概要
波紋疾走(脚注1)とは漫画『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する術・波紋法の生み出すエネルギー"波紋"の発動状態のことである。スタンドでいうと「スタンド攻撃をしている」状態に相当する。波紋といえば通常これを指す。その性質は第1部と第2部で微妙に設定が異なる。
波紋法の項目にある通り、本来は修行僧達が己の心身を鍛え上げて肉体をコントロールする為(ある僧は医療技術にも転用していた)のものだが、波紋エネルギーの波長が太陽光のそれと同じであり、吸血鬼、屍生人、柱の男など、太陽の光を弱点とする生物や屍生人に致命傷を与えられる。劇中では医療行為にはほぼ用いられず、主人公達は対怪物用の戦闘技術として習得、研鑽している。
その効果は多種多様で、攻撃以外にも、身体能力を少し上げる、水上を歩く、壁に張り付く、液体に強力な水圧をかける、木の葉を吸い寄せて固める、吸血鬼にかけられた催眠術をとく、逆に敵を操るなどの効果が確認されている。
基本ルールとして、波紋を流すためには何かに触れていなければならず、離れた相手を倒すような効果はない。
ただし液体には伝導する(第二部では更に水分を含んでいる物体に帯電させる事が可能になった)ため、生物の体(花など)に波紋を込めて投げつけるといった流し方は可能。また、物体内の水分を波紋で破裂させることで、その物体を破裂させることはできるが、基本的に波紋を流しただけでは物体には破壊が起きない。波紋疾走レベルの強力な波紋を流された場合(特に人体)は物体内の水分(血液や臓器)に振動や衝撃が加わるため、結果として破壊が発生する場合はある。
ちなみに第1部では生物にしか波紋を帯電させることが出来なかった為、飛び道具は事実上生物(薔薇の茎など)でなければ無理な設定だったが、第2部ではアメリカンクラッカーなどの無生物でも波紋を帯電させることが出来るという設定に変更された。
そのためか第2部はシャボンランチャーなど、第1部より飛び道具で戦うことが多くなっている。
金属や水、油は波紋を伝えやすいとされており、その性質は電気に近いようである。
第1部では人間に流しても特に害のある描写はなかったが、第2部では強力な波紋は人間にも害があるという設定が追加された。
第3部でもこの人間にも害がある設定が引き続き採用されているらしく、実際にジョセフがスタンド相手に使用しようとする場面が見られる。
なお、スタンド相手では波紋は素通りしてしまう為、スタンドそのものには通用しない。その為遠隔操作型のスタンドには無力である。
だが逆に言えばスタンドは波紋を伝達できるという事にもなる為、本体が近くにいなければならない近距離パワー型のスタンド使いには有効。
ジョセフは若い頃得意としていたロープ・マジックの様に「隠者の紫」と山吹色の波紋疾走を兼用して使用していた。
劇中で波紋とスタンドの両方を使えるのはジョセフのみだが、もしも承太郎が波紋を使えていたならば、DIOとの対決はもっと早く決着が付いていたかもしれない。
第3部にて吸血鬼DIOとの因縁に決着が付いたためか、これ以降は波紋法が描写される事は無くなった。
能力分類
何種類かある。ここでは主に特殊な属性のついた波紋疾走を挙げる。
(1つしかない場合は技名そのものを、複数似た性質の技がある場合はその性質を挙げる。)
- 波紋疾走(オーバードライブ)
波紋を対象に波紋を流し込む。通常波紋疾走といえば、これを指す。
波紋疾走の技一覧
- 山吹色の波紋疾走(サンライトイエローオーバードライブ)
ジョナサン・ジョースターの技で一番有名。別名元祖オラオララッシュ。
- 緋色の波紋疾走(スカーレットオーバードライブ)
熱を発生させる炎の波紋。ジョナサンが使用。
水中用の波紋。水中でも高速で伝わる波紋。遠くの敵も倒せる。ブラフォード戦でジョナサンが使用。part3格闘ゲーム版ではジョセフの必殺技になっている。
- 銀色の波紋疾走(メタルシルバーオーバードライブ)
金属に流す波紋。武器による攻撃の防御とカウンター効果の両方を兼ねた技でもある。ブラフォード戦でジョナサンが使用。
- 生命磁気への波紋疾走(せいめいじきへのオーバードライブ)
木の葉などをくっつける波紋。これを利用して巨大グライダーを作れば空も飛べる。
木の葉は波紋を帯びているので触れた者を返り討ちするカウンター効果もある。
- 波紋疾走連打(オーバードライブれんだ)
波紋を込めた拳のラッシュ。ジョナサンが使用。
- 波紋乱渦疾走(トルネーディオーバードライブ)
敵に背を向けた状態で跳躍し、宙返りから錐揉み回転を加えた波紋蹴りを繰り出す。
ツェペリ男爵が使用。
- 深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)
