概要
あらすじ
「地球は狙われている!今、宇宙に漂う幾千の星から恐るべき侵略の魔の手が!」(ナレーター)
眠らない都会の夜景。どこまでも続く光の街路、鳴り止まないクラクション…。
夜道を走行中の車が検問で止められる。すると車の運転手は発光と共に消えてしまった。
地球防衛軍極東基地
「ここは、宇宙のあらゆる侵略から地球を守るために組織された、地球防衛軍の秘密基地である。地下数十メートルに建設されたこの要塞には、科学の粋を集めた最高の設備があり、最新鋭の武器が装備されていた。そして、ウルトラ警備隊をはじめ300名の防衛隊員が昼夜を徹して、鋭い監視の目を光らせていた」(ナレーター)
ここでナレーターから隊員の紹介が入る。
キリヤマ隊長。年齢38歳。隊歴16年。東京都出身。
ソガ隊員。年齢25歳。隊歴3年。九州出身。
フルハシ隊員。年齢29歳。隊歴7年。北海道出身。地球防衛軍きっての怪力の持ち主。
アマギ隊員。年齢24歳。隊歴2年。名古屋出身。名プランナー。
アンヌ隊員。年齢……いやこれは失礼。隊歴2年。東京都出身。ウルトラ警備隊の紅一点。
防衛軍極東支部最高司令官のヤマオカ長官から、相次ぐ人間消失事件の説明を受けるキリヤマ。消えた人間はスポーツマン、学者、サラリーマン、エンジニアと全く共通点がない。
そこでウルトラ警備隊にこの事件の調査が舞い込んできたのだった。
作戦室に集まる隊員たち。先ほどパトロール中だった防衛軍の隊員2名が車ごと消えてしまったと連絡が入った。敵はすでにこちらを察知しているというキリヤマ。ウルトラ警備隊による調査が開始された。
ポインターでパトロールをするフルハシとソガ。山道を走るポインターの前に、黄色いジャンパーに緑のTシャツ、ジーンズを身に着けた青年が立ちふさがる。
ヒッチハイクをしている暇はないとフルハシ。ソガも退くように言うが青年は動く様子がない。
とうとう頭に来たフルハシはポインターから煙幕を発射する。
煙が消えると青年の姿も消えた。豪快に笑いながらアクセルを踏むフルハシだがタイヤが空転して前に進まない。
不審に思ったふたりが下りてみると、青年がポインターの上に座って笑っていた。
青年はふたりの名前を知っており、二人の命を助けるためにここで待っていたという。
ふたりは一笑に付すが青年は「命が惜しかったらここから先に行ってはいけない」と続ける。
命が惜しくてウルトラ警備隊が務まるかとフルハシ。
そこに巡回中のパトカーがやってきた。青年は制止するがパトカーはそれを無視して進んでいく。
するとどこから怪光線が発射され、パトカーは消されてしまった。驚くフルハシとソガ。
「今、ウルトラ警備隊が相手にしているのは、恐るべき宇宙人です。やつらは地球を侵略するのに数年前から実験用の人間の標本を集めていたのです。だが今や、奴らは次の行動に移ろうとしている。何故だと思いますか…地球防衛軍、いやあなたたちウルトラ警備隊が行動を始めたからです。…どんな恐ろしい手段を使うかもしれない…気をつけてください」
「君はいったい何者だ?」
「ごらんの通りの風来坊です」
「名前は?」
「名前?……そう、モロボシ・ダンとでもしておきましょう」
その時またしてもどこからか怪光線が発射された。3人はポインターに避難しバリア機能で怪光線をしのぐ。
バリアを起動しつつ前進するポインター。すると怪光線が前方の崖に命中。崖崩れによって道が塞がれてしまう。ポインターは前方に光線を放ち落石を吹き飛ばした。
ソガはビデオシーバーで本部にいるアンヌに見えない宇宙船からの攻撃を受けたこと、今から本部に戻る事を報告する。
ヤマオカ「姿なき宇宙船か……彼らは何のために人間を消しているのだろうか」
ヤナガワ「殺害が目的だとすれば、もっと大量にそして一気にやりそうなものですがね」
すると作戦室のモニターにその宇宙人から通信が入って来た。
「地球防衛軍ノ諸君ニ告グ。即座ニ武装解除シテ、我々クール星人ニ全面降伏セヨ」
「全面降伏…?地球防衛軍は、この極東基地だけではないぞ!地球の各地に、我々の仲間がいる。人類はそうたやすく、地球を見捨てたりしない!」
「人間ナンテ、我々カラ見レバ昆虫ミタイナモノダ。コレヲ見ルガヨイ」
画面に映し出されたのは今まで消された人間達だった。
「ドウダネ?彼ラノ運命ハ君達ノ返事ニカカッテイルンダ。サア、スグニ答エルンダ。全面降伏ニ応ジルカ?」
「断る!」
タケナカ長官が即答すると、クール星人は画面から消えていった。
そのころ、京浜工業地帯が見えない宇宙船からの怪光線を受け火の海となっていた。色めき立つ作戦本部に再びクール星人が現れる。
