CV:大友龍三郎
概要
映画の特殊視覚効果に携わっていた有名なCGクリエイターで、3年前より視力が低下してきたのを機にCGから手を引き、ゲームのシステム開発に専念している。
仕事場に他人が入ることをとても嫌がる、机の上の書類が10cm動いていると激怒するなど非常に神経質な性格の持ち主。不義理な面はあったようだが、過去にあるシステムソフトの開発に取り組むが、倫理観に反するものであったらしく断念してるため、良心や道徳心は持っていたようだ。
腕時計に対し強い拘りを持っている。
視力の低下によって普段は眼鏡を掛けており、人前ではコンタクトレンズをつけているのだが、それでも文章等を殆ど読む事が出来ないらしく、現在は点字の使い方も身に付けている。また、心臓に関しても、手術が必要とされる程病んでおり、それが自らの命取りとなっている。
女優にはお馴染みの人物で、工藤有希子やシャロン・ヴィンヤード(ベルモット)といった世界的に有名な伝説の女優ともCGクリエイター時代に面識がある。シャロンとはある映画でぶつかったのを機に犬猿の仲になったらしく、「スタッフ思いのシャロンがあんなに激怒するなんて珍しい」と役者仲間が漏らしているのを有希子は聞いたことがあった。
自らの死後、とある理由から日記のコピーデータが江戸川コナンの手に渡る事になる。
残された声なき証言
3つのゲームソフト会社を相手に、三重の掛け持ちで将棋、囲碁、チェスのゲームシステムの開発を行っていたのだが、前述の「とある理由」から物語の一週間前に姿をくらましてしまっている。
3つの会社の代表である相馬竜介(そうま りゅうすけ)、須貝克路(すがい かつみち)、内藤定平(ないとう じょうへい)の三人に、動画付きのメールを送ったのが切っ掛けで、コナンのいる毛利探偵事務所が捜索依頼を受ける事になった。
3人との会話の中で、2年前に黒の組織の一員であるテキーラからの接触を受けていた事実を知ったコナンは、毛利小五郎について行く形で、滞在先となっているホテルニュー米花に向かうのだが、実は数日前にて先に辿り着いていた相馬竜介によって、心臓疾患を利用される形で板倉は殺害されてしまっていた。
死体として発見されたばかりの時は病死と見なされていたが、所々の不自然な状態から殺人によって命を落としたことが発覚。
更に板倉が、囲碁の禁じ手と点字を応用したダイイングメッセージを残していた結果、相馬が犯人である決定的な証拠が見つかる事になった。
殺害された動機は、無名のゲームクリエーター時代に彼と交わした約束を実質反故にしてしまった事にある。
当時、相馬と酒を交わしながら「ビッグになったら名人を倒せるような将棋ソフトを作ろう」とよく話していた。真剣に夢見ていた相馬は20年もの間、名勝負の棋譜を送り続けて「機は熟した」って言葉に乗せられて借金までする形で多額の投資もしていた。
しかし、20年という長い年月の中でCGクリエイターとして大成してしまった板倉にとって、相馬との約束は「遠い過去の約束」となってしまっていた。CGで有名になってTV出演している板倉を相馬は会社で何度も罵っていたが、殺意までは持っていなかった。だが殺される3日前に笑い顔で言った「待ったは何回がいいと思う?」が相馬に殺意を芽生えさせてしまい殺害されてしまった。
この時の「待った」が何を意味するのかは不明だが(おそらく「名人級の本格的な将棋ソフト」において「待った」の機能を設ける事にあったと思われる。もしくはそれにかけた板倉の製作延期のシャレの可能性も一応あるが、相馬は前者と解釈した様子である)、真剣に夢見ていた相馬にとっては、板倉が語り合った夢を完全に捨てているとしか見えなかったのかもしれない。「人生に「待った」があるんなら、20年前に戻りたいよ…奴と同じ夢を見ていたあの頃に…」
なお、序盤に相馬が明かした事実からも、過去に板倉の元へ押しかけてきたテキーラを板倉殺しの犯人にしようとしていたようだが、本人が既に死亡していた事から成立出来なかった。
しかし、当の板倉本人には、「命の掛かった事情」が別にもあった…。
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ここから先はネタバレの為、注意。
黒の組織との関わり
『残された声なき証言』にて明らかになった日記の内容は以下の通りである。
2年前
3月7日 関西弁の男が突然訪ねてきた。どうやら、開発中のシステムソフトが目当てだったらしいが、私が目を悪くして開発を断念したと知るとあっさり帰って行った…上から下まで真っ黒な男…二度と会いたくはない… 。
3月26日 また机の上のペンが5cm移動している…やはり誰かが忍び込んだようだ。
4月15日 今度は自宅に誰かが…警察は取り合ってくれない…侵入した痕跡も取られた物も無いので仕方はないが…。
6月11日 鍵を取り替え、隠しカメラを設置したが無駄だったようだ…。
7月6日 誰なんだ!?姿を現せ!!