自らの全生命エネルギーを他者へと託す究極の奥義。
ツェペリ男爵が使用。
- 波紋肘支疾走(リーバッフオーバードライブ)
両肘を前に突き出した波紋の攻防一体の技。
ジョセフが使用。
波紋疾走以外の波紋による攻撃方法一覧
拳などの肉体からの波紋による攻撃方法一覧
- ズームパンチ
関節を外すことで腕のリーチを伸ばし、目の錯覚を誘発させる必殺パンチ。波紋法の効力によって痛みを和らげ、瞬時に関節を外したり戻したりすることが出来る。無論、当たれば波紋の効果で吸血鬼や屍生人を浄化する事も出来る。
- 当たる面積を最小にして波紋防御
足の裏面を向けてそのまま飛び、足の裏に波紋を帯びせてそのまま防御し、ダメージを最小限に抑える技。
ツェペリ男爵が使用。
- 稲妻空烈刃(サンダースプリットアタック)
スローな蹴りから相手の防御を開脚で遮り、隙だらけの頭部に波紋の手刀を喰らわせる。使用者の防御が甘いという弱点がある。
ダイアーさんが使用
- 稲妻十字空烈刃(サンダークロススプリットアタック)
稲妻空烈刃の上位技。手刀を十字(絵的にはX字)に組んでいる攻守において完璧な必殺技。これをやぶった格闘者はひとりとしていない。
ダイアーさんが使用
- 仙道波蹴(ウェーブキック)
波紋を纏った蹴りで攻撃する技。
ツェペリ男爵が使用。
- 正の波紋と負の波紋
第2部でジョセフとシーザーが使った協力技。人質のスージーQに害を与えずにエシディシのみを倒すため2人が使用。
文字通り、全身に正(弾く性質の波紋)を流し、スージーQの心臓部には負(吸着する性質の波紋)を流すことでプラマイゼロになる(つまり無害になる)ので結果的にスージーQには全く被害がなく、エシディシのみにダメージを与えることに成功した。
ジョセフは正の波紋を、シーザーは負の波紋を担当。
道具や無機物などを利用した波紋による攻撃方法一覧
- 波紋カッター
口に含んだワインを波紋で歯の隙間から押し出して飛ばし、刃物のように切断する技。
ツェペリ男爵が使用。
part3格闘ゲーム版ではジョセフの必殺技名に使われたが、手刀で薙ぎ払う技になっている。
- 波紋探知機
ワインに波紋を流し、敵の位置を探る波紋。ジョナサンが使用。
敵の行動により起こった振動が地面、壁、壁に触れているジョナサンの腕を伝わり、ワインの水面に波紋として現れる。
- 波紋入りの薔薇
薔薇に波紋を流して投げ飛ばす技。波紋入りのバラは痛かろう...。
ダイアーさんが使用
- 波紋シャンデリア
シャンデリアを落下させ、真下にいた4体のゾンビをまとめてシャンデリアに波紋を流して倒した。
ストレイツォが使用。
- 波紋スレッジハンマー
波紋を伝えやすい油を塗ってハンマーに帯びせた。
ジョセフが使用。
- シャボンバリアー
相手の体をシャボン玉で包み込む技。ジョセフと初対面した際の小競り合いで使用した(技名は『オールスターバトル』より)。
『オールスターバトル』ではハート・ヒート・アタックとしての扱いで、相手の体をシャボン玉で包み込んでから破裂させてダメージを与える。
- シャボンランチャー
シャボン玉に波紋を込め、勢いよく発射する技。シーザーが使用。
- シャボンカッター
波紋を込めたシャボン玉を高速回転させて円盤状にして発射する。祖父ツェペリ男爵の技・波紋カッターを参考にした技。
シーザーが使用。
- シャボンカッター・グライディン
シャボンカッターを地面スレスレの軌道で発射する技。シーザーが使用。
- シャボンレンズ
大量に発射したシャボンカッターを利用して太陽光を集め、相手に一点照射する技。
『オールスターバトル』ではグレート・ヒート・アタック(いわゆる最強必殺技)で、シャボンレンズで相手を取り囲み、集まった光をレーザー光線のようにして相手を攻撃するというものになっている。
シーザーが使用。
- 波紋コーラ
コーラの瓶の栓を波紋の力で一気にぶっ飛ばす。警官の指をへし折る威力がある。また、女装した際に、テキーラに波紋を流してコルク栓をココナッツの木に飛ばして実を落とし、その実を衛兵にぶつけて気絶させた上に蹴り飛ばしている。
第2部でジョセフが使用。
- 波紋ヘアアタック
第2部でジョセフが使用。引き抜いた髪の毛を周囲に振りまくことでバリアを作る。髪の毛は水分を含むので、一本一本が波紋を帯電する。
- 波紋入りスパゲッティーネーロ
スパゲッティーネーロに波紋を流して相手に飛ばす技。
第2部でジョセフが使用
- 波紋入りアイアンボーガン
波紋入りのアイアンボーガンを相手に飛ばす技。
第2部でジョセフが使用
第2部でジョセフが使用した技。
鉄球の付いたアメリカンクラッカーを鈍器として用い、振り回して攻撃する。
- ブッ壊すほどシュート!!
