怪物進呈
ぱすぱれーど
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』において、冒険者が自分達に襲い掛かって来たモンスター達を他の冒険者達に押し付けていく行為。
迷宮(ダンジョン)内では冒険者達の間で頻繁に行われているらしいが、命の危険に瀕した際には生き残る為の手段として有効(本当の意味での最終手段と言うべきだが)だからか、あるいはどの冒険者にとっても「自分の身を守るのが第一である」為だからか、これを特定の険者達が実行に移したとしても、『ダンまち』の世界において『ギルド』側から特に咎められたりする事は無いらしい。
また冒険者の間でも「緊急避難的措置の一つ」として、一定の理解を払うという不文律がある。
ただし、これを実行する冒険者の殆どは、自己防衛よりも気に入らない相手や邪魔者を陥れる為という「悪意」によって利用する事が多いのも事実である。
劇中の様相
本編の6年前となる「27階層の悪夢」では、『闇派閥(イヴィルス)』に所属していたオリヴァス・アクトが、ヴァレッタ・グレーデに唆される形で、有力なファミリアを下層の27階層に誘導。大量のモンスターや階層主であるアンフィス・バエナをも誘き寄せた大規模な怪物進呈を実行し、有力ファミリアと闇派閥の双方をほぼ全滅に追い込む大惨事を招いている。
作中では、最初にベル・クラネルがリリルカ・アーデに陥れられる形で『怪物進呈』を受ける事になっているが、その直後に彼女もまた同じ【ソーマ・ファミリア】の眷族達から、暴行を受けて身動きを出来なくなった上でというかなり悪質な形で『怪物進呈』を受ける事になっている。
その後、リリルカやヴェルフ・クロッゾとパーティーを組んだベルが、遭遇した【タケミカヅチ・ファミリア】のメンバーであるヤマト・命、カシマ・桜花の二人から負傷したヒタチ・千草を守るという目的で、『怪物進呈』を仕掛けられるに至っている。
本編12巻では、新たに出現した『強化種』のモス・ヒュージが、遠征に来ていた同盟軍に『怪物進呈』を仕向けて疲労させるだけでなく、彼等が倒した魔物達から出た魔石を取り込んで自身を強化させるという恐るべき知略を発揮している。
本編16巻のショートストーリーでは、ヘディン・セルランドがベルの男を磨く超スパルタ教育の一環で13階層で故意に『怪物進呈』を引き起こし、とあるパーティに潜入していたローリエ・スワルが巻き込まれる。そこをベルが助けたことでローリエはベルに恋に落ちる。
さて、この『怪物進呈』について、実際に行った者は罪に問われないかについてだが、前述の内容からも、「自分達の命を守る事」を目的とした悪意のある行為では無い限り、ギルドからの厳重な処罰が下される事は無いようである。
ただし、それはあくまでも「ギルド側」の方針に過ぎず、それ以外の者達…特に「実際に『怪物進呈』を受けた側」が「『怪物進呈』を実行した側」に対しどう出るかについては全く別となる事も留意されたい。
作中にて、『怪物進呈』を何度も受けているベルは基本的に相手を許してしまっているが、それは彼が「極端なまでのお人好し」であるからに過ぎない。
実際は、いくら自分達の身を守る為とは言え、『怪物進呈』をされた側が怒りを覚えるのは当然で、特に危機的状況に陥っていた際にこんな事をされ、ましてや仲間の誰かが死亡するに至ったとなれば、『怪物進呈』をして来た側に殺意を抱いて報復に出ようとする事も十分にあるだろうし、『怪物進呈』を仕掛けた側がどうこう文句を言う権利も無いだろう。
また、前述の通り「冒険者達同士の間で頻繁に行われている点」から見ても、ギルド側は「『怪物進呈』を行った事自体については、悪意無い限り厳しく咎めるつもりはないが、その結果自分達がどのような恨みや殺意を買って報復されたり、他のファミリア達から見放されたとしても、あくまでも『自己責任』と見なし、一切の関知はしない」というスタンスを取っている可能性もある。
つまる所、『怪物進呈』の是非は「組合の権限によって咎めたりはしないが、その結果どんな報復・冷遇を受けても、組合の権限で庇う事もしない」「全ては自業自得なのだから、ちゃんと自分で責任を取れ」と言うものなのだろう。
この『怪物進呈』は、現実のMMORPG等で言うところの「MPK(Monster Player Kill)=周辺にいるモンスターを小突いて大量に引き連れて、気に入らないもしくは邪魔な、最悪通りすがっただけの何の関係もない他のプレイヤーキャラにけしかける」に当たる行為と言える。
追ってくるモンスターの群れを前にログアウトやファストトラベルでヘイトを別のパーティを向かわせ自分たちは逃げおおせるという、群れを押し付けられたパーティにしてみれば迷惑極まりない話なので、運営側からペナルティを課せられかねない行為となっており、何度も繰り返すようならアクセス自体禁止にされる可能性もある。
ゲーム内での行いで、自分達の命が本当にかかっている訳では無い以上、厳しい罰則となるのも当然と言えば当然と言えよう。
最近はこれを防ぐため一度に登場する敵や一人に向くヘイトの数に制限を設けたり、一定距離移動するとヘイトがリセットされ初期位置に向かう様なルーティンが組まれていることが多く
そもそも普通に戦うだけなら何百体いようが負ける方が無理という程のやり込みや、見かけ上オープンワールドだが、エリアをシームレスに移動できるだけで実は別ルームという形のマップ構築が一般化し、エネミーを引き連れての長距離移動が難しくなった事、ユーザーの死因は基本的にボスのみ、他の雑魚は見つけ次第ぶち殺す餌と化し、むしろ血眼になってエネミーを探し回るキリングマシーンが大量に居る昨今のオープンワールドMMO RPGにおいては手間暇かけて素材を進呈するに等しい行いであり、当のキリングマシーンが群れ発見とばかりに乱入し、ヘイトを掻っ攫われた(小突いて逃げ回るユーザーより積極的に殴りにくるユーザーの方がヘイトが高まるのは当然である)うえで鏖殺されるためあまりメジャーではない(むしろ他人が相手している敵を横から掻っ攫う行いの方が「英雄気取り」「勇者様」と余程激怒される)