概要
”岸崖小僧”、”雁木小僧”など、あてられる漢字に微妙な違いがあるため、一般的にはまとめて「がんぎ小僧」とされる事が多い。
鳥山石燕の江戸時代の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』に記されており、全身が毛に覆われた、猿と河童を合わせた様な姿で描かれている。解説文には、「やすりのような歯を持ち、川で魚を捕る」とされる。
このため、キャラクターとして使用される際には、「鋭い牙を持つ毛むくじゃら」というのが一般イメージとなっている。
『今昔百鬼拾遺』以外の文献には記されておらず、創作の1つであるとする声も。しかし「全身を毛で覆われた水辺の妖怪」という伝承は多いため、一概に決めつける事も出来ない。
水木しげるの解釈
御大も「鋭い歯」という部分に着目しており、口を開けた際の様子を、ギザギザの歯のついた歯車の一種である「雁木」からとって“雁木小僧”という漢字をあてた。とにかく歯が強いらしく、川で魚を取って頭からバリバリと噛み砕く。魚屋はこの妖怪に遭遇した際、一番大きくて安い魚を放り投げ、その間に通り過ぎたという。
外見
どの媒体でも「頑強で鋭い歯」は共通しており、基本的にギザ歯として描かれる。
オリジナルである『今昔百鬼拾遺』では、顔を含め全身を毛で覆われ、三本指に水かきを持つ。短い尻尾があるが河童の様な甲羅や皿は付いていない。腹部は蛇腹のよう。
水木しげる御大の絵では、やや頭部が大きめにデフォルメされており、身長は人間程の大きさとなっている。全身の毛と水かき、皿なしは共通だが、甲羅については定かではない。おかっぱ頭で顔は人間に近く、口の両端に薄く髭が生えている。
しゃがみこんでナマズに喰らいついており、歯の鋭さも強調されている。あと目がヤバいくらいに見開かれている。背後に上記の様な魚屋が描かれているが、明らかにドン引きしている。
ぬらりひょんの孫にも登場。毛むくじゃらという設定はどこへやら、見た目完全に半魚人である。全身緑系統で牙や目は黄色く、妖怪というよりもはや別のモンスター。
創作でのがんぎ小僧
アニメ版『ゲゲゲの鬼太郎』において
声-永井一郎、八奈見乗児(第3作)、千葉一伸(第4作)、新井良平(第6作34・35話の登場個体)、高塚正也(第4作96話の登場個体)
原作には登場していないが、アニメ版では3期から登場している。外見に多少の差異はあるが、何故か前髪のデザインは統一されている。
アニメ3期
カッパ系統の妖怪が多く出演する中で、鬼太郎ファミリーの1体として多く登場。体が緑で顔は黄色、目は水色と中々にカラフル。唯一の長髪デザインで、後ろ髪が背中まで届いている。大人しいが発言はやや過激。
ライフルを噛み砕いたり、他の水妖怪と共に雨を降らせたりと、活躍の場が比較的多い。
アニメ4期
恐らく唯一のメイン回、第42話『がんぎ小僧とねずみ男』にて登場。旅装束に身を包み、杖棒を携えている。義理堅い性格で、天涯孤独の自分に握り飯をくれたねずみ男を「兄イ」と呼んで慕っている。あのねずみ男を、損得抜きの恩情のみで動かせる程にいい奴。
棒術を得意とし、一目入道達からねずみ男を守るために戦い、その結果命を落としてしまう。しかしその後、ねずみ男が持っていた『ぺったらぺたらこ』の4番の歌が録音されたカセットテープにより、劇中における2人の出会いまで時を戻す事に成功。遡行前の記憶を持たないまま復活した。
アニメ5期
妖怪大運動会にて南チームで参加。最終種目のリレーでなまはげと共に転倒した。その他にも地獄クイズなどに参加している。他のシリーズよりも前傾姿勢で腕が長い。
アニメ6期
初登場は第23話。妖怪アパートの住人として1カットのみ登場し、唐傘、子泣きじじい、あまめはぎらと共に酒を飲んでいた。口が大きいのが特徴。
『西洋妖怪編』では、ゲゲゲの森の戦いで岸涯小僧の鉄砲隊がヴォルフガング相手に銀の弾丸を撃ち込むが、満月で無敵となったヴォルフガングには敵わず全滅してしまった。
『ぬらりひょんの孫』において
四国八十八鬼夜行の幹部・七人同行の一員として登場。上述にもある通り半魚人の様な外見で、歯車を回す様にギザギザの歯がついた口を回転させ、獲物を喰らう。
集会に潜入した牛頭馬頭を怪しみ襲うが、牛頭丸の幻術にかかり利用されてしまった。百鬼夜行大戦では河童と対峙。逃げる河童を追い詰めたが、彼の巨大なミズチ球を食らって敗れた。後に玉章と共に四国へ帰った。
余談
鳥取県境港市の水木しげるロードにブロンズ像が設置されている。
関連タグ
水木しげるが岸涯小僧を元に創作した妖怪。