曖昧さ回避
- 日本のバーチャルYouTuber。本項で記載。
- 何度も刑務所行きを繰り返している、刑務所の常連さんのこと。1.の人物はこれに由来する。
- かつて存在した暴力団、中野会元会長で元五代目山口組若頭補佐、元ヤクザの中野太郎(1936年10月30日-2021年1月10日)が武闘派として名を知らしめていた現役時代に付けられた異名のひとつ(もうひとつは「喧嘩太郎」)。
- 日本のプロレスラー。喧嘩プロレス二瓶組所属。
概要
前科三犯、893番、懲役太郎です
「出所が近いという事で篤志面接委員から許可をもらい、職業訓練としてシャバで大人気だというYouTuberを始める」という触れ込みでデビューした受刑者系バーチャルYouTuber。
ある時は「懲役中に『子供が憧れている』『儲かる』職業として、YouTuberを見つけた」と発言している。
2018年7月から活動を始めた。
元ヤクザ(暴力団員)であることを公言している。(以前の)所属組織については「更生会」という架空の組を名乗っており、いろいろな意味でVTuberだからできるアウトローな切り口の活動を行っている。
年齢はデビュー時点で52歳と年長であり(もっともファンタジー設定の人物であればそれ以上も珍しくないが)、芸歴についても個人勢Vtuberとしては古参である。
「懲役」の名前の通り、刑務所・拘置所での生活について取り上げているほか、元ヤクザという経歴から裏社会の文化や過去(特に、本人が現役で精力的に活動していた昭和後期から平成初期にかけて)の情勢にも詳しい。
「刑務所の中から配信している」という体のため、アクリル板が貼られた向こう側から話しかけているような演出がされている。面会時間が限られているため、基本的には10分以内か、制限時間表示があり、「面会終了」の文言で閉じるスタイル。過去の関連人物の犯罪に関する言動も多いため、基本的には生放送ではなく検閲された動画投稿の形式となっている。
坊主頭に横縞の囚人服という出立ちが特徴。あまり目立たないが、向かって左側のこめかみに縫い傷がある。
当初はフリーで活動していたが、2018年9月にバーチャルタレント支援プロジェクトupd8所属となる。その後2020年12月をもってupd8が解散となったため、再びフリーで活動している。
運営や管理を別人が担当していることや、長い服役期間もあって時代の移り変わりにはまだ慣れていないらしく、本人はVtuberの事もよく知らないという(後述)。一方でupd8所属後は他のVtuberとの交流も少しずつ増えてきており、本人は「真似になってしまうかもという思いから、Vtuberになってからはあまりアニメや漫画、他のVtuberの動画は見ないようにしている」とコメントしている。
YouTube以外のメディアへの出演も行なっており、2020年6月には『塀の中の元極道YouTuberが明かす ヤクザの裏知識』を出版。同年7月には『星とアウトロー』で歌手デビューしている。
なお、活動歴の長さや注目度の割にメディア出演の機会は決して多くないが、これは「懲役太郎」という直球すぎる名前が、多くの出版社やテレビ局からNG判定を受けているためとのこと。
活動を広げる上で「前科者や犯罪に関する単語が含まれると融資できない」等、コラボなど関わる相手まで巻き込み迷惑をかけてしまう問題に直面しており、「更生し、真面目に社会復帰して犯罪抑止のために活動しているのに、前科のせいで居場所が無いのではおかしい」と、再犯を起こさない、起こさせない社会にしていく意志を一段と強く発信している。
これに関連し、コラボ用の衣装として親方太郎という和服と髪の毛フサフサの姿が実装された。
2021年7月5日からかなえ先生と共同でYouTubeで配信されるバラエティ番組「懲役先生」のMCを務めている。
2023年にはフライデーデジタルにて展開している漫画「極道楽園」の監修(作画:川端浩典)を務めている。
