないけど作ることはできると、「地平線テープ」を取り出した。そしてこれを本棚の方に張り付けると、そこが辺り一面何もない地平線に変化した。そこに入ったのび太は昼寝を始めようとしたが、ドラえもんに「だらけるために作ったんじゃないぞ!」と言われたので、皆も呼んで一緒に遊ぶことにした。
地平線を見た皆はこれに大興奮で、サッカーやローラースケートをして遊び、途中ジャイアンはリサイタルを始めたが、ラクダロボットにも乗って楽しい時間を過ごした。あっという間に時間が過ぎて夜、大満足で皆は帰って行ったが、しずかはテープを分けて欲しいと一旦引き返して来たので、ドラえもんは快く分けてあげた。
その後部屋のテープを剥がそうとするドラ絵おもんだったが、のび太はママに𠮟られた時すぐに逃げられるようにそのままにしてと言って来た。「何か叱られるような心当たりでも?」と聞くドラえもんに、「心当たりはいつでも無数にあるよ」と自信満々に答えるのび太だったが、その時まさにママが激怒して怒鳴って来たため、2人はラクダロボットで地平線へと逃げることに。
だが追いつけず疲れ果てたママが部屋に戻った際、足が引っかかったことでテープがきれてしまった。一方そのことを知らないドラえもんとのび太は地平線の世界をさまよっていて、しばらくしてようやくそのことに気付いた。のび太はどこでもドアを使うことを閃くも、異次元空間であるが故にダメで、絶望のあまり2人は取っ組み合いの喧嘩を始めてしまう。
だがその時、かなたの方に一筋の光が見えたので訳が分からないながらも行ってみると、そこはテープを貼ったしずかの家の風呂だったため、2人はうれし涙を流しながら風呂に入っていたしずかにお礼を言うが、彼女の方は風呂を覗かれたために「お礼はいいから早く帰って!!」とそれどころではなかった。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1982年11月19日に、水田版は2007年7月6日及び、2018年5月18日にそれぞれ放送している。
1982年版
- のび太がママに地平線の読みを尋ねる場面が追加されていて、パパはこののび太の勘違いぶりを「面白いことをかんがえるな」と笑っていてた。また、町中がビルだらけなったせいで、道路に落書きをしている子供たちがいるために車が通れなくなっているシーンが追加されたり、ビルをのび太が両端に押して自分の顔を出そうとするも、押しつぶされてしまう描写も追加されている。
- ドラえもんはのび太がしばらく夕焼け空を見て、想像を膨らませてから地平線テープをだしている。
- のび太が昼寝を始め、それにドラえもんが注意する場面はカットされ、最初からラクダロボットは2台出されていたため、皆は分けて乗っていた。
- ヘトヘトになったママの「もう死にそう」のセリフはカットされ、ママは壁が元通りになったことに気付いてはいない。
- のび太がどこでもドアを使おうと発想したり、ドラえもんがい次元空間だから無理といったりすえう下りはカットされている。そして取っ組み合いをしたことでラクダロボットから落っこちて頭を打ち、向こうに光があることを発見した。
- ラストでドラえもんとのび太は喜んでばかりで、中々出て行こうとしなかったため、しずかに蛇口の水をかけられている。
2007年版
- サブタイトルが「のび太の部屋の地平線」に変更
- のび太が地平線の読みを尋ねたのは、読んでいた漫画のセリフにそれがあったから。またパパはジェスチャーをして説明している。
- 「ガラスを割る心配もない」と言ったのはのび太になっている。またこの後のジャイアンのセリフはカットされ、いきなり「母ちゃんに叱られた」という内容の歌を歌っていて、これにのび太は「母ちゃん呼ぼうか」と小声でドラえもんに行っていた。
- ラクダロボットに最初に乗っていたのはしずかで、次の順番を言った際、スネ夫はジャイアンに続いて「俺もー!」と珍しく、一人称を「俺」と言っている。ちなみに原作で歌っていた歌は誰も歌っていなかった。
- 皆が帰って行ったのは夕暮れ時だった。
- のび太はママから逃げた後、ラクダロボットに乗って『夢をかなえてドラえもん』を歌っていた。
- のび太はテープが外れたならまたくっつければと発想していて、どこでもドアはポケットに手を突っ込んで無理やり出している。そして自分の部屋を叫びながら実際に試したが、やはりダメだった。ちなみに取っ組み合いの喧嘩はこの後したので、ラクダロボットから降りた状態だった。
- ラストでドラえもんとのび太はしずかから桶を投げられている。
2018年版
- のび太が「地平線」の読みを読み間違えていたことを「面白いことを言うな」と笑っていた。
- ドラえもんが「無限に広がる空間。そして無限に広がる可能性。ここなら普段できないことだってなんだってできるよ!」といったために、のび太は昼寝をはじめた。
- のび太が誘いに来るまでジャイアンとスネ夫は空地でサッカーの練習をしていて、間違って神成さんの家にシュートしてしまったが、神成さんがすかさずキャッチしたことでガラスは割れずに済んだ。また、しずかは女子友達と道路でローラースケートをしていたのを注意され、のび太に付いて行った。
- ラクダロボットはジャイアンリサイタルを中断させるために出していて、ジャイアンがこれの上で昼寝を始めたことでリサイタルは中断された。
- ママから逃げる際ドラえもんはラクダロボットをレースモードに変形させていて、ママの「もう死にそう」はヘトヘトに変更されている。
- のび太はこのままここで時が流れ、自分が老人に、ドラえもんがオンボロになる姿を想像している。
- 喧嘩の際は互いに「考えなしに!」と言い合っていて、殴り合いになった後は冷静になって互いに謝っている。