概要、よし行くぜ!
峠MAXとは、ATLUSが1995年11月10日にセガサターン用ソフトとして開発・発売した『峠KING THE SPIRITS』を起点とする通称「峠シリーズ」の内、プレイステーションで発売していたシリーズ作品のタイトル。
こちらのシリーズは開発にCAVEが関わっており、かつては公式ページで紹介されていた時期もあった。
ぶっとんだタイトルセンスに東亜プランの系譜を感じ取れるかもしれない。
峠MAXシリーズの第1作は『峠MAX 最速ドリフトマスター』で、1997年1月24日に発売。
当時はまだ『グランツーリスモ』発売前で、リアルなレースゲームというのは少なく、本作もグラフィックを含めまだまだアーケードライクなゲーム性であったが、同時期のレースゲームの中で異彩を放っていたのが車内の再現。
後発のグランツーリスモでさえPS2の時代まで実現しなかったドライバー及び車内の再現を粗いポリゴンながら表現していたのだ。
ドライバーもただ描写されるのみならずハンドリングやシフトチェンジ、果てはサイドブレーキを引く動作までちゃんと行っていた。
更に、後述のストーリーの存在もありシリーズは最終的には3作続くヒット作となった。
当初はまだ時代が緩かったのもあり自動車メーカーから無許可で似たような車を登場させていたが、最終作ではしっかりメーカーの許可を得て全車実名登場した。
前から一度歴代作品を知りたかったんだよなーー!!
『峠MAX 最速ドリフトマスター』
シリーズ一作目。
本作は気軽にドリフトを楽しむ事を全面に推している為後発のシリーズと比べて挙動が独特で、FF車が一切登場しない。
本作のみレース中にマップが表示されないが、代わりにルームミラーが存在している(ルームミラーは後発シリーズでは何故か画面に表示されない)。
また、本作の1Pモードは後の2作品と異なり11台のCPUを相手にレースする事となり、1対1のバトルは2Pとの対戦かストーリーモード以外では実装されていない。
『峠MAX2』(1998年9月17日発売)
プロレーサー土屋圭市を監修に迎え、前作からグラフィックと挙動が大幅に進化したシリーズ二作目。
本作よりFF車も多く登場し、前作以上に個性豊かな車種が登場した。
…のは良いのだが、前後の作品と比べて車種やストーリーが余りにもぶっ飛びすぎており峠MAXシリーズと聞いて本作の弾け具合を連想するプレイヤーが多い程。
バキュームカー、87式偵察警戒車、羊がレース車両として操作出来るレースゲームはMOD等を除けば本作くらいだろう。
上述の特徴と裏腹にスクールモード及びKING BATTLEモードで土屋本人が登場し真面目な印象を残すものの、KING BATTLEの最終戦で土屋が搭乗するのが当時実際に所有し同作にも収録され土屋に勝利した場合に解禁される土屋仕様NSXではなく何故かフォーミュラカーであったり、スクールモードの修了検定での土屋との並走でプレイヤーが負けた場合の解禁隠し車両が上記の羊だったと、やはり何かがおかしい。
本作からセガサターンの峠シリーズでのメインモードである「KING BATTLE」モードがこちらでも導入されている。
『峠MAX G』(2000年1月13日発売)
パッケージ車両:トヨタ・アルテッツァRS200、スバル・インプレッサWRX sti VersionV
シリーズ最終作にして、ようやく?まともなレースゲームとなった。
グラフィックは前作から大きく変化は無いものの、操作性が改善され登場車両が実名になった事によりエンブレムも実名となり車名がわかり易くなった。
その分、外車及び変な車種が消え去ってしまった事に寂しさを感じたプレイヤーもいたようだが…
実名登場になった事により、これまでイラストだったパッケージも実写写真となった。
ストーリーも一番凝った作りとなっており、やりこみ要素もしっかりある。
しかし、自動車メーカーから正式に許可を貰った事が後述のダウンロード販売の際に足を引っ張る形となる。
セガサターンの峠シリーズもよーしっ。やるぞお!!!