12月19日 5年も会っていない友人が私の別荘から電話をかけてきた。どうやら女と一泊するらしい。疲れた…このままではいつか私は殺されてしまうかも…。
1年前
1月6日 この恐怖から逃れるために机の中に侵入者に向けてのメッセージを入れた。「要求を飲む」と…。
1月8日 意外にもすぐに返事が来た。私が入れたメッセージの代わりに、侵入者のメモが入っていた。赤く書かれた「OK」の文字と共に怪しげな電話番号が…赤い文字は恐らく血で書かれた物…他言すると命はないという意味だろうか…。
1月23日 しばらく迷ったが警察に通報せずに電話する事にした…。電話に出たのはなんと女だった。女王のようなしゃべり方をする高飛車な女…女の要求は、 私が例の開発中のシステムソフトを一年で完成させたら高額で買い取りたいという事だった…どうやら前に来た大男の仲間のようだ…。
2月13日 彼らとの連絡方法は電子メールに変わった。私は報酬を前金で口座に振り込む事と、これ以上私の周りをうろつかない事を条件に引き受けることにした…。金額は不明だが、小切手の表示を見ると一千万円以上だと思われる。
12月22日 ダメだ…やはり私にはできない…なぜならあのソフトは私が目を患ったからだけではなく、我々人間のために断念したのだから…。
今年
2月9日 いよいよ期日が迫ってきた…。私は、未完成のソフトに彼らからの報酬分の小切手を添えて別荘のPCのそばに隠し、海外に姿をくらます事にする…彼らからソフト受け渡しの時間と場所を指定するメールが届くのは5日後の午前0時。それまでに何とか海外に…。
2月10日 しかし彼らはあのソフトで一体何をしようとしているんだ?最初に電話に出たあの女の奇妙な言葉が耳から離れない…。そう…あまりにも高圧的な女の口調に堪えかねて「何様のつもりだ」となじったら、女は笑いながら英語でこう返した…。
We can be both of God and the devil. Since we're trying to raise the dead against the stream of time.
(我々は神であり悪魔でもある…なぜなら時の流れに逆らって死者を蘇らそうとしているのだから…)。
板倉はシステムエンジニアに転向してから1年後となる2年前、黒の組織のメンバーであるテキーラからの接触を受けていた。
CGクリエイター時代、どのような経緯かは不明だが、板倉はとあるシステムソフトの開発を行い断念していたのだが、「我々人間の為に断念した」という日記の内容からも、どうやら倫理面に関してかなり問題のあるソフトであった模様。
そのソフトに関する情報を得た黒の組織は、テキーラを板倉の元へ送り込み、そのシステムソフトを売るよう要求していたようだが、板倉の視力が低下していた事でシステムソフトが開発出来なくなったのを知ると「あんたにはもう用はないわ!」とあっさり帰っていった。
しかしその後、今度はベルモットが事務所に何度も侵入する形で板倉に揺さ振りを掛け、いつか殺されてしまう可能性を恐れた板倉は、「要求をのむ」というメッセージを残す形で承諾。電話とのやり取りで「1年以内でシステムソフトを完成させたら、高額で買い取る」という取引を成立させる事になる。
しかし、システムソフトを完成させてしまう事への抵抗感を拭えなかった板倉は、ソフトを未完成の状態で群馬の別荘に隠し、ソフトの受け渡しの時間と場所を記したメールが送られる前に、海外へ姿をくらます事を計画する事になった。
これらの旨に関する日記の記された日は、自身が殺害される2日前であり、前述の3社との掛け持ちでゲームのシステムを開発させるというどう考えても実現不可能な行いも、黒の組織から逃亡する為に、やむを得ない部分もあったのかもしれない。
ソフト開発は人間の為に断念したそうだが、「しかし彼らはあのソフトで一体何をしようとしているんだ?」とその使い道は皆目見当もついていなかった。
コナンは自身や灰原といった「APTX4869」による幼児化を隠す理由がベルモットにあるのではないかと考え、それを聞いた有希子はベルモットが毛嫌いしていた板倉にシステムソフトを発注したのは、「幼児化を隠す訳と何か関係があるのかしら?」とベルモットに問いかけている。
また、日記の最後には続きがあり、「そう言い終えると女の背後で次第に猫の鳴き声が大きくなり、女は少々焦って電話を切った…」と記載されていた事が阿笠博士に明かされている(「お金で買えない友情」)。
ちなみに、アニメ版の50番目のオープニングである「ANSWER」では、ベルモットと思われる女性に電話越しで脅迫される板倉の姿が描かれている。
裏の関連タグ
羽田浩司、アマンダ・ヒューズ:同じく過去に黒の組織と関わっていたと思われる人物。本来なら、板倉も彼等と同様に黒の組織に殺害されるはずだった。