人物
元ヤクザで、数度の服役経験がある。
なお、かつて所属していた組の組長の意向もあって、刺青やエンコ詰め(指詰め。「けじめ」のために指を切り落とすこと)は行っていない。
また、薬物については「商売にはなってもクスリをキメた部下なんか使い物にならんし、自分でキメたら話にならん」という考えから、組として組員の使用自体が無かったとのことで、こっそり利用していた者もいたが、やはりというか使い物にならない醜態を晒してしまい切り捨てられた模様(ただし、本人は因幡組組長との会談において、過去の使用経験を仄めかしている。「辞められた」人間がいる、と公言すると依存症の恐怖感が薄れるため、公言は避けるべきという趣旨の発言をしている)
なお、薬物に限らず依存性のあるものは辞めた方が良いとして、酒や煙草も辞めているという。
本人は「ギリギリ昭和の社会を知っている世代」とのことで、現役であったころの経験などは昭和後期から平成初期(1980年代後半〜1990年代)を中心に語っている。『龍が如く0』の実況(「ゲームさんぽ」のパロディ)をした際には、本人の世代に近かったためか非常に詳しく時代背景などを解説していた。
動画では現実の事件や犯罪者、(刑務所や警察などを含めた)組織の実態について触れており、フィクションの表現や一般市民の認識などについて、実体験に基づいた見解を述べることも多い。
「前科三犯」の名乗りの通り何度も服役しているが、これはヤクザ組織特有の「身代わり」、「使用者責任」や組織としての違法物品の所持等、いずれも彼個人が自発的に犯罪をしたわけではなく、組織の構成員として罪を被った形であるとしている。また、所持などであり被害者が存在しない事件であることを繰り返し強調している。
……なお、「設定上は」現在も服役中のはずだが、すでにシャバにいる目線から話してしまうことも多く、設定が甘いと自虐することも。そもそも活動が思いのほか長期化し、今後も100歳まで現役を目指しているため、「活動年数=懲役年数」とすると刑期が凶悪すぎてシャレにならない問題が発生してしまっている。
刑務所内での態度としては、「模範囚」「(懲役の作業について)自分で言うのもなんだが優秀」とのこと。文学に明るく、多くの本を読んでいることを語っている。
服役中に多くの話を聞いてきたことで、囚人はもちろん、刑務官側の事情についてもある程度よく知っており、またかつてある死刑囚との交流もあったという。
時代をまたいだために、監獄法と呼ばれる今よりも劣悪だった時代の刑務所を知る生き証人。
長年懲役していて外部の世界の現在の情報を詳細に知り得ることができないため、発言には一部現代の常識とずれている部分が生じている。
例えば、Twitterを開設する動画では、「炎上」のことを「人を生きたまま燃やす」ことを指していると勘違いしていた。また、ゴルンノヴァ総統にupd8の参加を進められた際には、「キズナアイさんって誰か?」「そもそも何の話をしているのかわからない」等とシャバの情勢もあまり分かっていなかった。
ヤクザの世界の流れにも時代の関係からややずれがあるらしく、昔ながらのヤクザや裏社会に詳しい一方で近年の動向(いわゆる「インテリヤクザ」の増加や「半グレ」による特殊詐欺の横行など)にはあまり触れていない。
配信のスタイルも檻の中ならではで、ゲーム実況の動画を出すにも刑務官らから許可を得ねばならず、動画、生配信、Twitterに関わらずすべては検閲をしてもらわないと発信できないようになっている。
特に生放送は面接時間の15分ポッキシで収録をし、そのままの配信を外に垂れ流すことはできないため、生放送についたコメントをもとに生放送風の動画を収録する(つまり、リアルタイムから一回ずつずれている)という手法が取られている。
