ピクシブ百科事典は2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

日産・SRエンジン

にっさんえすあーるえんじん

SRエンジンとは、日産自動車の自動車用直列4気筒ガソリンエンジンである。現在は、排気ガス規制等の関係で、2Lは後継のQRエンジンへ、1.8LはQGエンジンへとそれぞれ切り替わっている。
目次 [非表示]

概要編集

CAエンジンの後継機として開発された。日産の2リッタークラスの代表的なDOHC16バルブエンジンで、1989年10月にU12型ブルーバードへ初搭載されたのを皮切りに、その後長きに渡り、駆動方式にとらわれず様々な車種に搭載された非常に汎用性の高いエンジンである。ヘッドやブロックはアルミダイキャスト製で、軽量コンパクトな設計思想が生かされていた。その他、Y字型ロッカーアームという、SRエンジン独特の特徴を持っている。

アルミ製エンジンにしては強度があり、構造が比較的単純で手を加えやすいことから、チューニングベースとしても優秀なエンジンとされている。しかし、登場初期はロッカーアームが脱落しやすい、アルミブロックの強度が鋳鉄ブロックに比べると低い、オイルポンプが弱いなどの問題を抱え、チューニングベースとして考えられる事はほとんど無かった。

基本的にFF(フロントエンジンフロントドライブ・前輪駆動)車用に設計された横置きエンジンであり、FF車用SR型エンジンとFR(フロントエンジンリアドライブ・後輪駆動)車用SR型エンジン(縦置き)はエンジンブロック等、細部が異なっている。


共通事項編集

水冷直列4気筒DOHC16バルブガソリンエンジン


バリエーション編集

各スペックデータは、括弧内の車両のデータを示す。


SR16VE編集

1596cc、DOHC16バルブ・自然吸気(NA)モデル。可変バルブタイミング&リフト機構NEO VVLを搭載しており、175馬力の標準型(通称青ヘッド)と、N1耐久レース参加を視野に入れた200馬力のファインチューニング型(通称赤ヘッド)が存在する。組み合わされるトランスミッションは5速マニュアルシフトのみ。

内径×行程:86.0×68.7

出力:

標準型(青ヘッド)

129kW(175ps)/7,800rpm 161N・m(16.5kg・m)/7,200rpm

(B14ルキノ、B15サニー、N15パルサー/ルキノハッチ)

N1耐久レースベース型(赤ヘッド)

147kW(200ps)/7,800rpm 181N・m(18.5kg・m)/7,600rpm

(N15パルサー/ルキノハッチ)

全てプレミアムガソリン仕様


SR18Di編集

1838cc、DOHC16バルブ・自然吸気モデル。シングルポイントインジェクション。ヘッドカバーの色はシルバー。

内径×行程:82.5×86.0

出力:81kW(110ps)/6,000rpm 150N・m(15.3kg・m)/4,000rpm - レギュラーガソリン仕様

(P10プリメーラ前期、W10アベニール前期、R10プレセア前期、U12ブルーバード後期の一部)


SR18DE編集

1838cc、DOHC16バルブ・自然吸気。マルチポイントインジェクション。

ヘッドカバーの色はシルバーとシャンパンゴールドが存在する。

内径×行程:82.5×86.0

出力:

92kW(125ps)/6,000rpm 156N・m(16.0kg・m)/4,800rpm - レギュラーガソリン仕様

(P10-P11プリメーラ、U14ブルーバード、W10アベニール後期)

103kW(140ps)/6,400rpm 167N・m(17.0kg・m)/4,800rpm - プレミアムガソリン仕様

(B13-B14サニー、B13NXクーペ、B14ルキノ、N14-N15パルサー)


SR20DE編集

1998cc、DOHC16バルブ・自然吸気。マルチポイントインジェクション。

SR20DETのベースエンジン。改良もほぼ同時期に行われており、後に可変バルブタイミング機構NVCSを追加した機種も存在する。 1990年代~2000年代初期の多くの日産ミドルクラスの心臓部に搭載されたエンジンである。 ヘッドカバーの色は、シルバー、シャンパンゴールド、ワインレッド、ブラック、ブルー(NVCS仕様のみ)等が純正パーツとして存在する。

内径×行程:86.0×86.0

出力:

103kW(140ps)/6,400rpm 178N・m(18.2kg・m)/4,800rpm - レギュラーガソリン仕様

(U12ブルーバード後期)

96kW(130ps)/6,000rpm 172N・m(17.5kg・m)/4,800rpm - レギュラーガソリン仕様

(C23セレナ)

107kW(145ps)/6,400rpm 178N・m(18.2kg・m)/4,800rpm - レギュラーガソリン仕様

(U13-U14ブルーバード)

110kW(150ps)/6,400rpm 186N・m(19.0kg・m)/4,800rpm - プレミアムガソリン仕様

(P10-P11プリメーラ U14ブルーバード前期)

121kW(165ps)/6,400rpm 192N・m(19.6kg・m)/4,800rpm - プレミアムガソリン仕様

(S15シルビア マニュアルトランスミッション車)

118kW(160ps)/6,400rpm 188N・m(19.2kg・m)/4,800rpm - プレミアムガソリン仕様

(S15シルビア オートマチックトランスミッション車)

103kW(140ps)/5,600rpm 186N・m(19.0kg・m)/4,800rpm

(W11アベニール前期4WD、C24セレナ前期、N30ルネッサ、M12プレーリーリバティ前期)

107kW(145ps)/6,000rpm 186N・m(19.0kg・m)/4,800rpm

(C24セレナ前期、W11アベニール中期)

99kW(135ps)/5,600rpm 178N・m(18.2kg・m)/4,800rpm - レギュラーガソリン仕様

(V10ティーノ)


SR20DE改良型編集

1998cc、DOHC16バルブ・自然吸気モデル。マルチポイントインジェクション。ヘッドカバーの色はシルバー。

SR20DEをベースにオーテックジャパンが改良を加えたエンジンで、圧縮比アップやバルブタイミングの変更改良、専用フロントチューブおよび専用コントロールユニットを採用していた。 専用エギゾーストマニホールドを持つ180馬力版がP10プリメーラに、SR20DEと共通のエキゾーストマニホールドを持つ175馬力版がB14ルキノとN15パルサーセリエ/ルキノハッチにそれぞれ搭載された。組み合わされるトランスミッションは5速マニュアルシフトのみ。 S15シルビア「オーテックバージョン」には200馬力版、6速マニュアルシフトのまさにSR20DE最後にして最強の決定版ともいえる改良が施された。

内径×行程:86.0×86.0

出力:

132kW(180PS)/6,800rpm 192N・m(19.6kg・m)/5,600rpm

(P10プリメーラ)

129kW(175ps)/6,800rpm 186N・m(19.0kg・m)/5,200rpm

(B14ルキノ、N15パルサー/ルキノハッチ)

全てプレミアムガソリン仕様


SR20DET編集

1998cc、DOHC16バルブ・シングルターボ(ターボチャージャー)搭載モデル。

PS13シルビア中期~後期、RPS13・180SX中期型搭載の1型(赤ヘッド)、大型改良を受けたRPS13・180SX中期~後期型搭載の2型(以降黒ヘッド)、可変バルブタイミング機構NVCSが追加されたS14シルビア搭載の3型、マイナーチェンジ程度の変更をされた4型の他に、RNN14パルサーGTI-R用のスペシャルタイプ(2型改・文字無し赤ヘッド)も存在する。

内径×行程:86.0×86.0

出力:

151kW(205ps)/6,000rpm 275N・m(28.0kg・m)/4,000rpm

(U12ブルーバード、S13シルビア後期、180SX中後期)

169kW(230ps)/6,000rpm 284N・m(29.0kg・m)/4,800rpm

(N14パルサーGTI-R)

162kW(220ps)/6,000rpm 275N・m(28.0kg・m)/4,800rpm

(S14シルビア)

154kW(210ps)/6,000rpm 275N・m(28.0kg・m)/4,000rpm

(W10アベニールサリュー、U13ブルーバード)

147kW(200ps)/6.000rpm 265N・m(27.0kg・m)/4,000rpm

(N30ルネッサ)

169kW(230ps)/6,000rpm 275N・m(28.0kg・m)/3,600rpm

(W11アベニール、M12プレーリーリバティ)

184kW(250ps)/6,400rpm 275N・m(28.0kg・m)/4,800rpm

(S15シルビア マニュアルトランスミッション車)

