概要
『週刊少年ジャンプ』で連載された石山諒氏の漫画作品『歪のアマルガム』に登場する敵キャラクター。
背広に身を包んだ大柄な男性だが、その正体は犯罪組織の戦闘用サイボーグである。
初登場話は第8回『零課メンバー全員集合…!!』(単行本第2巻に収録)。
詳細
犯罪組織『賽』の荒事を担当する実働部隊の副隊長にして、体内に武器を移植された『内蔵者』と呼ばれるタイプの改造人間。
科学長サラ・ヴェーレンから久佐場六道の生け捕りを命ぜられ、隊長の宇治橋美姫と2人で警視庁零課を襲撃した。
任務自体には忠実だが、常にオドオドと怯えており、レンタルDVDの返却期限やガスの元栓の締め忘れなど、些細なことまで病的に気にかけている。
煙草を咥えていないと、他人の運転する自動車にも落ち着いて乗ることすらできない。
その臆病ぶりは単なるポーズではなく、「己が生き延びることこそ最重要事項」という持論に基づいたものである。
生き延びるためなら苦しいことや辛いことからは逃げれば良いと考えており、故に他人や正義の為に自分の命をかける行為を理解することができない。
能力
天才科学者たるサラ自身が「手を加えた」と言うだけあり、その臆病ぶりとは裏腹に戦闘能力は高く、彼女をして「『賽』の最高戦力」と言わしめている。
彼に対して横暴な上司の美姫も、その強さに関しては「自分以上の怪物」と認めている。
美姫が少なくとも全身の6か所に銃器を移植されているのに対し、彼は両腕に「怪力線JOLT(ジョルト)」と呼ばれる超音波兵器を移植されているのみである(作中では音波というより電流を発しているように描かれているが…)。
しかしその威力は絶大で、この兵器を埋め込まれた彼は、妖完成体『鵺』をも打ち負かし服従させるほどの「化け物」となっていた。
一方で出力調整の難しい武器でもあり、生け捕りという任務には向いていない。
また使用回数に制限が存在する(作中で確認できる限りでは、5発目を撃った時点で「あと1発しか撃てない」と明言している)。
単純な身体能力も常人を遥かに上回っており、素手の格闘で六道と黒水影舟を同時に打ちのめしている。
戦闘
牛頭次郎が美姫の相手を引き受ける中、神社の境内に戦場を移し不動に挑む六道と黒水だが、美姫以上の戦闘力を持つ不動には歯が立たない。
「正義」を自称し戦闘を続行しようとする黒水を更に痛め付け、その正義とは命をかける価値があるものなのかと問い、臆病者こそが長生きできると持論を語り、止めを刺そうとする不動。
しかし黒水が六道との交流の記憶から「今の自分自身とは何か」に目覚めたことで形勢は逆転。
攻撃を全て避けられ、恐怖心により足がすくんだところを滅多切りにされ、怪力線の制御盤をも砕かれ、大の字になって倒れる不動。
「臆病者」であるが故に生き延びてきた彼は、「臆病者」であるが故に敗れ去った
…かに見えたのだが。
最後の一服
「保険」として残していた煙草を吸い、再び立ち上がる不動。
これまでとは別人のように乱暴な口調となった彼は、黒水を一撃で数メートルも殴り飛ばすと、左腕の発射口を構える。
彼の残していた煙草は、人間の体内の電流を強制的に引き出すアイテムだった。
増幅された電流によって脳にオーバーヒートを起こした彼は、制御盤を破壊されたことで出力調整が利かなくなっているのも構わず、最大出力の怪力線「OZ・JOLT(オーバーザップ・ジョルト)」を放つ。
しかし突如、限りなく妖完成体へと近付いた暴走形態(バーサーカーフォルム)となった六道が乱入、怪力線は弾き返されてしまう。
使い物にならなくなった左腕を自らもぎ取り、残った右腕で六道に殴りかかる不動だったが、六道が投げつけたトゲ状の骨によってその右腕も千切り飛ばされ、更に胴体に無数の骨を撃ち込まれ、遂にその両膝をつく。
そして六道に止めを刺されそうになるが、そこへ美姫を破った牛頭が乱入し…そこで不動の出番は終了した。
サラが彼と美姫を派遣したのは、六道をピンチに追い込むことでデータ収集を行う為であり、加えて『賽』の戦力も削ぐという二重の目的に拠るものだった。
すなわち彼らは最初から負けることを前提に送り込まれた「捨て駒」に過ぎず、サラは彼らを戦わせている裏で、次なる目的の為に六道の幼馴染火野彌生の拉致を実行していた。
単行本3巻収録の後日談では、厳重な拘束を施された上で独房に入れられ、監視される日々を送っている。
しかし自分を不安にさせるものが侵入できない環境になったと、かえって満足している様子である。