このように検閲が入る、リアルタイムで情報が手に入らない、自分がバーチャルと気づかないなどいろいろと特殊な状況に置かれてはいるが、ほかのバーチャルYouTuberとの交流も刑務所の中ながら一応にはある。同じupd8所属であったあにまーれの因幡はねる組長や、同じ電脳文化倶楽部に属していたゴルンノヴァ総統、ふくやマスターとはTwitterで交流をしたり、コラボ動画を配信したりということもあった。
リアルシャバでの姿は自他ともに認めるイケオジであるとのことだが、声で身バレしてしまうために普段は外では声を変える努力をしているらしい。
初期に行っていた相談系の企画等も、身バレしかけたために正体を知る人間からの突を回避するために現在は行っていないという。
炎上騒ぎ
2022年12月17日、突然の炎上としてTwitterトレンド等に浮上してしまう。
問題となったのは連日SNS界隈等で炎上していた慈善団体「colabo」にも関連するという「元ヤクザの牧師」がキメセクで逮捕された件に関して出した数回の動画が、全否定の内容ではなかったことであり、これがcolaboと係争中として注目を集めていた人物達により「金を掴まされて買収されている」「脅迫されて擁護動画をとらされている」等の騒ぎとなったものであった。
一連の動画に関して、懲役太郎としては「ヤクザやキメセクのことはわかるが、colaboって組織のことはよく知らない」ことに加え、「団体に関わる個人が犯罪を犯したことと、それがイコールで団体ぐるみの犯罪であるかは別問題」という基本理念に基づき、組織ぐるみの証拠は発見されていないという事実を述べたのみとされている。
この件に関し炎上で委縮する……なんてことは無く、「陰謀論が構成される流れを実体験できた」と前向きに経験値として受け取ったり、ちゃんとcolaboを擁護しますと言いながら慈善団体と言おうとして女衒団体と言ってしまい、その後も女衒と連呼しまくる等、積極的に火に油を注いでいる。
いわく、そもそも懲役太郎としての数年間の活動自体が、警察や検察、刑務所やそれらを管理する法務省、さらには現役で存続しているヤクザ組織までも批判しまくっており、実際に現役ヤクザに名指しで喧嘩を売られたことまであるため、いまさら怖がるものなんてないので圧力にビビりようがないとのこと。そもそも、「圧力なのか買収なのか設定をハッキリしろ」とも。
なお、同じころ相方のかなえ先生はcolabo批判動画を出すように刃物画像付きで脅迫を受けていたため「僕は脅迫されたのに、おじさんはお金をもらってたんですか!?」と炎上をネタにしていた。
そもそもcolaboが当該時期に炎上していた発端は「不正会計」であり、懲役太郎コンテンツの規模からVTuber相場で産出される「買収予算」を考慮すればそれこそ使途不明にしては大きすぎる出費になり無理があることに加え、2人の性格として買収されたら、応じるよりも買収しようとしてきたことをリークしてネタにすると2人してネタにしている。
かくして、修羅場を超えすぎて怖いものの無いおじさん達は、自身の炎上すらも知名度を上げつつ自身の活動スタンスを再認知させる機会として逆に利用してしまった。
ヤクザについての考え
元ヤクザではあるが、現在では足を洗っており、基本的には「ヤクザ」というものについて否定的な立場をとっている。
ヤクザ組織や風俗といったアンダーグラウンドな世界について、出自や障害や就職難等で居場所が無い人間の最後のセーフティとして一定の存在意義はあると主張している。
一方、そうした「弱者を守る」ための意義と考えているために、近代の多くのヤクザ組織や半グレが陥っている、上納させられるばかりで構成員の生活が成り立たない状況には、もはや組織の体を成しておらず完全にオワコンであるとしている。
自身が足を洗ったのも、そうした組織の実情を見たり、自身も身内の巻き添えや引責で逮捕の憂き目に遭い、また多くの人物の短命や破滅を見てきたために、続けても未来は無いと悟ったためと語っている。