165kW(225ps)/6,000rpm 275N・m(28.0kg・m)/4,800rpm

(S15シルビア オートマチックトランスミッション車)

全てプレミアムガソリン仕様


SR20VE編集

1998cc、DOHC16バルブ・自然吸気、NEO VVL搭載モデル。トランスミッションの組み合わせは、190馬力版がCVT(ハイパーCVT-M6)のみ、204馬力版が6速マニュアルシフトのみ。

内径×行程:86.0×86.0

出力:

140kW(190ps)/7,000rpm 196N・m(20.0kg・m)/6,000rpm

(P11プリメーラ後期、Y11ウイングロード前期、U14ブルーバード)

150kW(204ps)/7,200rpm 206N・m(21.0kg・m)/5,200rpm

(P12プリメーラ)

全てプレミアムガソリン仕様


SR20VET編集

1998cc、DOHC16バルブ・シングルターボ搭載モデル。NEO VVLを採用した過給器付きエンジンで、SRエンジン史上最強のスペックを誇る。T30エクストレイルのみに搭載する。

内径×行程:86.0×86.0

出力:206kW(280ps)/6,400rpm 309N・m(31.5kg・m)/3,200rpm - プレミアムガソリン仕様

(T30エクストレイル)


搭載していた車種編集

シルビア(PS13後期,S14,S15)/180SX(RPS13中期・後期)

シルビアをベースにして製造された光岡自動車ラ・セードを含む。

サニー(B13,B14,B15前期)/ルキノ(B14クーペ,N15ハッチ)

NXクーペ(B13)

パルサー(N14,N15)

プリメーラ(P10,P11,P12)

トミーカイラ・ZZはP10型のSR20DEをベースにチューニングしている。また、ASL・ガライヤはP12型のSR20VEをベースにチューニングしている。

ウイングロード(Y10,Y11前期)

ブルーバード(U12後期,U13,U14)

ルネッサ(N30)

プレーリー(M11後期,M12前期)

ティーノ(V10)

セレナ(C23,C24前期)

アベニール(W10,W11前期・中期)

プレセア(R10,R11)

X-TRAIL(T30)

ルノーサムスン・SM5(A32,A34R)

他国向けのセフィーロ/マキシマ/ティアナにSR仕様は存在せず、韓国仕様のみ。


備考編集


駆動方式の違い編集

前述の通り、FF用とFR用では細部に違いが見られる。このため、FF車用のSR型エンジン本体をシルビア/180SXなどのFR車にそのまま搭載することは出来ない。これは、逆の場合も同様である。搭載には同形式でも多くの加工と専用パーツが必要である。

FR車用SR型縦置きエンジンは事実上シルビア/180SX専用エンジンであり、多くの専用パーツが使われていたことから、FF車用とは別ラインで生産されていた。FR車用のSR20VE系エンジンがメーカーである日産の手で設定されなかったのは、コストがかかる一方で、スポーツカー全体の市場規模が縮小傾向だったことから、開発コストの回収が見込めないと判断したためと推測されている。


SR20エンジンのチューニング編集

SR20DE/SR20DETは、バリエーションの項目の通り、様々なモデルが存在する。ただし、どのモデルにおいてもエンジン名は同じであるため、基本的な構造は変化していないが、中でも大幅な変化があるのが2型~3型間で、2型以前と3型以降を比べるとヘッドの形状が大きく異なっている。2型以前は吸気側のポートが排気側のポートとほぼ同じ高さにあるが、3型以降は吸気側のポートが2型以前よりも下側に、すなわちローポート化しているのである。このローポート化が意味することは、ヘッド内部における混合ガスの流れに急激な角度がついた事を示しており、その分吸気効率が悪くなっている。ターボチューンにおいては影響はさほど及ぼさないが、NAチューンの場合は深刻で、チューニングを突き進めていく場合は2型以前のヘッドに載せ換える事例が多い。また、同じSR20DET同士でもパルサーGTI-Rのエンジンはロッカーアームが飛びづらくなる改良や大容量オイルポンプ、4連スロットルの採用などが行われた結果。日産社員でさえレーシングエンジンだと言わしめるほど全てが異なっている。

