概要
業界でも珍しい親子二代の女子プロレスラーであった。
母・響子はかつて練習生からレスラーを目指すも一時挫折し、アジア放浪旅行で出会ったインドネシア人男性と結婚、花を生むもほどなくして離婚。花を育てつつプロレス団体スタッフを経て長年の夢を叶えるべくJWP女子プロレスで念願のデビューを果たした苦労人であった。
業界でも稀有なシングルマザーレスラーとしてエキセントリックなキャラクターで人気を博した母の活躍を間近に見ながら花は育った。
幼年期はプロレスに対して遠慮がちだったが、次第に興味を示し、ついには母の反対を押し切り高校を中退、2015年17歳で武藤敬司主宰のWRESTLE-1が設立したプロレス総合学院に1期生として入学、また同年には格闘技団体パンクラスのラウンドガールを務めるなど、長身でビジュアルの良さであったことに加え、母親譲りのハートの強さ、プロレスへの真摯さに早くから業界の注目と期待を集めていた。
2016年、プロレス総合学院を卒業。デビュー戦となった卒業試合では筋肉アイドルとして人気の才木玲佳と闘い敗れている。才木とは共にプロレス総合学院育ちでもあり、その後も試合を重ねてしのぎを削った。
デビュー後、母親の響子ともしばしば業界でも希少な親子タッグを組むと同時に、新人ながらアジャ・コング、鈴木みのるなどの大物とも当たる機会を得る。新人には異例とも言える抜擢に業界の期待が窺え、圧倒的力量差にも怯むことなく果敢に戦いを挑む花の姿をファンやマスコミも称賛した。
また響子の引退試合においては当時の義父の格闘家ISAOと家族3人タッグを結成、試合後の番外戦では響子との親子対決で花道を飾った。
しばらくは様々な団体に参戦していたが、プロレス総合学院の卒業生中心の新団体プロレスリングA.C.E.を経てWRESTLE-1に所属したあと、2019年3月女子プロレス団体スターダムへ移籍、存在感のあるヒールとして様々なタイトルを獲得、着実に実績を重ねていった。
2020年、新日本プロレスの1月4日の東京ドーム大会に出場するなどさらなる躍進が期待されたが…
突然の自殺
春頃からのコロナ禍による試合数の減少に見舞われる日々の中、SNS上に度々不穏な投稿を寄せるようになり、周囲から心配されていたが、同年5月23日、自宅で倒れているのを訪れた母響子により発見される。
その後病院へ搬送されるも死去。享年22歳。
そのあまりにも早すぎる死はプロレスファンのみならず社会全体に大きな衝撃を与えた。
遺書めいたものの存在は明かされており、自殺の可能性が高いと見られているが、はっきりとした動機などは明かされていない。
上記のように、自殺した動機は今現在も不明であるが、2019年9月から出演していた恋愛リアリティショー『テラスハウス』において、2020年3月からの番組内展開で木村が憎まれ役となったあたりからSNSを通じて誹謗中傷が増えたことが取り沙汰されている(木村の自殺を受けて『テラスハウス』はその演出や構成が問題視されたこともあり、放送打ち切りに追い込まれている)。
兼ねてよりネット上での匿名性を利用した誹謗中傷は世間から問題視されていたが、木村の自殺を契機に政府も本腰を入れてネット上での誹謗中傷に対する対策に力を入れることを表明する等、彼女の死は今のネット社会のあり方に大きな波紋を広げることになった。
捏造スクショ事件
2023年6月22日、木村花の死をきっかけとしてネット誹謗中傷問題について活動していた母親の木村響子が、第三者に提供されたTwitterのスクリーンショット画像を元に開示と損害賠償請求裁判を起こしたところ、画像が捏造であったことが判明。
無実の家族の名誉を棄損したとして反訴され、880万円の損害賠償を請求されていることを発表した。
発表の数週間前に放送されたアニメ版「推しの子」の内容が娘の死を題材にしていると未視聴で非難して大騒動を起こした矢先の出来事(とはいえ原作でこの話が掲載されたのは事件の4ヶ月後。題材にしたかどうかは不明だが、怪しまれても仕方ないと言える。)であり、母親の無配慮な行動がかえって娘の名誉を傷つけていると非難されている。
担当の弁護士は誹謗中傷を題材にしたマンガ「しょせん他人事ですから」の監修を務める清水陽平であり、専門家らしかぬ杜撰な対応も問題視されている。