概要
世界各国の特撮に関する情報を掲載している雑誌で1980年の創刊~2005年までは朝日ソノラマから刊行されていた。季刊(1984年~1989年、2002年~2005年は隔月刊だった)。
創刊直後の1980年代当時は、リアルタイムの特撮作品が東映のスーパー戦隊シリーズや宇宙刑事ぐらいで本数が少ないこともあり、東宝のゴジラシリーズ、英国のサンダーバード、アメリカのユニバーサル・ピクチャーズのホラーなど、1950~70年代の国内外の古典SF・特撮作品を懐古する傾向が強かった。
初期の編集スタッフの中心は、海外SF映画に造詣の深い聖咲奇で、小説家としてブレイクする以前の菊地秀行がホラー系の記事を執筆したり、イラストレーターの開田裕治が図解記事を担当している。
創刊当初は売れ行きが芳しくなく、Vol.7で休刊とする予定であったがそのvol.7で「特撮ヒロイン」「改造プラモデル」などを特集した結果、売り上げが伸び、続刊となった。
朝日ソノラマ時代の旧宇宙船は、ほかに特撮専門誌がほとんどなく、当時の特撮オタクのバイブルであった一方、上記のような時代背景もあり、頑なに怪獣推しの姿勢が強かった。
逆に東映特撮や昭和二期ウルトラマンの評価は低い傾向があった。完全に扱わないわけではないが、レベルの低い子供向け作品と見なす傾向が強かった。
この背景としては読者・編集者の世代がもっぱら1950年代後半~1960年代生まれの昭和一期ウルトラマン直撃世代だった点がある。この世代の特撮マニアは、岡田斗司夫らのように早川書房の活字SFを愛読していた層と重複し、大人向けのハードSF志向が強く、低年齢向け変身ヒーロー作品を低く見る傾向があった。
さらに1989年に起こったとある幼児誘拐・殺害事件の犯人が、アニメや特撮番組のビデオテープを大量にコレクションしていた影響で「子供向けの番組を見ている異常者」といった偏見イメージが広がり、この世代の特撮オタクの間に「東映特撮や昭和二期ウルトラマンは子供向けだが怪獣モノは大人向けなんだ」という尻尾切りの風潮があった、という側面もある。
これは怪獣特撮オタクと東映特撮オタクや昭和二期ウルトラマン世代の間に禍根を残した(長谷川裕一の『すごい科学で守ります!』も特オタ業界での東映特撮の扱いの悪さから書かれた)。
ところが2000年からのイケメンヒーローブームで急遽東映特撮を表紙に出し始めるなど迷走。怪獣派からすれば「イケメンヒーローなんて軟派だ」、東映派からすれば「今更媚びるのか」ということで、2005年にVol.119をもっていったん休刊となった。ただし休刊後も編集部は存続しておりイヤーブックやファンタスティックコレクションなどの関連書籍は2006年以降も発売されていた。
2007年に朝日ソノラマ自体が解散し、同年8月12日に開催されたワンダーフェスティバルにおいてホビージャパンが『宇宙船』の商標と編集権を朝日ソノラマより譲り受け復刊することを発表。
2008年に復活した新宇宙船は看板とは裏腹にアニメを取り上げる事もある反面、何故か初期はガールズ×戦士シリーズを頑なに扱わなかったなどやはり些か迷走が目立つ。2012年発売のvol.137から全ページカラー化し、2018年にはSSSS.GRIDMANに登場。表紙には、まさかとも言うべき客演と言えるアンドロメロスの姿もあった。こちらに関しては公式許可済である。
YEAR BOOK
毎年春恒例の、前年度の特撮作品を振り返る特集記事。2006年と2007年は本誌が休刊していたこともあり別冊として発売。復刊以後は別冊付録として存続している。