さらに、概要の欄に書かれている通り、8,000回転を超えると高頻度でロッカーアームが脱落し、カムがそれを叩いてしまうことにより粉砕され、エンジン内に吸い込まれ即エンジンブローの原因となる。また、セオリー通りの点火時期を取るとノッキングによりエンジンブローを引き起こす可能性が高く、アルミブロックは貧弱だ、チューニング向けのエンジンでは無い、S13型シルビアやRS13型180SXに搭載されていたCA18DETをチューニングした方が楽なのではないか、などと言われていた。しかし、点火時期の取り方が分かってきた事や、JUNオートメカニックが全日本GT選手権で使い始めた事により、段々と使い方も分かってきて、今ではチューニング界を代表するエンジンにまで仕上がっている。つまり初期に言われてきた文句は、エンジンの性格を理解していない為に言われていたことが分かる。

プロフェッショナル用途でのチューニングにおいては10,000回転超のチューニングが可能になっているものの、街乗りやビギナーレベルでのスポーツ走行等、一般ユーザーの求める用途では、高回転高馬力を求めるより、低回転から高トルクを発揮する性格のエンジンを製作した方が実用的であり、エンジンへのダメージも軽減できる。幸い、人気車種のシルビアや180SXに搭載されているエンジンであることから、多数のアフターパーツメーカーからチューニングパーツがリリースされているので、一般的な範疇においてはチューニングプランに困る事は無いであろう。

他車のエンジンを換装するエンジンスワップに使われる事例も多い。AE86型レビン・トレノやBMW・E36などの比較的アンダーパワーな車種を劇的にパワーアップさせる場合や、重い鋳鉄製ブロックを採用するRB20DETといった6気筒エンジン搭載車に換装し、フロントの重量を低減させることでコーナーリング性能を向上させるなど、多目的に重宝されている。

SR20DEについてはダイレクトイグニッションを採用していないことから、スポーツ性を念頭において設計されたエンジンではなく、チューニングには適していないと一般的に言われている。しかし、NAエンジンらしい独特のフィーリングや、軽快なレスポンスを好む愛好者も多く、インテークマニホールドの4連スロットル化、SR20DET用ダイレクトイグニッションシステムの移植によるDI化、近年注目を集めるスーパーチャージャーキットの装着によるSC化、更にはエンジン内部に手を加えることによって、N2仕様のようなハイパフォーマンスを発揮させるチューンが施される事例もある。あくまでチューニングのベースとして捉えるのであれば、設計段階での目的から外れているからといってチューニングに向いていないとは言い切れないであろう。

かつてのマーチ・スーパーターボに採用されたような、スーパーチャージャーとターボチャージャーを組み合わせた過給システム(ツインチャージャー)を装着して、全回転域での性能向上を図るチューニングも提案され、既に生産の終了したエンジンであるにもかかわらず、SR20エンジンの人気は陰りを見せていない。

T30型エクストレイルに搭載されているSR20VETをシルビアや180SXに搭載した事例もあるが、先述の通りSRエンジンのブロックは、縦置き用と横置き用で大きく形状が異なるため、シルビア/180SXに無加工で換装することはできない。SR20VETの発揮する出力と同等の280馬力を得るだけであれば、SR20DETにライトチューンを施したほうが現実的といえよう。


SR22DET・SR22DEについて編集

SRエンジンの中には、非公式にSR22DETやSR22DEと呼ばれるエンジンが存在する。

これらのエンジンは、日産自動車から正式にリリースされたエンジンではなく、SR20DETやSR20DEにボアアップを施し、排気量が2.2リッター相当にアップされたチューニングエンジンである。大抵は専用のピストン、コネクティングロッド、クランクシャフトを組み込んだものであり、これらのパーツを組み合わせたキットが様々なアフターパーツメーカーからリリースされているほか、既に組み込んで完成したエンジンを販売している所もある。

2.2リッターの一般販売向けコンプリートエンジンとして、東名パワード製のものが知られている。

関連記事

親記事

日産 にっさん

兄弟記事

コメント

問題を報告

0/3000

編集可能な部分に問題がある場合について 記事本文などに問題がある場合、ご自身での調整をお願いいたします。
問題のある行動が繰り返される場合、対象ユーザーのプロフィールページ内の「問題を報告」からご連絡ください。

報告を送信しました

見出し単位で編集できるようになりました