ここでは峠MAXシリーズの源流となったセガサターン版から始まった峠シリーズも紹介する。こちらは全作ATLUSの開発・販売となる。
『峠KING THE SPIRITS』(1995年11月10日発売)
ATLUS発の峠シリーズ第一作目で、すべての始まり。
グラフィックはPSよりもポリゴンに弱いSSなだけあって形としてはモデル車両が分かる程度で車内再現も無くリアルとは言い難く、システムも荒削りな部分が目立ち完成度が高いとは言えなかった。
だが、KING BATTLEモードは本作の時点で実装され、後の峠MAXシリーズにも影響を与えている。
『峠KING THE SPIRITS 2』(1997年4月18日発売)
峠シリーズ第2作目で、本作発売時点でPSでは峠MAX第1作目が既に発売中だった。
前作からの欠点はある程度改善され、前作よりも遊べる内容になった。
本作ではコース毎に天候のみならず季節の概念もある。
『峠3』(2001年10月11日発売)
プラットフォームをプレイステーション2に移しての発売となる。
PS1で展開していた峠MAXシリーズとの統合が見られ、イメージキャラクターに土屋圭市を起用する、峠MAX Gに引き続き実車メーカーから許可を貰い実名登場する車両といった特徴を引き継いでいる。
また、本作の登場コースもレイアウトのアレンジはしているが実名での登場となり何処がモデルなのかわかり易くなった。
『峠R』(2002年12月12日発売)
峠3をベースにXboxに移植した作品。
土屋の未登場等、一部変更がある。
本作が現時点では峠MAXシリーズを含めた峠シリーズの最終作となっている。
ストーリーモード
峠MAXシリーズを象徴するのがストーリーモード。
どの作品も走り屋に関係したストーリーであるのには変わりなく、2作目を除き主人公の名前と車両はプレイヤーが決める形式となっている。
また、1作目と2作目の主人公は若干口が悪く、対戦者や一般人を煽ったり引かせる様な発言をする事も。
なお、2作目までの製作担当の一人にケイブファンにはお馴染みの井上淳哉が居る。
『峠MAX 最速ドリフトマスター』
最速の走り屋を目指していた主人公は、ある日『エンペラー』こと「遠藤皇一」出会う。
彼とのバトルをキッカケに、日本全国を舞台に主人公の走り屋としての怒涛の物語が幕開けとなる。
- 各地に点在する四天王を相手に、最終的に「キング」を倒し走り屋の頂点に立つ、というのが大まかな流れとなる。
- 目標達成後は日常を舞台に平凡な日々を過ごす、筈が仲間と宿泊した旅館で立てこもり事件が発生し、更にその事件の親玉が別の日に捕まった仲間の復讐の為に主人公の乗った路線バスまたは刑事にして走り屋の人物の車に爆弾を仕掛け指定速度以下を走ると爆発する、という映画『スピード』のパロディを展開する。
『峠MAX2』
大学生の主人公、「橘英介」は愛車FR.14Sで今日もホームコースを夜明けまで攻めていた。
一人山頂で休憩していると、目の前にバキュームカーが止まり、腹痛を訴えるドライバーが彼に下水処理場まで代わりに運転するよう懇願してきた。これが英介の波乱万丈な一日の始まりだった…
- 歴代シリーズでダントツにストーリーが壊れている。走り屋題材のゲームなのにバトルが無いのは序の口で、冒頭のようにバキュームカーに乗ったりレールから外れたトロッコを操作し下山したり、とある博士が開発し暴走したロボットマシンを止める為に自らの愛車をぶつけながら停めたり、港で彼女とデートしていたら巨大怪獣が現れた上にレストランの駐車場で装甲車と怪獣に気を取られてる隙に愛車を自衛隊に乗り逃げされたので代わりに残された装甲車に乗り本隊が合流するまで時間稼ぎをするという、終始意味不明なストーリーが展開される。
- 何より、愛車をプレイヤーが操作出来るのがロボットマシンを停める時のみで劇中の扱いも上述通りとFR.14S自体の扱いも良いとは言えない。
- 恐らく本作のメインがCPUとのバトル「KING BATTLE」となるのでストーリーはオマケのミニゲーム的な扱いになったのだろが…
『峠MAX G』
走り屋のメッカ「池中市」に住む主人公は、今日も一人安奈峠で走り込みをしていた。
そこに現れた「高橋純一」との出会い、春賀峠をホームコースとする走り屋チーム『ナイトクルーズ』のエースにして主人公のライバルとなる「谷津坂京介」の出現により主人公の走り屋人生は大きな転機を迎える。
- 前作から一転、かなりまともな走り屋ストーリーとなった。本作では谷津坂との最初のバトルでの勝敗と直後の選択肢によってストーリーと難易度が分岐し、更に途中の選択肢によりエンディングも変化するという非常に凝った作りとなっている。
- 特に、一番難易度が低いルートだと主人公の周りが女性キャラばかりとなり、エンディングも選択肢によりそれぞれの女性とのその後が描かれるという、半ばギャルゲーの様な展開を見せる。
- 一番難易度の高いルートでは、展開次第で最終的にレーサーの道へ進むという、現実でも有り得ない話ではないエンディングも用意されている。
未発売作品?ちっ、くっそぉ…
実はプレイステーション・ポータブル発売当初、発売予定タイトルの一つに『峠MAX(仮)』があった。
しかし、結局何の音沙汰も無いままPSP本体は終売、後継機のプレイステーション・ヴィータでも発売される兆しは無かった。
新規のPSP版は未発売に終わったが、過去作の内『峠MAX G』を除く2作品はゲームアーカイブスで配信されていた(3作目のみ未配信だった事に関しては実車メーカーからのライセンス関係の影響と思われる)。
関連タグ
井上淳哉…二作目までのストーリーモードのキャラクターデザイナー