第2部でジョセフが使用した技。打ちきったトンプソンマシンガンを相手を上にして突きさした形で波紋を流して攻撃する。
- 蛇首立帯(スネックマフラー)
波紋伝導率100%の東南アジアに生息する昆虫サティポロジア・ビートル3万匹分腸の筋を乾かして編んだマフラー。このマフラーは生命反応のレーダーと、相手の攻撃を受け流す武器を兼ね備えている。
リサリサが使用。
その他波紋による技や能力
- 若さを保つことができる。
ある程度は肉体の老化を抑えることができる。特にリサリサは実年齢50際であったが波紋法により、20代前後の見た目を保っている。
- 複雑骨折を治すことができる。
ツェペリ男爵がジョナサンに対して使用。
- 体内の異物を排出する
血管に毒物を流し込まれた場合、少量なら排出が可能。
ディオから屍生人になるエキスを流し込まれたジョナサンが使用。
- 相手を気絶させる
2部のジョセフが小さい頃に飛行機ハイジャック事故に巻き込まれた際に使用。小さい頃のジョセフが使えたということもあって、波紋による技としては比較的簡単な部類かもしれない。
- 敵を操る
第1部ではジョナサンがドゥービーの蛇や、ワンチェンの体を操った。第2部ではシーザーが女性を、ジョセフが鳩を操っている。
- 身体能力を上げる
レンガを破壊する、岩山を揺らすなど、普通なら不可能なことが出来る。
しかし、流石に鋼鉄の扉を破壊するほどの威力はない模様(身体能力の上昇幅によっては破壊が可能な筋力を得ることはできる)。
スタンドでいう破壊力C(人並み)がこれを使用した人間、という意味かどうかは謎。
尤も、他人から波紋を受け取れば更に上がるが。
- 座ったままの姿勢!膝だけであんな跳躍を!
座ったままの姿勢で膝だけで跳躍することができる。
ツェペリ男爵及び孫のシーザーが使用。
- 水上を歩く
波紋を足から流し、水面と反発させて水面に立つ。
完全に歩けるようになるためには高度な技術が必要らしく、ツェペリ男爵でさえ飛びながらでなければ無理なほど難易度が高い。
ジョナサンはまだ未熟なためか少しだけ水に沈んでいた。なおジョセフは生まれつきジョナサン並に歩ける模様。
- 催眠術を解く
波紋を流すことで可能。作中ではポコに使用。
- 花を咲かせる
枯れた花を咲かせることができる。
ジョナサンが使用。
- 水の形を固定する(水圧をかける)
第2部でシーザー、ジョセフ、ロギンズが使用。
シーザーとジョセフはコップをひっくり返してもこぼさない器用なことが出来る。
ロギンズは水に指一本入れた状態で水をゼリー状に固め、それをそのまま普通に持ち歩くことが出来る。波紋は液体や水分に伝導、帯電するため劇中でも水や植物、オリーブ油、ワインや石鹸水(シャボン玉)など様々な液体を用いて、飛び道具や遠距離攻撃、防御、罠や奇襲など多彩な用途に用いられている。
- 壁に貼りつく
第2部でジョセフとシーザーが修業で使用。水の形を固定する技術を会得するために必須の修業である。
- 人体を溶解させる
基本的に人体を傷つけることがない波紋だが、あまりにも強力な波紋の場合は人体を溶解させてしまう。
ジョセフの数百倍の波紋を練ったカーズが使用。
- 火山を噴火させる
第2部最終盤で起きた現象。超強力な波紋を使用することにより火山を噴火させることも可能になる。その威力は岩盤を宇宙へと射出するほど。
ただしこれは究極生命体カーズが放ったジョセフの数百倍の出力のものをエイジャの赤石の増幅効果でさらに高められたものが火山に打ち込まれたことによる事態であるため、リサリサクラスの波紋使いでも到底不可能と思われる。
- 未来を予知することができる
第1部でトンペティがツェペリ男爵に使用。※ただしこの能力を使っているのはトンペティ以外に描写がない。
波紋の用途としても逸脱しているため、前述の通り、波紋の修行によりトンペティが発現させたスタンド能力の可能性がある。
- 吸血馬の操縦
微力な波紋を使えば乗りこなすことができる。
- 動きを封じる
PS2版ファントムブラッドでストレイツォが使用。地面に波紋を流すことで影響を受けた相手を感電させるような感じで動きを封じる。原作では血管針カルテットとの戦いで使用した技。
- スタンドを目覚めさせることができる
第7部単行本解説にて、『波紋』はスタンドという才能に近づくための技術と説明されている。もしかしたら、波紋の修行によりスタンドが見えたり、スタンドを手に入れることができるようになる可能性がある。また、3部当初はスタンドは「幽波紋」という漢字が当てられていた。
ちなみに第7部でのキーワードである「回転」と併せて説明されていた。
脚注
- なお最初に波紋疾走が登場した際は、仙道波紋疾走(せんどうはもんオーバードライブ)と当て字の読み方が異なる。
- カーズが使用した際はそのまま「はもんしっそう」と発言している。
関連タグ
ジョジョの奇妙な冒険 波紋/仙道/波紋法/波紋使い 山吹色の波紋疾走