なお、どれほどオワコンになろうとも、新たに立ち上げようとするものが消えることはなく、完全に消滅はしないと予想している。
バーチャルにも慣れてきたころ、実写かつ現役ヤクザYouTuberを名乗る「敵刺」に名指しで喧嘩を売られる事案が発生。
それに対し、バーチャル≒匿名だからできる活動もあるということをたびたび主張しており、自身の過去のエピソードについても、名前や顔を出してないから言える、当事者が全員死んでるから言える等の趣旨の発言をしている。
なお、この件については敵刺側が現役シャブ中であったために逮捕され、収束することとなった。
俺太郎について
デザイン・動画編集・チャンネル運営や管理は、漫画家の「俺太郎」が行なっている。→インタビュー記事
俺太郎は懲役太郎から見て親友の妹の息子という立場で、俺太郎が幼少の頃から付き合いがあるという。
「元ヤクザ」という経歴がネタの宝庫として着目され、口車に乗せられてサンプルボイスを提供したらそれをネットに公開された上にバズってしまったことで、策に乗せられて引くに引けずVTuber懲役太郎としての活動を始めることになってしまったとのこと。
初期は機材も俺太郎所有である等、非常に依存度が高い関係にあったが、徐々に独立した活動も増えている。
なお、俺太郎は漫画家時代に佃煮のりおに連載会議で負けて連載を逃し、それを機にバーチャルに着目し懲役太郎コンテンツを独学でスタートさせるも、佃煮のりおも件の連載を放り出して犬山たまきコンテンツを独学でスタートさせてきたという、拗れた因縁を持つ難儀な人物である。
懲役太郎・俺太郎ともに、扱うコンテンツの都合として脅迫を受ける可能性は想定し、身バレには細心の注意を払っているとしている。
活動初期はリスナーとの距離を詰めすぎて過去を知っていそうな人物と交わりかけたこともあったが、そうした経験から学び対策したことで、今は「脅迫したくても、自分達にリアルで危害を加えるのは不可能だろう」としている。
任侠カフェ
2021年5月、名古屋市中川区にオープンしたヤクザ事務所をコンセプトとしたカフェ。
プロデュースの他、オープンのためのクラウドファンディング等でその中心となっており、店内(事務所内)には写真(※いつもの囚人服)が飾られており、店内には因幡はねる(指定暴力団因幡組組長)をはじめ他のVtuberの名前や寄贈品も存在する。
店内内装は店舗機能や現行法に気遣った範囲で自身の見てきた事務所を再現している。
オープン時のご時世から入口には消毒液が設置されているが、図の手のイラストの小指が無い等、自身の事務所では無かったが世間一般のイメージするヤクザ像にちなんだ小ネタも取り入れている。
スタッフも組員スーツで出迎え、兄貴・お嬢に対する「ご苦労様です!」が挨拶。
カフェとしての飲食だけでなく、組員が着てそうな服や、模造武器等の小道具も用意されており、ヤクザごっこを楽しむこともできるようになっている。店員を舎弟にしてチェキ撮影も可能。
一番高いドリンクは700円の鉄管ビール。
これは囚人は酒を飲めないので水道水をビールだと脳で思い込んで飲むという刑務所あるあるネタによるものであり、つまりはただの水である。
コンセプトがコンセプトのため、まかり間違ってもガチ化しないよう、地元警察とは友好関係を築きまめに情報交換をしている。
あくまで、エンタメとしてのヤクザコンテンツを楽しみつつ、エンタメの範疇を逸脱した反社はいけないという、懲役太郎コンテンツの凝縮された空間となっている。
2022年2月末を持って休業(実質的な閉店)。
なお、当初より期間限定のつもりであったことに加え、懲役太郎・俺太郎ともにクリエイター目線であって経営者ではなかったため、クラウドファンディングの初期費用こそ大きかったものの、ランニングコストは厳しく、またご時世柄積極的に集客宣伝しづらかったこともあり、収益的には苦しい結果であったと言及している。