「次ハ東京ダゾ……」
アマギは出撃を進言するも、キリヤマは冷静に作戦を練るべきだという。
アンヌ「そうだわ。ダン、あなたの地球がピンチにたたされているのよ。何か敵を倒す方法はないの?」
ダンは特殊噴霧装置を使うことで宇宙船に色を吹き付ける事が出来るかもしれないという。
早速特殊噴霧装置を搭載したウルトラホーク1号が発進。ダンは臨時隊員としてホーク1号に同行していた。
噴霧装置によって宇宙船に着色される。3機に分裂したウルトラホーク1号の攻撃に被弾する宇宙船。
宇宙線は墜落したふりをして岩陰に姿を隠す。ウルトラホーク1号は再合体して捜索するが一瞬の隙を突かれ被弾、不時着を余儀なくされる。
宇宙船から小型円盤が出撃してくる。ひとりホークから脱出したダンは小さな箱の中から一つのカプセルを取り出し、放り投げた。
「ウインダム、頼むぞ!」
ウインダムはレーザーショットで小型円盤を撃墜していくが、多勢に無勢、合体攻撃を繰り出す小型円盤に苦戦を強いられる。
ウインダムをカプセルに戻したダンは、崖から飛び降りた。
「デュアッ!」
するとどこからともなく赤いサングラス・ウルトラアイが飛んできてダンの顔に装着され…
ダンの姿は真紅の超人、ウルトラセブンへと姿を変えた。
宇宙船に侵入したウルトラセブンは、エメリウム光線で制御装置を破壊し攫われた人たちを助け出す。
そこに現れたクール星人もアイスラッガーで真っ二つにしてあっという間に倒してしまった。
人質はウルトラ警備隊に救出され、ウルトラセブンは宇宙船を宇宙まで運び去り破壊した。
事件解決後、作戦室ではあの謎の風来坊について話していた。するとヤマオカ長官が現れ、同時にウルトラ警備隊の隊員服を着た風来坊、モロボシ・ダンが現れる。
「紹介しよう、モロボシ・ダン隊員だ。今日からウルトラ警備隊員として早速任務についてもらう」
今日もまた地球の平和を守るためウルトラホーク1号が発進していった。
余談
カットシーン
本話には撮影されたがカットされたとされる2つのシーンが存在する。
ひとつはメディカルセンターで負傷したダンが手当てをしたアンヌに「あなたが一番好きなものは何?」と尋ねられる場面。
ダンは「地球!」と答え、命をかけて美しい地球を守りたいと話す。
アンヌがダンに言う「あなたの地球がピンチに立たされているのよ」はこの場面の名残である。
アンヌ役のひし美ゆり子はこの場面にある「さすがは風来坊さんね」という台詞を言った記憶があると証言しており、撮影はされたがカットされたことが有力視されている。
もうひとつはほかならぬウルトラセブンを命名する場面。
ダンが正式にウルトラ警備隊の隊員に任命された後、キリヤマ隊長は「これでウルトラ警備隊に6名の隊員が誕生したわけか」と続け、ヤマオカ長官と謎の赤いヒーローは何者なのかと話し合い「7人目の幻のヒーローだからな。ウルトラセブンとでも呼ぶか」と締めくくられたとされる。
この場面のシチュエーションは作戦室だったとも極東支部の巨大レーダーを背景にしていたとも言われる。
このほか準備稿にはウルトラセブンを見上げたアマギ隊員が「ウルトラマンだ!」と呼ぶ場面があった。アマギ隊員の配役を考えると粋な台詞ではあるが、『ウルトラセブン』を独立した作品にしたいという意向から削除されたとされる。
変身シーン
本話のみダンが両腕をクロスさせてジャンプするとどこからともなくウルトラアイが飛んでくるという変身シーンになっている。
これは最初期に構想されていた変身ポーズであり、一説には第3話もこのバージョンで撮影されたが放送前に差し替えられたといわれている。
ゲスト出演
ダンの制止を振り切り前進した結果消されてしまったパトカーの乗員は加藤茂雄、丸山謙一郎。それぞれ第5話では別役で出演している。
丸山は劇中でほとんど顔が写っていないが救出された場面のスチル写真ではハッキリ映り込んでいる。
台本では丸山は冒頭の消されてしまう乗用車の男、加藤は拉致された一般市民に配役されていたが変更されたとされる。
本話にしか登場していないフランツ・グルーベルのボガード参謀だが実は再登場の予定があり第18話の脚本で登場している。
同じく本話のみ登場のヤナガワ参謀役は『ウルトラマン』で岩本博士を演じた平田昭彦。劇中で名前が呼称されないこともあって、一部資料ではヒラタ参謀と表記されている。
冒頭の消されてしまう乗用車の男は当時ロケバスの運転手をしていた瀬戸克。ひし美によるとロケバスの助手席が自分の定位置だったため移動中によくおしゃべりしていたとか。
関連項目
第1話 → 第2話